信長の野望・宇宙世紀乱世伝withパワーアップキット   作:雑草弁士

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第014話:第3中隊の不和

 俺はつい先日に、大尉に昇進した。エミリア少尉も中尉になったし、クラークとグレースも軍曹を介して曹長になった。エミリア中尉には、一応自分の小隊を持つか、と聞いてみたが否と言われたので、彼女には引き続き俺の副隊長をやってもらう事にした。

 

 ちなみに副隊長とは言っても、俺が第3中隊指揮官になるので、彼女も中隊としての副隊長になる。俺は中隊の他、エミリア中尉、クラーク、グレースで構成される小隊の指揮官でもある。エミリア中尉はその小隊としての副隊長でもあるが、俺が指揮をとれない場合には中隊指揮も受け持つ事になるのだ。

 

 そして昇進したと言えば、MS(モビルスーツ)軽空母ネルソンの艦長であるマクシミリアン・ウェイド中尉待遇少尉が正式に中尉になり、先日進宙式を終えたばかりの新造艦、ペガサス級4番艦トロイホースの艦長に異動した。このトロイホースが今後おれたちの母艦となる。今までの母艦ネルソンは、副長であるベネディクト・モンロイ少尉が中尉待遇となって艦長席に収まる事になった。

 

 だがトロイホースとネルソンだけでは、1個中隊16機を載せられない。なのでネルソン級をもう1隻、MS(モビルスーツ)軽空母カラカスが戦列に加わる。これの艦長は、以前にサラミス級マダガスカルの副長をやっていたアベラルド・ベルトリーノ中尉待遇少尉だ。リード中尉の部下を引き抜く形になってしまったが、リード中尉とマダガスカル、大丈夫だろうか。

 

 更に専属整備班も隊と共に拡張することになった。整備班長のグェン・ヴァン・フォン・アン曹長も三等准尉を経て二等准尉に昇進し、少尉待遇の辞令を貰った。専属整備班は、専属整備小隊となり、新生S.T.S.C.第3中隊の艦であるトロイホース、ネルソン、カラカスの3つの艦に1班ずつ人員を割り振るのだ。

 

 

 

 そんなわけで、今現在俺たちは人事書類に埋もれている。MS(モビルスーツ)隊であるS.T.S.C.第3中隊の、02小隊から04小隊までの小隊長以下パイロットと、トロイホース、ネルソン、カラカスの3隻の乗員、拡張された専属整備小隊の整備兵たちの人事書類だ。

 

 俺たちは能力的な物はあまり重視せずに、可能な限り人格的な面を重視して人員を選んだ。いや、だって俺の『能力(チカラ)』で能力面は後々で操作できるからな。だけど、ちょっと問題な奴らが居たりするんだコレが。

 

「04小隊、か……」

 

「ジャブローの偉いさんたちは、まったく……」

 

 エミリア中尉とグレースが溜息交じりに言う。そう、俺たちの戦果があまりにも高かったためもあり、俺たちの名前はあちらこちらに売れた。それのマイナス面と言ってもいいだろう。俺たちの隊が拡張される事になったと聞いたジャブローの偉いさんたちが、自分たちの子弟を俺たちの隊に送り込んで、箔付けしようとしたのだ。

 

 まあ能力的、技量的には問題ないよ? だけど人格面では怪しさ大爆発だ。ちょっと調べても、高慢さが見え隠れする。だが、だからと言って偉いさんたち(ジャブローのモグラ)の意向を完全に撥ねつけるだけの力は、今の俺たちには無い。ワッケイン司令も言ってたっけなあ。

 

『こいつらの件はレビル将軍と、今回に限ってはワイアット中将も味方だ。遠慮なしに性根を叩き直せ。……ワイアット中将に借りを作るのは、正直恐ろしい気がするのだが、断るのも怖い。『前回助けてもらった礼だから気にせんでくれ』と、あの笑顔で言われてもな……』

 

 相当ワイアット中将の笑顔は、胡散臭(うさんくさ)かったんだろうな。でも、こういう形で力を貸してくれるんなら、こいつらを俺の隊に送り込むのを妨害してくれた方が1,024倍嬉しかったんだが。

 

 

 

 地球のジャブローから、通信文が届いた。レイ技術大尉からだ。地球への航路の途中で1回襲われたらしいんだが、アムロ君のG-3ガンダムとカイ君やオオモリ少尉の2機のガンキャノンが主体になって撃退したとは聞いていた。いや、この件は帰って来たリード中尉が教えてくれたんだよな。

 

 それ以後は特に何事も無く、マダガスカルやトリチゲンの2隻のサラミス級と別れたペガサスJr.は、サイド7避難民の2隻のシャトルと共に地球のジャブロー基地へ降下したと言う。それ以後の話は知らなんだのだが、レイ技術大尉の通信文によれば無事ジャブロー基地へ降りたとの事だ。

 

 アムロ君がサイド7での2機を合わせて、合計5機を()としてエースになった事が誇らしいとか、しかしながら戦争に出してしまった事が悲しいとか、色々書いてあったな。アムロ君とカイ君は、結局そのままG-3ガンダムやガンキャノンの専属パイロットになって、今はジャブローには居ないらしい。

 

 どこに行ったかは作戦上の秘密であり、レイ技術大尉にも教えてもらえなかったそうだ。まあ、それは仕方がないよな。

 

 

 

 02小隊と03小隊の面々がやって来た。小隊長は2人とも、元ルナ2MS(モビルスーツ)部隊で少尉としてRGM-79(E)に乗っていた奴らだ。そして部下の小隊員は、元ボール部隊に居た奴とか、元ルナ2MS(モビルスーツ)部隊に居た奴とか、元ルナ2航空隊からMS(モビルスーツ)パイロットに転向してきた奴とか、士官学校卒業したばかりの奴とか、色々だ。

 

 そいつらが、俺に新たに与えられた広い執務室に整列し、敬礼を送って来る。俺と俺の小隊員たちは、それに答礼を返す。小隊長たちは、自分と部下たちの紹介を始めた。うん、いや書類では既に知っているが、こう言うのは形式が大事だろう。

 

「自分はテレンス・ティレット中尉です、中隊長。元ルナ2MS(モビルスーツ)部隊第5小隊で、副隊長をしておりました。名高いS.T.S.C.の第3で、02小隊を預かる事になり、光栄です。

 こちらは02小隊の副隊長、クレイグ・ブレアム少尉、隊員のデーモン・ミンター軍曹にメイベル・ミーガン軍曹です」

 

「自分は03小隊長、コンラッド・トールボット中尉です、オダ大尉。元ルナ2MS(モビルスーツ)部隊第8小隊で、副隊長をしておりました。あの信じ難いほどの戦歴を誇るオダ大尉の部下となる事ができて、幸運ですよ。

 こちらは03の副隊長、シロー・アマダ少尉、隊員のテリー・サンダースJr.軍曹、クリスティン・キャドバリー伍長です」

 

「よく来てくれた。待っていたぞ。ただ残念ながら、機体はまだ全員分揃っていないんだ。基本、出撃はしばらく無い予定だから、実機訓練の際は機体をシェアして回してくれ。さて……。

 まあ、堅い事は言わん。今日は貴官らの歓迎会だ。PXの飲食スペースを確保してある。俺の奢りで、好きなだけ飲み食いしてくれ」

 

「「「「「「う、うおおおぉぉぉ!!」」」」」」

 

 大歓声が上がった。

 

 

 

 ここはルナ2のPX飲食スペース。既に宴会は終わり、解散を宣言したところだ。だが数人、具体的に言えば03小隊の面々が未だに残っている。何をやっているかと思えば、カウンターに腰掛けたサンダース軍曹を囲んで何かワイワイやっていた。

 

「俺は……。俺は死神なんでしょうか……。これまでに3度も、俺を残して隊の連中が全滅してしまって……」

 

「そんなものは偶然だ! 気にするな! なんなら、俺は死なないでみせるぞ?」

 

「アマダの言う通りだな。それにな? 俺が死んだとしたら、それは俺のせいだ。貴様のせいだなどと、そんなのは烏滸(おこ)がましい。それは俺に対する侮辱だぞ」

 

「そうですよ、軍曹どの! 気にし過ぎ、気にし過ぎ!」

 

「……ありがとうございます」

 

 うん、いい仲間たちだな。ちょっと顔を突っ込んでみるかね。

 

「いい事を言うな。お前たち」

 

「「「「中隊長!!」」」」

 

「そうだな。貴官らの言う通りだ。まあ、サンダース軍曹が一部の心無い連中から死神扱いされてるのは、ウチのクラークとかが聞き込んで来てる。だがな。戦史を調べると、それは戦場ではけっこう多く、ゴロゴロ転がってるパターンの話らしい。

 たいていは、その死神って呼ばれた奴の腕が良いもんだから、上が過剰な期待してそいつの部隊を過酷な戦場に送り込む。そしてそいつが優秀だから、そいつ1人生き残るってな?けど、そりゃそいつが悪いんじゃないだろ?」

 

 そして俺は笑って言ってやる。

 

「安心しろ。ウチの部隊はそんな事心配しなくても、ほぼ常に過酷な戦場に放り込まれるからな。そしてウチはそんな状況でも、いつもケロっとして帰って来たんだ。お前らにも、その豪運をおすそ分けしてやるよ」

 

「ちゅ、中隊長……。逆にあまり安心できないんですけど」

 

 クリスティン伍長が、引き攣った顔で言う。その様子に、残る全員が大笑いした。

 

 

 

 まあ、その豪運をおすそ分けってのは、ぶっちゃけ本気で欠片も嘘は言ってないんだけどな。

 

 

 

 俺はその夜『能力(チカラ)』を使い、02小隊と03小隊の奴らの能力を1.2~1.5倍に強化してやった。あと最低限のニュータイプ能力も付与する。これで俺たち01小隊が的確に手助けしてやれば、死ぬ事はあるまいさ。たぶん。

 

 

 

 7月も半ばを過ぎた19日の事だ。ルナ2基地の工廠で、RGM-79ジムの先行量産機が24機完成した。このうち12機が、即座に俺たちS.T.S.C.第3中隊に配備される。RGM-79(E)は全機回収して、数機だけ残してあとはRGM-79に改修されるらしい。

 

 ちなみにこのRGM-79だが、当初はジャブローで基礎設計が行われたジャブローモデルと、ルナ2で基礎設計が行われたルナ2モデルの2種類が存在した。だが俺からの意見具申を受けたレイ技術大尉の進言により、両者の計画は統一。ジャブローとルナ2の双方で、双方のモデルの良いとこ取りをした統一モデルが生産されたのである。

 

 でもって俺たち第3中隊は、まず1回これに乗って見た。で、機体のクセとか色々分ったんで整備小隊と相談し、各機をマグネット・コーティング処置した上で色々と手を加えて、個人個人に合ったカスタマイズやチューンアップを施した。

 

 ああ、マグネット・コーティングは、俺たち01小隊はリミッター無しだが、02と03はちゃんとリミッター掛けてる。いや、あとちょっと頑張って腕を上げれば、02と03の奴らもリミッター外せるレベルなんだけどな。

 

 

 

 だけど翌々日の21日の話だ。とうとう奴らがジャブロー基地から上がって来たんだ。うん、04小隊の奴らだ。まあ一応は、俺の執務室に挨拶には来たんだけどな。04小隊のやつらは、いかにもと言ったニヤニヤ笑いを顔に浮かべて、わざと崩れた敬礼をしやがった。うん、わざとなんだ。ニュータイプ能力の感覚でもわかったが、そんなの無くても分かる。

 

 

 

 こいつら、俺を挑発してやがる。

 

 

 

 そしてこいつらは、薄ら笑いを浮かべて名乗った。

 

「……04小隊小隊長、ノーマン・ニューウェル中尉。()()()()おねがいします」

 

「副隊長のオリビア・オークウッド少尉……」

 

「ハルトムート・ヘルマン少尉だ……です」

 

「リンジー・リンドグレーン少尉です」

 

「……俺が貴官らの中隊長、サブロー・オダ大尉だ。ふむ、良ければ他の小隊を誘って、PXで歓迎会でも、と思ったのだが……」

 

 ニューウェル中尉は、鼻を鳴らしやがった。無礼だぞこの野郎。

 

「いえ、それよりも早速、模擬戦でもどうでしょうか。大尉たちのお噂はかねがね。それが本当かどうか、ぜひとも確かめさせていただきたく存じたてまつりますれば」

 

「……なるほど、舐められているのだな、俺と01小隊は」

 

「ぷっ……」

 

「くくく……」

 

「……」

 

 ニューウェル中尉の後ろに並んだ、オークウッド少尉、リンドグレーン少尉、ヘルマン少尉があるいは吹き出し、あるいはいやらしく嗤う。まあ、いいさ。

 

「貴官らのジムは、ジャブローから持って来たばかりだろう。俺たちの機体は既に各自に合わせたカスタマイズ機だ。素のジムとでは勝負にもならんと思うが?」

 

「いえいえいえ。俺たちのジムも、地上で各自に合わせたチューニング済みですよ。最新技術、マグネット・コーティングも施してありますので、ご心配なく」

 

「それなら構わんか。ではそちら4機全部で、こちらは01の機体が1機ずつで4連戦と行こう。これでもまだ手加減は足りんと思うがな」

 

「「「「!?」」」」

 

 こいつらが一斉に殺気立つ。だがその殺気を、俺は柳に風と受け流した。更に俺は言ってやる。

 

「ルナ2司令、ワッケイン少佐からは、徹底的におまえたちの性根を叩き直せと言われている。おまけにワイアット中将もな。めたくそに叩き潰されて、パパやママに泣きついたところで、どうにもならんぞ?ククク」

 

「「「「な!」」」」

 

 こいつら、今にも殴りかかって来そうだったが、そこで俺はニュータイプ能力まで全開で使い、『(プレッシャー)』を叩きつけてやる。思いっきり、怒気を乗せてだ。

 

「うぁ!?」

 

「ひ……」

 

「きゃ……」

 

「ぐぁ!?」

 

 04小隊の面々は、揃って腰を抜かし、俺の執務室の床にへたり込んだ。俺は厭味ったらしく言ってやる。

 

「なんだ? 俺は『楽にして良い』などと言っていないぞ? 命令不服従でも経歴に付けてやろうか?」

 

「ぐ……」

 

 ニューウェル中尉だけは、それでも必死で立ち上がろうとするが、完全に腰が抜けている。俺はそいつらをそのままに、執務室の扉を開いた。

 

「立てる様になったら、宇宙服(パイロットスーツ)に着替えて格納庫に来い。腰抜け諸君?」

 

 そして俺はそのまま後ろを見ずに、廊下へと出た。後ろからは俺のニュータイプ能力による感覚で、怯えとその後ろに隠れた怒りが4人分感じられた。俺は内心溜息を吐く。

 

「やれやれ……。『奴らを叩き直せ』ってのは、『奴らを使える様にしろ』って事ですよね。ワッケイン司令……」

 

 えらい難題を押し付けられた気がする。敵をただ倒す方が、ずっと簡単そうだった。




第3中隊、いよいよ始動です。装備もきっちり制式版の先行量産型RGM-79(凸)です。マグネット・コーティングした(凸)なんて、なんて贅沢な(笑)。

だけど規模がでかくなった分だけ、不安要素が。ジャブローのお偉いさんたちの横やりで、第3中隊の中に、04小隊と言う不純物が入り込みました。腕は普通に良い程度。だけど技量以上に自負心が高く、無駄に誇りが高い、自称エリートさん。

はたして主人公たちは、彼らを使い物にできるのか。
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