信長の野望・宇宙世紀乱世伝withパワーアップキット   作:雑草弁士

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第018話:宇宙と地球の現状

 ワッケイン司令が中佐に昇進した。先日のルナ2攻防戦での勝利が、功績として評価されたんだ。あと勲章も授章した。まあ勲章は俺たちS.T.S.C.第3中隊も貰ったんだが。さすがに俺はちょっと前に大尉昇進したばかりだし、次の昇進は少し待てと言われている。

 

 まあ、ワッケイン司令の中佐昇進により、その下にいる大尉連中が次々に少佐に昇進している。たとえば副司令のクラスニコフ少佐とかだ。と言うか、ワッケイン司令が今まで少佐だったせいで、彼らも階級に見合わない職責だったんだよな。

 

 たとえばルナ2基地MS(モビルスーツ)部隊の総指揮官なんかは、現状ボール部隊もその指揮下に収めて2個半MS(モビルスーツ)大隊規模の戦力を運用している。だから本来、まだ少佐でも全然足りないんだよな。しかもMS(モビルスーツ)部隊は今なお規模拡張されてる途中だし。

 

 そう言えば、ワッケイン司令も勿論だが、俺たちS.T.S.C.第3中隊の連中も連邦軍広報部の連中からインタビューとか受けたりしたんだよな。勲章の授章式の様子は、地球にまで放映されたそうだし。ドズル・ザビを倒し、数多(あまた)宇宙市民(スペースノイド)の仇を討った志士たち、だそうだ。

 

 俺もワッケイン司令もインタビューでは、ジオン公国はスペースノイドにとっても裏切り者で虐殺者である、と強調しておいた。ちなみに最近のレビル将軍の演説でもその点を繰り返し語り、ジオン公国と一般スペースノイドたちが違う事を強調、ジオン公国の語る宇宙市民(スペースノイド)解放が嘘っぱちである事を知らしめている。

 

 まあレビル将軍にも、色々と考えはあるのだろうが、何にせよ俺たちにはありがたい。

 

 

 

 連邦軍広報部の発表で、地球でキャリフォルニア・ベースとニューヤークの、北米2大拠点の解放に成功したと発表があった。その作戦の総指揮を執ったのはティアンム中将で、その補佐をしたのがベーダー中将だ。彼らは本来連邦宇宙軍所属であるのだが、本来陸軍であるはずのレビル将軍が宇宙軍の司令官になったり、その辺は色々ぐちゃぐちゃなんだよな、今の連邦軍。

 

 その作戦で活躍したのが、アムロ君、カイ君、オオモリ少尉だとの事。特にアムロ君とカイ君の活躍が群を抜いている。ペガサスJr.隊は、八面六臂の活躍ぶりだった模様だ。

 

 アムロ君はRX-78-3、G-3ガンダムを駆って青い巨星ランバ・ラルを撃墜、捕虜にして味方の勝利を決定づける。カイ君は打ち上げ寸前の敵新型機動巡洋艦ザンジバル級ハイドラーのブリッジを狙撃し、打ち上げを阻止。宇宙に逃げ帰ろうとしていたジオン地球攻撃軍北米エリア司令官バロム大佐を捕虜にした。

 

 彼らペガサス級強襲揚陸艦ペガサスJr.の主要人員は昇進と勲章が与えられた。艦長のアンベール大尉は少佐に。放送でひさしぶりに顔を見たアンベール少佐は、引き攣った笑顔でそこはかとなくこっそり右手で胃袋を押さえている。

 

 ペガサスJr.MS(モビルスーツ)隊の隊長オオモリ少尉は、中尉に昇進した。アムロ君とカイ君はそれまで伍長だったんだが、昨日付けで軍曹に、そして今日付けで曹長に昇進したとの事。

 

 北米を取り戻したとなると、ジャブローに対するガウ攻撃空母による定期爆撃は無くなるな。地球連邦の地球軍だが、次の狙いはどこになるかな。ハワイを陥落()として後顧の憂いを断つか? それともオデッサを狙い、地上の勢力バランスを一気に傾けるか?

 

 この先、どうなるかな……。

 

 

 

 宇宙世紀0079、9月1日の事だ。俺たちS.T.S.C.第3中隊は最近恒例になった、地球はジャブロー基地とルナ2基地の間を行き来するシャトルの船団の護衛任務に就いていた。ちなみに今回の護衛任務は、非常に大事だ。今回のシャトルには、レイ技術大尉が乗っている。

 

 レイ技術大尉は、ルナ2基地で試作された新型MS(モビルスーツ)2種類の設計書と、そして実機を片方2機ずつの計4機を持って、ジャブロー基地へと降下するのだ。その機体とは、RGA-78AVM水中型ガンダムと、RGMA-79M水中型ジムである。

 

 実は連邦軍のジャブロー工廠では、レイ技術大尉が関与していないRAG-79アクアジムと、その改良型であるRAG-79-G1水中型ガンダムの設計を進めていた。いや、陸軍では配備が始まったRGM-79ジムのおかげで何とか互角に持ち込める様にはなっているからな。

 

 って言うか何で互角なんだ。しかも、何とか互角って、なんだ。ジムの性能はMS-06JザクⅡ陸戦型やMS-07Bグフを凌駕してるし、最近出て来たMS-09ドムに対しても直線スピードはともかく細かい運動性や火力面で凌駕してるはずだぞ。

 

 閑話休題(まあ、おいとこう)。何とか互角の陸軍とは違い、海軍ではごく一部でボールの水中型改修機、RB-79NフィッシュアイやRMB-79フロッグ・ボールにより気を吐いていたものの、大半がボロボロにやられていた。ジオン軍が投入した水陸両用MS(モビルスーツ)、MSM-03ゴッグ、MSM-04アッガイ、そして最近登場したMSM-07ズゴックなどのせいだ。

 

 そこで海軍からは矢の催促で、水陸両用MS(モビルスーツ)を求めて来た。ジャブロー本部は急ぎ試作品を造った。だがその設計書や仕様書を見たレイ技術大尉が、ちょこっと切れた、と言えばその出来具合は分かってもらえるだろうか。

 

 そしてレイ技術大尉が俺にまで協力を求めて、それらの試作機を再設計したのがRGA-78AVM水中型ガンダムと、RGMA-79M水中型ジムなんだよな。性能的には一回り向上し、更には整備性、そしてそれから来る稼働率も、ジャブロー工廠で造られた試作機を大きく上回っている。

 

 そして今回レイ技術大尉は、そのテストのためにルナ2基地で大急ぎで機体を建造し、地球にそれを持って行くところなんだ。いや、まあ、あらかじめ設計書の写しはジャブロー本部基地に送ってあるから、向こうでも機体を建造してるって話は伝え聞くけどな。こう言うのは、二重三重にしてて損は無いはずだ。

 

 

 

 レイ技術大尉のシャトルと随伴のシャトル2隻、あわせて3隻は、ちゃんとジャブローに向かうコースに乗って大気圏突入して行った。俺たちはしばらく軌道上で待機し、今度はジャブローから上がって来る新しい兵員の乗ったシャトルとランデブー、それを護衛しつつ折り返しルナ2基地へ帰還する事になっている。

 

「……オダ大尉」

 

「む? なんだ? ティレット中尉」

 

 そんなところに、02小隊の小隊長であるテレンス・ティレット中尉が話し掛けて来る。

 

「オダ大尉、嫌な予感がします……」

 

「安心しろ、俺も嫌な予感をヒシヒシと感じてる」

 

「……それは安心できるんでしょうか?」

 

 まあ、02小隊03小隊と、04小隊の半数は最低限のニュータイプ能力を付与してやったとは言え、そう言う意味合いからすれば俺たち01のニュータイプ能力の強さには全然届いていないんだ。だから、02の連中が漠然としか捉えられない事も、俺たちは確信を持って掴む事ができる。

 

 うん、俺やエミリア中尉、クラーク、グレースの4人は、俺たちに対する悪意と言うか敵意と言うか、攻撃意図の思念をはっきり捉えているんだよ。

 

「確実に、俺たち……。と言うか兵員輸送シャトルを狙って、敵は攻撃を仕掛けて来るぞ。ミノフスキー粒子のせいで、レーダーでは位置は掴めないが……。だが、おそらくムサイ艦3隻程度の小艦隊だ。だいたいの場所も、『感覚』的に分かる。俺たちよりも、兵員輸送シャトルだけを狙って叩くつもりだ」

 

「……やっぱり、この『感覚』は間違いじゃないんですね。うちの小隊員も、皆が皆、ヤバそうだって言ってるんですよ」

 

「ああ、間違いじゃない。ちょうど俺も、今から各艦に警告を出すつもりだった。S.T.S.C.第3中隊全MS(モビルスーツ)に、出撃準備態勢の命令を出す」

 

「了解です」

 

 ティレット中尉は、敬礼して左舷MS(モビルスーツ)デッキの方へと去って行く。俺はいったんトロイホースのブリッジへ上がる。S.T.S.C.第3中隊の艦全部に、警告と出撃準備の通達をしないといけないからな。

 

 

 

 俺は自分の機体を、カタパルトに乗せる。

 

『オダ大尉! 進路クリア! 発艦どうぞ!』

 

「オダ大尉、S.T.S.C.03-01-00、ガンダム1B、出るぞ!」

 

 背中を蹴飛ばされる様なGを感じ、俺の機体RX-78-1Bガンダムは宇宙空間へと飛翔する。そこには既にクラークとグレースのRG-78AV、通称ガンダムAVが2機と、エミリア中尉のRX-78-2Bガンダムが待っていた。彼らは俺の機体を中心に編隊を組む。

 

 ちなみに元々のRX-78-2は白、青、赤、黄で塗装されていたんだが、流石に目立つし今はG-3ガンダムみたいなグレー系の配色になっている。俺のガンダム1Bも同様だ。

 

 トロイホース左舷MS(モビルスーツ)デッキからは、02小隊小隊長ティレット中尉のガンダムAVが発進したところだ。02小隊も、綺麗な編隊を組む。02小隊のガンダムAVは小隊長であるティレット中尉機と副隊長ブレアム少尉機だけで、ミンター軍曹とミーガン軍曹の2人はまだジムに乗っている。あとしばらくで、次のロットのガンダムAVが届くんだがな。

 

 ネルソン級MS(モビルスーツ)軽空母ネルソンの方に目を向ければ、あちらではもう既にトールボット中尉機のガンダムAVと、アマダ少尉機のガンダムAV、サンダース軍曹のジム、キャドバリー伍長のジムが編隊を組んでいる。彼らも特に問題は無さそうだ。

 

 そして俺は最後に、ネルソン級MS(モビルスーツ)軽空母カラカスの方向へ目を向ける。あちらでは隊長機であるニューウェル中尉のガンダムAVを中心に、副隊長ヘルマン少尉機であるガンダムAV、リンドグレーン少尉機であるジム、新入りであるヘレン・ハンブリング少尉機であるジムがきっちりとした編隊を組んでいた。

 

 うん、新入りなんだ。うん、ヘルマン少尉が副隊長なんだ。うん……。先頃までの副隊長、オリビア・オークウッド少尉は駄目だったんだよな。検査入院からはさっくり戻って来たが、他の04小隊員たちともなんか壁が出来てしまっていたんだ。同じく検査入院してたリンドグレーン少尉が、なんとか中隊に馴染もうと努力を始めたのとは対照的だった。

 

 そして彼女オークウッド少尉は許可を取って、ルナ2基地の通信室でレーザー通信で地球と話してた様なんだが。突然の転属命令を受けて、先日シャトルで地球へ戻って行った。うん、ドズル機に自機が真っ二つにされて、彼女の心が完全に折れてしまっていたのは、ニュータイプ能力の感覚で分ってたんだがな。

 

 だからと言って、洗脳じみた事をすればどうにかなるんだが、必要も無いのにそれをする気も無い。自分で自前で、ゆっくり心を癒してくれ、としか言いようが無いんだ。ワッケイン司令には、1人駄目にしてしまいました、って謝ったよ? 司令は、あれは仕方がなかった、と分かってくれたけどな。

 

 そして代わりに押し込まれて来たのが、これまた地球の高官の子女であるハンブリング少尉だったりする。だが彼女は奇跡的に宇宙市民(スペースノイド)への差別意識を持っていなかった模様だ。ほんとに奇跡的だよ。能力的には若干オークウッド少尉よりも劣るんだが。それは後々どうにかする。

 

 リンドグレーン少尉も、どうにか分ってくれたみたいだし。S.T.S.C.第3中隊に馴染んだら、彼女とハンブリング少尉も『能力(チカラ)』使って能力強化してやろうかね。

 

「……よし、S.T.S.C.第3中隊は全員傾注。我々は敵小艦隊、ムサイ級軽巡洋艦3隻を発見した。敵は地上から上がって来る兵員輸送シャトル6隻を狙っている。軌道要素が交錯する1点での奇襲を狙っているのだ。

 これより我々は、攻勢防御に出る。02小隊はこの宙域に留まり、シャトルとのランデブーポイントを防衛、ジャブローより上がって来たシャトルを護れ。

 01、04小隊は前方に展開し、敵MS(モビルスーツ)部隊を迎え討つ。まあ、万が一に逃がしても、後ろには02が居る。そう心配せずに、気を楽にして敵を叩け」

 

 これは新入りが居る、04小隊への気配りだ。まず敵を落とすよりも、自分が生き残ってくれないといかん。まあ万一敵機を通してしまっても、そこは01と02でフォローしてやれば、なんとかなる。

 

「03小隊は敵MS(モビルスーツ)に構わずに、ムサイ級3隻を叩け。奴らに帰るところを無くしてやるんだ」

 

『『『『『『了解! ザッ……』』』』』』

 

 少しミノフスキー粒子による雑音が混じっている。そろそろだな。

 

『中隊長、シャトルを肉眼ザザザッ目視!』

 

(……中隊長、来ました!)

 

 エミリア中尉が通信で、グレースが思念で報告を寄越す。俺は命令を下した。

 

「第3中隊! 行動開始だ!」

 

『『『『『『了解!! ザザッ』』』』』』

 

 そして俺たちは、ミノフスキー粒子に隠れているつもりの敵に向けて、スラスター全開で()んだ。

 

 

 

 まあ、普通に勝ったよ? 強敵は今回居なかったし。ちなみにムサイ級3隻は、トールボット中尉が1隻、アマダ少尉が1隻、サンダース軍曹が1隻ずつ沈め、キャドバリー伍長がアシストに徹していた模様。なお新入りのハンブリング少尉は、見事1機のF型ザクⅡを撃墜してみせた。




ワッケイン、中佐に昇進しました。いっぺんに大佐ってのも一瞬頭をちらっと過ぎったんですが、連邦軍ですし……。でも近いうちに、口実(功績)があればまた昇進させたいですねえ。

アムロ、カイ、活躍してます。地上で。ルナ2基地の活躍も併せ、連邦軍広報部、大忙しですね。
でもって……。
『見事だな。しかし小僧、自分の力で勝ったのではないぞ。そのモビルスーツの性能のおかげだという事を忘れるな』
『あたりまえだ!』
『何!?』
『父さんが造ったガンダムだ! あんたがいかに強くても、ジオンのMSなんか目じゃないんだ!』
みたいな会話があったかも。アムロ、テム・レイとの関係性が劇的改善してますから。

そして04のオリビア・オークウッド少尉……。駄目でした。頭の上を高熱のヒートホークが通って行って、ジム真っ二つ。ヘルメットが無ければ焼死だった、的な。それで心折れてしまいました。でもたぶん地球に降りても、退役とか予備役とかは許してもらえないでしょうね。なまじグワジン沈めてしまいましたから。
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