信長の野望・宇宙世紀乱世伝withパワーアップキット   作:雑草弁士

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第019話:俺たちは悪鬼羅刹だそうだ

 9月も半ばを過ぎた、17日。地球連邦軍の地球軍は、地上のジオン軍最大の拠点であるオデッサに対する攻撃を開始。……オデッサ作戦だ。それとほぼ時を同じくして、ルナ2基地司令、ワッケイン中佐からの命が下る。

 

 それは連邦軍がオデッサを陥落()とす事ができた場合、地上から脱出して来るであろうジオン軍を軌道上で待ち伏せ、叩くと言う作戦だった。母艦としてアンティータム級補助空母2隻とボール搭載型サラミス級巡洋艦6隻を出すとの事。

 

 ワッケイン司令は力強く言った。

 

「地上から脱出してくるジオン兵や、その装備であるJ型の陸戦型ザクⅡは、宇宙空間では何の脅威でもない弱敵だ。だがJ型は敵宇宙要塞ソロモンの工廠、あるいは極論だが輸送艦の中ですらも容易にF型に改修が可能である。

 ……オデッサ作戦の勝利を前提とした作戦ではあるがな。ここで逃がすわけにはいかん。たとえ戦う事のできぬ相手であろうと、逃がしてしまえば必ず後の(わざわい)になるのだ!」

 

「ならば、もっと戦力を出すべきではないでしょうか。……いえ、そう言う事ですか」

 

「気付いたか」

 

 俺の問いに、ワッケイン司令は頷く。そう言う事だ。オデッサ作戦が終了次第、おそらくは可能な限り最速でソロモン攻略作戦を発動するつもりなのだろう。作戦名は知らないが。

 

 その作戦準備のため、今回はあまり多くの戦力を出すわけにはいかないのだろう。そのギリギリのラインを見積もった戦力が、アンティータム級補助空母2隻のRGM-79ジム2個中隊32機、ボール搭載型サラミス級巡洋艦6隻のボール2個中隊強36機なのだ。

 

 そしてワッケイン司令は言う。

 

「貴官が気付いた通りだろう。だが、決して他言無用だぞ」

 

「了解です。しかし、ならば何故にこの話を自分に?」

 

「貴官らS.T.S.C.第3中隊は、急な任務に備えて最優先で整備や補充が受けられる立場だ。つまり、ほぼ何時でも戦闘準備が整っている。ここで任務を与えたとしても、ルナ2基地へ帰還しさえすれば即座に再出撃可能になるからな」

 

「こき使う気、満々ですね」

 

「その通りだ」

 

 にやりと笑うワッケイン司令に、俺は苦笑を返す。司令は言葉を続けた。

 

「今回出す戦力は、ジム部隊もボール部隊も練度の低い隊だ。それの支援を命じる。おそらくジオン軍は、オデッサを脱出してきた兵員と装備を回収するため、近隣にいるパトロール艦隊他を急遽呼び集めるはずだ。それらとかち合っては、ジム部隊ボール部隊が危地に陥る。

 貴官らの主任務は、その呼び集められた艦隊の殲滅だ。また副任務として、出撃した攻撃隊が阿呆や無様を晒さん様に尻拭いを頼む。そいつらに対する命令権を与えて置く」

 

「副任務の方がハードそうですね。了解です」

 

 俺とワッケイン司令は、敬礼と答礼を交わした。

 

 

 

 それが3日前の事だ。今日は9月20日、一足先にルナ2基地を出港した攻撃隊は、既に地球近傍の軌道に乗っているはずだ。ルナ2を介して得た地球の情報では、本日オデッサ鉱山基地を陥落(かんらく)させた模様。予想通り、地上からは多数のHLVが打ち上げられ、多数のジオン将兵が宇宙へ脱出したらしい。

 

 また連邦軍諜報部の活躍により、オデッサ方面軍司令マ・クベ大佐が用意して使用しかけた水爆が、機能停止させられたとの事だ。まあ、ジオンの連中のやる事だからな。水爆で味方ごと連邦軍を焼きはらおうなんて程度では、驚く事でもないだろう。

 

 マ・クベはザンジバル級機動巡洋艦によって、宇宙へと離脱した模様だ。俺たちにはルナ2より緊急の扱いで、急遽マ・クベのザンジバル級を撃沈する追加の命令が下された。

 

 

(……『()え』る、な)

 

(そうね……。中隊長、ザンジバル級はHLVとは違う打ち上げ軌道を取っているわね)

 

(まあ、ザンジバル級と真っ直ぐ上昇(あが)るHLVとじゃ、軌道が違うのもわかるが……。なんかズルい気もするぜ)

 

(でも、逃がさない。そうでしょ?)

 

(その通りだ)

 

 エミリア中尉、クラーク、グレースの思念に、俺も思念を返す。そして俺は、繋ぎっぱなしになっていたレーザー通信で、ネルソン級の2隻に命令を下した。

 

「ネルソン、カラカスの2隻は最初の予定通り、攻撃隊の支援に回れ。トロイホースは敵ザンジバル級機動巡洋艦を撃破した後、そちらに回る」

 

『こちらネルソン艦長、モンロイ少尉。了解しました』

 

『こちらネルソンの03小隊小隊長、トールボット中尉。こちらも了解です』

 

『こちらカラカス艦長、ベルトリーノ少尉。了解』

 

『こちらカラカスの04小隊小隊長、ニューウェル中尉。了解!』

 

「OKだ。ザンジバル級を始末したら、また会おう。通信終わり」

 

 そして俺たち01小隊と02小隊が乗ったトロイホースは、敵将マ・クベ大佐のザンジバル級と真正面からかち合う軌道に乗った。

 

 

 

 01小隊と02小隊は、トロイホースから全機発進完了し、マ・クベのザンジバル級に向かっている。ちなみにウチのS.T.S.C.第3中隊は、もう既に全てのジムをガンダムAVに更新完了している。

 

 マ・クベのザンジバル級には、どうやら宇宙対応のMS(モビルスーツ)も積んであった様だ。2機だけだが出撃して来やがった。そしてザンジバル級そのものは軌道変更を試みている。

 

「……MS(モビルスーツ)を捨て駒にして、逃げるつもりか。そうはさせん。02小隊はザンジバル級を沈めろ! 01で敵MS(モビルスーツ)を抑える!」

 

『『『『『『了解! ザッザザザ』』』』』』

 

 そしてクラークのガンダムAVが射程距離ぎりぎりで、ビームライフルでの狙撃を試みる。放たれたビームは、吸い込まれる様にF型ザクⅡの胴体を貫いた。光の華が咲く。F型ザクⅡは、パイロットの断末魔の思念を放ち、火球と化した。もう1機のF型ザクⅡは、遮二無二(しゃにむに)突っ込んで来る。

 

 だが無謀だ。次にビームを放ったのは、グレースの機体だ。ビームライフルから光条が閃き、2機目のF型ザクⅡもまた爆散する。俺は思念で命じた。

 

(よし! 01小隊もザンジバル級に向かうぞ!)

 

(((了解!)))

 

 まあ、だがその必要も無かった。ザンジバル級は02小隊の猛攻を受け、そこかしこから煙を吐き出している。そして俺たちが配置に就く一歩手前で、ザンジバル級はひと際大きな火球に変じた。多数の断末魔が聞こえる。生き残りの気配は無い。

 

 俺は01小隊と02小隊に帰艦命令を下す。

 

「よし、全員無事だな!? トロイホースへ帰艦し、本来の任務に戻るぞ!」

 

『『『『『『ザザッ了解!!』』』』』』

 

 トロイホースが俺たちを迎えに来る。俺たちは順次そのMS(モビルスーツ)デッキへと着艦して行った。

 

 

 

 多数、いや無数のジオン軍HLVが浮かぶ地球上空軌道。03小隊副隊長のアマダ少尉が、何やらオープン回線でがなっている。何をやっているんだ。

 

『ザザッ……めてくれぇっ! 彼らは戦えない! あれは地上仕様のJ型、ザザッ宙空間じゃ戦えないんだ!』

 

『だったら投降信号を出せばいいザザッけだろう! ザザ降伏しない以上、叩かねばアレは後々にF型になって、味方を殺すんだ! ザッザザそれに……。それに俺の目の前で、毒ガスでアイランド・イフィッシュのコロニー住人を、全員虐殺した貴様らがそれを言うのか!?』

 

『だ、だがっ! ザザッ』

 

 大型の輸送船を改造したらしき艦……小破して煙を吹きつつ、投降信号を発信しているそれの乗員とでも、オープン回線で話しているらしい。俺は1Bガンダムで突入しつつ、アマダ少尉を叱責する。

 

「アマダ少尉! 降伏させたとは言え、敵と必要以上に話すな! 軍法違反だぞ!」

 

『も、申しわザザッありません!』

 

「トールボット中尉! 貴官も貴官だ! 何故制止()めない!」

 

『申し訳ありザザッん! 奴が、シロー少尉の急所を突く台詞を吐いたもので、つい……。ザザザッ!』

 

「事情はあとで聞く! だが2名とも、修正を覚悟しておけ!」

 

『『はっ!!』』

 

 くそ、たぶん奴め、『こんなの虐殺じゃないか』とか言いやがったんだろう。サイド2の虐殺現場に居たアマダ少尉には、急所だわな。と言うか、それは俺たち01小隊の面々にも急所なんだが。

 

 そして俺は攻撃隊のジムにも通信を送る。

 

「ジム0702-11!! 何をやっている!!」

 

『お、オダ大尉ザザッこいつらは敵ですよ?』

 

「敵なら何やってもいいと言う事にはならん! サイド1、2、4、5を虐殺しておきながら、スペースノイドの代表者面をしている、そいつらの同類になるつもりか!? さっさと楽にしてやらんか!」

 

 うん、こいつ敵のJ型ザクⅡをビームサーベルでちょこちょこと嬲ってやがったんだ。憎悪の気持ちがその攻撃に乗っていたのがニュータイプ能力の感覚で感じられたから、ジオン軍に相当大きな怨みを持ってるんだろう。

 

 だがそう言う事をやれば、心が腐って行くだけだ。怨みを晴らしたければ、素直に大量の敵機を落とす方に向けろと言うんだ。

 

 そして俺はビームガンでJ型ザクⅡを一撃で撃墜する。

 

「それにお前たちの任務は、1機でも、1人でも多くのオデッサからの脱出ジオン兵を逃がさない事だ。貴重な限りあるビームサーベル、ビームスプレーガンのコンデンサ容量を、そんな遊びに費やしている場合か! 怨みを晴らしたいならば、HLVを1隻でも()とせ!」

 

『りょ、了解ザザッました!』

 

 そして俺は、機位を上昇させる。こちらに突入して来る敵の『(プレッシャー)』を感じたんだ。このHLVを救出に来た敵のパトロール艦隊か何かだろう。ムサイ級軽巡洋艦4隻と、MS(モビルスーツ)16機が『()え』る。

 

「S.T.S.C.第3中隊全機に告ぐ! 敵の救援と思しき小艦隊が接近中! 我々はそれを殲滅し、攻撃部隊を護るぞ!」

 

『『『『『『了解!』』』』』』

 

「攻撃部隊! 貴官らは引き続き、オデッサからの脱出ジオン兵を撃滅する事に専念しろ! 今は奴らに戦う力は無い! だが奴らを1人逃せば、将来1人の味方が死ぬと思え! 陸戦型のザクⅡを1機逃せばそれは宇宙対応型に改装され、将来1機のジムを撃墜()とすんだ!

 手加減無用! ただし降伏した敵は撃ってはならん! 俺たちはサイド1、2、4、5を虐殺し、地球にコロニーを落として民間人まで無差別に虐殺したような、どこかの誰かさんたちとは違うと言う事を、肝に銘じておけ! だが改めて言う、手加減は無用だ!」

 

『『『『『『了解ザザッ!!』』』』』』

 

 そして俺たちS.T.S.C.第3中隊は、トロイホースやネルソン、カラカスも含め、俺が思念で伝えた敵影に向かって()ぶ。うん、最後まで残ってた04小隊のリンドグレーン少尉、ハンブリング少尉も、先日に俺の『能力(チカラ)』で能力強化と最低限のニュータイプ能力付与をしてあるんだ。流石に敵を『()る』のは難しくても、あえて伝えようと強力に放った思念を受け取るぐらいは簡単だ。

 

 優秀な光学観測設備を備えたトロイホースから、報告が来る。

 

『大尉! ザザッ敵影を光学観測で視認! ムサイ艦4隻に、MS(モビルスーツ)がザクⅡ12機と……4機の新型! 地上で確認された、ザザザMS-09ドムに酷似してザザザッ!』

 

「新型4機には、01であたる! 02、03、04はザクⅡを叩いた後、対艦戦闘に移れ! トロイホース、ネルソン、カラカスは敵ムサイ級を砲戦で叩くんだ!」

 

 俺たち01小隊は、敵の最前衛になって突っ込んで来る宇宙用のドムと思しき4機に向かい、スラスターを開けて突入する。敵がオープン回線で怒鳴った。こいつ、敵への通信は軍法違反なんだぞ、と思ったらこいつはアレだった。あの、サイド7で遭遇した奴。

 

『ザザッおのれ、戦う力が無い者たちに対するその所業……。連邦の悪鬼羅刹ども……。断じて許しがたしザザザ。このアナベル・ガトー、義によって助太刀いたす! 成敗!』

 

(隊長、奴は俺にやらせてくれませんか)

 

(クラーク、いいだろ。行け)

 

(了解!)

 

 俺たちは、敵が散開したのに合わせて散開する。クラークが、あのガトーとか言う敵の宇宙用ドムに突っ込み、俺を含めた3人はそれを邪魔させない様に、他の3機の宇宙用ドムをけん制する。まあ、けん制だけじゃなく、隙があれば撃墜()とすんだけどな。

 

 俺はグレース機に躍りかかった宇宙用ドムを背後からビームライフルで狙撃、一撃で爆光に変えてやる。グレースのガンダムAVも、ビームライフルで俺の機体に襲いかかった宇宙用ドムを撃墜し、火球に変じさせた。

 

 そして俺たちはエミリア中尉機と編隊を組みなおして、彼女とあたっていた残り1機を撃破する。

 

(クラーク、手助けはいらんな?)

 

(はい。それより他の連中をサポートしてやってくださいな)

 

(わかった、任せるぞ)

 

 俺たち3人は、ガトーとか言うのをクラークに任せて他のザクⅡに向かう。だがそちらも必要は無かった様な物だ。02、03、04は既に超のつく一流だ。いや、俺が『能力(チカラ)』使ってやった事もあるが、それだけじゃなく訓練とか鍛錬とか、弛まずやってたからな。強引に上げてやった能力を、完全に使いこなしている。

 

 敵のMS(モビルスーツ)部隊はあっという間に殲滅される。ガトーとやらが悲痛な声で叫んだ。

 

『お、おのれ! 連邦の悪鬼どもザザッ! この厚顔無恥の輩どもめ、英霊となった我が友たちの想いに応え、おのれらを討つザザザ!』

 

(黙れよ、手前(てめえ)。厚顔無恥なのは手前(てめえ)らだ)

 

『な、なにっ!? なんだ!? 何が見えている!?』

 

 クラークの押し殺した怒りの思念が、周囲に響き渡った。これだけの密度の思念なら、ニュータイプ能力の無いだろうガトーにも聞こえるはずだ。そしてクラーク機の背後に、無数の、無数の怨霊が浮かび上がる。男、女、大人、老人、子供、赤子、様々な、様々な怨霊だ。

 

 その怨霊は、俺たちの後ろにも()いている。ジオン軍に虐殺された宇宙市民(スペースノイド)たちの無念だ。それが今俺たち、特にクラークの押し殺した激怒を触媒に形を現したのだ。……こいつの言い様には俺たちも怒っているが、特にクラークの怒りは激しかった。

 

(サイド1、2、4、5を皆殺しにしやがって……。そのくせして、宇宙市民(スペースノイド)の解放だと? 宇宙市民(スペースノイド)の代表者面も、いい加減にしやがれ。貴様は義だ英霊だなんだと言うがな。だったら俺たちは、40億の(しかばね)の上に立っている。40億の怨みの念が俺たちを通して、手前(てめえ)を討つ。

 ……殺してやるぞ。無様に)

 

『か、身体が動かん!? 何だこれは!?』

 

 次の瞬間、クラーク機のビームサーベルが宇宙用ドムのコクピットを刺し貫く。断末魔の声が響いた。最後の瞬間、『む、無念!』とか言っていた気がするが、その無念も無数の怨念に押し流されて行く。

 

(……落ち着いたか、クラーク)

 

(大丈夫……。大丈夫です、中隊長)

 

(じゃあ、残る敵を平らげるぞ。そいつはただの小物だ。だが同時に、ジオンの連中を代表する様な奴でもあるがな。……ジオンを潰すぞ、クラーク、エミリア中尉、グレース)

 

(((……応!!)))

 

 俺たちは02、03、04小隊の連中を追って、ムサイ級3隻に襲いかかった。

 

 

 

 結局のところ、その後も次々と現れた救援の小艦隊を各個撃破し、その場での俺たちの任務は終わった。オデッサからの脱出ジオン兵どもは、それを見て心折れたか、投降信号を発信する。けれどその時点では、もはや残りは2割を切っていたが。

 

 クラークが倒した宇宙用ドムの機体も回収された。これを分析すれば、敵の新型の性能がわかるだろう。俺たちはルナ2への帰途につく。帰ったら大きな作戦の準備が待っているんだ。いよいよ大詰めも近づいている。……気を引き締めないとな。




さようなら、マ・クベ。彼に与えられるはずだったギャンは、何処に行くんでしょうね。

第603技術試験隊、捕虜になりました。ジャン・リュック・デュバル少佐は戦死、モニク・キャディラック特務大尉とヒデト・ワシヤ中尉は機体を撃破されて重傷を負って捕虜に。試験支援艦ヨーツンヘイムは降伏、オリヴァー・マイ技術中尉も同時に捕虜になってますね。
でも彼は通信でシロー・アマダに『こんなの虐殺じゃないか!』って言ってしまいました。で、シローが切れました。
これが主人公たちが現場に到着する寸前の出来事ですね。

そしてとうとう三度目の正直で、ガトーもさようならです。40億の怨念には、彼の信念も無意味でした。
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