信長の野望・宇宙世紀乱世伝withパワーアップキット 作:雑草弁士
敵宇宙要塞ソロモンの攻略作戦に先立って、敵新型
武装の類は、地上におけるドムと同様に、360mmジャイアント・バズ、ヒートサーベル、左腹部にある目くらまし用の拡散ビームが基本。その他にマシンガンなども、使う事は可能らしい。
宇宙空間での機動力は、さすがに通常のF型ザクⅡよりは上で、機体容量が大きい分だけ推進剤なども大量に積む事ができるから、行動時間も長く継戦能力も高い。ただし機動性やアビオニクスでは、R-1A型やR-2型の高機動ザクⅡには及ばない様だ。
これならば充分に、連邦軍のジムで立ち向かう事ができる。装甲はかなり厚いが、それでもジムのビームスプレーガンで撃破する事ができるのは、地球での対ドム戦で証明されている。ことに地上ではドムのホバーによる高機動力に悩まされていた様だが、宇宙でのスラスター推力では逆にジムの方がパワーウェイトレシオで勝っている。
……ただ問題はなあ。パイロットの技量なんだよな。宇宙戦闘でのノウハウはS.T.S.C.が、ことに俺たち第3中隊がたくさん、たくさんデータに残している。ジムの数も、十二分に揃っている。まあ、ルナ2
地上ではレビル将軍が主将となって、今アフリカの敵拠点を攻めている。更には海軍のバッフェ中将が主将となって、ハワイを攻略中だ。だがそれらに用いられているのは、地球軍総戦力の3割程度だったりする。
そして3割を各地とジャブロー本部の抑えに回し、最後に残った4割だがこれを宇宙に打ち上げてソロモン攻略戦に注ぎ込むらしいんだ。その件は、ルナ2のトップ会議で聞かされた。……
とうとう俺もそこまでになったか。階級、大尉だしな。トップが中佐で、お偉いさんが少佐だもんな。他にも大尉の身分で色々呼ばれてるやつ、居たもんな。……守秘義務宣誓した上で、色々聞かされたんだよな。
そこで上げられた問題が、地上の地球軍
宇宙の奴らだと以前のルナ2攻防戦の頃は、R-1A型やR-2型のザクⅡにこそ敵わないし、S型相手では厳しかったけどさ。それでも通常のF型ザクⅡ相手には圧倒できるだけの技量を、皆が持っていた。
更に近頃再開された通商破壊戦の現場では、S型相手に楽勝とは言わないが余裕を持って優位を維持できる様になってるし。それから類推して、R-1A型やR-2型でも乗り手がスーパーエースでもなければ、勝てるだろうって腕になってる。それが今のルナ2での平均なんだ。
なのに地上の
地上の連中も、戦訓とか積み重ねて行く上で、徐々に勝率も上がって行ってるらしいしな。それに総合的な面を見れば、個々の戦闘では一進一退であっても、作戦全体では目標を達成し、戦略的に見れば勝利しているんだ。
だけどまあ……。地球から宇宙へ戦力を打ち上げたとしてだ。数の面から言って、その戦力が主力になるのは間違い無いんだ。けど、ただでさえ地球から宇宙に上がって来たばっかりの奴らは、空間戦闘には慣れていない。ただでさえ弱いのが、ますます弱くなるんだ。
そこにリックドムとか新型がぶつかれば、どうなる? ……何か朗報は無いのか。
そして朗報が来た。
「アムロ君、いえ、アムロ・レイ二等准尉のですか?」
「うむ。その通りだ。無論、貴官らのガンダム1号機、2号機、ガンダムAV各機の教育型コンピューターから取り出されたデータも、ジムの性能向上に寄与はしているがな。地上戦のデータは、まったく無い。それに貴官らのガンダムは、ジムに比してあちこち改良され過ぎていて、データのコンバートが難しいらしいな。
そこで、基本にもっとも近いレイ二等准尉のG-3ガンダムだ。彼のガンダムから取り出された、教育型コンピューターのデータをコンバートしてチップに焼き、一般のRGM-79に移殖するとの事らしい」
「なるほど、それならば……」
「ルナ2のジム全部にデータ移殖するのに、技術者が足りん。貴官やその部下であるクラーク・キャラハン曹長にも手伝ってもらうぞ」
ワッケイン司令の話によれば、それでジムの性能は1.1倍から1.2倍になるらしい。厳密には、操縦がし易くなって練度の低いパイロットでも戦果が見込める様になる、との事だ。それにしても、アムロ君いつの間にか二等准尉まで昇進してたんだな。なんかペガサスJr.隊がオデッサ作戦で、ジオン軍の後方をかく乱した際の手柄らしいけれど。
でも、そうか。アムロ君のガンダムなら、教育型コンピューターには素人の少年が歴戦の勇士になるまでの成長過程のデータが、余さず入ってるわけだからな。G-3ガンダムは、素人パイロットをどの様に補助すればいいか、知っているわけだ。
宇宙での空間戦闘の経験はアムロ君もG-3ガンダムも少ないだろうから、その辺は俺やエミリアのガンダム、その他の面々のガンダムAVから抽出したデータで補ってやれば、更に完璧だな。
ルナ2のジムが、若干強くなった。あくまで若干だ。アムロ君のデータ移殖は、弱いパイロットを補助するための機能なので、成長して練度が高くなった優秀なパイロットには意味が薄いのだ。意味が無いとまでは言わないが。そしてルナ2のパイロットは、皆優秀なのだ。
だが地上のジムもこれで幾分強くなったのなら、非常に心強い。こちらからも空間戦闘に関するデータを提出した甲斐があったと言う物だ。そう言えば、アムロ君はガンダムの教育型コンピューターを育成し、このデータを作成した手柄で、一等准尉に昇進が予定されているらしい。あと、そこはかとなくレイ技術大尉も技術少佐に昇進が内定しているとの事。
宇宙世紀0079、10月4日。この日、ジャブローから打ち上げられた新造の艦隊の第1陣が、ルナ2基地に到着した。なお、この後更に続々と到着する予定である。そしてこの艦隊の旗艦であるマゼラン級戦艦タイタンは、ジオン公国宇宙要塞ソロモン攻略作戦『チェンバロ作戦』の総指揮官である、マクファティ・ティアンム中将の座乗艦であった。
いつの間にかここ1週間ちょっとで、俺もルナ2トップ会議の常連にされてしまっている。おかげで、色々普通なら
黙ってればよかったとは、思わなくも無い。だけど黙ってたら、ルナ2の兵員たちが死ぬかも知れないだろ。それは看過できない。いや、不備があっても敵がその不備に気付かないとか、その不備を突かないとか、あったかも知れない。だけど死んだかもしれないんだ。
その俺の意見を受け入れた、ワッケイン司令の度量も凄いけどな。ふつう煙たがるもんだろうに。でもっていつの間にか、俺の評価は知勇兼備の常勝部隊長ってなってた。知は連邦軍の
ティアンム提督とその幕僚に会った。
「貴官がワイアット中将の言っていた、オダ大尉か。いい面構えをしているな」
「はっ! ありがとうございます!」
「うむ。本来であれば、貴官を少佐に昇進させ、S.T.S.C.の各中隊を貴官の下に就けて大隊を編制したかったのだがな。その工作が作戦までに間に合わなかった。もう少し待ってくれるか?」
……裏でそんな話があったのか。いや、確かに有効だとは思うが。
「はっ! いえ、お気になさらないでください」
「まあなんとか作戦開始までに、ワッケイン中佐を大佐に昇進させる事は間に合いそうだ。大佐の階級があれば、第3艦隊を任せるのに文句を言う者も少なくなるだろう」
ワッケイン司令、大佐になって艦隊を率いるのか。その第3艦隊とやらは、俺たちを含めたルナ2艦隊がメインなんだろうな。何にせよ、めでたい事だ。というか、ありがたい事だ。
それから数日経過した、10月10日。10月9日にルナ2を出航したグリーン・ワイアット提督の第1連合艦隊に続き、俺たちを含むルナ2艦隊が中心となって編制された第3連合艦隊が出撃した。艦隊司令はヴォルフガング・ワッケイン大佐。ルナ2司令でもある、俺たちルナ2組のトップだ。
実際のところ第1艦隊は、明日出発する第2艦隊と、俺たちの第3艦隊が無事に敵宇宙要塞ソロモンに到着できる様にするための、露払いと敵のかく乱役だ。彼らは航路にダミーとミノフスキー粒子をばら撒き、第2と第3の艦隊が発見されにくくする事になっている。
第3艦隊は第3艦隊で、本当の主力である第2艦隊から敵の目を逸らすための、囮役でもある。ぶっちゃけた話、一番危険な立ち位置だ。第2艦隊の作戦準備……どんな作戦なのかは俺も教えてもらってないんだが、それが完了するまで敵と正面から渡り合わねばならない。
ちなみに、俺たちの第3艦隊にはアムロ君たちペガサスJr.隊も加わっている。地球からティアンム提督、ワイアット提督らと共に上がって来たペガサスJr.隊は、そのまま第3艦隊に組み込まれたんだ。
ペガサスJr.には、あれからRGM-79ジムが3機と、戦闘機ではあるがコア・ブースターが2機追加配備されている。G-3ガンダム×1、ガンキャノン×2、ジム×3、コアブースター×2で、堂々たる布陣だな。頼りになりそうだ。
俺たちの艦隊は静々と、粛々と宇宙空間を進む。ジオン軍の哨戒部隊に発見されない様に、今頃はルナ2へ帰還途中であろう第1艦隊が散布したミノフスキー粒子エリアに、追加でミノフスキー粒子をばら撒きつつ、俺たちは航宙を続けた。
そして10月28日。第3艦隊はサイド4の残骸が満ち満ちている暗礁宙域に潜み、第2艦隊からのGOサインを待っていた。ここからはジオン軍宇宙要塞ソロモンは、目と鼻の先だ。……そして、あの始まりの地でもある、サイド1宙域もまた。第2艦隊は、そのサイド1宙域に隠れている。
「……サイド1宙域は、あの向こうの方、か」
「そうですね……。この戦争が終わったら、慰霊にでも行きたいです」
「確かにな……。中隊長、上に進言したら通りますかね?」
「わからんが、やってみよう。サイド1、2、4、5は、きちんと慰霊するべきだと俺も思う。死んだ者のためにだけじゃない。生き残っている者のためにも」
「そうね……。家族も、親類も、友達も、皆が死んだ……。殺された……」
グレースも、クラークも、エミリア中尉も皆、悲し気だ。エミリア中尉はサイド2出身だが、サイド2はあちらはあちらで虐殺の憂き目に遭っている。
「……まず、今はジオンを叩き潰さなければならん。全ては……それからだ」
「……はい」
「了解ですわ、中隊長」
「ええ、了解よ」
彼ら俺の直卒小隊である、S.T.S.C.第3中隊01小隊の面々は、理解している。記録が残らない様に思念での会話ではあるが、何度も相談しているのだ。ジオンを叩いたら、次はジオンが暴走した原因である地球連邦の腐敗を、何とかせねばならない。
地球連邦が腐敗しているからと言って、ジオン公国がやった事が許されるわけでは絶対に無いし、なおさら赦される事ではけっして無い。ジオン公国とその政体は、絶対に赦してはならないのだ。
だが、ジオン公国に……。ザビ家の腐れ外道どもに口実を与え、奴らがここまで増長し暴走する土台を作ったのは、地球連邦政府の腐敗が原因である。ジオン公国を赦してもならないが、地球連邦政府もまたこのままではいけないのだ。
ジオン公国を倒しても、俺たちの戦いは終わりはしないのである。
翌10月29日、18:00時。主力第2艦隊のティアンム提督から、GOサインが出る。通信コードは『チェンバロを鳴らせ』だ。『チェンバロ作戦』開始である。第3艦隊は、進軍を始めた。
ソロモン攻略作戦、『チェンバロ作戦』発動です。ちなみに第1艦隊、第2艦隊、第3艦隊なのですが、資料によって色々解釈が違うんですよね。本作では、第1、第2、第3の連合艦隊があって、第1は露払いやミノ粉撒いた後は予備兵力としてルナ2に帰って、第3が囮になって正面攻撃、第2が主力でソーラーシステム展開、という流れです。
ですが資料によっては、第1と第2が連合艦隊で、ワッケイン司令率いる第3艦隊は第2連合艦隊を構成する2、3、5、9、11、13の艦隊のうちの第3艦隊だ、と言う物で。ワッケイン司令の階級的な物からすれば、こちらの解釈の方が正しそうな気もしますが、そうなると今度はワッケイン司令が1個艦隊で囮任務をやらされた事に……。
今回は、ちょっとワッケイン司令の階級的な問題には眼を瞑って、前者の解釈でやらせてもらいました。
そしてこっそりそこはかとなく、ガンダムのデータでジムがパワーアップ。こっそり。ちょっとだけ。