信長の野望・宇宙世紀乱世伝withパワーアップキット   作:雑草弁士

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第021話:ソロモンはコンペイ島に

 俺のガンダム1Bが持つビームライフルが放った光条が、1機のリックドムを撃墜する。エミリア中尉のガンダム2Bも負けずにビームを放ち、別のリックドムを火球に変えた。クラーク機は敵のエースらしき専用カラーのR-1AザクⅡとドッグファイトをしている。あ、深い紫色をしたR-1Aザクが爆散した。クラークが編隊の定位置に戻って来る。

 

 そしてグレースのガンダムAVだが、これも赤とピンクで塗装されたリックドムとドッグファイトをしている。むむ? あれは赤い彗星か? なんかグレースは赤い彗星と腐れ縁があるな。グレースが圧倒はしているが、しかし調子が出ないのか、攻めきれてない。……手伝うか。

 

 俺は赤とピンクのリックドムを狙い、狙撃する。カッ! と閃光が閃き、リックドムの右腕とバズーカが爆発した。いや、奴め。ぎりぎりで右腕と武装を犠牲にして、胴体を護りやがった。奴はスラスターを全開にして、逃げて行く。

 

 いや、奴は……。こちらの攻撃を『()て』いたのか? となると、そうか。気配を消して、思念を漏らさない様にして射撃する技術を会得しなければならんな。そうしないと、射撃を読まれる。

 

 

 

 ……奴も、ある程度とは言え、ニュータイプ能力に目覚めていやがるんだ。

 

 

 

 だから奴め、グレースとまがりなりにもドッグファイトができたわけだな。今後、敵にニュータイプ能力を持つ者が出る事も考え無いといけない。『チェンバロ作戦』が終了したら、今いる部下たちの能力を、俺の『能力(チカラ)』で調整しよう。

 

 全員が最低限、気配や思念を漏らさずに射撃できる様にしなければ……。あと01小隊の連中は、その手の能力を上昇させられるだけ上げておこう。……そう考えていると、グレースが思念で話し掛けて来た。

 

(中隊長、助かりました)

 

(いや、もしかしたらグレースが奴を撃墜()とす邪魔をしちまったんじゃないかと思ったが……)

 

(いえ、あいつの思念が何かしらこちらを探ろうとしてきて。それがあまりに無思慮で無遠慮だったもので、集中が妨げられて……)

 

(……次に奴が出たら、俺かクラークに任せろ。次は確実に撃墜()とす)

 

(お願いします……)

 

 俺は部下を護らねばならん。増してやグレースはまだ14歳だ。彼女に戦う覚悟が出来ていても、敵に無遠慮に無思慮に観察させてやるつもりは無い。エミリア中尉も駄目だな。戦わせておいてこんな事を言うのはナニだが、女の子を護るのは男の仕事だ。

 

 

 

 俺たちS.T.S.C.第3中隊は、各小隊ごとに分かれて散り、周辺宙域で味方がピンチになっている所へ急行する火消し役を務めていた。俺たち01小隊は、今しがたチベ級重巡洋艦に率いられた、俺たちと同じく戦場の火消し役を務めていたらしい小艦隊を撃滅したところだ。

 

 奴らは旗艦のチベ級の他、2隻のムサイ級軽巡洋艦、12機のMS-09Rリックドムを擁していた。まあこっちには俺、エミリア中尉、クラーク、グレースの4人が揃っているんだ。まず最初の10秒で俺のガンダム1Bとエミリア中尉のガンダム2Bがムサイ級2隻を撃沈。同時にクラークとグレースが1機ずつリックドムを爆散させた。

 

 そしてほぼ10秒前後で4機ずつリックドムを撃墜()として行き、37秒目にクラークとグレースがリックドムを1機ずつ撃墜()とし、俺とエミリア中尉がチベ級を共同撃沈したところで、その場は終わった。リックドムどもに撃墜寸前まで追い詰められていたジムたちは、損傷大ではあったが何とか近場のアンティータム級補助空母へと戻って行く。

 

 代替機があるか、あるいは機体の大手術をするだけのパーツが艦にあれば、まだ彼らも戦えるんだろうが……。おそらくは彼らのこの場での戦いは、終わりだろうな。彼らを収容したアンティータム級補助空母は、この宙域から後退して行く。

 

 そして俺たちのニュータイプ能力の感覚に、また味方の悲鳴が聞こえた。まだ機体の推進剤やビームライフル、ビームサーベルのコンデンサーは充分残っている。

 

(助けに行くぞ!)

 

(((了解!!)))

 

 俺たちは悲鳴の聞こえて来た方角に向かい、スラスター全開で()んだ。

 

 

 

 補給と簡単な整備を行うために、俺たちが母艦であるトロイホースに戻ったときの事だ。ちなみにトロイホース、ネルソン、カラカスの3隻は02、03、04小隊のうち、入れ代わり立ち代わりで必ず1個小隊が直掩に就き、しっかり護っていた。

 

 トロイホースでほぼ補給が完了し、休憩中だった俺たちが機体に戻ろうとした時の事だった。

 

(隊長! ソロモンが!!)

 

(こ、これは……)

 

(光、光が!?)

 

(ああ、そろそろだったな)

 

(((隊長は知ってたんですか!?)))

 

(済まん。高いレベルの軍機で、お前らにも説明するわけに行かなかったんだ)

 

 宇宙に浮かぶジオン公国軍宇宙要塞ソロモン。トロイホースの展開したMS(モビルスーツ)ハッチからソレに目を向けると、そこには光の玉が煌々と輝いていた。あれは数百万枚の巨大な鏡を宇宙に浮かべ、それをもって太陽光を反射、1点に集めて対象物を焼き尽くすと言う連邦軍の秘密兵器だ。その名をソーラ・システム。

 

(ソロモンが……)

 

(凄い……。大勢の敵の断末魔が聞こえる……)

 

(さて……。S.T.S.C.第3中隊およびトロイホース、ネルソン、カラカスに告げる!)

 

((((((!!))))))

 

 俺は強い思念を四方に発した。S.T.S.C.第3中隊の面々と専属整備小隊員、それにトロイホース、ネルソン、カラカスの乗員は皆が皆、俺により最低限でもニュータイプ能力を覚醒させられている。故に、ある程度の強さであれば俺の思念による命令を受け取れるのだ。

 

(これより我々は、敵宇宙要塞ソロモンへ突入する! ただし作戦開始当初、敵のビーム砲台を封じるために味方パブリク突撃艇により、ビームかく乱幕が展開されている! MS(モビルスーツ)は標準の武装の他、ハイパーバズーカ、100mmマシンガンを携行する様に!)

 

((((((了解!))))))

 

(各MS(モビルスーツ)はいったん着艦し、装備を整えたなら再度発艦せよ! その後隊列を整え、ソロモンへ突入する!)

 

((((((了解!!))))))

 

 俺たちは自分の機体に戻る。機体にMS(モビルスーツ)デッキを歩かせ、壁に掛けられているハイパーバズーカ、100mmマシンガンを取らせると、それを機体各部にあるラッチに取り付ける。そして俺たちはMS(モビルスーツ)をカタパルトに載せると、クラーク、グレース、エミリア中尉、最後に俺の順序で発艦した。

 

 いや、前にも言ったかも知れんが、俺は中隊長だからやられる危険を減らすため、最後に出ないといけないんだよね。規則なんだよ。

 

 

 

 二度目のソーラ・システム照射が行われたのは、俺たちS.T.S.C.第3中隊が要塞に取りついてしばらく経過した頃だった。狙いはソロモンではない。それはそうだ、ソロモンには俺たちを始め、多数の連邦軍が取りついて戦闘を行っているのだ。

 

 ソーラ・システムの二射目が狙ったのは、ソロモンから離脱する宇宙攻撃軍残存艦隊である。このとき俺たちは知る由も無かったのだが、宇宙攻撃軍総司令官ガルマ・ザビ少将はこの時点で苦渋の決断として、宇宙要塞ソロモンの放棄と、残存艦隊の宇宙要塞ア・バオア・クーへの撤退を命じていたのだ。

 

 そして自身は自らMS(モビルスーツ)に乗り込み、撤退支援として志願した決死隊と共に、ソロモンへと突入しつつある連邦軍本隊たる第2艦隊への突撃を敢行しようとしていたのだ。しかしながら、それは果たせずに終わる。

 

 何故なら故ドズル・ザビの参謀であり、ガルマの参謀でもあったラコック大佐がこっそり後ろからガルマを消火器で殴り、気絶させたのである。彼は小型のソドン巡航艇でガルマをわざと大回りする航路で脱出させると、宇宙攻撃軍の残存艦艇を通常の航路でア・バオア・クー方面へと離脱させる。

 

 そして自身は1隻の最新艦、ティベ級重巡洋艦を用いて決死隊のMS(モビルスーツ)部隊を率い、連邦軍の第2艦隊へと突撃したのである。全ては故ドズルの愛した弟である、ガルマを死なせないための決死の行動であった。彼は死するときまで、ガルマの部下と言うよりは故ドズルの忠臣であったのだ。

 

 そしてソーラ・システムの第二射が、宇宙要塞ソロモンから離脱したジオン軍宇宙攻撃軍残存艦隊を焼いた。いともあっさり消滅する残存艦隊。その瞬間、連邦軍の第2艦隊に敵の決死隊が殴り込んだのである。

 

 幸いと言おうか、不幸と言おうか。第2艦隊は既にソロモンの近傍までやって来ていた。不幸だったのは、それ故に敵の決死隊が楽に第2艦隊に突入できた事。幸運だったのは、それ故に俺たちや他のS.T.S.C.第1、2、4中隊、更にはペガサスJr.隊など、宇宙要塞ソロモンに取りついていたMS(モビルスーツ)隊が急ぎ救援に駆け付けられた事だろう。

 

 決死隊の数は多かった。彼らはジオンの宇宙攻撃軍残存艦艇よりも、何よりも故ドズルの弟を逃がすために決死隊となっていたのだ。だからこそラコック大佐がガルマを殴って気絶させたときに、黙って彼に従ったのである。

 

 これらは後から、捕虜になった決死隊MS(モビルスーツ)パイロットへの尋問で、明らかになった事である。うん、漢気に溢れた行動だとは思うよ? だけど俺たちは、少なくとも01小隊の面々は、たいしてまったく感銘は受けなかったね。

 

 ……その漢気を何故あの時、サイド1、2、4、5の住人には分けてやれなかったのか。あの虐殺を()しとしているだけで、どんなカッコいい行動も空虚に思えてしまうのだ。俺たちにとってはな。

 

 それによ? そいつ(ラコック)はガルマ・ザビ1人の命を救うためだけに、宇宙攻撃軍残存艦隊全員の命を捨て駒に、囮に使いやがったんだぞ? ……結局、ジオン公国宇宙攻撃軍は、ドズル・ザビが死んだ時点で死んでいたのかもな。

 

 まあその時点の俺たちは、そう言う事を知る由も無く、それこそ決死でティアンム提督の座乗艦マゼラン級タイタンを狙う決死隊を、次々に撃墜()とすのに必死になっていたんだがな。

 

 その結果、タイタンは中破したもののかろうじて護られた。敵決死隊の数が多過ぎて、撃墜()としても撃墜()としても俺たちの護りをすり抜けてタイタンとその周辺艦艇に襲いかかるんだ。おかげでサラミス級が4隻、タイタンを庇って撃沈されてしまう。

 

 火と煙を噴きながらタイタンに体当たりしようと突進する、ラコック大佐の新型艦ティベ級。それをアムロ君のG-3ガンダムが体当たり直前で沈めた。俺たちも白いR-1A型ザクⅡに率いられた精鋭らしき集団を叩き潰す。白いR-1A……白狼は死を覚悟した気迫が感じられたんだがな。悪運強く機体は大破した物の爆散は免れ、生き残って捕虜になった。

 

 そして『チェンバロ作戦』は完遂された。ティアンム提督は中破したマゼラン級タイタンからマゼラン級フェーベに旗艦を移し、そのまま宇宙要塞ソロモンに入港。俺たちS.T.S.C.第3中隊を含むワッケイン司令の第3艦隊は、周辺の残敵掃討にあたる事になる。

 

 もっとも第3艦隊も疲弊度が大きいからな。ソロモン内部を第2艦隊の陸戦隊員が掌握したら、第2艦隊の半数が再度出港して残敵掃討任務を引き継ぎ、第3艦隊はソロモンに入港する事になるんだが。

 

 何にせよ、ジオン公国軍宇宙要塞ソロモンは陥落()ちた。損傷の軽微な艦は修理し、損傷甚大な艦は後方に戻して、予備兵力である第1艦隊の無傷な艦と差し替えになる。補給が済んだら、次の目標は敵の宇宙要塞ア・バオア・クーか、それとも月面グラナダか。

 

 ワッケイン司令クラスだったら聞いてるんだろうけどな。流石にルナ2基地でトップ会議の常連化してるとは言え、大尉クラスじゃ聞かされんわ、そんな重要事項。

 

 

 

 宇宙世紀0079、11月3日。宇宙要塞ソロモンはコンペイ島と改名されて、地球連邦軍の宇宙基地として使用されている。その残存した港湾施設では、損傷艦の修理が急ピッチで行われていた。

 

「やれやれ、結局グラナダとア・バオア・クーどっちを攻めるんだろうなあ。中隊長、聞いてないっすか?」

 

「俺レベルじゃ、聞かされんよ。万が一聞かされても、守秘義務の宣誓があるからな。どっちにせよ聞かせてやれんが。だが今回は、正真正銘何も聞かされてない」

 

「どっちにせよ損傷艦の修理や、第1艦隊の艦との交代が完了するまではソロモン……コンペイ島に足止めよ」

 

「素人考えですけど、あまり時間を置いたら敵に備える時間を与えるだけじゃ?」

 

「それはそうなんだがな。……!?」

 

 俺はその時、書類仕事の合間にできたヒマを、01小隊の面々と駄弁(だべ)る事で潰していた。だがその時、俺の脳裏に稲妻が走る。同様に、まず部下3人中でニュータイプ能力が最も強いグレースが反応し、次にエミリア中尉とクラークがほぼ同時に目を見開いた。

 

(これは!? 中隊長!?)

 

(グレース! エミリア中尉! クラーク! 意識を同調させろ! 俺が『()え』た物に集中するんだ!)

 

(りょ、了解!)

 

(わかりました!)

 

 そして俺は、3つの胴体を無理矢理に束ね、4基のメガ粒子砲砲台をくくり付けた様な宇宙機……MA(モビルアーマー)の姿を幻視する。ジオン公国軍が実用化した兵器のうち、大型でなおかつ人型をしていない物が、だいたいMA(モビルアーマー)(くく)りになっているのだが……。

 

 そしてその操縦席(コックピット)に座している、2人の人間……。その操縦担当ではない方、砲手(ガンナー)に、俺の意識は向いた。この女……ニュータイプ能力を持っている!

 

 そしてMA(モビルアーマー)の4基の砲台のうち、1基が切り離されて有線(ハードワイヤード)で本体から遥か離れた場所へと飛ぶ。その先には、ルナ2基地からコンペイ島基地へ物資を運ぶ、コロンブス級輸送艦が!

 

(皆! 力を貸してくれ!)

 

(((応!!)))

 

 俺は01小隊の全員の思念を束ねて、そのMA(モビルアーマー)火器管制の制御機構に割り込みをかけた。なんとなく、だが『できる』と思ったんだ。

 

 そしてコロンブス級を狙ったビームは、ぎりぎりで目標を逸れる。

 

(!? サイコミュに割り込みをかけられた!?)

 

((((……なるほど、その制御機構、サイコミュ、と言うのか。ニュータイプ能力に反応して、機械的システムをコントロールするのか))))

 

(1人……いえ、4人!? 4人の意志を束ねている!? く、シムス中尉! 敵です! 敵の妨害です! このままではまずい、退避を願います!)

 

 『敵』の気配は、急速に遠ざかって行く。俺たちは意識の同調を解いた。

 

「……やれやれ。今回は上手く妨害できたが……」

 

「あの娘……。シムス中尉、とやらじゃ無い方の……。名前が読み取れたわね」

 

「ああ。確か……。たしか……」

 

「ララァ・スン、とか読めたわ」

 

 どうやらジオン軍は、本格的にニュータイプ能力者を戦線に投入し始めた様だ。今回は4人掛かりで強引にパワーで敵のサイコミュとやらに割り込みを掛けたが……。戦闘中では、流石に意識を同調させる真似なんて、出来ん。

 

 ああ、いや。戦闘中なら素直に敵を撃墜してしまえばいいのか。しかしニュータイプ能力者は、やっぱり『ニュータイプ』そのものでは絶対に無いな。本当のニュータイプだったら、ジオン公国になど味方をするものか。今も宇宙にこびりついている、サイド1、2、4、5の住人たちの怨念の叫びを、無視してジオンになど協力するものかよ。いやそれ以前に、戦争とかしないだろうけどな。




シャア、そこはかとなくニュータイプ能力が発現してます。ですが扱いがひどいですね。ごめんなさいです。

コンスコン機動艦隊、こっそりそこはかとなく37秒で全機全艦撃破されました。

ティアンム提督、生き残りました。ビグザム、無かったですからね。まあ、ビグザムの代わりと言ってはなんですが、ラコックがティベ級で決死隊率いて突撃かけて来ましたけれど。

ガルマ、生き残りました。ただし後頭部を消火器で殴られてます。ラコック……。ガルマはドズルと違うぞ。

ララァ・スンもいよいよ登場。本作でもジオンに拾われてます。けれどその経緯は原作とは違い、シャアは地球に降りて無い上にキシリア配下になって無いので、接点がまだ無いです。この事がどう影響するのか。
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