信長の野望・宇宙世紀乱世伝withパワーアップキット   作:雑草弁士

23 / 23
第022話:星一号作戦

 アムロ君たちが、例の3つの胴体を束ねたMA(モビルアーマー)の撃破に成功したらしい。いや、彼らは部隊規模もちょうど良かったって事で、周辺宙域のパトロールに出ていたらしかったんだよな。

 

 ちなみにそれに先立って、俺は彼らのペガサスJr.に出向いて、アムロ君のG-3ガンダムのマグネット・コーティングにかかっているリミッターを外してやった。戦場で見てる限り、彼にはリミッターは必要ないと思えたからな。

 

 俺はモスク・ハン博士とレイ技術少佐……とうとう昇進したらしいが、その2人を除けば連邦軍でいちばんマグネット・コーティング技術に詳しいと自負している。だからワッケイン司令に上申したら通ったので、リミッター外しに行ってやったんだ。

 

 そしてアムロ君は敵MA(モビルアーマー)を撃破し、脱出した搭乗員2名を捕虜にした。正直ほっとしたよ。

 

 あの三胴型のMA(モビルアーマー)は、最初に俺たちが4人の思念を束ねてサイコミュとか言うシステムに割り込みかけた事で、その後は割り込みをかけられない様になっていたんだ。あのララァ・スンとか言う砲手(ガンナー)以外の思念には反応しないか、しづらい様に改良されてな。

 

 おかげで、他にララァ・スンのMA(モビルアーマー)による襲撃は他2回あったが、その2回は俺たちが思念を束ねて妨害しようとしても果たせなかった。そして残念ながらサラミス級が2隻やられたんだ。

 

 ただしそれでも、敵の集中をなんとか乱す事程度はできたので、サラミス2隻は沈められはしたものの爆沈はせず、乗員が退艦するだけの時間は稼ぐ事はできたけどな。そして今回、ペガサスJr.隊がパトロールの途中に遭遇し、アムロ君が激戦の末に撃破したらしい。

 

 

 

 アムロ君が、トロイホースにお礼に来た。

 

「オダ大尉、先日はG-3ガンダムのマグネット・コーティング、リミッターを外していただいて本当にありがとうございました。おかげで今まで微妙にワンテンポ遅れるかな? って感じだったのが、なんて言うのか……。まるで手足の延長の様に、ガンダムが動いてくれます」

 

「そうか、だがそれはアムロ君が、いやアムロ・レイ一等准尉がパイロットとして、成長したためもある。並のパイロットでは、君のG-3ガンダムでは反応が速すぎて扱うどころでは無いはずだ」

 

「はい、そうなんですね……。少し嬉しいです。でもおかげで、先日は強敵に勝つ事ができましたよ。その強敵と戦ったときの事なんですが……」

 

「……どうか、したのか?」

 

 アムロ君は、少し眉を顰(しか)める。

 

「向こうから、何かしら呼びかけている様な感じがしてたんですが……。よくわからなかったんですよ。間に何か、壁の様な物が感じられて……」

 

「……」

 

 俺はアムロ君に、思念を送ってやった。

 

(こういう、事かな?)

 

「た、大尉!?」

 

(アムロ君、君はニュータイプ能力を持っているな。しかも、かなり強力な……)

 

「にゅ、ニュータ……」

 

(おっと、声に出さない方がいい。こんな能力を持っている事を知られたら、下手すると人体実験の標本(サンプル)扱いだぞ)

 

 そして俺は、アムロ君と思念での会話を続ける。

 

(ニュータイプって言うのは、『本来は』宇宙に進出した人類が宇宙に適応した結果、生まれる新人類を指す言葉らしい。『本当の』ニュータイプは、他者と分かり合い、協調し、新しい時代を創り出せる者達だ。こんな馬鹿げた戦争なんて、しないでいい人種って事だな)

 

(それがニュータイプ……。大尉や僕も?)

 

(いや、残念ながら俺も君も、俺の部下たちも、『本来の』ニュータイプじゃない。ニュータイプとしての、あくまで補助的に発達した『はず』の、ニュータイプ能力だけを持っているオールドタイプ、さ。そうでなきゃ、戦争なんてやってるはずが無い。

 俺たちは、歪(いびつ)に発達した出来損ないか、あるいは良く捉えても『本物』のニュータイプが現れるその前段階なんだろう。できるならば後者であって欲しい。できるならば、俺たちの後の世代に続く者たちが、本物のニュータイプであって欲しいけど、な)

 

 アムロ君は、頭がいっぱいいっぱいの様だ。俺は思念に苦笑の気配を混ぜてやった。

 

(ははは。で、例の敵パイロットなんだがな。敵のMA(モビルアーマー)は、サイコミュって言うシステムが搭載されてたらしい。ニュータイプ能力を持つパイロットの思念を増幅して、それを伝達して機械を制御する物らしいんだが……。

 あの敵が現れたときにな……。俺と部下たちは、思念を束ねてそのサイコミュに割り込みかけたんだ。そして敵の攻撃を阻止した)

 

(そんな事が……。大尉たちは、凄いんですね……)

 

(その気になれば、君にも不可能じゃない。それだけの力を、君からは感じるよ。だが、それでジオンの技術者連中は焦った様だな。サイコミュに割り込まれない様に、ガッチガチにプロテクトを掛けやがったらしい。おかげで俺たちは、それ以後は妨害ができなくなった。

 君と敵パイロットの間にあった『壁』というのは、間違いなくそのプロテクトだろうさ。だが、おかげで君は敵と『分かり合わずに済んだ』と言えるだろうな。良かれ悪しかれ、君は兵士になってしまった。敵は殺さねばならないんだ。……俺たちは、ニュータイプじゃない)

 

(……はい)

 

 アムロ君の思念は、少し悄然としていた。俺は彼の肩に、ぽんと掌(てのひら)を置いてやる。アムロ君の雰囲気が、少し柔らかくなった。

 

 

 

 損傷艦の修理や、予備兵力である第1艦隊の艦との交換が完了した。本来なら俺程度には教えられないはずなんだが、ソーラ・システム用のミラーも多数破損していたので、補充された模様だ。だがソーラ・システムは次の作戦でも使えるのかね? さすがにジオン軍側でも、警戒すると思うんだが。

 

 と思ったら、次回の作戦ではソーラ・システム運用艦隊自体が囮(オトリ)らしい。無論ミラーの展開は行うし、ソーラ・システム運用艦隊を無視する様なら照射を行うつもりなんだが。今回のソーラ・システム運用艦隊である第3艦隊と本隊である第2艦隊とで敵戦力を2分して、大戦力の第2艦隊で敵を揉み潰すらしい。

 

 そしてなんで俺がそんな作戦まで教えられたかって言うと、戦時昇進で少佐扱いになって、S.T.S.C.の第1~第4までの全中隊を一時的に指揮下に置いた事が理由だ。更に言えば、S.T.S.C.指揮官である俺は同時に、ルナ2基地MS(モビルスーツ)部隊に対して命令権を与えられてる。

 

 ぶっちゃけワッケイン司令の第3艦隊は囮(オトリ)艦隊とは言え、簡単に崩れるわけにはいかない。最低限囮(オトリ)の役割を果たすまでは耐え続け、そして役割を果たしたなら秩序を保って下がり、麾下の戦力を可能な限り生き残らせなければならないのだ。そのために必要なのが、S.T.S.C.1個大隊と、ルナ2基地のMS(モビルスーツ)部隊の力なんだよな。

 

 だからこそ、俺には本来教えられないはずの情報を、色々と教えてくれたわけだ。守秘義務の宣誓をした上で。ちなみにそういう面からすれば、俺は細かい作戦についても知っておく必要があるため、ワッケイン司令のお供で上層部の作戦会議にも呼ばれた。ティアンム提督や次席のベーダー提督、その幕僚らがずらっと顔を並べた会議の場に。

 

 ……この時ほど精神力を強化しておいて、良かったと思った事は無い。堂々としてられたからなあ。まあ俺の階級では流石にそんな場で口出しはできないが。見てるだけ、通達を受けるだけだったんだけどな。

 

 そして次の作戦名は、星一号作戦……。ジオン公国軍宇宙要塞ア・バオア・クーの攻略作戦だった。ここを抜く事ができれば、ジオン本国サイド3ムンゾまではあっと言う間だ。そうなれば、この戦争は終わりだろう。

 

 だけど、戦争が終わっても俺の……俺たちの戦いは、まだ終わらない。基本的には、地球連邦を内側から改革できないか試みるつもりだが……。それが無理ならば……。

 

 いや、まだ早い。ジオン公国は、公国軍は未だ健在なのだ。今はジオンを叩く事に集中しなければ……。

 

 

 

 そして地球連邦軍宇宙基地コンペイ島より、艦隊が出撃する。目標はジオン公国軍宇宙要塞ア・バオア・クー。俺たちの乗ったペガサス級強襲揚陸艦トロイホースは、僚艦のネルソンとカラカスに、ボール搭載型サラミス級巡洋艦2隻を引き連れて、宇宙を進軍する。

 

 周辺宙域には、こちらと近い編制の小艦隊が3つ、こちらに追随する形で航行している。S.T.S.C.第1、第2、第4の面々とその母艦群だ。今俺は、戦時昇進して少佐に成っている。そして彼らは現状で部下だ。更に言えば、ルナ2基地MS(モビルスーツ)部隊の面々に対しても、俺は命令権を与えられている。ちょっと規則上は怪しいところもあるが、事実上俺の部下である。

 

 うん、俺は彼らを死なせないために、俺の指揮下に入ってるやつら全員に対して『能力(チカラ)』を使ってやる事にしたんだ。だけど時間が足りない。普通なら能力1.2~1.5倍と最低限のニュータイプ能力付与って基本セットなんだが……。S.T.S.C.第3中隊の、01以外の奴らと同様に。

 

 だけどはっきり言って、人数が多過ぎる。文字通り、山ほどいる。だもんで、手っ取り早い強化として全員にニュータイプ能力を最低限だけプレゼントした。済まないが、これ以上は勘弁してくれ。なんとか十全に指揮して、味方の犠牲が少なくなる様にするから。

 

 俺は暇を見つけては、指揮下に入っている者達の能力をいじり、ニュータイプ能力を植え付けるのを繰り返した。そして何とかかんとか、宇宙要塞ア・バオア・クーに到着する直前までには処置を終える事ができた。

 

 だがその事で、非常に大きな余禄があったりする。というか、それを目論んで全員に『能力(チカラ)』を使ってやったわけなんだが。

 

 俺は『能力(チカラ)』を使った対象の能力的なパラメーターを、模式図的に『視(み)る』事が可能なのだ。

 

 これで俺は部下の能力などを、彼ら自身が自分で気付いていないところまで含め、確(しっか)り細かく把握できている。これは彼らを指揮統率する上で、非常に有効であった。

 

 

 

 そしてついに、ワッケイン司令指揮する俺たちを含めた第3艦隊は、ア・バオア・クーを臨(のぞ)む絶好の位置に到着した。俺たちS.T.S.C.まで全員を含めたルナ2基地MS(モビルスーツ)部隊は、既に周辺宙域に展開を終えている。

 

 無論、ルナ2基地のMS(モビルスーツ)部隊ではない、地球から上がって来てまださほど経っていないやつらも、第3艦隊には配属されている。というか、第3艦隊はルナ2艦隊を基幹として編制されてはいるが、地球から打ち上げられた艦艇も多数参加してるからな。

 

 そちらの艦艇に所属しているMS(モビルスーツ)部隊には俺の指揮権や命令権は及んでいない。良くてそちらの指揮官に要請という名の指示を出せるぐらいだな。まあ何にせよ、そいつら外様(とざま)の部隊もしっかりと配置に就いて、周辺に展開している。

 

 作戦開始時刻になった。第2艦隊からGOサインが出る。ワッケイン司令の指示で、ソーラ・システムのミラーが展開を始めた。ただし一部のミラーの角度が微妙に変更される。ア・バオア・クーに太陽光が反射する様に。こちらの艦隊は囮(オトリ)なのだ。敵に発見されなければ、意味は無い。

 

「……敵に動きが出たぞ! 全MS(モビルスーツ)隊、迎撃準備!」

 

『『『『『『ザッザザッ了解!!』』』』』』

 

 ジオン軍は半数弱の艦艇を第3艦隊に向けて来た。その先陣を切っているのは……。ザクⅡ、それも動きからすると……。かなり旧式だ。F型よりも鈍いその動きは、俺も一時期、鹵獲したその機体に乗っていた事があるから、よく知っている。C型だと? こちらを舐めているのか? いや、そんな馬鹿な事があるか。

 

 だとすると、考えられるのはアレらが囮(オトリ)で、主戦力が何処かに伏せられている可能性……。いや、その気配は無い。それにC型ザクⅡから、凄まじいまでの『圧(プレッシャー)』を感じる。何故これほどに……。

 

 C型ザクⅡだと!? まさか!

 

「全MS(モビルスーツ)隊に告ぐ! 奴ら、特に動きが鈍いC型のザクⅡは、絶対に味方艦の方へ通すな! 奴らは……!!」

 

 俺は突入してきたC型ザクⅡを、次々に撃墜(お)として回る。エミリア中尉も、クラークも、グレースも、全員が俺の危機感を共有した模様。更にS.T.S.C.の他の中隊や、ニュータイプ能力を与えてやったルナ2基地MS(モビルスーツ)部隊の彼らもまた。必死になって、俺たちはC型ザクⅡを撃墜する。

 

 だがルナ2組ではないジム部隊ボール部隊が……。ニュータイプ能力が無く、俺たちと危機感を共有できていない連中が、ついちょっとばかりミスってC型ザクⅡを1機ばかり後方に通してしまった。

 

(ば、馬鹿野郎! エミリア中尉、ガンダム2Bの機動力なら!)

 

(追うわ! ……駄目、間に合わない!)

 

 C型ザクⅡは背負っている大型のバズーカを構えると、撃ち放つ。直後、その機体はエミリア中尉のガンダム2Bが撃ち放った、ビームライフルの光条に貫かれ、爆散した。そしてC型ザクⅡが撃ったバズーカの弾体は、ソーラ・システムの制御艦であるコロンブス級に突っ込んで炸裂。

 

 コロンブス級は、爆光に飲まれて消滅、更にソーラ・システムのミラーが多数、その火球に飲まれて消えた。

 

 

 

 核弾頭、核バズーカだった。

 

 

 

「核弾頭搭載機を優先して狙え! 絶対に艦の方に通すな! ザクⅡだ、通すな!!」

 

『『『『『『了解ザザッザザッ!!』』』』』』

 

 ギレン・ザビめ。大っぴらに南極条約を無視してきやがったか。だがな、それでどうにかなると思うなよ? 俺は精神の『眼』を限界まで開き、『敵』の気配を『視(み)る』事に集中した。




ララァ、アムロとの交感は自分ところの技術者たちによって阻止されてしまいました。はい、サイコミュにプロテクト掛けられて、外部からの干渉を防がれてたので。すなわち外部との思念による会話が難しくなってたわけですな。
更にその分、サイコミュの反応も鈍くならざるを得なかったので、アムロは幾分楽にララァを下しております。本人の意識では、激戦でしたが。いや、激戦には違いなかったレベルなんですけどね。

ちなみに本編が1人称視点であるために書けなかった、ザビ家の内幕。ギレンは和平交渉しようとしたデギンを幽閉して交渉を阻止。更にその事を詰問しようとしたキシリアに難癖付けて逮捕してます。
コロニー・マハルはソーラ・レイに改造するために強制疎開が開始されたばかりでした。なのでソーラ・レイは無し。ガルマは現時点で、後頭部を消火器で殴られた事で未だ意識不明。サイド3で入院中です。ラコック大佐がちょっと力を込め過ぎた模様。
というか、かなり昔の某ゲームの時代から、わたしにとって消火器は鈍器だったり。消火器は殴ってナンボ。

そしてギレン、核の封印をあっさり解きました。まあ核運用プラットホームになれるMSは、C型ザクⅡしか無かったので。一部では、F型をC型に改造したりしてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

真面目にゲーム作ってもらえます?(作者:アウグスティン)(原作:ソードアート・オンライン)

どうしてこんなになるまで放っておいたんだ


総合評価:16210/評価:8.35/連載:33話/更新日時:2026年09月16日(水) 18:45 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>