信長の野望・宇宙世紀乱世伝withパワーアップキット 作:雑草弁士
ついにルナ2基地
ちなみに第1、第2小隊のパイロットはわざわざ地球から来たばかりの、エリートさんとやらだ。そして第4小隊だが、ルナ2基地航空隊から転属した元セイバーフィッシュやトリアーエズのパイロットたちで構成されている。
なおアンカーソン大尉やらカジマ少尉とかは、今回の
カジマ少尉は今回第4小隊員にこそ選ばれなかったが、
「……RRF-05ザニー、か。このままでは使い物にならんなあ」
「そんなに駄目なの?」
「ああ。あくまでこいつは、連邦軍
エミリア少尉の疑問に答えた俺は、書類を捲りながら溜息を吐く。第1、第2小隊のエリートさんたちは鹵獲ザクではなく、少しでも連邦軍色の濃い機体を、と言う事でこのザニーを人数分作らせ、自分たちの乗機としたのだ。
だがザニーは先ほども言った通り、単なる技術実証機だ。これで戦うなんぞ、やりたくもない。……そう考えると、第1と第2のエリートさんたちは、物凄く勇気があるとも言えるな。ははは。勇気と言うよりは無謀だと思うんだが。
地球から上がって来たエリートさんたちは、連日連日ザニーをルナ2の表層に設えられた演習場に持ち出して、一生懸命に超弩級ウルトラスペシャルスーパー絶頂なほど『ヌルい』訓練を重ねている。いや、ヌルいだろ。あの訓練。本人たちの意識では厳しい訓練のつもりらしいんだが。
俺たち第3小隊は、演習場が使えないので宇宙空間に出て空間機動の訓練とか演習とかしたり、あとは自分たちの機体をカスタマイズしている。たとえば、南極条約で核が使えなくなったから、MS-06Cをベースにしてる鹵獲ザクに残っていた耐核装備とか、ごっそりと取り除いて軽量化したり。
他にもちょこちょこと
そう言えば、先日俺が提出した技術資料、どうなったかな。クラークやグェン整備班長と一緒に書いた、鹵獲ザクを運用側の視点から色々と調査した資料。それに鹵獲ザクに加えたカスタマイズ手順のマニュアル化。あとは現場ではできそうに無い、さっき言ってたOSのパッチとかを含む改良のアイディアと要望。
それに加えて、ダメ元で
そんな事を考えつつ、俺は自分の執務室で訓練報告書をまとめていた。エミリア少尉とグレースが、手伝ってくれている。クラークは元々宇宙機エンジニアだから、その経験を活かして整備班を手伝ってるんだよな。俺も時間を見繕って、整備班を手伝いに行きたいんだが。
そこへ突然、卓上の端末が呼び出し音を立てる。ディスプレイに表示されている呼び出し先は、ルナ2司令官執務室だ。エミリア少尉が急ぎ受話器を取り上げる。
「はい、こちら
「む、俺とクラーク、それにグェン整備班長か。グレース、
「了解です!」
グレースが端末を操作し、格納庫に連絡を入れる。それを後目に、俺は金庫を開けてそこに仕舞ってある資料を取り出した。上手くあの提出した資料が、誰か偉いさんの目にとまってくれたのか? だったら良いんだが。
第38-A小会議室に俺たちが到着した時、そこには既に1人の男が待っていた。細身で眼鏡をかけた、学者然とした風体のその男は、俺たちが入室すると神経質そうな目に笑みを浮かべる。
「君たちがあの資料を作成した者達かね。わたしはテム・レイ技術大尉と言う。今日はよろしく頼む。たしか君がオダ中尉、そちらがグェン曹長、最後がキャラハン伍長だったな」
「「「はっ!」」」
技術大尉と言う言葉を聞き、俺たちは慌てて敬礼する。だがレイ技術大尉は苦笑して言った。
「ああ、いや。しょせんわたしは、しがない技術士官だ。そこまで肩肘張らんでもいいさ。それより、この資料だ! 素晴らしい! 連邦軍の軍研究所による分析結果よりも、更に精密で正確だ! それに実際に運用する上で鹵獲ザクに行われた様々な改良や改修の仕様書とその運用結果のデータ!
更にはオマケの様に添付されていたが、
「あ、ははは……。それほどまで評価していただけるとは……。って何で俺を指差す? クラークもグェン整備班長も」
「いや、俺も整備班長も鹵獲ザク改良についてはアイディア出しましたけどね。半分以上、いえ7割は隊長の案じゃないですか」
「そうですな。それに添付書類のビーム砲とか新型核融合炉とかは、わしらは一切手出ししておらんですからな」
まあ、それは確かに。そしたらレイ技術大尉の目の色が変わった。
「……諸君ら、こちらに来てくれたまえ。今からわたしの権限で、諸君らにある機密情報を見せる。だが、これに関しては一切他言無用だ。もし他に洩らしたりしたら、即座に軍刑務所行きだと思ってもらいたい。仮に、それが同じ隊の隊員であっても、だ」
「「「……了解です。」」」
「よろしい。これを見て欲しい」
そして彼は、ルナ2基地のネットワークから切り離された
「これがRX-75ガンタンク、あくまで
こちらがRX-76ボール。スペースポッドSP-W03の設計をベースにして装甲、推進器、燃料電池を改良。更にガンタンクの主砲を1門だけ搭載した、簡易
「……言っちゃ悪いかも知れませんが、技術大尉殿。この2つ、役に立つんですかね?」
「グェン曹長、言いたい事は分かる。だがこれはあくまで習作と、そして支援用の数合わせの機体だ。次からが本番だと思ってくれ。
こちらがRX-77ガンキャノン。まだ実機は完成していないが、非武装の素体までは出来上がっている。稼働試験も済んでいるよ。両肩にキャノン砲あるいはスプレーミサイルランチャーを搭載する、中距離支援機だ。基本性能においても、ザクを上回る。
先ほどのガンタンクにも使うだけは使われていたのだがね。各部の駆動にはザクの様な流体パルス駆動ではなく、フィールドモーターを使っているんだ。パワー、スピード、反応速度、いずれも流体パルス駆動システムを凌駕するよ」
ふと俺は、ガンキャノンの装備品に目を向ける。そして目を丸くした。
「これは……。ビームガン!?」
「ああ、正確にはビームライフルだ。ガンキャノンは中距離支援用だからね。出力と精度を高めた狙撃用ビームライフルだ。その分、連射性には若干の難があるが。
だが、実のところ実機の完成までにこのビームライフル、間に合わないかと思っていたんだがね。君が送ってくれた技術書類が役に立った。おかげで本来予定していたよりも早期に、なおかつビームライフルの性能が向上したよ。核融合炉にも改良が加わって、ビームライフルだけでなく……」
そしてレイ技術大尉は画像の一部をクローズアップする。
「ビームサーベルは、当初高出力の狙撃用ビームライフルとの併用は難しいかと思って断念する予定だったのだがね。万が一に備えて1本後ろ腰に装備させる事にしたよ」
「お役に立てた様で光栄です」
「うむ。そして次が本命中の本命だ。RX-78ガンダム……。現時点における地球連邦軍の、技術の粋を尽くした白兵戦主体の汎用
レイ技術大尉は立て板に水とばかりに、ガンダムに関して解説して行く。たしかにこの機体は、完成の暁には恐るべき
「……おほん。この情報を君たちに開示したのは、他でもない。君たちに意見を求めたくてね。特にオダ中尉、君の意見を」
「……了解です。ではこのRX-75からですが、長距離支援用とするならばさほど問題は無いでしょう。ですが腰部に脱出カプセルのコアファイター……コアブロックが入っていますね? これのために、腰の回転が制限されています。左右の射角が制限されてしまうのです。それと頭部の砲手と腰部の操縦手に分かれているのも難点ですね。コアファイターで脱出した際に、頭部の砲手が見殺しと言うのも……。
RX-76については、これはあくまで支援機としてならば問題はありません。ただ若干、装甲を強化すべきではないかと。現状において、パイロットは連邦にとってダイヤモンドより貴重です。少しでも生残性を高めるべきです。安く大量に製造できるのに、越した事は無いのですが……」
俺たちとレイ技術大尉は、熱く語り合う。あくまで将来的な
他にも以前論文をちょろっと読んだ、モスク・ハン博士のマグネット・コーティング技術についても話をした。元々は、宇宙用作業機の稼働抵抗を減らすための技術として研究されていた物らしいのだが、それが
レイ技術大尉は、自分の伝手でモスク・ハン博士に繋ぎを取ってみると言ってくれた。本当にありがたい事だ。
一通り意見交換が終わった後で、満足そうな笑顔を浮かべたレイ技術大尉は語る。
「ううむ、可能であれば諸君らを、わたしの部下として引き抜きたいものだな。それが叶えば、V作せ……ああ、いや、連邦軍の
「はい。いいえ、申し訳ありません、技術大尉。その儀だけはご勘弁ください。自分はジオンを恨んでいるんですよ。自分は目の前で、故郷のサイド1がジオンの連中に蹂躙されるのを見たんです。こちらのキャラハン伍長も同じく」
「……」
「自分が技術大尉の下に行けば、たしかに連邦軍全体のためには良いのかも知れません。ですが自分たちは、最前線から下がるつもりはありません。自分たちにとって、直接にジオンを叩ける最前線という立ち位置は、絶対に必要なのです……。申し訳ありません」
「……了解したよ。残念だが、今のところは諦めるとしよう。しかし時折、また今日の様に意見交換するぐらいは構わんだろう?」
レイ技術大尉は、そう言って笑うと、右手を差し出して来る。俺はその手を同じく右手で握りしめた。
さて、色々とバタフライ効果が出て来ましたかね。その一番手は、ガンキャノンの装備。狙撃用ビームライフルが強化された上に早期開発。更にはジェネレーターも強化されて、『これなら接近戦用の保険をつけてもいいんじゃね?』的にビームサーベル1本追加しました。