信長の野望・宇宙世紀乱世伝withパワーアップキット 作:雑草弁士
俺たちの部隊名が変更になった。
ちなみに第1小隊と第2小隊は、今の所ぽっかりと空き番号になっている。まあ、あれだけケチが付いたんだ。隊を再建しても、そこに入りたいと思う奴は多く無いだろうなあ。
第4小隊は今の所、可もなく不可も無く、だ。いや、きちんと頑張ってるよ? 隊長のテレンス・ジャーマン中尉も、スペースノイド差別とか、やらないし。俺の『能力』の様なインチキじみたボーナスは無いから、純粋に本人たちの努力だけであれだけの戦闘力を保持してるのは凄いと思う。
ただまあ、機体が俺たちのとは違って、本物のザニーだからなあ。せめて鹵獲ザクだったら、もう少し……。一日も早く、RGM-79(E)が配備される事を祈ろう。
俺の『能力』についてだけど、実は毎晩、とは言わないが2~3日に1度ぐらいの割合で使ってみてる。一応俺もエミリア少尉もクラークもグレースも、全員の基礎的能力は、上昇させられる限界まで上昇させてある。
また機械工学とか電子工学とかミノフスキー物理学とか、戦術とか戦略とか、そう言った知識系の能力とかも少なくとも俺自身に関しては、欠片も躊躇せずに高めている。またクラークは工学系の知識とか、エミリア少尉は戦術系知識とか、グレースは医学系知識とかを中心に、まああんまり化け物じみたレベルにならない程度に。
もっともこれらに関しては、俺の能力を上げまくっている間に気付いたんだが、実はけっこう限界値が低かったりする。いや、なんと言うのか、限界値が低いと言うのは正しい言い方じゃない。例えて言えば……。
『プログラミング』の能力を上げようとしたとする。素直にプログラミングの能力をそのまま上げたとするとだな。まあ普通、仮に数値化すると100ぐらいまでは上がるんだ。で、そこまでが限界だ。
ところがだな。別口で『論理演算』って能力を100まで上げたとするだろ? それはプログラミング能力に深く関わりがあるから、今度は今まで100までしか上げられなかったプログラミング能力が150まで上がる様になったりするんだわ。
プログラミングを上昇させると、今度は別口で『コンピューター操作』とかが140まで上がる様になったりな。そんな感じで、何を上昇させれば何が上昇させられる様になるか、が複雑で込み入っていてなあ……。
全部一遍に上げりゃいいって思うかも知れん。だが一度に上昇させられるのは1つの能力だけなんだ。1つ1つの能力上昇には、さほど時間かかるわけじゃないんだが、精神の集中が必要だから。疲れるんだ、ぶっちゃけ。
それでも俺は、こつこつ『能力』使って自分の能力を強化してったから、今じゃかなりの化け物になったとは思う。
そんなこんなで、3月28日。俺はネルソン級
ネルソンの僚艦は、ボール搭載型サラミス級軽巡洋艦タイペイ、バフィン、通常型サラミス級軽巡洋艦マダガスカル、コロンブス級輸送艦オキノトリシマだ。ネルソンを含めて合計5隻のこの小艦隊の旗艦は、通常型サラミス級マダガスカル、つまりこの艦隊の最上位はその艦長のリード中尉だ。
……リード中尉で、大丈夫だろうか。いや、それは置いておこう。俺が何で思念を凝らしているかと言うとだ。
この
ネルソンの乗組員は、艦長も含めて俺の指揮下に入っている。言わば俺の部下なんだ。そして、であるならば俺の『能力』で彼らを能力強化する事ができる。ただし、以前第3小隊の連中に俺の『能力』を開示して、同意を求めた時とは違う。今回は艦の誰にも、『能力』について打ち明けてもいないし、同意を取ってもいない。
まあ、それは仕方ないかなと思う。艦の連中とは、小隊のやつらとは違って何ら絆とか出来上がってないし。だからと言って、できる事をしないで万が一死なれでもしたら寝覚めが悪い。だから、そのぎりぎりのラインとして無断で能力を1.2倍から1.5倍に拡張、強化したんだよな。
これに関しては、相当に悩んだあげく、エミリア少尉、クラーク、グレースの3人にも相談してある。3人は、俺の意見に賛成してくれた。
「ありがたいよなあ。あいつらの存在は……」
俺の私室は、まあサラミス艦を改装したネルソン級だから凄く狭い。それでも士官だから1人1室。せまいベッドと小さなサイドボード、据え置き端末がぎりぎり入るスペースしかないが。エミリア少尉も御同様。クラークとグレースは伍長、下士官だから他の乗組員と相部屋の4人部屋。まあ男女別になってはいるんだが。
と、据え置き端末が呼び出し音を立てる。俺は手を伸ばしてスイッチを入れた。
「こちらオダ中尉私室」
『こちらブリッジ、艦長のウェイド少尉です。マダガスカルのリード中尉から通信が入っています。そちらに回しますか?』
「いや、俺がブリッジに上がる」
『了解です、中尉。ではお待ちしてます』
通信は切れた。俺は急ぎ私室を飛び出す。まあ、ちょうど最後の1人、機関士補助員の能力を強化し終えたところだったからな。丁度良かったと言えば、丁度良かった。
俺がブリッジに上がると、全員が敬礼をして来る。俺は彼らに向かい、答礼を返した。と、艦長のウェイド中尉待遇少尉が変な顔をしている。いや、艦長だけじゃない。ブリッジの全員が怪訝そうな顔をしていた。
だが今はそれに構っていられん。俺はメインの大スクリーンに映るマダガスカルのブリッジ、その中央に座すリード中尉に敬礼を送った。リード中尉も答礼を返して来る。
「お待たせしました、リード中尉」
『いや、パイロットは休むのも仕事だ。そこを呼び出してしまって済まんな』
うん。リード中尉は能力には多少疑問符が付くが、真面目は真面目で決して悪い人じゃないんだよな。ちょっと独善的な部分はあるんだが。
『あと1日、そう……。明日の13:06時にはサイド5暗礁宙域に到着する事になる。その後の具体的な行動について、打ち合わせしておきたくてな』
「そうですね。基本的には当初の作戦案でかまわないかと。暗礁宙域に到着次第、まずは艦を隠すのに適したコロニーの残骸を見つくろいます。そこを仮の拠点とし、コロンブス級オキノトリシマから資材を降ろしたら次の段階です。周辺宙域に、監視装置をばら撒く作業ですね。我々のザニー改と、タイペイやバフィンのボール部隊にも手伝ってもらって、急ぎ監視網を構築します」
『うむ。後はカモが網にかかるのを待ちつつ、じっと我慢か……』
「はい」
俺とリード中尉は互いに意見を交換し、現地に到着後の行動を確認する。一通り相談が終わると、リード中尉は頷いた。
『うむ、今のところは問題は無さそうだな。それでは休んでいるところを、済まなかった。またゆっくり、本番に向けて休んでくれたまえ』
「了解です」
『ああ。ではな』
敬礼と答礼を交わし合うと、メインスクリーンの画像が切れる。俺は周囲にいる、ネルソンのブリッジ要員に声をかけた。
「さて、諸君もご苦労。まあ本番までに疲労を溜めない様に、注意して頼んだぞ」
「了解です……」
「……どうした? ウェイド艦長、それに他の面々も」
ちなみに俺はウェイド中尉待遇少尉の事を、階級ではなく役職の艦長で呼んでいる。いちいち中尉待遇少尉って呼ぶの、大変だし。彼の方は彼の方で、自分では中尉待遇を外して、少尉と名乗ってるけどな。
それはともかく、ウェイド艦長は視線をさまよわせる。
「ああ、いえ、その……」
「……艦長。これから先、俺たちは文字通り一緒の船に乗り、協力して事にあたらねばならないんだ。一心同体、一蓮托生。変な遠慮はするな。何がしかの疑念があるならば、早期に解決するため、きちんと言っておけ」
そこまで言えば、ウェイド艦長も腹が座った様だ。彼は口を開く。
「いえ……。ときどきなのですが、オダ中尉、エッジワース少尉、キャラハン伍長、ギャレット伍長の背後に……。宇宙が見える時があるのです。青い、蒼い宇宙が。
自分だけであれば、何がしか気の迷いか寝ぼけていたのかとも思ったのですが……。念のためにブリッジメンバーにも訊ねてみたところ……。皆もときどきその様な事がある様でして。そしてつい先ほど、中尉がブリッジに上がって来たときにも、そのビジョンが見えまして……」
「あー……」
ウェイド艦長の台詞に、他のブリッジオペレーターや総舵手が一斉に頷く。しまった、かな。仕方ない、ざっくり説明してやるとしよう。
「それはだな、艦長。貴官らがニュータイプ能力の萌芽を持っているからだ」
「ニュータイプ能力……です、か?」
「ああ。提唱者は、ジオン公国が共和国であった時代の指導者、ジオン・ダイクンだ。簡単に言えばニュータイプってのは、宇宙に人類が適応して相互理解の能力を増進させた存在だ。言い換えれば、こんな狂った戦争なんかしないでいい人間の事だな。
……ジオン公国の連中は、優性人類生存説なんか発表して、自分たちをニュータイプ的に捉えてやがるが。こんな狂った戦争を始めやがった時点で、ニュータイプとは程遠いやつらだな。いや、話が横道にそれた。すまん」
俺は話の方向性を修正する。
「ニュータイプってのは、相互に理解できて相互に思いやれる、そんな存在の事だ。そういう存在でもなければ、宇宙で生きて行くのは苦しい。宇宙ってのは厳しい場所だって事だな。そしてニュータイプ能力ってのは、ニュータイプそのものを指す物では無い事に注意してくれ。
ニュータイプ能力ってのはその相互理解を助けるために、宇宙に出た人間の内側で補助的に発達した、超能力じみた力だ。それがあれば『なんとなく』相手の想いや行動を理解できたり、思念を受け取ったり送ったりできる。貴官らには、その能力の萌芽があるんだ」
「「「「「「!!」」」」」」
「俺や第3小隊の面々の後ろに宇宙が見えたって言うのは、その能力によるものだ」
そして俺は、周囲のブリッジメンバーに頭を下げた。
「それに関しては、すまんと思っている。ニュータイプ能力は、強いニュータイプ能力者の近くにいると発現しやすい可能性があるんだ」
「な、何故謝られるのでしょうか」
「……俺たち第3小隊の者達は、いずれもがそこそこ強いニュータイプ能力を持っている。貴官らはそれに引き摺られた可能性がある」
ここで俺はちょっとばかり嘘を吐いた。彼らがニュータイプ能力に目覚めたのは、俺が俺の『能力』で、勝手にニュータイプ能力を最低限だけ付与してやったからだ。ネルソンの乗組員たちに力を与える事ができるのに、与えないでいてさっくり死なれたりしたら、本当に寝覚めが悪い。
だもんで、あまり不自然ではない程度にほどほどに、以前に比して1.2~1.5倍程度に能力を強化した。そしてあまり不自然ではない程度にほどほどに、ニュータイプ能力に目覚めさせてやったんだ。
これは傲慢かも知れない。だがしかし。それをやらないのは、それはそれで傲慢だろう。どっちにせよ傲慢ならば、やってやろうじゃないか。
それはともかく、唖然としているこの連中に、いくつか注意をしておく必要があるな。
「戦いにおいて、ニュータイプ能力ってのは便利ではある。敵の悪意とか、敵から狙われてるとか言うのが、なんとなく分かるからな。だが良い事だけじゃない。敵の断末魔の声とか聞こえたりする。俺たち第3の者達は、既に覚悟が決まってるけどな。
だけど、普通の宇宙戦闘では敵を『殺す』感覚ってのは、まあ無いに等しい。敵機を撃墜し、敵艦を撃沈する感覚はあってもな。けれどニュータイプ能力を持ってると、敵を『殺す』自覚を無理矢理にでもさせられちまうんだ。……俺が謝ったのは、その事もある」
「……いえ、大丈夫です。この艦の乗員はほぼ全員が、ルウム戦役の経験者ですから。『殺し殺される』覚悟は決まっている連中だけですよ」
「……そうか。ああ、それと1つ。ニュータイプ能力については、触れ回らん方がいい。こんな超能力じみた力……」
「分かっています。キチガイ扱いされるのも御免ですし、下手に人体実験の実験材料にされたりも御免ですからね」
冗談めかして、ウェイド艦長は言った。周囲のブリッジメンバーも、少々引き攣ってはいたが、笑う。……いや、冗談じゃ済まなくなるかも知れんが。
そして3月29日、俺たちの小艦隊はサイド5ルウムの暗礁宙域に到着した。艦隊を隠す場所に相応しい、大きく裂けたコロニーの残骸も発見。そこを拠点にして、周辺宙域にレーザー通信機構と監視装置を組み込んだプローブ・ユニットと、レーザー通信を中継するための中継装置を多数ばらまき、監視のネットワークを設営する。
そして宇宙を流れている仏さんも多数発見したので、可能な限り回収して簡易的に祈りを捧げてやった。まああくまで回収したのは、任務に差しさわりの無い可能な範囲ではあったが。リード中尉はこれについて何か言いたげではあったが、結局何も言わなかった。
準備は整った。あとはリード中尉が言うところのカモがやって来るのを待つだけである。さあ、どう出る? ジオン軍ども……。
主人公の『能力』、実はけっこう使うの大変です。と言いますか、武将1人1人をがんばってデータ変更してやらないといけないんですよね、『パワーアップキット』……。一括で多数の武将を能力変更してやれないものか、と思った事が何度あったか(笑)。
まあ、何にせよ主人公、あんまり遠慮なく『能力』を使ってます。流石にネルソン乗員全員を超人にはしてませんけれど。そこまでやったら、流石に変だと思われかねないので、超人じゃなく『かなり優秀』程度に。
そしてネルソンの一同、最低レベルとは言え、全員ニュータイプに。たぶん中でも素質がある奴らは、何度か実戦を潜れば勝手にニュータイプとしての能力も向上するでしょう。どうなることか(笑)。