やってみせろよダービー!なんとでもなるはずだ!   作:てっちゃーんッ

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Q_マフTとマフティーの違いってなんですか?

A_マフTはトレーナーとしての名称、また本人のこと。 マフティーは、力、存在、概念、意味、とかそれっぽいこと。 ガンダムあるあるだからそこまで気にしなくていいです。 どうであれマフティーなのは変わりないので。





第17話

秋空は暗くなるのが早く、生徒達はそれぞれ寮へと戻る。

 

俺も仕事が終わったところだ。 有マ記念出走のために段取りを作っていたから遅くなったが特に苦痛は無く、むしろ伸び伸びと仕事をやらせて貰っているので不満はない。

 

トレーナールームの鍵を閉めて外に出る。 もう既に真っ暗で、トレセン学園の光を頼りに歩かなければならない。 時刻は20時を超えていた。 商店街も店仕舞いを始めているから、今日は家の作り置きのカボチャの肉じゃがでも食べるとしよう。 それで軽くオンラインゲームに雪崩れ込んで一日を終えようと考えて…何かそこにいた。

 

 

 

『_』マフT?

 

「!」

 

 

 

時間が来るまで肩に抱えている水瓶を流し続ける三女神の像の前にカフェのイマジナリーフレンドが立っていた。

 

 

「君はカフェに良く似てるから暗闇で見え辛かったよ。 それで何をやってんだ?」

 

『_______

________

________

________眺めていた。

 

「そうか」

 

……三女神は嫌い?

 

「……あまり好ましく思ってない」

 

うん、マフTはそうだね。 でも三女神はそうだから

 

「?」

 

マフティーは求められたら応える存在のように、三女神は願われたら叶えるだけ。 そのかわりそれ相応に背負わされる。 与えられるだけの世界は無い

 

「まぁ…それが正しいかもな。 でも前任者では無い、俺になったのならこの呪いは背負わさなくてもな…」

 

それは本当に呪いだと思ってる??

 

「……」

 

 

 

わからない。

 

俺は何度も思った。

 

これは本当に呪いなんだろうか?と、考えた。

 

 

 

前任者にとっても、マフTにとっても、それは呪いに感じたと思う。 けどそれは間違いなくだよ。 正当に叶えられたモノなんだよ

 

「三女神はそう言ってるのか?」

 

ううん、存在そのものが訴えている。 三女神はただ叶えたいだけ。 それは前任者にとって呪いのように強すぎた力なだけ。 マフTにとっても呪いに感じたと思う。 でも今はどう思ってる?

 

「呪い…………のように、強すぎる力だな」

 

そう、その通り。 それは。願って 叶えられたモノを与えられたにすぎない。 しかしその力は身体に刻まれた

 

「…迷惑な話だ」

 

そうだね。 その上…貴方の場合は更に叶えられてしまった結果として宿った。 何故なら前任者は自分ではない誰かに願った。 備わったその身体に相応しい誰かを欲した。 貴方と言う人格が継承された。 三女神の大き過ぎるエネルギーによって

 

 

けいしょう………継承…

 

 

ああ、思い出した。

 

たしか 因子継承 って言葉があったな。

 

俺は事前登録までで未プレイだったけど、前世の頃の友達がアプリゲームで因子継承を愚痴っていた。

 

それはウマ娘の世界に於いて重要なモノだと。

 

そしてオカルトも真っ青なシステムだと。

 

つまり俺がココにいるのは三女神に強く強く願い、その力に触れすぎた前任者の身体に、俺と言う人格が…

__マフティー()が継承されたって事なのか?

 

は、はははは……なんだよそれ。

 

ここだけはウマ娘プリティーダービーのアプリゲーム(ゲームシステム)をしていたって事か?

 

おいおい、異世界オルガも真っ青じゃねーか。

この時くらい三女神は休めよ。 あとタカキも休め。

 

でもその場合だと、俺は死後の世界に飛んでいたワケになるのか? 第二の人生が送れているのは人格が継承されたからであり、俺は前任者の代わりとしてまだ生きている。

 

始まりは弱くてニューゲーム…いや、実は強くてニューゲームだったこの生に喜ぶべきなのか? だけど感謝はしたくない。 どのみちマフティーで誤魔化さなければならないほど俺は苦しんだから。 今ココに在るのは全て結果論であり、あと運が良かっただけだ。 同じマフティーでもハサウェイではこうはいかない。 もしかしたらこの現状に耐えれず首吊って死んでたのかもしれない、そんな歩みだった。 だから俺は三女神に感謝もしなければ前任者を恨んでいる。 それは間違いない。

 

 

 

マフTは三女神が嫌いかも知れないけど、あまり恨まないで。 三女神はウマ娘の事を想っている。 そこにトレーナーが必要なこともわかってるから

 

「俺が恨んでるのは前任者の過ちであって、三女神は恨んでいない。 今はまだ好きになれないだけ。 もっと三女神からも語ってくれたら俺は納得もするし、意味を問いて理解しようと出来る。 それともコンタクトを取らないことに怒りを感じるのは間違いかな?」

 

三女神は叶えただけだから

 

「わかってるよ。 でも説明無しに苦しめたのは酷くないか?」

 

でも道は示した。 栄光を得ることによって解き放たれる…もしくは呪いの認識は変わり、それが力だと理解できる

 

「そこに怒りを交えられてもか?」

 

三女神の怒りは当然。 前任者に怒った。 でも願われたら叶えるだけだからそうした。 だからそれは大いに背負わされた。 でも果たされるモノとして叶えた

 

「金と銀の斧を選んだ奴の末路……まんま木こりの泉に出てくる女神の物語だな。 三女神だけによく出来てる……あ、これ皮肉な」

 

……やっぱり嫌いよね?

 

「嫌いじゃないけど好きじゃないよ」

 

それは嫌いに近い感情だよ、マフT

 

 

21時になる。

 

三女神の抱えてる水瓶から流れ落ちる水は止まり、次の朝まで稼働しない。

 

カボチャ頭で顔は寒くないが体は凍えてきた。

 

そろそろ帰ったほうが良いだろう。

 

 

 

マフTは呪いを大きな力であることを正しく認識して、マフティーとして強力な武器にした。 だからマフTは呪われたと思わずに呪いから解放されたと受け止めた。 でもその身体には三女神によって叶えられたモノが備わっていることを忘れないで。 そして…それはウマ娘のために正しく使って

 

「当たり前だ。 俺は間違えない。 独りよがりに振る舞うけど、三女神に対してもウマ娘に対しても間違えない」

 

貴方ならそれが出来る。 マフTならそう考える。 マフティーならそう身構える。 その力は全てが正しく振る舞おうとする。 完成された(ニュータイプ)ような在り立ち。 でも、一つだけが正解じゃない。 マフティーもまた人間に過ぎない間違える生き物。 呪いを克服した先でも貴方は危うい存在。 だからこう言わせてもらうよ…

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__マフティーのやり方、正しく無いよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

 

そう言ってイマジナリーフレンドは消える。

 

残されたのは俺一人。

 

三女神の抱えてる水瓶から零れ落ちる滴の音だけが静寂の中で広がる。

 

 

 

「正しいなんて思ってないさ」

 

 

ハサウェイも同じ。

もしこの世に正解があるなら教えてほしい。

大金を払ってでも知りたいくらいだ。

マニュアルがあるなら真っ先に手に入れたい。

 

でもそんなのは無い。

 

三女神からも与えられない…永遠の答え。

 

だから俺はマフティーを止めない。

 

 

 

「……」

 

 

 

カボチャ頭に両手を添えて、真上に引っ張り上げる。

 

視覚的にも感覚的にも解放感を得て、少しだけ頭がかるくなる。

 

夜風が頬を撫で、思ったより寒くて驚いた。

 

家以外で外したのはいつぶりだろうか。

 

あと秋空の星はこんなにも綺麗だったのか。

 

 

 

「金も銀も、素直な答えも、斧だって要らない」

 

 

 

三女神に振り向いて答える。

 

 

「このカボチャ頭に意味さえ込められるなら、俺は正しく無いままの独りよがりで構わない。 主人公のハサウェイ・ノアだってマフティーでそうして来たんだ。 なら俺だってハサウェイと同じで構わない。 身構えている時に死神は来ないから」

 

 

正当なる預言者の王ほど大それた道化は無い。

 

結局は俺はマフティー(道化)として演じるだけ。

 

ご都合主義を信じて、理想を描いて歩む愚者。

でも、それがなんだというのだ?

 

どけ! 俺はマフティーだぞ!

 

この縮図の!

このウマ娘の!

このアプリゲームの!

ウマ娘プリティーダービーの世界に於いて!!

 

 

「マフティーはこの俺だ」

 

 

 

溢れ出すプレッシャーを踏みつけながら俺はカボチャ頭を被り直してトレセン学園を後にする。

 

 

 

 

もうこの体に呪いは無い。

 

いや、もう呪いとして受け止めない。

 

この身体に有るのは三女神から授かった力。

 

この世界でマフティーたらしめるための武器。

 

弱かった自分とお別れをした。

 

 

だから……

 

 

ココからは本当の独りよがりを始める。

 

三女神の呪いや願いなど関係ない。

 

このカボチャ頭にマフティーの意味を込める。

 

だから脱ぐ事も無く、これからも被り続ける。

 

 

 

何故なら俺はトレセン学園のマフT。

 

または_____マフティー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もし私が三冠ウマ娘の栄光を勝ち取れたら、マフTが踊ったあのダンスをちゃんと教えてほしい。

 

これが一つ目のお願いだとアタシは言った。

 

 

だがお願いは二つあった。

 

しかしもう一つは断ってもいいと言った。

 

なんというか…

多分、最低なお願いだから。

 

けれどお願いを言うだけならと考えて、アタシは二つ目の欲張りを言い放つ。

 

もし三冠ウマ娘としてマフTにその栄光をプレゼントできたらお願いがある。

 

 

 

 

 

__マフTの 素顔 を見せて欲しい。

 

 

 

 

 

マフティー性の皮を剥がす最低なお願い。

 

けれど…

 

 

 

 

 

__有マ記念でマルゼンスキーに勝てたらな。

 

 

 

 

 

マフTはそう言った。

 

彼の素顔が見れるかも。

 

アタシにもスーパーカーに劣らないガソリンが注がれて、マルゼンスキーを倒すためにまた練習が厳しくなる。

 

しかしこのお願いをするまでアタシは今年これ以上走る予定を考えていなかった。

 

正直に言えば無敗の三冠ウマ娘になってからはあまりその後の予定を考えて無かったワタシ。

 

だって近くにマフTがいて、いつも通り究極のごっこ遊びで楽しく走って満たされたらそこまで欲は湧かなかった。

 

秋のジャパンカップに出て大金を獲得するのもまた一つの権利だけど別にそこまでお金は欲して無かったし、それに菊花賞でやや無茶した走りを行ったから脚の負担を考えて公式戦に出ることは控えた。

 

アタシが出たいと言ってもマフTが止めたと思う。

 

まあ、究極のごっこ遊び自体が比較的公式戦に近い光景を描くからそれ相応に本気で走ってしまうけどね。 ただし菊花賞後の疲労を考えて脚を使いすぎないようにする。 だからその一回だけのレースを存分に楽しむようにしている。

 

ウマ娘の性としてもっと走りたい衝動に襲われるけど、アスリートとしてトレーナーの言うことは守らないとダメだから我慢する。 でもマフTのお陰でとても濃ゆいレースに身を投じられるからその一回でもありがたい限りだ。

 

 

てか、もうマフT抜きでは考えられない!

控えめに言ってダメな体にされちゃったね!

 

 

だって再現率が高く挑める上にマフTが居れば何度も出来てしまう。

 

本当にアタシが独り占めして良いの?って何度も思ったけどマフTが「一向に構わんッ!」って言うからアタシは考えないことにしてマフTを独り占めにする事にした。 あはは、ありがテェー。

 

でも途中から可愛い後輩のカフェの加入、あとヘタレパリピヘタレギャルヘタレウマ娘がやって来てマフTの時間は当然のように分散された。

 

でもアタシはマフティーを求めてやって来た二人の事を蔑ろにしたくないし、マフTがマフティーとして応えるなら文句はない。

 

なんだかんだでパリピギャルウマ娘のダイタクヘリオスもそれなりの……いや、違うね。

それなりなんかじゃない。

 

マフTの前では秘めきれなかった想いをマフティーに打ち明けて自分らしさを求めた。

 

当然のようにマフティーは求められたから応えてあげた。 それにヘリオスの想いはアタシと似ていたから親近感が湧いた。 それでヘリオスもマフティーに応えてもらえたからアタシも自分のように嬉しくなった。

 

それにマフTのことが結構気に入ってるみたいだから一緒にマフティーを盛り上げることにした。 教えてもらったダンスは楽しかったし、マフTが家から持ってきたカボチャ入りの肉じゃがはすごく美味しかった。

 

ア、アタシも少しは料理できるようになろうかな…?

 

あ、でもカボチャ頭を外さない…いや、違うね。

 

アタシがマフTのカボチャ頭を外させるんだ。

有マ記念でマルゼンスキーに勝つ。 それでカボチャ頭を外させたら素顔を明かして食べてもらおう。 だから今度ルドルフに料理の手解きをお願いしようかな。

 

え?パリピもそれなりに料理できるの?

あ、そうなんだ。

ふーん……?

べ、別に焦ってないし

追い込みバの執念は怖いから…ね?

ほんとうだよ!本当だから!

 

ぅぅ…どけ! アタシは三冠バだぞ!

 

 

まあ、そんな感じに今後のレースと料理も定まり、マフティーを楽しめる秋の季節は終わったのでアタシは気を引き締めて有マ記念に備える。

 

有マ記念まで2か月。

 

調整するには少しだけ短い期間である。

 

菊花賞の長距離で脚は慣らしていたから有マ記念の長距離はそこまで苦では無い。 得意とするロングスパートのタイミングだけは難点だがそこは究極のごっこ遊びで何度でもシミュレーションできるから無問題とする。 しかし菊花賞から疲れが抜けきってはいなかった。

 

それにハロウィンはマフティー性が高まってしまう時期だからはしゃぎ過ぎた。 モチベーションとマフティー性は高まったけど、総合値で表すならマイナス寄りだと思う。

 

学生だからそれが普通だとマフTは言ってたけど、アスリート選手として自己管理はしっかりしないとならない。 休息は大事だけどあまり甘えてられないので心機一転して有マ記念に向けて練習を開始する。 1日に究極のごっこ遊びは5回以上。 あのマルゼンスキーを倒すためにもっと強くならないとならない。 しかし公式戦並みの走りを1日に沢山やるのだ。 経験値は多いにせよ、かなりしんどい。 疲れも増えて事故率が高くなる恐れがある。

 

けれどここでマフTが動いた。

かなり驚いた事がある。

何とマフTがウマ娘に触れるようになった。

 

これまでマフTは自分からウマ娘に触れるような事はしなかった。 パリピが脇腹から責めるように愛情表現(妬ましい)することがあっても、マフTはその手でウマ娘を触れようとしなかった。

 

でもアタシは分かっていた。

 

マフTはウマ娘を怖がらせてしまうことを嫌がって、迂闊に触れることはしなかった。

 

マフTってウマ娘が怖がるような威圧感を放ってるから、その手で触れようとしない。

 

彼はその事を打ち明けなかったけどアタシはマフTを何年も見てるから知っていた。 なので頑なにその手で触れないようにしていた。 ほんのちょっとだけ寂しかった。

 

でもマフTに三冠の栄光を捧げてから大きく変わる。 なんと威圧感が鳴りを潜めていた。 カフェやヘリオスはわからなかったみたいだけど、マフTとの付き合いが長いワタシだからその変化を見逃さなかった。

 

それでもまだ何処かしら近寄り難いプレッシャーを放っているけどアタシが初めて出会った頃の怖さは無かった。 多分三冠を取るまで神経を尖らせていたからだと思う。 一区切り付いたからこそマフTの雰囲気が落ち着いたんだと思う。

 

 

でも、アタシはそこまでマフTを恐れて無い。

 

そりゃ最初の頃は得体も知れないカボチャ頭のトレーナーがいて、強いプレッシャーを放っていたけど、マフティーを求めて理解して、そのマフティーの内側に入ってからは違う。

 

こう、なんて言うのかな?

 

全て暴かれてしまって、それで…

諦めがつくと言うべきかな?

 

支配されたように、それで掌握されて…

 

それで、ええと…

心地よさを知ったと言うか…

 

他になんと言うべきか…

 

と! とりあえず!!

 

 

マフティーされたって感じ!!

 

 

……ごめん、自分で言ってて分からないや。

でも、何となく理解できるよね?

マフティーが好きなら理解できると思う。

この感じ。

だから理解できるよね。

てか、理解しろ(脅迫)

 

 

それでマフT自身、踏ん切りが付いたというべきか、ウマ娘に触れるようになった。

 

これが嬉しく思った。

 

それでマフTって実はマッサージが出来るらしい……てか、出来た。

 

因みにマッサージにも種類があるけど、マフTがやってくれたのは普通のマッサージ。 けどリフレクソロジーって種類の施術も出来ると言ってた。 やってることは指圧に等しいけどあまり周りに言わないようにって苦笑いされてた。*1

 

マフTがやってるとイメージダウンだからかな?

とりあえずお口はチャック。

 

そのかわりよだれ垂らしてねじまっだぁ(寝ちまった)よぉぉ…

 

でも終わったらすごい元気になったけど!!

 

 

あああー!! でもでも??

最初かなり恥ずかしかったんだよ??

 

アタシってあまり細かいこと気にしない雑な性格だからマフTがマッサージしてくれるって言った時も「おー!」って感じでワクワクしていた。

 

しかし、施術が行えるように短パンになって、うつ伏せで寝転がり、太腿やふくらはぎ、しかもお尻や尻尾を無防備に見せてるわけだから色々と恥ずかしかった。

 

それでマッサージだから当然触れられてしまう。 マフTも直接触っては坂路でよく鍛えられているって褒められてたけど、担当を褒めてくれた嬉しさよりよく恥ずかしさが勝った。

 

でも嬉しいことがひとつ。

 

ウマ娘って耳が良い。 マフTも緊張してたのか心臓の音が早かった。 それが分かってからなんか安心して、むしろマフTに身体を預けられた。

 

それからマッサージを受けた。

 

ウマ娘の筋肉は人と違うみたいだからマフTも最初は慎重に触っていた。 人間の何倍もパワーが備わってるウマ娘だから、体の筋肉の作りは人間とは違う。 だから触る以上はちゃんと勉強しないとダメみたいで、街中のリラクゼーションとかもウマ娘用の支店が存在する。

 

同じ麺類でも まぜそば と はるさめ くらい違いがあるから扱い方に注意しないとならない。

 

しかしトレーナーの仕事でマッサージは例外ではなく、ウマ娘のケアも仕事の内だからマッサージの勉強もしてる。

 

それに因んでウマ娘の筋肉の作りとかも叩き込まれてるので、いざ触っても大丈夫なように知識は叩き込んでるらしい。

 

しかしトレーナーがウマ娘にマッサージを行うのは稀だ。

 

担当と言えどもウマ娘はひとりの(むすめ)…つまり女性であり、特に男性のトレーナーはウマ娘に触れることがセクハラに繋がることを考えてあまり行わないらしい。 それは当然の判断と思う。 それが許せる関係じゃないと成立しないと考えたほうがいいだろう。

 

それに対して女性トレーナーは率先してやるらしい。 コミュニケーション込みで直接ウマ娘の体に触れて成長具合を確かめたりする。 それがサブトレーナーでも女性トレーナーに任せるパターンは多い。 適任なんだろう。 この点は男性トレーナーよりも一歩先を行く。 まぁ女性トレーナーだからといって、やらない人もいる。

 

ならその場合はどうするか?

 

実はトレセン学園にはその学園に付属してるマッサージ師がいる。 だから適当な者に任せて体を解してもらったりも可能だ。 ワタシもお世話になっている。 また街中でも学生証を見せれば割り引いてウマ娘専用のリラクゼーションで体を揉み解して貰ったりと手段は多い。

 

もちろんトレセン学園付属のマッサージ師は皆女性だ。 あと人間だけじゃなくて、国家資格を取った上で正式にマッサージ師として活躍するウマ娘もいる。 ウマ娘はウマ娘のことに詳しいから上手な者は多いので任せやすい。

 

あとマッサージ師に志願するウマ娘の生徒とかも、そこで勉強しながら学生アスリート選手の施術を行ったりする。 だから練習後は体を解さずに疲労物質を残したまま過ごしてる訳でも無いのだ。

 

そんな訳なので、男性トレーナーがウマ娘にマッサージを行うパターンは稀。

 

しかしあのマフTがウマ娘にマッサージする。

そのお初がアタシである。

そう考えるとなんかちょっぴり嬉しい感じ。

ワクワクを1番人気にゲートイン完了させてマフTの施術が始まった。

 

しかしやはりか、マフTはウマ娘の体に知識はあってもそれを活かす機会は無く、アタシの脚を壊さないように、まるで割れ物か腫れ物のように扱っていた。

 

大事にされてると思うとなんか嬉しかったけど、マフTなら気を許してるから少しは躊躇いを捨ててもらっても良かったし、そこら辺は若干不満だった。

 

 

しかしそれは数分ほどで終わる。

 

 

筋肉を確かめるようにふくらはぎをなぞり、たまにツボを押しては尻尾や耳の動きを見て反応を探り、マフTは鋭く息を吸う。

 

そして全身にナニカが絡みついた。

物理的では無い。

精神的な干渉を受けた気がした。

だがそれを思考する猶予を与えない。

 

マフTは見極めたように触れて、疲れの溜まっていた部分を揉みほぐした。

 

1日5回以上行っている究極のごっこ遊びにて、溜まりに溜まった疲れは揉み解される。

 

それでしっかり揉捻されていく。

 

ふくらはぎから、太ももまで、腰回り、一言断りを入れるとお尻まで、段々と本格的になってきた。 思ったよりも疲れが溜まっていたのか痛気持ち良さが広がる。 でも心地よい感覚と共に最初の1回目は無事に終わった。

 

時間は20分ほど。

 

しかし終わった後に「次は1時間以上は余裕を持ってやる」と告げられた。

 

どうやら本気でやるつもりらしい。

 

つまり、1時間以上は施術を出来るくらいにウマ娘の筋肉を理解したと言う事だろうか?

 

最初の1回目で?

マフTすげー。

 

 

それから1日に5回か6回、調子が良ければそれ以上に究極のごっこ遊びの中へ身を投じては体を追い込み、荒削りな部分を矯正して、マルゼンスキーに立ち向かえるレベルまで体を追い込み続ける毎日。

 

そしてその疲れを拭うためにマッサージ。

 

3回目あたりでマッサージ用のオイルや、練り込み用の茶葉、あとアロマ、他にも水素水とか飲み物までバッチリ完備されていた。

 

経験者……なのか?

 

もう10回以上は施術を受けてるから断言してしまうけど、マフTはトレセン学園付属のマッサージ師となんら変わりない腕前。

 

俗に言う プロ だった。

 

アタシの脚に溜まった疲れはピンポイントに解消する。 息を吸う間も与えないほどに手際良く、アスリート選手の体を理解した揉捻は最初の1回目を思わせない。

 

もしかしてトレーナーをする前はそう言う仕事でもしていたのだろうか?

 

でもマフTはまだ20代で若いから、トレーナー以外の仕事をしていた訳でも無さそう。

 

それならアルバイトで培った技術だろうか?

 

だから今日、気になった。

 

 

「スポーツ選手を主にな」

 

「え…それ国家資格が必要じゃなかった??」

 

「……要らないところもある」

 

「あ、はい」*2

 

 

マフTの心臓が少し早まった。

 

だから半分ほど嘘だと思う。

 

まあ、だからと言ってアタシはマフTを咎めるつもりも、暴くつもりもない。

 

不思議でいっぱいで、カボチャでいっぱいで、すごいトレーナーがマフTだから。

 

秘密があるくらいが丁度いい。

 

 

「体作りには詳しいつもりだ。 あの踊りとかできるのもそう言うこと」

 

「たしかに、納得す…ぅ、ぅぅぁぁあ! ああ、あっ…そ、そこ、効くぅぅ…んんっ」

 

「あれだけ坂路やったんだ。 今日もしっかりやる」

 

ぬ え へ へー 、お ね ぇ ぎ ゃ い し ま ひ ゅ ぅ…

 

「蕩けすぎだろ…まぁ、その方がやり易いが」

 

 

練習もそうだし。

日常もそうだし。

マッサージもそうだ。

 

どうやらアタシは。

 

マフT無しではダメな体になったらしい。

 

 

 

 

つづく

 

*1
基本的に資格が無いとダメ

*2
※普通に必要です




朗報 : マフティー上方修正をお知らせします。


つまり…

呪いのように強すぎた願いであり、それを力として認識して、正しく扱えば、前任者が願っていたムーブも可能であること。 そこにマフティー性を注げばマフティーとして完成します。 でもその頂まで登れたのはミスターシービーのおかげですね。 一人では絶対に成立しない果てですね。


意識して、認識して、理解して、隣人を必要として、でも一人苦しみながら物語の歩みは止めれず、ニュータイプとして開花しても、一人特別にまた進み始める……けど、仲間がいるからニュータイプは一人じゃない、ただのさみしい生き物だった…




__まるでガンダムみたいだろ??



ハロウィンで目当ては引けました?(震え声)

  • ライスシャワー
  • スーパークリーク
  • タマモクロス
  • ゼンノロブロイ
  • 全部引いた(独占欲のコツ)
  • 今回は見送り

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