やってみせろよダービー!なんとでもなるはずだ!   作:てっちゃーんッ

21 / 56
おれの勝ち。なんで実装されたか。
明日まで考えといてください。
そしたらガチャは回せる筈です。
ほな、頂きます(カフェ)

※ガチャ結果、無償のみで70連。


第21話

とても綺麗な髪を靡かせて、とても綺麗な空色の眼を見開いて、とても綺麗な肌は憧れにしてきた。

 

珍しい尾花栗毛を持つウマ娘の中でも100年に1人と讃えられた。

 

それは……まぁ、嬉しかった。

 

アタシは特別だと思ってた。

 

それでモデルとしてスカウトされてアタシはゴールドシチーをその世界に描いた。

 

モデルは楽しい。

自分をもっと描ける世界。

ゴールドシチーを描ける。

 

でもアタシはウマ娘としてのゴールドシチーを見て欲しかった。

 

 

ウマ娘は走る生き物。

 

使命と言っても過言ではない。

 

この名前を授かったから意味はある筈。

だからアタシはウマ娘として走るべきだ。

綺麗なだけのお人形に収まらない。

 

だけどこの世に良不良が存在する。

 

アタシは綺麗なウマ娘として生まれた代わりに、走りはダメだった。

 

当然人間よりも早いけど、周りのウマ娘よりは劣ってしまう。 地方なら良いところまで行けたかも知れない……は、慰めだと気づいた。 そのくらいに酷かった。 でもアタシは自己満足のためだけに走りたくない。 ゴールドシチーの名を背負って大きなターフに描きたいこの使命だけは他のウマ娘に負けないつもりだった。

 

たしかに、アスリート選手としての素質も無いことは自分でもわかった。 でも諦めきれなかった。 希望を抱いてこのトレセン学園の門を叩き、この熱意を伝えて入学した。

 

そうして一歩だけ踏み出させたから、それはアタシにとっての希望だった。 アタシなら進めると思っていた。

 

モデルの仕事をしながら中等部1年を過ごし終える頃に……隠していた焦りは大きくなる。

 

周りのウマ娘は急激に成長する。

 

アタシも同じように成長してる筈なのに、その差は大きかった。 ここは中央だからそう言ったウマ娘は目立ってしまう。 上澄みの上澄み。 選りすぐりの選りすぐり。 そんな猛者達が集っているのだからそれは当然だ。

 

アタシはその現実に……絶望しそうになる。

 

ゴールドシチーは素質がない??

 

いや違う。

そんなの認めない。

 

急ぐようにトレーニングした。

モデルの仕事もしっかり努めて、練習も絶やさずに頑張った。

 

焦りを無理やり麻痺させて、中等部の二年になったアタシは1回目の選抜レースに参加する。

 

 

散々な結果。

 

でもまだ一回だ。

 

何度も挑戦すれば……いつかは。

 

 

 

_あのウマ娘すごいな!

_あれがビワハヤヒデか!

_やりますねぇ。

_見ろよ! あれも磨けば光る原石だな!

_ほほう? あっちのウマ娘も凄いな。

_2着だけど良い走りをするなあの子は。

 

 

 

見向きもされない。

 

いや、見向きはされた。

 

でも求めていた反応はない。

走った後は誰からにも語りかけられない。

 

綺麗なお人形がそこにいただけ。

それだけ。

 

走らないでその身は飾れば、輝かしい。

そんなの言われたところで嬉しくない。

 

でも、ダメだった。 負けてもがむしゃらに挑戦しようと考えていた選抜レースからアタシは逃げてしまった。 まだ始まったばかりの選抜レースだから、長い目で見ればこの先もチャンスはある。 でも中央は弱者に優しくなかった。

 

綺麗なお人形ごときが、その足で早く走るなんて、夢物語も良いところだと訴える。

 

でもアタシはウマ娘だから走った。

 

走って、走って、走って、走って……走る。

 

体を痛めるだけで早くならない。

 

でもウマ娘だから走らないと。

 

そうして、認めさせ、皆から見て貰わないと。

 

 

 

 

ゴールドシチーは……

 

 

ゴールドシチーは…………

 

 

ゴールドシチーは………………

 

 

 

 

___弱い弱い、ウマ娘だった。

 

 

 

認めない。

 

認められない。

 

認めたくはない。

 

もっと体を追い込まないと強くなれない。

 

しっかりトレーニングしてレベルアップする。

 

 

けどモデル仕事も果たさないとならない。

 

モデルの仕事は別に嫌いじゃない。

 

でもこの仕事があるから強くなれない??

 

なら、辞めれば強くなれる??

 

二足の草鞋だからゴールドシチー(お人形)ゴールドシチー(アタシ)を邪魔する?

 

もし、それがそうなら。

 

そうしたら…

 

 

 

___違う、そんなの関係ない。

 

 

 

アタシは純粋にアスリート選手としての素質が無い。 美貌を与えられたかわりに走りを奪われたんだ。 それだけなんだ。 だからアタシはお人形として扱われる事が正しい。

 

そうして諦めが1番人気にゲートイン。

 

 

でも、かろうじてゴールドシチー(アタシ)が繋ぎ止める。

アタシは諦められない。

 

 

けれどこの脚はどうしたら描ける?

 

モデルとして一年活動した。

 

有名になった。

 

トレセン学園でも、それ以外でも。

 

だから世間のゴールドシチーは走れない綺麗なお人形扱いだ。 見せてるのは飾られる空っぽなお人形なアタシだった。 そしてアタシも認めそうになる。 ウマ娘なアタシはどうしたらゴールドシチーになれるのかな?? それとも、お人形が何かに変わるなんて……そんなこと出来ないのかな?

 

 

もう、誰もゴールドシチーを見てない。

 

ゴールドシチーを忘れてしまって……

 

 

 

 

 

「君は誰だ??」

 

 

 

 

 

その言葉は冷たく感じたのに、冷え切ったゴールドシチーにとって暖かいモノに感じた。

 

カボチャ頭の不思議なトレーナー。

 

普通じゃない異端児。

 

アタシよりも知名度のあるその人は。

 

中央トレセン学園のマフティー。

 

 

 

 

「アタシを知らないんだ…?」

 

「知らないな」

 

 

 

なら、この人なら、違うかも。

 

アタシを知らないなら、何か変われるかも。

 

それにこの人はマフティーだ。

 

ゴールドシチーになる事が出来るかもしれない。

 

 

だからアタシは、尋ねた。

 

この人に尋ねた。

 

 

 

「マフティー、教えて。 アタシはどうしたらゴールドシチーになれる?」

 

「どちらも欠けなければそれはゴールドシチーだろうな」

 

 

意味が分からなかった。

 

どちらも欠けてはだめ??

 

つまり……お人形もゴールドシチー??

 

 

 

「嘘を言わないで! お人形はゴールドシチーじゃない! アタシはお人形なんかじゃない!」

 

「俺は君をよく知らない。 だから今日こうしてゴールドシチーを知った。 浮かぶ答えはどっちもゴールドシチーだと言うことだ」

 

「っ!! もう良い!! 期待したアタシがバカだったよ!!」

 

 

 

大した答えは無かった。

 

結局彼はカボチャ頭を被った見た目だけの変人ってだけで、それ以外と何ら変わらなかった。

 

希望を抱いてまた裏切られた!

 

もう!

もうたくさんだよ!!

アタシは走れないと言うの!!?

 

 

「やほー! シチー!おいおーい!!」

 

「!」

 

 

ハッとなる。 友達の呼ぶ声。 振り向けば" トーセンジョーダン "がアタシを見かけてやってきた。 モデルのアタシと違って彼女はすごく自由な女の子。 アタシはモデルのゴールドシチーだから、周りから一歩退かれているにもかかわらずトーセンジョーダンは仲良くしてくれる。 アタシの大事な友達。

 

 

「なんかチョー元気無くね? 補習でも言い渡されたとか??」

 

「アンタじゃないからそりゃ無いでしょ」

 

「うはー!その正論はヤバ目にヤバでしょ!」

 

「ヤバいのはジョーダンの点数でしょ?」

 

 

彼女と話して気が楽になる。 ああ、アタシも尾花栗毛のウマ娘として生まれず、彼女のように自由ならこんな風に苦しまなかったのかな? 特別じゃなければ良かったのかな。

 

 

「あ、あそこに居るのって!…オーイ! ヘリオー!」

 

「え?」

 

 

トーセンジョーダンが遠くにいたウマ娘を呼ぶ。

 

その子は彼女の友達で性格も方向性もピッタリなパリピのウマ娘。

 

その名はダイタクヘリオス。

そしてマフティーのウマ娘だ。

 

 

「ウェーイ! パリピってるー? って、シチーじゃん! おひさー!」

 

「あ、うん、久しぶり」

 

「んん? すんすん……すんすん…」

 

「??」

 

 

ダイタクヘリオスは鼻をひくひくしながらアタシの周りを回る。 そして尻尾をピーンとさせるの納得したように笑んで…

 

 

「シチー、もしかしてマフTの所にいた??」

 

「!?」

 

「あ、やっぱり! 仄かにコーヒーの香りしたんよ! カフェちんのコーヒーの香りと同じやん!」

 

「マジィ? シチーあのマフティーの所に行ったの! ヤバっ! 勇気あるじゃん!」

 

「っ!」

 

 

 

マフティー…!

 

マフティーがなんだって言うんだ!

 

あの人ならと!

 

アタシにとって最後の砦だったのに!!

 

 

 

「ごめん。 もう、行くから…」

 

「「え?」」

 

 

この怒りを友達にぶつけることはしたく無い。

 

アタシは気性が荒いのは知ってる。

 

だからと言って友達に向けられないから、堪えて堪えて二人の元から去る。

 

 

「え、ちょ…シチー??」

 

「………」

 

 

ジョーダンの声と、見送るだけのヘリオス。

 

アタシは二人から逃げるように去った。

 

 

去って。

 

去って。

 

走り、去った。

 

 

もう!! もう!!

 

ああああああ!! もう!!!

 

なんだって言うんだよ!!

 

 

結局この世界はゴールドシチー(アタシ)を許さない!!

 

ゴールドシチー(お人形)だけしか認めないと言うの!!

 

 

ああああ!!

 

ウザイ!!ウザイ!!

 

うざったい!!うざすぎる!!

 

ああああ!!

 

うるさい!! ムカつく!!

 

めんどくさい!!

 

消えろ!! 消えちまえ!!

ゴールドシチーなんか!!!

 

こんな!! こんなァ!!

こんな尾花栗毛なんか!!

 

あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!

あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!

あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!

 

 

 

 

「あ、ああ、あ、あぁぁ、ァァァ…」

 

 

がむしゃらに走って、河川敷に。

 

制服にも関わらず、服装が乱れる。

 

モデルにあるまじき姿だ。

 

 

ああ、そっか…

 

そういやモデルか。

 

モデルなんだよね、アタシ。

 

今は そっち を意識したんだ。

 

そうなんだ。

 

アタシはゴールドシチーになるしか無い。

 

そういうことなのかな。

 

この体も、尾花栗毛も、存在も。

 

名前だけは立派なウマ娘だった。

 

夕日に映されるアタシはひどくちっぽけ。

 

何も映し出されない。

 

心が崩れそうだ。

 

夢も決壊してしまう。

 

でも分かっただろ、ゴールドシチー。

 

アタシはそうだってこと。

 

最初から与えられたモノを理解してしまう。

 

そうして中央から去るウマ娘は多い。

 

アタシも、その一人に……

 

 

 

 

「大丈夫?」

 

 

「!!」

 

 

 

優しい声が聞こえる。

 

その声はいつも活発なんだけど、分け隔て無く接する彼女は魅力なんだと思う。

 

それに驚く。

 

がむしゃらに駆けて、息が乱れて、汗でひどいアタシに対して、この子は難なく追いついた。

 

 

「ヘ、ヘリオス…」

 

「ほらハンカチ。 とりあえず拭かね?」

 

「……」

 

「…ね?」

 

 

 

アタシはこのウマ娘が、ほんの少しだけ好きになれない。

 

とてもいい奴だって知っている。 すごくうるさくて、すごく明るい、ヘリオスの名に相応しい、そんなウマ娘。

 

そしてマフティーのウマ娘だから、今は苦手になっている。

 

 

「ハンカチ、ありがとう…」

 

「ううん、気にしないで。 なんか放っておくとヤバそうだったからジョーダン置いてきちゃった」

 

「……走るの速いんだね、ヘリオス」

 

「んー、そう? ウチなんて前のきさらぎ賞は6着だったし、入着出来んかったんよ。 初めての重賞レースやったのにマフTに1着をプレゼン出来んで拗ねちゃってさ。 マフTは頑張ったって頭撫でてくれたからウチ的にプラマイゼロ。 でも悔しさが勝ったんよ」

 

「でも、アタシには輝かしいよ…ヘリオス」

 

 

ヘリオスは幸せそうに笑う。

本当に幸せそうだ。

 

その笑顔が今はアタシにとって直視するに耐えない。 逃げるように適当なベンチに座ると、いつの間にか消えていたヘリオスは自販機まで一走りしていた。 そしてすぐ戻って来た。

 

ミネラルウォーターをアタシに渡して、ヘリオスも蓋を開けて飲み始める。

 

味の無い水なのに美味しそうに喉を鳴らす彼女は太陽の夕日よりも彩る。

 

 

「マフTとなんかあったん?」

 

「別に……ただ、アタシが勝手に期待して困らしただけ。 アタシが弁えなかったから」

 

「……それは、自分の在り方に対して?」

 

「!」

 

 

 

アタシは驚いたように顔を上げてダイタクヘリオスを見る。

 

そこにはいつもの笑みは無い。

 

いや、違う。 やはり変わらない。

 

タトゥーシールを飾る頬は彼女らしさを忘れないように柔らかい。 だから笑んでるように見える。

 

けれどその眼はアタシの知る彼女では無くて、アタシの悩みがよく分かっているような先駆者としての眼差しだった。

 

 

まるで__自分もそうだったように感じた。

 

 

「シチーはマフTに何を言ったん?」

 

「っ、それは…」

 

「あ、別に咎めるとかせんよ? ウチはただ単にズッ友の悩みを聞いてあげたいだけ。 シチーの"くしゃくしゃ"はウチもわかるんよ。 それとも、やはり言えない??」

 

「……」

 

 

マフティーのウマ娘なら何か分かる??

 

それとも彼女もマフティーと変わらない??

 

でも、ダイタクヘリオスは変わった。

 

マフティーのウマ娘になって彼女らしさが膨れ上がってからは、いつも皆にマフティーのウマ娘である事を自慢していた。

 

すごく柔かに笑ってバイブスを上げては喧しいと生徒会に怒られていた。

 

そのくらいに彼女は止まらなかった。

 

 

「…アタシさ、マフティーに聞いたんだ。 最後の砦だったから縋ったんだ。 ゴールドシチーとして走るにはどうしたら良いって」

 

「うん」

 

「モデルでお人形なゴールドシチーも、アスリート選手としてのゴールドシチーも、両方だってマフティーは言った。 それってさ、アタシはお人形である事から逃れられないって事だと分かった。 マフティーなら違う道を示してくれるって思ってた。 あの人は違うから、違うことを言ってくれるって……思ってたのに…」

 

「うん、そっか」

 

 

涙が溢れそうになる。

 

いや、とうに溢れていた。

 

諦めるしか無い答えを繰り返して苦しくなる。

 

皆と違うマフティーなら、違うって期待を抱いたから。

 

でもそれは彼からも叶えられないと理解して悲しくなる。

 

アタシはゴールドシチー(アタシ)になれないって…

 

 

「シチー、それはマフティーとして最高の答えを与えてくれたんよ」

 

「ぇ…」

 

「やはりマフティーってスゴ味がやばたにえんだね。 うまうまのウマたらしなトレーナーやね」

 

「な、何を言って…」

 

 

ベンチに座るダイタクヘリオスは少しだけ下に視線を向けて、足をぶらぶらとさせながら思い耽る。 幸せそうに眺めていた。 まるで救われたように見えたから、アタシはそのウマ娘から目が離せなかった。

 

 

「ウチさ、楽しい事が好き好きなパリピった問題児ウマ娘で、よく先生や生徒会から注意受けてたんよ。 今も変わらんけど、まずそれがダイタクヘリオスだったんよ。 それが(ウチ)やったから」

 

「それが…私」

 

「そう。 でもその前にダイタクヘリオスの名前を背負ったウマ娘。 走る事が好きなウマ娘。 どんなにパリピってもターフに楽しいを描いて走ることが好きなダイタクヘリオスだったから、トレセン学園のように大きなレースで楽しみたかった。 でもそれは間違いなく周りからしたら場違いなウマ娘だったんよ」

 

「でも、それは夢でしょ…? 場違いなんて…」

 

「トレセン学園は実力主義だから弱いウマ娘に()権なんか無い。 それは頭の悪いウチもちゃんと理解してた。 だから自己満足と独りよがりだけで駆け抜けれるターフはそこに無い。 何もユメを描けない。 求められる結果に追われるウチは間も無くだった……けどね」

 

「?」

 

「やはりウチはダイタクヘリオス(パリピなウマ娘)を辞めれなかった」

 

「!!」

 

 

 

彼女は立ち上がってアタシの二歩ほど前に立った。 夕日に照らされるヘリオスの後ろ姿は大きく見える。 小柄なのに、まるでその背を大きくして貰ったような暖かさが彼女を映し出している。 決して夕日に照らされてるから大きく見えてるわけではなかった。

 

 

「やはりウチはパリピとしてユメヲカケタイ。 それでいてトレセン学園に残って中央の世界で走りたかったんよ。 ワガママで身勝手なウマ娘。 諦めざるを得ないとしてもウチはダイタクヘリオスを辞めたくない。

そうして渇望して___マフティーを見てた。

そこにいたシービー姉貴も見て、ターフでウマ娘の喜びを感じた。 それは喜ばしくて、羨ましくて、縋りたくて仕方なかった。 だから彼ならと希望を抱いてウチはマフティーに求めた。 ウチはヘタレパリピで仕方なかったけどマフティーはちゃんと応えた(答えた)

 

 

 

 

 

_君はパリピ、俺はマフティー、それだけだろ?

 

 

 

 

 

「!!!」

 

 

マフティーは応えたんだ。

 

ダイタクヘリオス(パリピな君)ダイタクヘリオス(走りたい君)も、その名を背負って走れば良いって。 それが独りよがりでもマフティーはそうして良いと肯定して、彼女にそう描かせた。

 

それがここに居る__ダイタクヘリオスなんだ。

 

 

 

 

 

_マフティー、教えて。

_アタシはどうしたらゴールドシチーになれる?

 

_どちらも欠けなければ。

_それはゴールドシチーだろうな。

 

 

 

 

 

「ぁ」

 

 

そっか、アタシ。

 

そうだったんだ。

 

両方あるからゴールドシチーだと。

 

その二つでゴールドシチーをするんだと。

 

ダイタクヘリオスを通して理解した。

 

マフティーはアタシにそう言ったんだ。

 

 

「ヘリオスはマフティーに、それで良いって言われたんだ?」

 

「うん! ウチはそれで良いって! だってウチはダイタクヘリオスだから! パリピギャルウマ娘だから!! それがマフティーのウマ娘だって誇らせてくれた!!」

 

 

 

 

 

__お前はヘリオス(太陽神)だろ!

__マフティー(王者)に並ぶ名を持つウマ娘だろ!

 

 

 

 

「ウチはダイタクヘリオス。 パリピなウマ娘、それ以上でもそれ以下でも無い…って、マフティーは言ってくれるかな!」

 

 

「………」

 

 

「えへへ、参考になった…?」

 

 

「え…?」

 

 

「シチーの顔、ウチは良く知ってるから」

 

 

「!」

 

 

 

やかましいウマ娘な筈なのに、モデルのアタシよりもお日様のように輝いて見える。 マフティーに認められて、マフティーに応えられて、それが嬉しくて仕方なくて、彼女は今も尻尾を振る。

 

応えられたウマ娘がそこにいる。

 

モデルとして飾れるアタシなんかよりも、夕日をバックにしてアタシに笑う彼女はマフティーのウマ娘だった。

 

 

「……ごめん、アタシ、行ってくる…」

 

「ん、わかった。 頑張リーヨ!」

 

「ありがとう、ヘリオス…先輩」

 

「ズッ友なシチーは敬語も先輩も要らないっしょ! ほら! 有限と有言で実行しておいでって!」

 

 

 

ミネラルウォーターをベンチに忘れてアタシは駆け出す。 あと味の無いはずの水だったのに、空っぽなこの体に彩が注がれた気がしていた。 アタシはまだアタシを諦めていない。

 

 

「!」

 

 

走る。

 

走りゆく。

 

ウマ娘だからやはり走るのが好きだ。

 

これがアタシ、ゴールドシチーなんだ。

 

尾花栗毛を靡かせながらトレセン学園に戻る。

 

廊下を駆けて、誰も寄り付かない部屋に行く。

 

マフティーを求めるアタシは扉を開けた。

 

 

 

「はぁ…はぁ……はぁ!」

 

 

 

カボチャ頭を見つけて安堵するのと同時に心が騒がしくなる。

 

マフティーしかいないこの部屋でアタシの荒れる息がしばらく広がり、呼吸を整える。

 

するとマフティーはタブレットを閉じてアタシの前に来た。

 

 

「忘れ物か?」

 

「ッ……忘れ物! アタシの! 忘れ物…!」

 

「そうか。 では忘れたそれは…何を求める?

 

 

カボチャ越しに見下ろされるアタシ。

 

その視線は何もかもを暴こうとする。

 

怯むな。

アタシは一度逃げたんだ。

 

でも、期待を抱いて彼に求めろ!

 

マフティーにはそうするんだ!

 

この名前で求めるんだ!

 

アタシは!

 

アタシは…!!

 

 

 

「アタシは! ゴールドシチーになりたい!! 」

 

 

「…」

 

 

「だから!アタシを走らせて! マフTの貴方が走らせて!! ゴールドシチーの事を思いっきり走らせてよ!! やってみせてよ!! マフティー!!」

 

 

 

礼儀もへったくれも無い。

 

頭を下げることも忘れてアタシは縋る。

 

そのかわり涙が溢れそうになる。

 

困らせるだけのダメなウマ娘。

 

愚か者だ。

 

本当にアタシは愚か者のバ鹿だ。

 

どうしようもない問題児だ。

 

こんなので求めようとしている。

 

身勝手もここに極まった。

 

けれど…

それも忘れて必死になる。

 

勝手に期待を抱き、勝手に失望して、勝手に怒り散らして、勝手に逃げて、勝手に諦めて、勝手に理解して、勝手に戻ってきて、勝手に願って…

 

彼なら…!

 

マフティーなら!

 

貴方ならゴールドシチーを走らせると!

 

 

 

「それはこっちのセリフだ」

 

 

「ぇ…」

 

 

「__やって見せろ? …違うな」

 

 

「ぇ、ぇ?」

 

 

 

急に溢れ出す威圧感。

 

これがマフティーだと思わせる。

 

でも今は怖いとかそう思わない。

 

彼なら、マフティーなら、そう期待が高まる。

 

そして、ゴールドシチー(アタシ)に向けて言った。

 

 

 

 

「やってみせるのは__ゴールドシチーだろ」

 

 

「_______ぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レースも

モデルも

やって見せろよ、シチー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとでもなりそうだ。

 

そう思える。

 

そう思えてしまう。

 

応えられて、満たされる。

 

空っぽにマフティーが注がれた。

 

マフティーとなら、ゴールドシチーなら。

 

 

__なんとでもなるはずだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガコン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開いたゲートから、ウマ娘は走る。

 

ターフは絶好の良バ。

 

尾花栗毛のウマ娘は一人だけ。

 

え?

 

綺麗に見えるだって?

 

ありがとう。

 

それは普通に嬉しいよ。

 

でも、それを含めてアタシはターフを描く。

 

だから、そこでよく見てて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このランウェイの主役はアタシだから

魅せてあげる!

ゴールドシチーとして

最高の走りで勝ちに行く!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月の下旬。

 

未勝利戦を全力で駆け抜ける。

 

1着に ゴールドシチーの名が刻まれた。

 

何故ならそのウマ娘は彼女らしく走ったから。

 

 

 

__これがアタシ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

G  ゴールドシチー new‼

 

U

 

N

 

D  ダイタクヘリオス

 

A

 

M  マンハッタンカフェ

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 





加入に関しては若干ハイテンポだったけど、まあ良いかなと。

それよりシチーほんま閃光が似合う。
歌詞もそうだけど勢いが好き。
あとゴールドシチーとマフティー構文のMADがようつべにあるからソレも参考にした。 短いけど一本満足だから兄貴たちは是非見て、てか見ろ(変貌)


あとこのまま在宅太陽神も実装して。
どうぞ(促し)


※感想欄からNTとして感受した結果、ヅダに乗りたい方が発生したためガチャアンケートに『爆死ィィン』を入れました。 そのため今回のアンケートがリセットされました。 投票して頂いたいた方には申し訳ありません。
あと感想はなかなか返信出来ませんがモチベーションとマフティー性の向上に繋げてます。 本当に感謝してます。 いつもありがとうございます。

マンハッタンカフェは引けましたヨね????(慄え声)

  • 単発で引けた
  • 10連で引けた
  • 20連以上で引けた
  • 100連以上で引けた(登山家のコツ)
  • 引けたので致命傷では無いが?(天井)
  • バクシン!!爆死ィィィィン!!
  • 今回は引かない(差し牽制のコツ)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。