やってみせろよダービー!なんとでもなるはずだ!   作:つヴぁるnet

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新衣装ゴールドシチー素敵すぎる。




第23話

 

 

__悲報

__マフティーのウマ娘は無念の6着。

 

 

 

 

そんな記事やネットのニュース、なんならよく聞こえるテレビでも紹介された。

これを今の自分では笑って誤魔化すには辛かった。

 

 

結果一つ残せなかったきさらぎ賞からトレセン学園に帰ると大きな切り株に叫ぶ。

 

いつもならどうでも良いような事を叫んでストレスを発散していた。 だから自分はその程度でしか感情を荒ぶらせた事しかなく、喉が焼けるほどに叫んだのは初めてだった。

 

 

レースで入着なんか出来なくても「ウェーイ! 今回は無理無理かたつむりィー!」と騒いではあまり気にしなかった。

本当に気にならない。

 

それ相応に走って満足して、それ相応に走って達成して、それ相応に走っていただけ。

 

そのくらいの余裕な気持ちを作れるから、これは自分の武器だって考えていた。

 

弱ったらしい気持ちをパリピで誤魔化せることは得意だった。

 

だって自分だけ気にしていればよかったから。

 

 

でも彼と…

 

マフTと出会ってから自分だけじゃない。

 

マフティーのウマ娘として誇らせてくれた。

 

独りよがりな自分の事を肯定してくれて、マフT達の一員になれてそれは嬉しかった。

 

そこにパリピが居ても問題無くて、パリピとしてマフティーに触れる事ができた。

 

ヘタレ気味に遠くから眺めて、我慢できなくなって後ろから抱きしめていた、そんな自分に「入ってくれないか?」と言ってくれた。

 

だからすごく報われた。

 

 

ここは実力主義なトレセン学園。

 

レースで成績も振るわず、まともに結果も叩き出せないことで去るウマ娘は珍しくない。 それが中央であり、自分もその一人になる予定だった。 パリピだろうと関係ない。

 

中央と言う上澄みにそぐわないウマ娘なら誰であろうと弾き出されてしまう。

 

けどマフTはこんなウマ娘を選んでくれた。

 

握りしめていたくしゃくしゃの紙でマフTが加入申請してくれた。 好きがもっと好きになった。

 

自分もマフティーと同じように応えたくて、誇らせてくれる自分をターフに描いた。

 

取り柄しかないこの笑顔も、いずれ獲得する重賞も、マフティーに全て捧げたい。 マフティーの太陽神として許されたこの脚で果たして見せる。

 

 

そう意気込んで……挑んだ、きさらぎ賞。

 

初めての重賞レースで6着。

 

 

マフティーの名を汚した気がした…

いや、汚した。

 

 

自分の事は何言われようが構わない。

 

鬱陶しがられるのも、めんどくさがれるのも、嫌がられるのも、なにもかも慣れている。

 

 

でも、お願い。

 

マフティーだけはやめて欲しい。

 

お願いだよ、やめて。

 

それはウチだけにしてよ。

 

 

しかし中央の世界だからこそ免れない。

 

どこよりも良く目立つ舞台だから。

 

 

だから思う。

 

そうさせたのウチが弱いから。

 

だから初めて、荒ぶったこの感情を切り株の中に叫んで…涙がこぼれ落ちてしまう。

 

 

情けない。

 

情けない。

 

情けない。

 

情け無いよ…ッ!

 

何故、ウチはこんなに情けない??

 

 

デビューが遅かったから?

 

違う、ウチはもっと理解すべきだ。

 

マフティーのウマ娘である事を理解すべきだ。

 

ターフに描きたいその心が足りない。

 

その想いが足りない。

 

ウマ娘としての欠陥だ。

 

だから、もうヘラヘラとし過ぎるのは終わりなんだ。

 

でも笑う事はやめない。

ウチはそれでもパリピだから。

 

けれどマフティーのウマ娘として誇らせてくれるこの意味はもっと大きなモノなんだと胸に秘めるべきだ。 パリピとして笑いながらも、その気持ちは誰よりも負けてはならない。

 

 

ミスターシービーを思い出す。 マフTとの時間も練習も楽しすぎていつも笑っている。 しかしレースに()ける想いは果てしなく強かった。

 

三冠を夢見て、マフTと果たそうと駆けたから無敗の三冠ウマ娘となり、マフTのウマ娘として誇れる存在になった。

 

 

有マ記念も忘れない。

 

あの" 絶対" を倒した伝説のレースだった。

 

 

 

__やって見せろよマフティー(シービー)!!

 

 

 

この熱量も、この情動も、この閃光も。

 

ミスターシービーがマフティーのウマ娘である意味を有マ記念のターフに示した。

 

 

禁忌(タブー)破りのウマ娘。

 

 

誇り高いこの名を彼女はマフTに捧げた。

 

誰もが憧れる人バ一体を魅せた。

 

本当にすごいウマ娘だと思った。

 

 

 

だから (マフティー) が高い。

 

切り株の中に叫ぶ。

 

ウチは__描けない。

 

そんなターフを描ける気がしない。

 

こんなパリピに何か出来るのか??

 

 

 

「ヘリオス?」

 

「っ!!!」

 

 

 

声が聞こえた。

 

急いで涙を袖で拭う。

 

笑みを絶やさないウマ娘だから泣いてる姿なんて彼に見せたくない。

 

けれど袖についた黒いタトゥーシールと滲んだアイシャドウは誤魔化せない。

 

パリピの仮面が崩れていた。

 

 

「ち、違っ……ウチ…は」

 

「そう悲しむな。 ヘリオスはよく頑張った。 だから次は1着を取ろう」

 

 

練習中や業務中、マフティー性高い口調でトレーナーを務めるけど、今こうして担当ウマ娘と二人でしかいない時は優しい口調で彼は接する。

 

そのギャップもまたマフTの一つだと思わせてくれる人間味はウマ娘にとって心地よい。

 

マフTのウマ娘でなければ誰も知らない特権だ。 色んなモノが溶かされてしまう。

 

シービー先輩は良く言う。

マフTはウマたらしだって。

本当にその通りだと思う。

 

そんな彼がトレーナーだから……

 

 

 

「次は、ウチが1着を取る…ッッ!」

 

 

 

自分がパリピであることを忘れて、情けないダイタクヘリオスが許せない自分は覚悟を決める。

 

 

マフTは言う。

 

遅めのデビューだったから地固めが甘かったと言ってた。 それは先輩のミスターシービーも同じように頷き、もうひと磨きすれば次は必ずと言って良いほど1着を取れるだろうと告げていた。

 

マフTもそうだし、マフティー性に多く触れているミスターシービーの言う事ならそれは間違いない。

 

だからウチは信じて走る。

 

ウチはウチとして走り、ダイタクヘリオスを強くした。 でもその代わり友達は言う。

 

 

少し雰囲気が変わった??

なんか面構えが違くない??

 

 

中等部三年になって少し大人っぽさが増えたのなら多少なり変わったと思うけど、それは多分ウチの心構えだと思う。

 

本気になったウマ娘は雰囲気が変わるらしいから、多分それだと思う。

 

でもウチは誤魔化した。 それが何故か自分らしくなくて、マフティーのために独りよがるだけだから語るほどでもないと思ったから。 ウチは純粋に自分が許せなかっただけだから。

 

マフTのウマ娘だからそうなれた。

周りにはそう誤魔化した。

 

それは間違ってないと思う。

 

こんなにもマフTに応えたいで溢れてるから、マフTによって変わったのは間違いではない。

 

もちろん笑顔は忘れてない。

 

パリピなダイタクヘリオスはそうであるから。

 

でも笑う回数は多分減った……と、思う。

 

 

でもそれだけ本気だ。

 

慣れてきた究極のごっこ遊びに身を投じる。

 

逃げとしての脚質をこれまで以上に理解して走る。 後ろからの圧力をむしろ追い風に走る。

 

コーナーの走り方も強く意識した。

 

これが重賞を目指すウマ娘なんだと考えながら、シービー姉貴にも並走を頼んでこの先に浮かぶ自分を描く。

 

 

マフTのウマ娘として誇れるようにダイタクヘリオスを描く。

 

弱くて良いはずがない。

 

マフTのウマ娘なら強くないと……!!!

 

 

 

 

 

 

__ ダイタクヘリオス! 逃げ切った!!

__ エプソムカップは1着ゴール!!

 

 

 

 

 

自分にとってのリベンジ戦。

 

レースで一着を勝ち取り、センターを踊る自分の姿をマフTに捧げた。

 

いますごく笑えている。

 

パリピとしても、ダイタクヘリオスとしても、マフTのウマ娘としても笑えている。

 

笑えてる()だ。

 

 

 

 

__今までの弱い自分とは、お別れをした。

 

 

 

 

でも、これはプラマイゼロだ。

 

いや、少し違う。

6着のきさらぎ賞から、今回のエプソムカップまで3ヶ月ほどの期間があった。

 

その分を返上するとしたらまだマイナス。

 

マフTのウマ娘としてまだまだ。

 

だから、もっと笑える自分のために。

 

マフTのウマ娘として誇れるために。

 

誇らせてくれるマフティーのために。

 

 

 

「次は、マイルCS……」

 

 

 

タトゥーシールを貼り終えた自分の顔が鏡の前に映し出される。

 

今日もウチらしく笑っているよね?

 

 

うん、笑っている。

 

こんなにも笑っている。

 

パリピだから笑ってるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

__それでダイタクヘリオスは良いの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、ぜんぜん良いよ。

 

チョー、アリありのアリ。

 

アリが10匹、ありがとう。

 

あざまる水産。

 

 

ほら、笑えているっショ??

 

だって、ウチはマフTのウマ娘だから。

 

なにも間違ってないよ。

 

 

 

 

これがマフTのダイタクヘリオスな…筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレセン学園で…

 

腐敗が広がってしまって数年目。

 

内部では下手な独裁が続いては、残された新人は浮かび上がり…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカアアアァァァン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てな、訳で!

 

始まってしまった内部告発!

 

公にされて早口になり始めるベテラントレーナー達!

 

甘い蜜を啜るのが好きな独裁者って奴だ!

 

ちなみに、共有施設を占領して上澄みで安定させようとするのが勝ち組、改正の反対派。

 

そんな反対派にふざけんな!と噛み付いたのが負け組、改正の賛成派。

 

二つの党派はトレセン学園の改正または改変を求めたり否定したり叩いたり、チーム名が無いだけで権限をギャン!言わせてたが、基本的には長くいるベテランか、経験浅いトレーナーの取っ組み合い。

 

戦いは経験量だよ兄貴ッ! って等の前理事長が安定求める故にそうしてたように、奴らの独裁に押されて賛成派は一時的に敗北。

 

チーム名の無い底辺はハイハイと聴くしかない現状が出来上がる。

 

中央なのに見苦しい話だろ?コレ。

 

それでは収まらないって賛成派は巻き返すよどこまでも!

 

 

でもコイツら聞き分けなくてダメ!

 

アイツも過去の栄光に縋ってダメ!

 

ソイツは後輩の教育を捨てたからダメ!

 

 

じゃあてなもんで! 東条トレーナーも動いたがスレスレの一触即発なので下手に動けず…

 

オイオイこのままでは独裁をまた許しちゃうの!?

 

 

だがところがどっこい!

 

実は最初から高められていた飛んでもパワーのマフティー性! 過ちを犯した者から片っ端に反省を促して! そんなマフティーに魅力を感じて世間は大ブーム!

 

おっとそれでは俺たち立場やばいよってんで、反対派は全抵抗。

 

しかし皮肉にも反対派はマフTに敵わなかったのかガバが表れ、結果も! 成績も! 実績も!

 

マフティー性によって勝ち負けが左右させられ、反対派は慌てて鎮圧を開始。

 

試しても捗らない? じゃあ隙だらけな反対派にマフティー性が爆誕。

 

マフTを見下してた過去も何だったのか?

 

施設占領や夏合宿を置き去りと弄り回すもんだから、倍返しだって起こる。

 

ほぉらやっちゃった??(倍返し)

 

しかも怒りに溢れた秋川やよい理事長の暴走事故にて、例の如くやらかしまくった反対派だから、逃げ場を失う反対派や賛成派はマフTに俄然注目!

 

反対派のほとんどが解体されたが、支えを決めようと争奪戦が始まった。

 

 

__マフティー性に秘められた力は…

 

__ウマ娘の幸せを解き明かし…

 

__URAに永遠の安定を約束する…

 

 

 

 

 

 

ってオイ!?

 

これやっぱり別の人が良いんじゃないの!?

 

大丈夫!?

 

と、思った総リーダー! マフT登場!!

 

ウマ娘のために促して!!

 

 

ロングランヒット(長距離並に促し)しちゃうんだよなぁコレが!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、現実逃避できない茹でカボチャだったのか。 ふっ…俺って不可能を可能に…」

 

「さっきから何言ってんの?」

 

 

浴衣姿のカボチャ頭はシュールだとして、モデル業のゴールドシチーは浴衣姿が大変似合っている。

 

しっかり1日目に「綺麗だな」って言ってあげたら「はいはいどうもー」と慣れたような反応が返ってきた。

 

ちなみに一連を見ていたパリピも褒め言葉が羨ましかったのか急いで浴衣姿になると横腹に飛びついて来て尻尾ブンブンと感想を促してきた。 しかし着慣れてなかったのか浴衣姿の結び方を間違ってたので俺とシービーはそれを指摘しながら同じタイミングで写真撮って「大事にするよ」と言ったら頭真っ赤にしてヘリオスは爆逃げを開始。

 

それを見たシービーは「ねぇねぇねぇ!!」と撮った写真掲げながらヘリオスに追い込みを掛けて、ヘリオスは混乱しながらも顔を赤くしながら逃げていた。 G1ウマ娘に背後取られるとか怖すぎる。 そのままシービーは赤面する後輩を虐めながらめっちゃ写真撮ってた。 夏でも元気だよなあの三冠バ。

 

ちなみに浴衣姿が1番似合ってたのはカフェでした。 まだ中等部の彼女も黒髪美人に早変わりでシチーと「おおー」と感想を残す。 褒められ慣れてないカフェは反応に困りながら頬染めて行き場の無くした指をモジりながらモジってた。

 

シチーの場合は口紅を塗って、お化粧して、簪とかもっと飾れば誰よりも似合うだろうけどシンプルな浴衣姿はカフェに軍配が上がる。

あれ?黒髪美人=エクシア。

つまりカフェはガンダムエクシアだった…??*1

 

 

カフェしか勝たん

 

 

そこは同意するけど勝ち負けの案件ならお前レースでカフェに勝たせないだろう何言ってんだコイツ?って言ったらイマジナリーフレンドからアイアンクローされた。

精神体が物理攻撃してんじゃねーよ。

 

しかもさりげなくカボチャ頭のⅠフィールド(マフティー性)を突破してダークネスフィンガーしてきたのはビビった。 しばらくイマフレとガンダムファイトして最後は押し入れにぶち込んで閉じ込めてやった。 ガンダムファイト国際条約に沿って頭部が破壊されなかったから俺の勝ちですね。

 

 

マフティーのやり方、正しくないよ(怒)

 

お前それ言いたいだけだろ??

 

 

 

さて、そんな1日目はともかく念願の夏合宿を満喫して1週間が経過した。 実はあと3日で帰ることになるがこれは仕方ない。 俺が短めの期間を選択したから。

 

それよりも俺はこれまで起きた怒涛の展開を頭の中で整理していた。

 

公式でゾルタンが3分で説明してたので俺も一旦整理するため脳内で3分間に纏めようとしたがご覧の有り様である。 ゾルタンあっかんねーで実験に失敗したフェネックスのようにオーバフローした。

__ 鳥 に な り た い な

 

 

あと現実逃避が捗らない俺の一人部屋にゴールドシチーがいるのはこっちの方が静かで寛げるからだ。

 

寝泊まりする部屋にヘリオスがトーセンジョーダンを呼んで、元気有り余ってるシービーが便乗したことでかなり騒がしいからだとか。 あとカフェは逃げ場を無くしたようだ。 3機の元気なデルタプラス相手に孤立したような状態だ。 可哀想に。

 

 

 

「それで? マフTは何悩んでんの?」

 

「さりげなく重役の席に座らされてまだカボチャ頭と脳が追いついてないだけだ」

 

「ふーん、パンプキンしてる訳ね」

 

「やかましいわ。 よく喋る」

 

「あー!もう! それやめろっての!!」

 

「フっ………よく喋るッッ!!」

 

「だぁー!神経が苛立つ! このバカボチャ! 南国に返してやろうかそのカボチャ!」

 

「ゴールドシチーは起床難の幽霊なんじゃないかってなwww

 

ま”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ふ”ぅ”ぅ”ぅ”で ぃ”ぃ”ぃ”い”い”!!!

 

 

そう言って耳を絞った(◬掛かりぎみ)ゴールドシチーは飛びついてきた。

 

普通ならウマ娘パワーとその高速移動に勝てないけど、NTの勘で先読みして受け流すとシチーは「ちょ!?」と驚きながら座布団の上にビターン!と潰れる。

 

そのまま座布団で蓋をして俺の勝ち。

 

 

「ちょうしのんなー!」

 

 

天井まで座布団が噴火する。

 

俺は後方に逃げるがウマ娘パワーでなんなく捕まってしまう。

 

そのまま畳の敷布団に押し倒されると馬乗りにされてカボチャ頭に手をかけられた。

 

そして、カポっと脱がされてしまった。

 

 

「このまま別国へ島流しにしてやるから!」

 

「マフティーが外来種になるだろ!」

 

「元々カボチャは外来でしょ!」

 

「マフティー性は国産だ!」

 

「うっさい!」

 

「よく喋る!」

 

 

それから品質改良(精神)されたカボチャの争奪戦はゴールドシチーに軍配が上った。 ウマ娘パワーに勝てない人間の俺はかけ布団で全身をグルグル巻きにされて放置される。

 

こればかりはNTで解決出来ないので俺は白旗を上げてシチーのハイジャックが終了した。

 

あとカボチャ頭脱がされて拘束されたりとそこまで原作再現に忠実じゃなくて良いから。

 

 

「動けない、起こして」

 

「自分で起きればー?」

 

「あー、なるほど。 コレが本当の起床難か」

 

「うっさ」

 

 

俺の素顔を見ても対して反応しなくなったゴールシチーはカボチャ頭を指でくるくると回しながら「耳の部分を開けたらウマ娘用になる?」と尋ねて来たので「ヘリオスが試してた」と答えながら自分でぐるぐる巻きから抜け出す。

 

一定の戯れ合いが終わったのでシチーからカボチャ頭を返してもらう。 被る気の無くなったカボチャ頭はテーブルの上に置いて、座布団にライドオン。 タブレットの電源を入れてこれまでの練習成果を確認することにした。 軽めのワーカーホリックだけどトレーナー業が楽しくてやってるから寧ろ軽めの症状が丁度いいくらいだ、構わずデータ入力を始める。

 

シチーも取っ組み合いに乱れた髪を整えるため、適当に座ると俺のバックから担当用に使う櫛を勝手に取り出して髪の毛を梳かす。

 

しかし尾花栗毛はいつ見ても綺麗だよな。 今年やっと夏合宿に参加できたブリッジコンプとかのウマ娘も同じ尾花栗毛だが、それでもシチーは100年に1人と言われる美毛持ちだ。 梳かす度にキラキラしてやがる。

 

 

 

「マフTはこれからどうなるの?」

 

「それは人柱にされた事か? 心配せずともいつも通りトレーナーとしての勤めを果たす。 総リーダーとして名前だけは偉そうに身構えるだけだ。 そうすりゃ死神も来ないからな」

 

 

マフティー性に希望を抱くたづなはマフTの存在が強力な抑止力になると考え、トレーナー達の総リーダー的存在になって欲しいと言われた。

 

俺はそこまで大それたこと出来ないとやんわり却下したが、東条トレーナーから推薦で逃げ道が無かった。

 

秋川やよいからも「適任ッ! マフT頼むッ!」と大いに期待されて。

 

たづなからも「私に出来るなら何でもしますから!」と迫られて。

 

東条ハナがトドメに「私が認めたトレーナーで無ければ推薦なんてしないわね」と囲われる。

 

3人からジェットストリームアタックを受けて俺は無事に撃沈である。

 

NTの俺がジェットストリートアタックを乗り越えれないのはアムロじゃ無いからだろう。 例えマフティーだろうと女性は難関だ。 ギギが分かりやすい証拠だと思う。

 

 

「でもマフTが人柱にされる事で…それで、ええと…反対派? の様なトレーナーが生まれなくなるから形だけでも居座って欲しいなんだっけ? やはり抑止力として使われてるよね」

 

「今となっては()()()()()()マフティーは皆から恐れられてるからな。 まぁ理事長とは就任する前からに一度コンタクトを取っていてな、それでマフTのことは目をつけてたらしい。 それで有マ記念の実績がトドメとなってこれを利用しない事はないと。 俺も賛成派だから反対派の鎮圧は自然と始めるつもりだったが総リーダーとしての大役は予想外だ。 うーん、東条トレーナーじゃダメなのか…?」

 

「マフTはマフティーとしての力があるでしょ? そこに現るだけで揺るがせてしまう誰にも無い武器が。 ただの強面がそこに居るのとは全然違う。 そりゃ理事長もマフTの人格を気に入ったらそうするって。 マフTほどの味方は心強いと思うけどね。 現にアタシがそうだし? あのマネジを折れさせたのはマフティーならでは」

 

「いつからマフティーは脅迫材料になったんだ」

 

 

いや、むしろマフティーはそれが普通なのか。

 

役目として果たすのは組織の粛清と反省の促しのテロリスト紛いな行動だが、危険人物として他者を大いに警戒させる影響力を持っている。

 

原作でもマフティーの名を借りて軍資金の調達をするくらいだ。 よくよく考えたらマフティーはそのくらい影響力を与えてしまう。 俺は凡ゆる方面で誤魔化すためにマフティーを演じただけで、テロリスト紛いなマフティーは求めてなかったが、それでも行き着いた先は危険人物として恐れられるマフティーだ。

 

URAも最初は俺のこと警戒してたし、今も変わらず異端児のトレーナーだと警戒してるが、ミスターシービーの実績も合わせてURAは過去最高の盛り上がりに繋がった。

 

 

無名のカボチャ頭から中央トレーナー。

 

マフティーダンス。

 

空前のマフティーブーム。

 

無敗の三冠ウマ娘のトレーナー。

 

そして、伝説と言われる有マ記念の激闘。

 

 

カボチャだけに大豊作だなオイ? そりゃURAも盛り上がるわ。

 

俺がお茶の間ならマフティーもウマ娘のレースも追いかける間違いなく。

 

でもURAは危険人物として扱うらしい。 比較的好印象だけどやはりマフティーであることが先行(閃光)して今も危険に思われてる。

 

まあ、これもマフティーとして名乗った者の末路だろう。 寧ろこれを楽しんでおけと言うべきか。 いや無理だろ。 いま絶賛頭を悩ましているところだ。 総リーダーとしての重役とかカボチャ頭より重たいし正直楽しむどころじゃ無いんだが?

 

何より前任者による三女神の願いも合わさって気づいたら俺もハイブリッド化してるし。

 

あれ?

実は俺って成り上がりの異世界チート転生系??*2

 

 

 

 

 

タイトル

マフティーが異世界に転生したようです。

 

 

 

 

 

 

いや、これ売れる? *3

 

普通にハサウェイの原作でよくない??

いや、その前にこの世界にガンダムないから無理だ。

 

 

 

「とりあえず現実逃避のために練習メニュー(究極のごっこ遊び)を構築する。 こ、この悩みは明日のマフティーに任せよう。 な、なんとでも、な、なるはず、だ…」

 

「震え声で芝1400なんだけど」

 

 

1400とかデンドロビウムかな?*4

 

 

あとゴールドシチーこそ、デンドロビウムだろ。

もちろん花言葉の意味でな。

いや、気性難なだけで少し違うか。

 

 

「ほんと、マフTって面白いね。 最初はスゲー!ってアタシも思ってたけどカボチャ頭()を開けたら見事に裏切られたし」

 

「ダイタクヘリオスがいる時点で気づくだろ?」

 

「そんな事ないよ? ヘリオス先輩はマフTの事をめちゃくちゃ自慢してたけど、それってありのままを許していたと受け止めてたからさ、パリピだろうと許したマフTって寛大なんだって皆思ってる。 だからこそ選ばされた者で無ければマフTのウマ娘になれないと思ってるし、中にはそれが神格化のようなモノとして繋げてるよ」

 

「俺は人間だぞ? カボチャ頭を被ったな」

 

「しってるよ。 だからいい意味でも裏切られた。 素顔を晒せるマフTは人間で沢山なんだって。 特別だけど、特別だからと言ってそこまで遠くないから安心した。 多分それってミスターシービー先輩も、ヘリオス先輩も、カフェも同じ。 あと秘書のたづなさんもかな。 マフティーのマフTを知ってる人は皆そう思ってるよ。 それがまたアタシにとってよかったかな」

 

 

髪を梳かし終わったゴールドシチーはアルコールティッシュで櫛を消毒しながら続ける。

 

 

「あのさ、アタシは尾花栗毛のウマ娘として生まれて特別だったよ。 最初はそう思ってアタシだけの自慢だった。 でも途中からその特別に嫌気が差した。 周りのウマ娘と世界もターフも違う気がして、気づいたらお人形のゴールドシチーってウマ娘になって勝手に遠くなった気がした。 トレセン学園の門を叩いて特別でもなんとも無いアタシを証明しようとして、力不足だった。 飾られれば綺麗なお人形になるゴールドシチーは特別過ぎたから、特別では無い走れるゴールドシチーにランウェイは無い。 特別が優った。 でもマフティーは違ったよね」

 

 

消毒の終えた櫛を乾いた布で拭きながら更に続ける。

 

 

「まず最初に貴方は特別だった。 その特別をどうやって制御してマフティーとしての力にしてるのか気になった。 だからマフTのトレーナールームまでやってきた。 でもマフTから言われた言葉は最初わからなかった。 あー…ここら辺は思い出すと恥ずい話だから飛ばすけど、すごく胸にスッと入ったよね」

 

 

__モデルもレースもやってみせろよ。

 

 

 

モデル(特別)がそうならレースも特別に出来るゴールドシチーにすればそれは良い。 ヘリオス先輩からもそう聞いた。 今考えたら随分と脳筋気味た応えた方だけど、マフTはちゃんとそれがアタシに出来るようにしてくれた。 未勝利戦を突破して次のプレオープンも計画している。 だから、何というかさ、全否定しない貴方はおそらくだけど、マフティーは特別だけどマフTは特別じゃ無いと受け止めてるから。 マフTはマフティーだし、マフティーもまたマフTだって事だよね? あー、言ってることわかる?」

 

「わかるよ。 それにさっきシチーが言ったろ? 人間で沢山だって。 ただ俺はさ、このカボチャ頭は必要だったからそうしなければならなかった。 過ちも、救いも、このカボチャ頭にマフティーの意味を込めて特別にした。 でもそれは俺が特別では無い人間だから出来た。 最初はなんて事ない普通から始めたんだよ俺は。 素顔を見せられるのはその証だ」

 

「うん。 そうだね。 コレと言ってイケメンでも無いね」

 

「そんなシチーは綺麗なのに気性難だよな。 担当の中で1番困ったウマ娘だ」

 

「知ってる。 コレがアタシだから」

 

「ああ、そうだな。 だからモデルもレースも、やってみせようとする君は濁りなくゴールドシチーだ。 そこに特別の優劣なんか入れるな。 どっちも誇れ。 楽しみたいだけで走るミスターシービーも、パリピを捨てたく無いダイタクヘリオスも、摩天楼に搖れるマンハッタンカフェも変わりない。 それぞれが受け止めた名前と、そこにある個性を誇れ。 俺がカボチャ頭にマフティーの名前を付けたようにな。 仮にそれが独りよがりだろうと構わない」

 

「…ん」

 

「俺が、許す」

 

「あはは、そんなに熱弁しなくてもいいよ…………ありがと」

 

 

 

櫛を俺のカバンの中に入れると「おやすみ」と言って部屋から去る。

 

その横顔は嬉しそうに見えた。

 

ウマ娘としての喜び。

 

 

 

「……ああ、それで良い」

 

 

 

タブレットから目を離し、横に置いてあるカボチャ頭に目を向ける。

 

 

 

「君は…いや、君たちは、まだ一人よがるべきだ。 この学園にいる以上は好きに描くべきだ」

 

 

 

 

思い出す。

 

出会いは湿った夕方の空。

 

 

 

 

 

 

_おーい!

_そのミスター・パンプキン・トレーナー!

 

 

 

彼女はマフティーからしたら一人目。

 

 

 

 

_君もトレーナーさんかな?

_それで、楽しい走りに見えたかい?

_それとも……

_ただ、すごかった様に見えたかな?

 

 

 

 

尋ねられて答えたのは「すごかったのか?」と疑問に放った言葉。

 

トレーナーとしての欠陥。

それはそうだったと思う。

アスリート選手としての力を見てない。

 

ただそこにウマ娘が走っていただけ。

 

今はわかる。

彼女はとんでもなく凄かった事を。

デビューする前のその脚は立派だった。

 

でも、今でも、ただ、それだけ。

 

 

やはり俺は感じたのは…

 

 

 

 

 

 

__ねえ、もう一度聞いて良い?

 

 

 

 

 

なんだ?

 

 

 

 

 

__アタシの走りはどうだった??

 

 

 

 

 

 

 

 

「そりゃ、ウマ娘らしかったさ」

 

 

ミスターシービーってウマ娘らしい走り。 ターフに楽しみを描きたいだけのウマ娘。 トレセン学園にそぐわないと思われた一人のウマ娘。 もっと自由意志が尊重されるならもっと幸せに描けただろう。 だから惹かれた。

 

マフTは彼女に。 彼女はマフティーに。

 

その在り方に惹かれあった関係だ。

 

今はミスターシービー以外にも担当がいる。

出来れば不自由はさせたく無い。

だから俺は君たちの代わりにマフティーする。

 

 

安心しろ。

 

いくらでも独りよがれ。

 

いくらでも求めていけ。

 

マフティーはそれでも大人だから君たちに応える。

 

 

 

「だからこのマフティーがウマ娘やトレーナーにとって、哀しい世界は二度と起こさせない」

 

 

カボチャ頭を手に取る。

そしてカボチャ頭をみる。

マフティーの意味を込められたこのカタチを。

 

 

「…」

 

 

 

目を閉ざす。

 

カボチャ越しに聞こえた声は幸せだけではない。

 

マフティーだからこそよく聞こえた__世界の声。

 

 

 

 

 

 

 

 

__よくも!!よくもおまえらは!!

 

 

 

 

 

__もっとウマ娘のための学園だろ!! どうして君たちは!!

 

 

 

 

 

__あの子のためにもっと俺はしてあげられた筈なんだ!! あの子の!! 担当の…!!時間を返せ!!

 

 

 

 

 

__あと少しでブリッジコンプは初めての重賞を取れたはずだった! しかしお前らのような屑が居たから…!!

 

 

 

 

 

__パルフェは…パルフェはな…! いま!泣いているんだぞ…!

 

 

 

 

 

__ジュエル、ごめんね……何も出来なくて……私が、弱くてごめんね…

 

 

 

 

 

__トモエナゲにもっと満足なトレーニングをしてあげたかったさ!! もっとなぁ!!

 

 

 

 

 

__後輩の教育を捨てたトレーナーの屑だって、はっきりわかんだね。

 

 

 

 

 

__あの子はな! 優しいから笑顔で学園を去ったんだ! 僕を心配させないためになぁ!

 

 

 

 

 

__担当のターフを奪ったお前らなんか! あんたってヤツはァァァ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カボチャ頭を被れば凡ゆる悲痛が聞こえる。

 

それはマフティーだから鮮明に拾った声。

 

その痛みはマフティーだからよく感じ取れる。

 

 

 

何故トレーナー達の悲痛が聞こえたのか?

 

 

 

それはマフティーだから。

 

痛みを怒りに変える存在。

 

悲しみを憤りに変える存在。

 

 

変えてほしい。

 

救ってほしい。

 

助けてほしい。

 

 

それをマフティーに求めているから。

 

それをマフティーに期待してるから。

 

それをマフティーに希望を抱いてるから。

 

 

だから理由なんて呼吸する様に普通である。

 

疑問に介入の余地はない。

 

何故なら俺がマフティーだから。

 

なら、マフティーとしてやることは一つ。

 

 

 

 

 

「トレセン学園の過ちはマフティーが粛清する」

 

 

 

 

もう何度目だろうか、この言葉も。

 

カボチャ頭で染める度に決まる覚悟。

 

そうやって繋げて自己暗示はここでも俺をマフティーたらしめる。

 

なら、マフティーするだけだ。

 

 

 

俺は明日もこのカボチャ頭を被る。

 

ただそれだけ。

 

 

 

 

 

つづく

 

*1
OOガンダムのOP参照

*2
はいそうです

*3
勝手にパリピが書いてプレミアムがついた

*4
直径140mのモビルアーマー




運営や内政の描写苦手だからゾルタンに3分でまとめてもらった。
便利だった(小並感)


一応大まかな流れは以下のように。

・6月、騒ぎは起こった。
・秋川やよい、立つ!!
・トレーナーのクリーン作戦開始。
・招集ッ! ウマ娘の幸せはここだ!!
・皆!マフTの集え!(扇子を真上に掲げ)
・マフTだ!
・マフティー性の魂!
・そうだ…ッッ!!
・トレセン学園の調和は我らにある!
・うおおおおおおおおお!!!!!!
・うおおおおおおおおお!!!!!!
・マフT(やよい盛りすぎじゃね…?)
・たづな(いえ、とことんやりましょ^^)
・マフT(コレたづなも限界来てたか…)
・被害にあったトレーナー達の悲怒が爆発。
・「謀ったな…!マフT…!!?」
・「君たちがいけないんだよ…反対派」
・有無言わせず粛清が開始。
・この時だけ独裁者となった秋川やよい。
・「さぁ!貴様の罪の数を数えろ!!」
・反対派の9割が学園から消える。
・反対派にいたウマ娘を回収、担当振り分け。
・URAはこれを聞いて激おこ。
・マフT「お前らはマルゼンの件忘れてないぞ?」
・URA「(´・ω・`)その件はマジごめんって…」
・ここでシンボリルドルフが会長に就任。
・トレセン学園の内政を変え始める。
・共有施設がちゃんと共有施設するようになる。
・当然のように人手不足が加速する。
・マフT「地方に飛んでったTを集めない?」
・やよい「なら目印が必要だな!」
・たづな「総リーダー作ろうぜ!」
・東条T「お前(マフT)ボールな!」
・マフT「( ˙-˙ )スン…」←いまココ


ゴールドシチーが未勝利戦に向けて頑張ってる間にこんなことが起きていました。

マフティー性に触れたやよいがクンタラに引けを取らない独裁者となって次々と選別、解雇、左遷、粛清を行い腐敗を潰し回った。 マフTも手伝ったけど、この時マフティーよりマフティーしてるのは秋川やよい理事長だったと思う。 子供の理事長だと思って高を括ってたやつらは見事に打ち砕かれましたとさ。

あと反対派のトレーナーに育てられていたウマ娘は色々あった。 同じように甘い蜜を啜って良しとしたウマ娘、なかなか抜け出せず負い目を持ってるウマ娘、そんなトレーナーでも慕ってた故共に学園を去ったウマ娘いろいろと。 こればかりは引きずり続けていた情けない学園が悪い。

てなわけで、雑に反省を促して、やよいが粛清してくれました。
もちろんマフティーがあってこそのトリガー。
まぁおそらくマフTがいなくてもやよいは何とかしたと思うけど、マフティー性のバフが掛かって勢いが凄まじかったし、前理事長と違うことを証明してトレーナーやウマ娘の希望になったと思う。 多分秋川やよい強化はこの小説ならではだとおもう。
彼女もまたトレセン学園のマフティー()である。

そんな感じで連邦軍なトレーナー達との睨み合いの末はあっさりしてるけど、サクサク進まないと作者のキャパが大気圏突破して破裂するから許してくれ。


ではまた

晩秋、囃子響きたるガチャで目当ては引けました?(震え声)

  • シンボリルドルフ(新衣装)
  • ゴールドシチー(新衣装)
  • ナリタブライアン
  • カレンチャン
  • 全部引いた(独占欲のコツ)
  • バクシン!!爆死ィィィィン!!
  • 今回は見送り
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