やってみせろよダービー!なんとでもなるはずだ!   作:つヴぁるnet

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第26話(挿絵有り)

「オレは、鉄華団団長、中央のトレーナーだぞ、この程度なんて事ねぇ…」

 

「ねぇ? 僕たちはこの先何をやれば良い?」

 

 

 

「とりあえず戻って来ないか?」

 

 

夏合宿に参加出来るようになったとはいえ、俺は訳あってキャンピングカーを使い、担当ウマ娘を一人連れて遠征に出ていた。

 

それで途中でとある地方のトレセン学園に向かい、そして色々あって中央から抜け出したトレーナーとコンタクトを取ったところだ。

 

中央から抜け出した、または追い出されたと言う表現も正しいだろうか。 反対派に嫌気がさして中央を出たり、奴らに追い込まれて追い出されたり、活動の継続が難しくなって中央を去ったりとさまざまだ。

 

そんな元中央のトレーナーだった者に「みんなー!中央は良いとこだぞー!早く戻ってこーい!」と何処そのムーンレイスよろしく、こうして集めているところだ。

 

それで何故俺が勧誘してるかと言うと現在キャンピングカーを使って担当ウマ娘と絶賛遠征中なのだが、秘書のたづなが元中央のトレーナーだった者のリストをまとめると俺のメールに転送して「ついでに勧誘して来てね」とマフティーの事を顎で使ってくれたからだ。

 

随分と躊躇いなく(文字を)打ってくれるじゃないか、このダービーウマ娘(トキノミノル)、なかなかやってくれる。

 

まあ人手不足だから誰かが動かないと解決に至らないので、それがマフティーたる俺だとしても使えるものは使う精神だ。

 

あとマフティー性が込められた人柱だからこそ普通の勧誘とは違うわけで、その期待値が高いらしい。

 

これなら「バエルの元に集え!」って言う方が早いんじゃ無いか? 特にこの希望の花咲かせそうなトレーナーなら…

 

いや、そうなると結末があかんわ。

辞めておこう。

 

 

「そうか、仲間たちの元に戻れるのか……」

 

「うん、戻れるみたいだね、またあの場所に」

 

「そうだな、出来れば戻りたいとは思ってた」

 

「なら、やることは一つだね」

 

 

てか、この二人は大丈夫か??

 

トレーナー(団長)サブトレーナー(悪魔)であることはまあいいけど、この二人の名前がまんまそれだよなぁ…

 

完全に宇宙ネズミでオルフェンズしている二人なんですがそれは。

 

いや、まあ、すごい頼もしい異世界オルガしてるような二人だけど、やはり中央は本当の意味で魔境なんやなと、再確認した。

 

まあ良いや。

そもそも俺もマフティー(危険人物)だし。

 

ヤベーヤツが居るのは上等だ。

ゴルシとか、ゴルシとか、ゴルシとかな?

 

あとゴルシだな。

 

 

「後にこの番号から掛かってくる筈だ。 そしたら駿川たづなから案内が来る。 その時にまだ戻る意思があるなら伝えてくれ。 その都度案内が来る筈だ。 では俺は行く。 中央で会える時を楽しみに待っている」

 

「ま、待ってくれ! お前は…!」

 

「今はウマ娘のためにマフティーたらしめるだけだ。 だから何も問わずに決めろ。 中央で成せるならその続きはそこで描けば良い。 気まぐれなジャックオーランタンがその橋渡しをした程度に今は受け止めておけ。 …止まるんじゃねぇぞ」

 

「…ッ……恩に着る!!」

 

 

 

俺は背を向けながら左手をあげて返す。

その時に人差し指だけ伸ばして、さよなら。

 

そのまま地方のトレセン学園を出ると、途中途中で学生のウマ娘から「ほ、本物だ…」とヒソヒソ話が聞こえたがもう慣れたことだ。

 

世間に対するマフティー性の影響力を再確認しながらしばらく歩き、キャンピングカーで待っていたウマ娘に声をかけた。

 

 

「待たせたな、ヘリオス」

 

「問題無い無いナイル川! あ、それでエンカは出来たん?」

 

「出来たよ。 俺に負けず劣らずなイロモノだったけどその眼は中央のトレーナーだった。 戻ってくるなら期待できそう」

 

「マフTにスカウトされたらもうアゲてくしか無いっショ! だってマフティーやん!」

 

 

随分と信頼されている。

 

いや、ダイタクヘリオスはそうだったな。 彼女は無条件と言って良いほど心を寄せてくれる。

 

ちぃ! やはりマフティーはギャルに優しくされてることになるらしいな! ええい! 情けない奴め! オタクにもマフティーにも優しいギャルは都市伝説だろ!!

 

 

「マフT、どったん? もしかして疲れたん? ならウチがかるく肩揉んだげようか?」

 

「大丈夫だよ、ありがとう。 出発しよう」

 

「了解しマングース!」

 

 

(優しさが)圧倒的じゃないか!!

 

てかギャルが優しいと言うよりダイタクヘリオスって女の子が優しいだけだと思うんだよね。

 

普通に良い子すぎなんだよ、この子。

 

そもそもウマ娘は良い子が多くて泣けるわ。

元が馬だからこそ、温厚なんだろうか。

 

 

そのかわり変わり者は多い。

 

おう、お前だよ、アグネスタキオン。

 

お前が騙して飲ませた薬のせいで赤く発光してマジでトランザムしてしまったじゃねーか。

 

歩いたら赤い残像が生まれて、周りのウマ娘は怯え始めたから、仕方なくトレーナールームに篭ると、それを見てミスターシービーが他人事のように腹抱えて笑いやがった。

 

俺は八つ当たりにトランザム状態でマフティーダンスを行い、振り付けのたびに残像を生み出してやると、シービーは強烈な音を立てながらバタバタと笑い転がってそのまま顎が外れた。

 

シチーの呆れた視線を受け止めながらシービーの顎を戻して、次はそれを見て笑い過ぎたダイタクヘリオスの顎が外れたから結果的にアグネスタキオンを恨むことにした。

 

それでカフェが代わりに謝ってたがコラテラルダメージと茶化していたタキオンにお仕置きが必要と考えたので一枚だけ適当な紙を睨んで燃やしてやった。 後方の悲鳴を聞きながらイマフレと話しつつ去った1日を思い出す。

 

アグネスタキオンとはあまり関わりたく無いかな。 色々と困る。

 

だから誰かモルモット(緩衝材)になってやれよー!

はー、やー、くー!

ほらー! はー、やー、くー!

なって、くれよーぉー!

 

 

 

「ところで何処にゴーしてんの? なんか結構遠くまで来てるくね?なくなくね?」

 

「そりゃ青森まで向かってるからな」

 

「めちゃ遠いやん! なんか見に行くん?」

 

「光のアゲハチョウって言ったら分かるか?」

 

「分からん!」

 

「ちなみに、むつ市だ」

 

「分からんラン!」

 

 

パリピギャルに地理を求めたのが間違いみたいだ。

 

あ、ちなみにカボチャ頭は外して運転してる。

 

外からは見えないスモークガラス性にしているので外部からのプライバシー云々は守られている。

 

そのかわりダイタクヘリオスだけは隣の助手席に座って、足をプラプラとさせながらこちらを見ている。 今だけマフTの素顔を独り占めしてるから機嫌が良いみたいだ。

 

 

「マフTの運転、ウチの気分が開店」

 

「だけど頭は無回転、回らぬ寿司屋は閉店」

 

「それって純情? 惨状? カメ参上!

メケメケメケメケメケメケメケメケ!!

 

「メケるのはえーよ」

 

「あっははははは!!」

 

 

運転中は眠くなるし、事故率が高い。

 

しかしダイタクヘリオスを隣に添えれば眠気なんて無縁に思えるほどで、1日で到着した。

 

ちなみにヘリオスは騒ぎ過ぎて途中眠くなって後ろのベッドで眠った。

 

俺は眠気覚ましの代わりにゴールドシチーと通話を繋いだら話し相手になってくれた。 彼女はよく喋るから運転中は助かった。

 

そしたら「また帰りにかけなよ」とありがたいお言葉を頂いたので是非甘えるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

さて、かなり遠くまで来た。

 

片道6時間は余裕ではなかった。 パーキングエリアでちょいちょい休憩を挟んでいたけど、かなり疲れた。

 

それでも北端から南端まで物流を回してくれる長距離トラックドライバーには頭が上がらないとして、キャンピングカーの中でうずうずしていたヘリオスはむつ市に到着後、海が見える適当な駐車場に停車した瞬間キャンピングカーを飛び出して砂浜に出た。

 

いつのまにか私服からジャージ姿に変わっていて、それでウマ娘らしく走り回っていた。

 

そのまま夏合宿の続きと言うべきか、砂浜でトレーニングに励んだ。

 

それで、なぜ遠征に出たのかと言うとヘリオスは夏合宿であまり伸びなかったから。 主にモチベーションの関係で熱中症も起こしたりと、ダイタクヘリオスが一番夏合宿を楽しめてなかった。

 

それで俺は改めて彼女を連れて遠征することを決めた。 彼女を伸び悩ましたのは俺自身の責任だ。 パリピらしく楽しんで欲しかったから、気分転換も目的に彼女を連れたのである。 たづなさんも直ぐにキャンピングカーを手配してくれた。 てかもう自分で買おうかなキャンピングカー? 色々種類あるらしいね。

 

それで比較的綺麗な砂浜を選ぶと夏合宿で消化しきれなかった練習をヘリオスに施したところだ。

 

到着した今日から2日間はこのむつ市でヘリオスと楽しむ予定である。 最後は温泉でも入って帰りたいところだ。 呪いが無い以上俺も上手いことマフティーであることを誤魔化して温泉に入る予定だ。 楽しみである。

 

トレーニングを終えてキャンピングカーのシャワーを浴びた後、夜ご飯を食べてから涼しそうな夏服の姿になったヘリオスを連れて展望台に登った。

 

時刻は夜20時。

 

季節的に真夏の大三角形が消えそうな夜空だが、下を見渡せば…

 

 

「ウェェェイ!!バリすげェェぇぇえ!!」

 

「すごい綺麗だな」

 

 

釜臥山展望台から見渡す夜景は驚くほどに綺麗だった。

 

ヘリオスはポケットから携帯を取り出して写真を撮り、俺の名を呼ぶとすかさず二人分の自撮りを行った。

 

学園に帰ったら仲間達に自慢するのだろう。

 

 

「マフTはこれを見に来たかったん?」

 

「ああ。 一度見たいとは思ってたから」

 

 

呪いがあった当時は奥多摩が限界だった。

 

それでも連れてきたシービーも満足してくれたし、奥多摩の坂路で鍛えたことで母トウショウボーイと同じ皐月賞ウマ娘となったのはもう1年前の話だ。

 

あと奥多摩で登山していたカフェにも出会ったりと随分と懐かしく思う。 良くここまで来たものだ。 今となってはダイタクヘリオスと共にむつ市までやって来たほどだ。

 

本当にここまで良く頑張ったよな、おれ。

 

 

「ぷはっ、夜風が気持ちいいなこれ」

 

「あたまオフって大丈夫?」

 

「少しくらいは良いだろう。 もし誰か来たとしてもわかるし、ウマ耳のヘリオスなら気づくだろう」

 

「ウェーイ! バリバリにスリルってんねぇー!」

 

 

カボチャ頭を脇に納めて光のアゲハチョウを眺める。 トレセン学園から少し離れた展望台から見下ろす街の夜景も悪くないが、釜臥山展望台は余計な光が入らないため周りは暗い。 その分光がよく見えるのでむつ市内は綺麗だ。

 

俺が知ってる夜景の中で一番かもしれない。 この調子でもっと他のところにも行ってみたい。

 

しばらく二人で眺めていると…

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Z________

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

「!」

 

 

二人だけの展望台も終わりらしい。

 

耳をピーンと立てていたヘリオスは俺の袖を引っ張り、俺は頷いてカボチャ頭を被る。

 

身構えてる時に死神は来ないが同じ旅行客は現れる。 土日祝を使ってこの場所にやって来たのは俺たちだけでは無いらしい。 展望台の階段を登る音を聞き、二人でそちらに視線を向けると…

 

 

「ぇ………ぇぇ!?」

 

 

やって来たのは一人のウマ娘。

 

あとやはりというべきかカボチャ頭の人間を見て声をこぼした。

 

その反応は間違いじゃないとして、展望台にやって来たそのウマ娘は思ったより小さかった。 見たところ小学生だろうか。

 

てかこんな時間に一人?

大丈夫なのか??

 

 

「……ほ、本物?」

 

 

怖がって去ってしまうかと思ったが、案外肝が据わってる見たいで、おずおずと近づきながらこちらを見上げる。

 

 

「さぁ、どうかな」

 

 

しらばっくれてみる。

 

まだまだマフティーブームは続いてるみたいでカボチャ頭を被ってマフティーのマネをする一般人は存在する。 ハロウィンになればまた増大する勢いだろう。

 

そのため至る所でカボチャ頭の人やウマ娘を見かけるのだが、その中で本物のマフティーがいるとは思わないだろう。 しかし…

 

 

「待って……ダイタク、ヘリオス…?」

 

「やっほー!」

 

 

ヘリオスが調子良く反応したことで簡単に答え合わせが出来る様になってしまう。

 

展望台に来たそのウマ娘は俺の顔とヘリオスの顔を交互に見て、ややひき気味に。

 

 

「ほ、本物だ……」

 

 

「ちょっとパリピ?」

 

「あはは!めんごめんご!名前呼ばれて百之助!思わず返しちまってん!」

 

 

お陰で中央トレセン学園のマフTであることがバレてしまった。 もしこの展望台に沢山の人がいたからどうなっていたか?

 

やはり本物じゃないか!と、大騒ぎだろう。

 

 

「てかウチのこと知ってんのね!姉貴の知名度に隠れてるん思ってたんけど!」

 

「え、えぇ…」

 

 

ダイタクヘリオスのコミュ力が高すぎなのかそのウマ娘は押され気味だ。

 

俺はヘリオスの頭をポンポンと軽く叩いて静止させると「あはは!めんご!」と謝りながらそのウマ娘から離れる。

 

元々物憂げな表情をしているがウマ娘だが、パリピのせいで疲れてより一層影が差しかかったように見える。

 

俺の担当がなんかごめんな?

 

 

「もしかして一人なのか?」

 

「ぁ、いえ親は旅館にいます。 場所は離れてますがウマ娘だからすぐなので大丈夫です」

 

「そうか。 一応これでも指導者だからな。 子供一人は心配はしてしまう」

 

「いえ、大丈夫です。 ありがとうございます」

 

 

物憂げなウマ娘は光のアゲハチョウとして彩るむつ市を一瞬だけ見て、夜空を見た。

 

光のアゲハチョウは興味無いのだろうか?

 

 

「あ、マフT! ウチいまからフレとTELってくるけん先に戻んね!」

 

「わかった」

 

 

ヘリオスはウマ耳に携帯電話を当てて騒がしく展望台を降りると一気に静かになり、俺は物憂げなウマ娘と残されてしまう。

 

俺も去ろうと思ったがこの場所に子供一人にするのも少し気が引ける。 まあそれを言うならヘリオス一人にするのも心配だけど、下の駐車場なら誰かしらいるからまだ良いだろう。

 

なんなら俺と同じように他のキャンピングカーも停まっている。 考えることは同じらしい。

 

あと中央のウマ娘に勝てるわけもないのでヘリオスは大丈夫だと思うと判断して、もうしばらく光のアゲハチョウを眺める事にしたのだが隣のウマ娘に釣られて俺も夜空を見た。

 

 

「…」

 

「…」

 

 

夏の大三角形は秋空に消えそうだ。

 

そう考えてしばらく眺めていると…

 

 

「貴方が本物のマフティーなら、宇宙にある星の声は聞こえる?」

 

「星の声?」

 

 

物憂げな彼女は頷く。

 

星の声か。

 

アムロやララァならこの場で聞こえるかもしれない。この二人はニュータイプだから。

 

俺はどうだろうか? ウマ娘の幸せを願う三女神から授かったこの力はマフティー性を加速させるために、いつしかNTとしての力に変化した。

 

そんな俺はマフティーたらしめるだけの器。

 

これはある意味シャアの真似事をするフル・フロンタルのようなモノで、そうたらしめるだけの器にすぎない。

 

だから俺は宇宙の声を拾えるアムロやララァのように純粋なニュータイプでは無い。

 

どちらかと言えば強化人間紛いなインチキの果てでNTになってしまっただけであり、己でそれを開花したわけでも無い。 ヒトと言う種族の中で特別性に仕立て上げられた。

 

言わば三女神と言うご都合主義の中で俺は変わったと思う。 だとしたら自己満足に始まったひどい脚本だろう、俺と言う存在は。

 

 

「…声、か」

 

 

俺はこの世の憑依者。

 

その意味では宇宙のように浮いた存在なんだと思うけど、宇宙に浮かぶ星の声が聞こえるような芸当は出来ない。 俺はマフティーとして求められたら応えるだけ。

 

だから語りかけてるかも分からない星から声を聞くなんてのは無理だと思う。

 

けれどこの世界のウマ娘は無限大にユメヲカケル存在だから、もしかしたら聞こえる子もいるだろう。

 

イマジナリーフレンドを抱えるマンハッタンカフェが良い例だから、もしかしたら星の声を拾うかもしれない。 でもマフティー"が"聞こえるかと言われたら…

 

 

「分からないな。 星は見守るだけだ」

 

「……そう。 やはり、そうなんだ」

 

「俺はマフティーだけど全知全能では無い。 夜空に星を作り、それを星と名付けた者にしか分からない事だ。 もし星々が重力に引かれた者達に聞いて欲しくて、それで語りかけていると言うのなら教えてほしい…って、マフティーは言うよ」

 

「………」

 

 

まるで宇宙の奥深くに潜む5等星のように静かで物憂げな表情から何一つ変わらないウマ娘。

 

あまり語らない彼女だけど宇宙を見て答え合わせをしている気がする。

 

そして不意にこちらへ話しかける。

 

 

「マフティーは、重たく無いの?」

 

「重たいな、すごく重たい。 でもそれは背負いたい重さ。 だから軽かろうと、重かろうと、これは背負うと決めている」

 

「っ……背負いたい重さなんて、そんなの…」

 

使命感だとでも言いたいのか?」

 

「!」

 

 

彼女は目を見開いた。

 

しかし、向けられたその眼は……

 

 

「心配なのか?」

 

「!」

 

「気にしなくて良い。 俺は平気だよ」

 

 

ああ、そうとも。

 

平気だとも。

 

俺は、そうたらしめ続けて来た狂人だ。

 

正常なんてかなぐり捨てて、異常をまともに変えてきた狂人だ。

 

今頃、可哀想だとか、哀れだとか、そう思って欲しくてマフティーをしている訳では無い。

 

今は本当に必要で、本物になったからこそ俺はそこに身を投じるだけ。

 

だから…

 

 

「小さな子供に心配されるほどでも無いさ。 俺は望んでそうしてる。 この名を背負うと決めてウマ娘と共にターフを征く。 それは俺が独りよがる使命感から。 だがそれと同時に背負い続けると決めた名前だから。 そうでなければこんな暑苦しいカボチャ頭なんて被らないさ」

 

「……苦しく無いんだ」

 

「苦しくは無い。 暑"苦しい"はあるけどな」

 

「だとしたら、ただの変な人…」

 

「カボチャ頭を被る中央のトレーナーだぞ? 変人の他に何と言えば良いんだ?ってマフティーは聞きたいね」

 

 

わざとらしくやれやれのポーズを行う。

 

それで一瞬だけ例のダンスでそれらしいポーズがあったからその部分だけ踊りそうになったところを耐えた。

 

厄介な物だな、マフティーすると言うのは。

 

 

「星の声は聞こえない。 マフティーの声も聞こえない。 だから代わりにソレを背負って発するんだ。 その時にやっと周りは星の声が聞こえたと言う。 ただし自分は"役割"として『たらしめる』だけだから聞こえたわけでもない。 誰かのために便利に描いただけの器。 しかし歩んだ過程やその先の結果は見える。 概念は見えない物だけど、ちゃんと意味としてそこに残る筈。 俺はそう信じてる」

 

「なんの話?」

 

「さあ、何だろうな。 ただマフティーてのは結局独りよがりから始まった話だ。 自他共に使命感に駆けてしまった哀れな生き物。 マフティーはとてもすごいけど、 それだけ脆く、カボチャのごとく無惨に砕け散る。 でも俺はマフティーをやめない。 これは、辞めてたまるか」

 

 

 

子供を相手に俺は何を言っているのだろうか。

 

でも何となく、マフティーは何なのかを聞かせた方がいい気がした。 この少女の眼は欲しているように思えたから。 いつも通りの『求める』で『応える』のやり取り。 それは呼吸するように自然とだ。

 

もしくは。 俺が自惚れてるだけで、アホみたいにマフティー自慢をしてる酔いどれの通行人だろうか。 だとしたら俺はマフティー以前に厄介な生き物だ。

 

お喋りは楽しいかも知れないけど、展望台は静かに眺める場所である事を忘れてはならない。

 

 

「もうすぐ閉まる頃だろう。 帰る時間だな」

 

「わたしはギリギリまで見ていく。 もしかしたら今日であの星が見えなくなるかもしれないから」

 

「見えなくなると言ったらそれは夏の大三角形かな? たしかにどんどん離れてるけどまだ見えるだろう」

 

「でも見える時は見ていたい」

 

「そうか。 ちなみにどれが好きなんだ?」

 

「それは夏の大三角?」

 

「ああ」

 

「…」

 

 

彼女は少し考えて。

 

 

 

 

「好きかどうかわからない。 でも…」

 

 

 

こちらを見た見た彼女の眼は、既にそれ相応の強さを秘めているように見えた。

 

それは俺にとっても既視感があった。

まるで、俺がマフティーに染まるように…

 

彼女もまた……危うい。

 

 

 

「貴方にとってのマフティー(使命感)があるなら、私にとってのマフティーもそこにあるから」

 

 

そう言って、彼女は夏空に指を伸ばす。

 

 

 

「今日一番、輝いてくれてる気がする」

 

 

 

まだほんのりと明るい夏の夜空。 それでも下では光のアゲハチョウは綺麗に彩る。

 

上を見上げればそこに負けじと輝く一等星がひとつだけ。

 

 

 

 

わたしは、あの星を背負って生きていく

 

 

 

今日だけ織姫星(ベガ)はよく輝いていた。

 

そう感じた。

 

 

 

 

つづく




いや、ヘリオスはサポカかよ!?
ぜんぜん嬉しいけどぉ!!

でもキタサン欲しくて石が削れた瞬間にダイタクヘリオスのサポカ実装はマジ卍(自己責任)
ここで脱出術しなくて良いんだよ…

タマモ貯金? 知らない子ですねぇ…とか言ったら何気に最初の頃からいるアイネスフウジンはいつになったら出るんだろうね? お姉ちゃん属性が足りなくなって来た今実装すべきじゃ無いかな?


あと!
今回も素敵なファンアートを頂きました!

【挿絵表示】

この小さなウマ娘の正体は一体…?(ゴゴゴッ
作者は『んこにゃ』様です!
ありがとうございました!



ではまた

メジロドーベルは引けましたか?(震え声)

  • 単発で引いた。
  • 10連で引いた。
  • 20連以上で引いた。
  • 100連以上で引けた……
  • 爆死ッン!バクシーン!!
  • 親の顔よりも見た天井。
  • 今回は見送り(差しのコツ)
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