やってみせろよダービー!なんとでもなるはずだ!   作:てっちゃーんッ

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過剰なカフェイン摂取にご注意



第33話

阪神JFを1着で走り切ったゴールドシチーのネット新聞の記事を映し出したノートパソコンをパタンと閉じて、先程「コトン」と横に置かれたマグカップに視線を移す。

 

ゆらりと登る湯気と味わい深い香ばしさ。

 

カボチャ頭を畳んだノートパソコンの上に置いて、マンハッタンカフェの淹れてくれたコーヒーを飲みながら、この世界に来て被り続けた苦労の塊を眺める。

 

相変わらず不気味な笑みを浮かべるカボチャ頭がそこにあるだけ。そんな代物に前世の知識から引っ張りだしたマフティーの名前を刻み、マフティーたらしめる意味を込め、世間にその存在を広めて促した。

 

今考えても随分と狂い切ってた所業だ。

 

この世界がウマ娘だと理解したから、ウマ娘と言う存在(特別)に狂う者達がいるように、マフティーと言う存在(特別)に狂えるのではと打算を考えた、とてつもない悪い賭けだった。

 

それでもマフティーなら「なんとでもなるはずだ」と、気づいたら自己暗示のように己をマフティーたらしめる器として変革させる。そう何度も飲み込んできた。

 

それでもカボチャ頭を外せば弱い人間に戻る。

 

だから己自身もマフティーを求めて縋っていた。

 

 

身も蓋もないことを言えばただの、偶像礼拝。

 

適当な岩に適当な神様っぽいものを刻んで、拝んで、その気になるだけの話だ。

 

心の安定に繋げて、自己暗示を行い、役割として飲み込み続ける。

 

だが皮肉にも三女神の呪いがあったからこそ前任者のように狂っちまえるから、まともを忘れるフリは幾らでも出来た。

 

でもその原点は 願い から始まった。

 

前任者が間違ってしまった望みだが、願いを叶える役割を持つ三女神の力には変わりない。だから呪いは願いとして働き、俺を苦しめるのと同時にマフティーたらしめる姿を支える形になっていた。

 

最後に 呪い は 力 となって叶えられた。

 

ミスターシービーを頂きに導いたマフティーに与えられた勲章または報酬、もしくは前任者の願いがそこでやっと叶えられただけの話。

 

だがそれと同時に三女神からも求められた。ウマ娘に狂えるマフティーなら、その力を渡す代わりにこれからもウマ娘のために在れと、まるで訴えるように力を与えられる。

 

故にウマ娘を近寄らせないプレッシャーはマフティーたらしめる性質がNTへと変化した。

 

俺はこれをマフティー性として受け止める。

 

ニュータイプに感化され、感受し、その影響を受けると生き物は見える。

 

無重力空間の中で研ぎ澄まされる精神は聞こえないはずの声と音はよく聞こえるようになる。

 

まるで囚われのない宇宙だ。

 

誤解なく理解が深まり合う。原作通り。

 

それがウマ娘だった場合、魂の煌めきが、駆け抜けて来た"馬"としての闘志が、その瞬間強く訴える。

 

 

__ターフを描きたい。

 

 

それぞれのウマソウル()がその名を背負わせたウマ娘に訴える。

 

例を挙げるならミスターシービーは良く『描く』と言ってた。

 

究極のごっこ遊びに行き着く前も、彼女は自分の世界を作り上げ、ごっこ遊びの中に身を投じた。

 

それは彼女のウマソウルがとてつもなく濃い個体だから、それを特技の様に扱えた。

 

だからミスターシービーは、ごっこ遊びでターフを描くたびにウマソウル()が訴えていたから無意識に「描く」と口ずさんでいた。

 

彼女はそれほどにミスターシービーへ染まる。

 

 

だからだろうか。

 

皆にミスターシービーらしさを見て欲しくてスカウトを断っていたのは。

 

俺がトレーナーらしくない間抜けな受け答えをして、それがミスターシービーの琴線に触れたから今があるが、マフティー性を感受した彼女がミスターシービーとしてターフを描くためにマフティーと言う色を欲して、求めることを選んだ。

 

究極のごっこ遊びはここから始まった。

 

二人にとって『たらしめる』のに便利な世界だから、そう変化した。

 

まるで分かり切ったように、互いのマフティーが共振し合った。

 

そう言うとことだろうか。

 

 

いや、そうに違いない。

 

だってそのカボチャ頭で見てきたのだから。

 

 

「まるでサイコフレームか何かだな…」

 

「マフT…??」

 

「いや、なんでもない、カフェ」

 

「??」

 

 

座り疲れたデスクチェアーからソファーに移動して、座り込む。

 

そして視線の先には縦に長い椅子にちょこんと座り込んだマンハッタンカフェがコーヒーを飲んでいる。

 

俺の呟きに首を傾げるその姿は、目を離すと何処かへ消えてしまいそうで、まだ彼女一人だけでは支えれなさそうな脆さを見え隠れさせているその小柄な体には、確かな愛らしさが備わっている。

 

しかしその脚は打ち止めになりそうな強さを引き継ごうとする力が備わり、その頂きが見えない摩天楼の素質はイマジナリーフレンドが夢中になる理由の一つだろう。故にカフェしか勝たんらしい。もちろんミスターシービーも同じくらいカフェのことを可愛がっているのは確かだ。

 

コーヒーを膝の上に起き、マグカップから伝わる温度だけではどうやらこの肌寒さを誤魔化せないようだ。なので横目にこちらを見ていた彼女を手招きすると尻尾を一瞬だけピンと伸び、少し戸惑うマンハッタンカフェ。少しだけ時間を置けば、縦長の椅子から降りて遠慮気味にこちらへ足を進めるが、ほんのりと見え隠れさせている嬉しそうな足取りは微笑ましい。

 

マンハッタンカフェが隣りに座る。

 

俺はテーブルの引き出しから布掛けを取り出してカフェに渡すとそれを膝の上に乗せた。すると少しだけ肌が触れそうな距離まで詰めるマンハッタンカフェだが、耳をへなりとさせて視線を合わせずコーヒーに集中しようとする。

 

久しぶりに二人だけのトレーナールームだ。

 

手招きされて勇気を出した結果だろう。

 

外を見れば雪が降っており、このコーヒーにはミルクも砂糖も入れてない。

 

湯気と渋みが香りとして混ざり合い、カボチャ頭を外して軽くなった頭は上に、俺は力を抜いてボーと天井を眺める。

 

 

「………」

 

 

まあかく言う俺自身もマフティーがどこからどこまでとか、実際のところ測り切れた訳でもない。

 

何度も言うけどこれは誤魔化すのに『便利』だったから、最初はそうしていた。

 

今は三女神がお求めになるほどの存在と化したから、今も求められる限りそうたらしめるだけで、実際のところ辞めようと思えばいつでも辞めてしまえる仮初のカボチャ頭。

 

けど、そうしないのは多分。

 

 

 

「(マフティーも、御し難いな…)」

 

 

 

ミスターシービーのウマソウルが濃いことでターフに描きたいように、俺はマフティーが濃い事でウマ娘に狂いたいだけだ。

 

 

だって…

 

この世界って俺からしたら、そうだから。

 

 

「…あの、寒くないですか?」

 

「??」

 

「ぃ、ぃぇ……」

 

「…」

 

 

精一杯の 差し だろうか。

 

デビュー前の彼女にしては上出来だろう。

 

なのでマフTとして応える。

 

 

「少し寒いかな」

 

「!!…でし、たら、その……少しだけ…」

 

 

彼女はコーヒーをテーブルに置いて、一人分に折りたたんでいた膝掛けを二人分に伸ばすと俺の膝に乗っける。

 

それで終わったと思い…

 

 

 

ドンっ

 

 

 

「!?」

 

 

簡単に折れそうな漆黒の彼女が膝に倒れ込む。

 

 

 

「……俺がコーヒー持っていたらどうするんだ?」

 

 

 

犯人は分かりきっている。

 

しかし何も答えない。

 

そして何処かに消え去った。

 

 

「相変わらずというか。おとなしいようで、実はヤンチャなようで、そしてイタズラ好きは年明けても変わらなそうだなお友達は」

 

「ぁぅ…」

 

 

膝の上にコテンと転がる虚げな彼女は随分と可憐で、やはりしっかり支えてあげないと全てが折れそうだ。

 

優しく扱うことを再確認した俺は膝の上にあるその頭に手を置いて髪をなぞる。

 

 

「ぁ…」

 

「シービーとヘリオスは帰家した。シチーも阪神JFの1着も相まって突発なロケで開けてる。アヤベも実家に帰った。なので君のお友達曰く年明けはトレセン学園に残るカフェしか勝たん…らしいな」

 

「…ぇ、…」

 

「そんな俺も明後日は1週間くらい家でダラダラする予定だから…そうだな。だらしなくならない程度にカフェインでも摂取するよ」

 

 

あと女性は体温が高いと言うがそのようだ。

 

もう既に膝が暖かい。

 

 

で、でしたら…か、過剰に取ることは…お、おすすめはしません…

 

「そうだな。わかった」

 

 

コーヒーが飲みやすい温度に冷めるまでしばらく担当ウマ娘の温度を掌で感じながら飾ってある写真たてを見る。

 

ダイタクヘリオスが帰家する前に集合写真を撮ろうと言って、撮影した一枚だ。

 

 

「…」

 

 

有マ記念でシンボリルドルフにリベンジを果たしたミスターシービー。

 

寒さに負けないパリピって仕方ないダイタクヘリオス。

 

マグカップを片手に微笑むマンハッタンカフェ。

 

少し寒そうにマフラーで身を包むゴールドシチー。

 

慣れなさそうに緊張しているアドマイヤベガ。

 

 

そして…

カボチャを被った、マフTまたはマフティー。

 

 

 

マフTの自慢と、マフティーの誇りが揃う。

 

そんな、今年の終わりを迎えた一枚だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カフェしか勝たん(邪魔するな)

 

『 ナンノヒカリィ!? 』

『 アッシマーガー!! 』

 

 

ちなみにヤツは外で悪霊を薙ぎ払っていた。

 

カフェと二人の時に良く起きる現象だが…

 

まあ慣れたもんなので、放っておく事にした。

 

 

やれやれ、今年も大変だったな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眠りそうになったマンハッタンカフェを起こして寮に帰し、俺も年納めとして最後の仕事をしていたこの頃、年明けまで残り2日だ。

 

気づいたら23時になっていた。

 

たづなさんがトレーナールームまで訪ねてくれなかったら徹夜になるところだったが、そんなたづなさんもまだ忙しそうに動き回っていた。

 

ウマ娘だから体力はあると思うが休めてるのだろうか?まあ俺も12月に入ってからはギリギリ確保していた睡眠時間は崩壊したけど、まあなんとでもなる筈だ精神でミスターシービーが出走した有マ記念は乗り越えて、少し楽になったが、気は抜かない。

 

帰りの荷物を持って出るとカフェテリアの一角が明るい。

 

誰かいるのだろうか?

俺はカフェテリアまで脚を進めて扉を開ける。

 

すると、そこには…

 

 

「!」

 

 

一人のウマ娘がお茶を飲んでいた。

 

 

「シンボリルドルフか」

 

「お、お疲れ様です、マフT」

 

 

まさか俺がまだトレセン学園に居て、ココに来るとは思わなかったのだろう。まあ、まだこの時間になっても仕事で残っている職員はいるがカフェテリアのキッチンスタッフとかは帰っている。年が明けるまで戻って来ないだろう。

 

 

「こんな遅くになっても休憩を挟んでたのか? 帰ることをおすすめしたい」

 

「お気遣いありがとうございます。ですが心配は無用です。有マ記念も終えてひと段落着きました。あとは来年に向けて調整するだけ。業務の量は多いですが大した事はありません。そちらもご無理はないですか?」

 

「そうだな。俺も仕事中はいつまでも、このカボチャ頭を被るから、首元が気触(かぶ)るばかりだよ」

 

「!!」

 

 

尻尾がピクンと揺れる。

 

どうやら今のでわかったらしい。

 

同室のミスターシービーが言ってた通りだ。

 

 

「被るから、気触る…か!ふむ、なるほど…」

 

「皇帝のお気に召したようで何よりだ」

 

 

少しは肩の力を抜かせれただろうか。

 

くつくつと笑い、そしてハッとなる。

 

 

「その…なんと言うか、貴方ほどの者に皇帝と呼ばれるのは恐れ多い限りだ…」

 

 

困ったように笑う。

 

もしかして彼女は自分が俺よりも下の方だとか思ってるのか?

 

今の環境で生徒会長となって、これからも実績や功績を積み上げれば間違いなく俺以上の影響を持ち、秋川理事長と同じくらいの権力を持つ存在になるだろうに。

 

謙虚さは大事だが、それではいけない。

 

 

「恐れ多いものか、シンボリルドルフ。次のマフティーは君だと決まっている。そうなると廃れていく俺なんかとは対等かそれ以上だ。恐らく来年にはこの学園で秋川理事長と同じくらいの権力を握りしめて、この学園を掌握する存在になる。それこそ皇帝としてな」

 

 

今年を締めくくるレース、有マ記念ではミスターシービーに負けてしまったが、彼女もまた三冠ウマ娘としてこの中央に君臨した。それは皇帝と名乗るに相応しく、その立ち姿は誰もが認めなければならないほど。

 

もちろんミスターシービーもシンボリルドルフと同じ三冠ウマ娘であり、皆から尊敬が集まるレース業界の先駆者。最強の名を馳せるマルゼンスキーと肩を並べたほどのウマ娘。だがミスターシービーはシンボリルドルフのようなカリスマを持つことも無く、己の要求のみ優先する独りよがりから始まったウマ娘だ。悪く言えば周りにさほど関心は無いような女の子だ。

 

もちろん母トウショウボーイの皐月賞のターフに憧れたり、マフティーの為にも三冠を掲げたミスターシービーは全てが無関心という訳ではない。だがシンボリルドルフと同じような思想は持ち合わせず、この学園に在籍する一人の生徒として謳歌してるだけだ。

 

ミスターシービーはマフTさえそこにいれば他は要らない。そう言った。

 

 

だからシンボリルドルフは違う。

 

このウマ娘は上に立つべき存在だ。

 

 

「マフT、貴方には大変感謝しています。この学園でマフティーたらしめた事により、悪雲は切り開かれた。中央は本物の中央としてウマ娘のために息吹く。だからこそ、私はこうして無事に皇帝として座ることができた。全ては貴方のお陰だ」

 

「おいおい、東条トレーナーが泣くぞ?」

 

「無論、東条トレーナーの手腕にも感謝している。ミスターシービーに続いて三冠を得れたのはトレーナーのお陰だ。しかし、だからと言ってこの場に脚を付けられたとは限らない、シンボリルドルフでは砕けぬモノはあったはずだ。私はそこにぶつかった時が……一番怖い」

 

「…」

 

 

 

同室のミスターシービーはシンボリルドルフより一つ年上でよく話をする。時に雨の中の散歩から帰ってきたミスターシービーにタオルを渡して、後ろ髪をドライヤーで乾かしてあげたりするほど仲は良い。ミスターシービーが身勝手だと思うが、そんな先輩ウマ娘にシンボリルドルフは距離を狭めている。

 

だからこそ、弱音を聞いたこともある。

 

中央が中央としての機能を失い始め、年功序列を優先として教育方針を疎かに、そして新人トレーナーに場は与えられず、その連鎖として大半のウマ娘に悪環境を強いてしまい、レース水準が保たれず、URAの管理も追いつかない結果として、マルゼンスキーが孤立してしまった頃の中央トレセン学園。

 

 

今も、誰かが言う。

 

 

マフティーが存在していなければ、中央はどうなってたのか?

 

彼が中央の危険人物として、促す役割を全うしなかったのなら、この業界はどのように変化してたのか?

 

衰退し続けるこの中央に斬り込める者は現れることなく、仮に現れたとしてもすり潰されてしまうことも、想像に容易い。

 

だからこそカボチャ頭を被るほどのトチ狂った様や、マフティーの意味を世間に促そうとする狂気ほどの存在で無ければ、変わることなかったのでは?と。

 

そして、そこに感化された秋川やよいもマフティーを知り、マフティーたらしめ、果てに大粛清を行なって中央は本物の中央として息を吹き返した。マフティーがあったからこそ、ウマ娘は本当の幸せに進もうとしている。

 

 

それを…

 

三冠を得た程度の皇帝なんかに務まったのか?

 

シンボリルドルフは、皇帝として君臨する前から常に不安を抱いていた。ミスターシービーはその弱音を受け止めていた。

 

 

「この学園のマフティーが悪雲を晴らし、眼を凝らさずとも見える道にしてくれたのは、マフティーたらしめたマフTの他ならない。私は踏み外すことなくシンボリルドルフとして君臨することが許されたんだ。だから貴方には深く感謝している、マフT」

 

 

シンボリルドルフとは職員会議で顔を合わせたり、業務中の廊下ですれ違ったり、挨拶程度に会話することがありしも、こうして二人だけで話すことは一度も無かった。

 

だから、皇帝が頭を深く下げる姿は…

誰もが見たことない。

 

 

 

「顔を上げてくれ、シンボリルドルフ。俺はただ必死だっただけだ」

 

「…」

 

 

そう言われ、彼女はゆっくりと顔を上げる。

 

だが、その眼は不安を隠せていない。

 

そうだったかもしれない世界の歪みを見て、痛みを知った赤子のようだ。

 

そして、彼女はそう見抜かれたと理解して、どこか困ったように苦笑いしながら俺から目を逸らす。

 

そのウマ娘に、皇帝のような姿はなかった。

 

 

「俺は自分に必死で、マフティーする事に必死で、未熟者に与えた罰をこの体にカボチャ頭を与えた。だがミスターシービーを見て、ウマ娘の喜びをカボチャ頭越しに見て、マフティーとして見たんだ。その過程でマフティーたらしめる本当の意味を理解しただけだ。そのくらい揺れ動くほどに、これはとてつもなく脆い象徴であり、故に誰もがマフティーすることができることが理解できた筈だ。秋川やよいが大粛清の中でそれを示した。

__ウマ娘に狂う事で、マフティーは促せる」

 

「…」

 

「俺はそれを体現した器に過ぎないよ」

 

「器……か…」

 

 

憑依した俺はマフティーを知ってた。

 

だがマフティーを知らなければ、そこまでだ。

 

だからマフティーたらしめた器に過ぎない。

 

ココまでのカボチャ頭は、そう言う事だ。

 

 

「…」

 

 

俺は、多分……この世界に生きて変わった。

 

ウマ娘のトレーナーだから。

 

アドマイヤベガにも言った。

 

マフティーを独りよがりとして認めて、そこに狂うことを躊躇わなくなったことを。

 

何故なら。

この世界はウマ娘プリティーダービー。

 

ウマ娘のために作られた世界なら、ウマ娘のために幾らでも狂うはずだ。

 

 

「マフTが言うのなら、それはそうかも知れない。この世界でマフティーたらしめた原点は貴方だから。それは器として働いた。それがカボチャ頭を被り始めた意味。だがそれでも、私は貴方に言うよ。

_____マフティーは貴方だ」

 

 

 

俺が、俺をマフティーでないと否定しても。

 

それでもこの世界がマフTを働かせる。

 

カボチャ頭を被った、呪いは今も尚、続く。

 

救われたけど、まだ、求められてるようだ。

 

 

 

「それに理想__だったからな」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

__中 央 を 無 礼 る な よ ? ?

 

 

 

 

 

 

「あんなにも、中央のために、そしてウマ娘のために、望まれようとした姿は初めてだ」

 

 

 

秋川理事長の事だろう。

 

年功序列を正義とする改正反対派のトレーナー達が秋川やよいに猛反発した瞬間だ。

 

凍りつかせるような鶴の一声。

 

いや、"彼女"の一声だ。

 

全てを物語らせたような、言葉。

 

そこに介入の余地など無い。

 

立派な 独裁者 がそこにいた。

 

それは皇帝が目指すべき強さなのだろう。

 

 

 

「こほん……」

 

「?」

 

 

 

シンボリルドルフは咳き込んで。

 

喉を「ん"ん"」と鳴らして調整する。

 

そして…

 

 

 

 

中 央 を 無 礼 る な よ ? ?

 

 

 

 

 

精一杯の皇帝。

 

 

けど…

 

 

 

 

「かわいいな」

 

「ぐっ………そ、そうか。 むぅ…ダメか…」

 

 

 

まだまだ未熟者らしい。

 

しかし…

 

シンボリルドルフなら……と、そう期待する。

 

まるで、マフティーかのように。

 

 

 

 

「これからだよ、シンボリルドルフ。強いて言うなら来年から。だからしっかりと身構えておけ。そうすれば死神も来ないからな。それに…」

 

「?」

 

「君に憧れているウマ娘がいただろ?」

 

「!」

 

「なら大丈夫だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__なんとでもなるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年は終わる。

 

そして、次が始まる。

 

ウマ娘の"次"が始まろうとする。

 

 

そして、マフティーもまた次が始まる。

 

種を地に植えた、カボチャのように。

 

それは…

 

ごく自然なことだからな。

 

 

 

 

つづく

 




いやー、濃い3年目でしたねマフT。

ダイタクヘリオスを加入して。
ゴールドシチーが加入して。
アドマイヤベガは加入させて。
ナカヤマフェスタに絡まれて。
どいつもこいつも大変そうだなぁ…

Q_ 担当にしたいですか?

A_ いやー、きついでしょう!



ではまた

なぁ、ウチの事は引けてんよなぁ?

  • 単発で引いたで(十万バリキのコツ)
  • 10連で引けたで(阪神レース場のコツ)
  • 20連以上で引けたで
  • 100連以上で引けたわ…
  • 爆死ッン!バクシーン!!
  • 親の顔よりも見た天井。
  • タマモ貯金?知らない子ですね…

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