やってみせろよダービー!なんとでもなるはずだ! 作:つヴぁるnet
昨日に引き続き、選抜模擬レース第二回目。
前日の雰囲気や緊張感に慣れたのか選抜レースに参加するウマ娘が一気に増えてきた。
それに合わせてスタッフの数も増えており、同じくスカウト目当てにやってきたトレーナーもストップウォッチやタブレットなどを持参、レースはまだかと待ち侘びている。
観客もウマ娘を中心に多く集われている。
賑やかなのは良いことだ。
「あれは…ゼンノロブロイか?」
丸メガネが特徴、あと低身長かつ文学系ってオーラを纏っている英雄譚好きのウマ娘。
周りのウマ娘に対して目立たない立ち位置だが、何度か顔を合わせて話もしたことある俺は彼女を覚えていた。
そんな彼女は模擬レースようのゼッケンを付けて身震いしていた。デビュー前なのは仕方ないとしてもありゃ緊張し過ぎだな。
「英雄、ゼンノロブロイ」
「ひゃい!?」
「汝はこのレースで何を示す?何を魅せる?何を持ってターフに描く?英雄を
「っ、私は…!私だけの英雄譚を刻みます!そして私が私であるこの証明を歴史に……って!ト、トトト、トレーナーさん!?急に何を言わせるんですか!?わ、私が勝手にとは言え思わず……はぅぅぅ、恥ずかしい……」
「なんだ、結構良い目をするじゃないか」
「トレーナーさん!?ッー、もう、もう!!」
「悪かったよ。今日はもうしない」
「えええ!?今日って…むむむっ……トレーナーさんって、少し意地悪なんですね」
「かもな。しかしゼンノロブロイ、緊張のし過ぎは脚元が危うくて良くない。前みたいに本の山で見えなくなる」
「それは…」
「しかしそれだけ身構えていれば死神は来ないだろうからあまり自分自身に心配するな。俺は離れたところで見てるからしっかりとゼンノロブロイらしく走っておいで」
「!」
やりたい走りをする。
それを言葉にするのは簡単。
しかし、あまりにも難しい。
そんなウマ娘を俺は知っている。
__あ!カボチャのトレーナー!選抜レース見ててくれたんだね!あのね!あのね!頑張って走ったけどまた最後になっちゃったんだ、えへへ… あ!でもね!たくさんいっぱいバビューンって走ったら皆が喜ぶんだって!あ、でもでも一着取ったら皆はもっと喜ぶと思うんだ!…けどね、あのね、ここは、ちゅうおう?の世界だからそれは大変だって言うんだよ。やっぱり… そうなんだよね?うん。わかってるよ。皆は脚が早いもんね。ぜんぜん追いつかないよ。で、でもねっ!やっぱり一着取って皆に喜んで欲しいの!応援してくれる皆に応えたいんだ!頑張らないとダメなの!だからカボチャのトレーナー!あのね!あのね!もしカボチャのトレーナーがトレーナーになってくれたら応援してくれる皆がいっぱい喜ぶウマ娘になれるよね!もしそうならね…ウララを!
まだまだ幼さを引きずる春満開な無垢のウマ娘は中央の独裁者を知らなかった。それだけ大事に愛され育てられたウマ娘。故に世間知らずだったが、それでも自分のやるべきこと、またやりたいことに夢中になれる才能は選抜模擬レースに出走したウマ娘の中で印象深い。
そして元気だけが取り柄。
元気になれる。元気を貰える。
だがそんな彼女の走りでは中央では全く評価されず誰にも見向きされなかった。
しかしそこにいた誰よりも臆せずに応えた彼女は
__なら!わだすは同じ田舎の出として応援するっぺ!その言葉に偽りがないならこのトレーナーとひたすらのひたすらに目指すんだ!心配するな!大丈夫さ!皆のためにと思うならそれはなんとでもなるはずだ!それで『U』で繋ぐんだ!頼むっぺよ!!
オークスで見事に魅せた雪国のノンストップガールは桃色のハチマキを次世代に渡した。しかし中央の世界は元気だけの彼女にとってハードルが高く、何より太陽神のウマ娘以上にマフティー性が皆無なウマ娘。それはチーム【GUNDAM】の『MKー2』として新たなる一人目を飾るにはあまりにも劣りすぎていた。
けれど…「頑張る」は、間違いなかった。
有言実行のために頑張るをやめなかった。
そして有マ記念、2度目の挑戦。
全てが正反対な適正の中で『入着』の結果まで漕ぎ着けた彼女は間違いなく結果を残した。
そしてチームの中で誰よりも多くの時間を走り続けた。シルクハットのウマ娘よりも、漆黒の摩天楼よりも、入学から卒業まで怪我も諦めもせず彼女だけの
文字通り、なんとでもなった、から。
「それでも君の方がまだ可能性があるさ、ゼンノロブロイ。これからどのように走るのか楽しみだよ…普通のトレーナーとしてな」
それから観客席まで足を運び、鉄柵越しにレース場を眺める。中央の緊張感と闘うウマ娘たちが一人ずつゲートの前に並んでいた。出走の時間が迫る。一人ずつゲートの中に収められる11人のウマ娘達。半端な数字だなと思いつつ距離2000のレースを待っていると…
突然、一人のウマ娘が現れた。
「な、なんだあの子?」
「え?いつのまに?」
「トレセン学園の生徒なのか?」
「しかし制服は着てないぞ?」
「なんだか不思議な雰囲気ね」
「なに!? IFを突破しただと!?」
「なんだありゃ?とんだセッションミスかぁ?」
「運だけの男はペラペラと良く喋る…」
どよめきが生まれる中なんてことない顔でキョロキョロと見渡すウマ娘。
するとひとつだけ空いているゲートを見つけると抵抗もなくすっぽりと収まった。
そのウマ娘は知っている。
ネオユニヴァースだ。
このレースに参加する予定だった……のか?
それよりトレーナー陣営のどよめきから彼女のことを全く知らないご様子だ。
しかし…
「まさかだけど折り畳み傘を握ったまま走るつもりか?」
少しだけ嫌な予感がする。
なんというか…
この後、良くない出来事が起きそうだ。
更に言えばスタッフはネオユニヴァースが折りたたみ傘を持ち込んだことに気づいていない。
このまま、走り出すのか……
半分以上が出遅れ。
その中にゼンノロブロイもいた。
やはりジュニア級はゲートか。
ウマ娘は解放的に走りたい衝動を抑えられず閉鎖的な空間を嫌う傾向がある。特に本格化が始まるジュニア級を中心にだ。メンタルコントロールが効くようになるクラシック級になるとゲート難は大体解決するがそれでもジュニア級の内にちゃんと指導しておかないと出遅れ癖がついてしまう。え?宝塚の564?アレはマフティーでもよくわからん。なんでやろうな。
『さぁウマ娘達は第四コーナーを終えて直接に入った!後続の子は間に合うか! ?』
ゼンノロブロイは……厳しい位置だな。
しかも膨らみすぎて内を抜かれてる。
さて、前方はどうだ?
直線での競り合いは4名か。
そろそろ残り200メートルで………んん!?
「な、なんだ今のは!」
「おいおい、何が起きてる?」
「あの子、あんなところに居たか!?」
前の4名に塞がれていたウマ娘。
それはネオユニヴァース。
パワーが拮抗しやすいジュニア級ではブロックされるとなかなか抜け辛い。特に技術力が足りないとされるジュニア級でよく見られる展開。がむしゃらに走るしかない模擬レースなら尚更だ。
もし拮抗する状況を打破できるウマ娘がいたとしたらそれは生まれつき
しかしこのレースにその才能を持つウマ娘はいないみたいだ………
ネオユニヴァースの走りを見るまでは。
「随分と落ち着いてるな…」
焦る様子を見せないネオユニヴァース。
デビュー前とは思えないほど冷静だ。
いや、彼女にとってデビューなんて初々しい概念は既に置いてきたかのように見える。
……経験があるのか?この状況を??
「なに…?」
するとネオユニヴァースは姿勢を前のめりに変えて加速した。姿勢の良い走り。今を持てる最善を尽くしたような動き。レベルが高い。
次の瞬間、塞がれていた四人のウマ娘を……瞬く間に抜き去って前に躍り出ていた。
「「「!!!???」」」
まるでワープしたかのようだ。
観客席では驚き、またはどよめきの声が広がる。
気持ちはわかる。
ジュニア級にしては……出来過ぎだ。
そして……真っ白な私服のネオユニヴァースが1着の結果で終えた。
「私は走るで『交信』する、したよ……つまり"ランデブー"に満ちる……これで皆、私を見てくれる……理解してくれる……」
表情にあまり変化はない。
けれど満足そうにほんの少し微笑んでいる。
しかし…
俺の予感は的中した。
「ねぇ、ちょっと君、なんか、変じゃない?」
「う、うん。なんか、おかしかったような…」
「だ、だよね?そんな気がする…」
「あまりこんなこと言いたく無いけど、シューズとかに細工してないよね?」
「細…工……それはネガティブ……」
共に走っていたウマ娘から不信感を抱かれる。
見事な走り……とは褒められず、このレース結果とレース内容を周りから問い詰められていた。
「これは……"ERRO"?測り損ねた『エグジスタンス』に……集われる……囲われる…?」
ネオユニヴァースにとって願ってない光景が迫りきていた。
簡単に言えば、彼女は認められていない。
この結果を…
「途中までの走りは素晴らしかった、でも…」
「ああ、最後の方はどこか変じゃないか?」
「まるでワープしたように見えたわね…」
「あの折り畳み傘…何か細工しているとか?」
「いや、わからない…だが不自然に見えた…」
観客席から見ていたトレーナーや関係者も同じように言葉を並べる。
気持ちはわかる。
俺もそのように見えたから。
だから周りにとって先ほど見せられた光景が正しくなる。それは普通のことだろう。
「キミ、ちょっと検査していいかな?模擬レースとはいえ、先ほどの走り、あと急な参加も合わせなんらかのレギュレーション違反と、また仕組まれた上での出走だと言うなら…」
不信感を抱いた競技委員まで詰め寄る始末。
とうとうやばくなる。
そんなネオユニヴァースは…
「違う……違う……違う……ちがう……また…"アルタイの断崖"に?……ネオユニヴァースは囚われる…?…違う………違う………ちがぅ……ネオ…は…」
__思っていた反応と、全く違う。
__欲しかった光景と、全く違う。
そんな眼をする、彼女。
__また、理解されない。
__どうして?
__なんで、私は……ココでも…?
__いや、だ。
__…………………………こわい。
理解されないウマ娘が一人震えていた。
「ちょっと待て、それは俺が説明する」
「!?」
ああ、そうとも。
そうさ。
ここで
「あ、あなたは?」
「二週間前に入ったばかりのトレーナーだ。名家樫本の出だが… まあこれは名ばかりだから気にするな。それより今回の模擬レースに対するレギュレーション違反についてだったな?それならトレーナーとして言わせてもらう。ネオユニヴァースの走り自体に問題はない。今のレースは彼女の実力だ。ただ急な参加と指定されてないユニフォームでの出走はあまり誉められないが…しかしそれだけだ。それ以外はなんの不具合もない」
俺は多くの視線を受けながらも慣れたように言葉を重ねながら歩き、ネオユニヴァースに降り注ぐ不信感の間に割って入った。
「それと彼女が持っているこの折り畳み傘は俺のだ。大事な
「そ、そうなのか?いや、だが、しかし…」
「競技委員の貴方は多くのデビュー前のウマ娘を見てきた。ネオユニヴァースの走りに対して抱く不信感は理解できる。しかし先程のレースはなんてことない種と仕掛け。最終直線の残り120メートルの辺りで不自然な動きがあったように見られたがアレはただのスリップストリームから急激に放たれた再加速だ」
「な…に?それはつまり…加速中にスリップストリームを行ったと言うのか?バカな…そんな器用な真似…」
「彼女は常に落ち着いていた。つまり終始脚をためてリラックスしていた訳だ。そしてバネのように放たれたのはジュニア級レベルに収まらない末脚…故に周りの速度を容易く超えた」
「いや待て!直線は既に加速中だった!しかしその説明が正しいのなら!トレーナーが言ってることは2段加速じゃないか!」
「ああ、そうだな。ジュニア級では中々の技術だ。普通はデビュー前のウマ娘からそういう走りは見られない。しかし最終直線でネオユニヴァースの前には風避けとして扱うに充分な人数のウマ娘がいた。そしてそれをネオユニヴァースがこの模擬レースでやってのけた。中央の資格あるよ、彼女は」
そう言いながら俺はネオユニヴァースを見る。
基本的にポーカーフェイスな彼女だが視線が合ってピクンと耳が小さく揺れた。
あと小刻みに震えていることが分かる。
怖くてどうしたらいいか分からない。
彼女からそう
「ネオユニヴァース」
「っ…!!!」
声をかけられて更に恐縮するネオユニヴァース。
震えが大きくなった。
けれど俺は表情も態度も変えない。
安心させようと言葉をつづける。
「折り畳み傘、返す約束を守るため大事に持ってくれていたんだな。ありがとう」
「ぁ…」
彼女から折り畳み傘を受け取る。
それからマジックテープを外して傘を開き、その場でクルクルと回してみせる。
ある程度回すと傘を閉じる。
この折り畳み傘に何も細工されてないことを周りに見せた。
今の一連の動作は競技委員も見ていた。
とりあえず誤解は1つ解けたな。
「これで良しだな」
強引に解決へ進めてしまいやや申し訳ない気持ちになってしまうがこれ以上彼女は責められる理由が無い。
走り自体は見事なんだ。
そこは素直に評価されるべき。
「さて、ネオユニヴァース、キミに話がある」
「……どう……して?」
どうして?
そりゃ…
「スカウティングのトレーナーと未契約のウマ娘…これらが揃うと言えば一つだろ?」
「揃う…?……それは『コネクト』?」
「もっと単純だ」
「?」
少しだけ震えの収まったネオユニヴァースは首を傾げる。
どうやらわかってないらしい。
なら、率直に告げるとしよう。
「俺はキミを『担当にする』ため、折り畳み傘を受け取りに来たんだ」
「!?」
「おいおい、宇宙を見上げるくらい色んなことわかっていそうな顔して案外察しの悪いところあるんだな?まあそこら辺は追々慣らすとして…… とりあえず契約の認可もらうため理事長の所に行くか。ここだけはアナログだからな」
「ぁ」
俺は彼女の手を取り、歩みを進める。
ネオユニヴァースは困惑気味になるが引かれるこの手は振り払おうとしない。
この場を脱するためにも必要だと考えているからだろう。
すると観客席から慌ただしく足音が響き渡る。
「!」
一難去ってまた一難って奴か。
次に障害となるのは業者であるトレーナー達。
見たところ中堅、またはベテランと言えるレベルのトレーナーが多い。
それは新人に渡さぬようにスカウトのためか?
それとも模擬レースに対する抗議のためか?
ともかく俺たちの進行を止めようとする。
「ぁ、ぁ…」
それを見たネオユニヴァースは耳をピンと立て警戒した後、先程の問い詰めを思い出して耳は恐怖で萎れてしまい、再び震え始める。カタカタと小刻みな震え方だが彼女からしたらこの震え方はかなり怯えている証拠だろう。
「大丈夫だ。任せろ」
「!」
強く握りしめながらネオユニヴァースの前に立ってトレーナー達の視線を遮せる。
飛び出す言葉はこの子のスカウトか?
それともレースに対する批難か?
どうであれネオユニヴァースを怯えさせてしまう要因に変わりない。
トレーナー達が揃って口を開いたタイミングで……俺は冷たくプレッシャーを踏みつけながら空気を慄わせた。
「こ の マ フ テ ィ ー の 前 に 立 ち 塞 が る か ?」
「「「!!?」」」
この魂は正当化を繰り返し、独りよがりに極まったカボチャ頭の独裁者だった。
今はそのファクターとして降り立っただけの魂だが、それでも刻まれているのは理解し難いハロウィンの贖罪、その程度でマフティーを止められる訳がないだろう。
「通して貰おうか。コイツは俺のものだ」
もしこの『独りよがり』を止めたいならマフティーを知った秋川やよい理事長を呼んでくることだが、この世界にそんな概念も自己投影も存在しない。ならこの独裁者を止めれる者など一人も存在しない。無条件なんだよコレは。
そして動かなくなったそれ以外達を横切ってレース場を出た。
誰も俺達を止めなかった。
離れたところまで歩く。
すると落ち着いたネオユニヴァースは問いかけてきた。
「『困惑』が"STAY"している……ネオユニヴァースは尋ねる……あなたは……助けるをして…何がしたい?」
「何がって… 折りたたみ傘を返してくれる予定だったろ?それとまた話そうって約束した。なのに周りが君を理解せず俺たちの声を騒がしくかき消そうとした。だからそこから脱しただけだ。それ以上に理由はない」
「でも……でも……そうなると、貴方は……」
「別に、どうでもいい」
「!」
俺はネオユニヴァースの手を離す。
それから向き合う。
理解が追い付かなそうな表情を浮かべていた。
「今の俺はそうだったと言える者から切り離されたファクター。しかも二度目という随分と狂気じみた所業の身に落とされた状態であるがこんなのはもう慣れているつもりだ。故に可笑しさなどカボチャ頭に食わせてしまった。俺は気にならないし怖くもない。それ以上の恐怖は見てきた。なら何に恐れる?マフティーが一体何に怯える?むしろ慄えを抱かせるのはマフティー・ナビーユ・エリンである。俺はそれ以外を恐れない」
何度も言う。
マフティーとは独裁者だ。
誰からも指をさされず誰もコレを否定出来ない。
それを繰り返してきた俺が言う。
そうでなければカボチャ頭でトレーナーなど許される筈もなかった。
「それが……マフティー?」
「そうだ。これは無条件だ」
「スフィーラ……理解の遠い……証……」
「……怖いか?」
「ううん、怖くない」
「即答だな」
「私はその中の貴方を知っているから」
ポーカーフェイスな彼女だが嘘を付いたように見えない。
本心からそう言っていた。
「でも、知ってるは……まだ全部じゃない…」
「!」
「"QUES"……ネオユニヴァースはもっとマフティーだった貴方と『コネクト』したい……知りたい……だめ?」
「ダメではない…何を知りたいんだ?」
「"REMI"………カボチャ頭の中の『追憶』……たらしめた"BICT"……それは『独裁者』……けれど貴方は……ウマ娘に応えることに『意味』を見出した中央のトレーナー……その『軌跡』と『奇跡』をネオユニヴァースは……知りたい…」
「…追憶……か」
俺は考える。
あんなにも冷たい象徴を教えるべきか。
いや…彼女は賢いウマ娘だ。
だから理解はするはず。
それを少しだけ考えて……
「ココではダメだ。見せるにはまだ宇宙が明るすぎる」
「それは……ネガティブ…」
「君だけに見せたいと思ったからだ」
「それは……スフィーラ…」
心に素直な奴だな。
俺は携帯を取り出す。
時刻は15:00だ。
そうだな……語るなら…
せめて6時間後かな。
「出かけるための普段着と、念の為に外泊届けを出しておけ。用意はそれだけだ」
「"ITEM"……?」
「必要はない。…遅くまでの予定は空いてるか?」
「"ANOI"……私は縛られたくない……」
「なら今日は逃げておけ。これ以上は疲れるだろ。半分は俺のせいかもしれないが」
「それはネガティブ……貴方は私を助けた」
「なら一度だけ取り戻して正解だったよ」
それから一度彼女とは解散。
それから指定した時刻に合わせて再び集った。
さて、いまからなにをするのか?
簡単に言えばほんの少しだけ不良になる。
まあ保護者付きなので外出に対してなんら問題ないが模擬レースなんて大事な興行をパスして外を出歩くなんてのはあまり良い目で見られないだろう。
しかし俺たちには関係ない。
今、必要とすることのためやっている。
「それじゃあ行こうか、ネオ」
「ネ、オ?」
「あまりネオユニヴァースってフルで呼んでると聞いて飛んでくる奴がいるだろ?そのためには必要なことだ。いいな?」
「MOLT……新しい、わたしだね…ふふっ…」
「強ち、間違いではないかもな」
裏口から学園を出て、歩き出す。
目指す先はにぎやかな街中。
そしてマフTでは出来なかった事をしよう。
今は、ただ一人のためだけに。
俺はウマ娘に正しく狂おうとする。
理解されなかった者同士で語るために。
next
強くてニューゲームだからこそ裏ダンジョン(裏口)に入ることができた元マフティーたるトレーナーでした。ちなみにネオユニヴァースはワープしたので誰にも見つからず集合できました。公式設定だぞ。