やってみせろよダービー!なんとでもなるはずだ!   作:つヴぁるnet

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ユニバァァァァァァァス!!!!!







if story _ ∀ end

 

 

 

ターフを走り、自己タイムを縮め、熱した体と共に荒くなった呼吸を整える。

 

お気に入りのメガネが少しだけ落ちそうになる。

 

 

 

「トレーナー」

 

「飲み物だろ。はい」

 

「うん……"NEXT"……それとトレーナー…」

 

「ほれ、タオルだ。とある布団乾燥機好きからおススメされた柔軟剤を使ったからかなりフワフワだ」

 

「もふもふのふわふわ……とても『スフィーラ』だね……ネオユニヴァースは良きと伝えるよ」

 

「ああ、伝わっているよ。さて、休憩が終わったら次は蹄鉄の量も増やすからよろしく」

 

「"SPAR"……厳しいね」

 

「何を言うか。次の宝塚記念はシニア級を交えたレースではタップダンスシチー *1とシンボリクリスエス *2が出てくる。長く脚が使えるようにしっかり仕上げたい」

 

「『雷鳴(サンダー)』と『稲妻(ボルト)』が"ENEM"となっているね……目指すは"WINA"……ならネオユニヴァースは『承認』するよ……勝つ…」

 

「当然だ、出るからには勝つぞ」

 

 

 

多く語らない。

 

いや違う。

 

語る量があまりに少ない。

 

けれど目の前で繰り広げられる光景…

 

その交わし合いを眺めればそこにいる一人ともう一人は何も問題なく意志が伝わってる。

 

しかもそれが中央という目立つ世界だから周りからはとても不思議がられている。

 

何故、彼女が伝わる?

何故、彼女が分かる?

何故、彼女が知れる?

 

それはこのトレーナーがネオユニヴァースの隣に立っている人だから。

 

 

 

「ロブロイ、君は坂路だな。前の日本ダービーではネオユニヴァースに2バ身差をつけられての2着だった。実力は追いついてるが体格差による負け筋はやはりパワーでなんとかするしかない。あれだ、英雄譚にも書いてるだろ?力こそ正義って」

 

「強ち間違ってはいませんがでもなんか少し嫌です…!」

 

 

 

そして私のトレーナーでもあるんですね。

 

この英雄譚を見届けてくれる私の理解者。

 

願いを肯定してくれたたった一人の英雄。

 

あと少しだけ意地悪な人です。

 

結局、仮入部状態は2日で終わりました。

 

だって…

 

 

 

 

__先行は純粋な身体能力勝負だ。下手なことをするほど弱くなる。前を取らさせない。差しに狙わせない。追い込みに掴ませない。その純粋さでただ走り抜く。例えるならメジロマックイーンと同じ。あれも純粋な力で示して来た。故に君は『らしさ』だけを強みとした何も飾らないウマ娘として強さを証明する必要がある。わからない?ならもっと簡単に告げようか。

__ゼンノロブロイが目指すべき走りは……

 

 

 

 

 

王道に強くなること…………ッッー!!!

 

 

 

む、無理ィィー!!

 

あんなこと言われたらもうダメです!

 

ぜっっったいに頷いてしまう!

 

ウマたらし…!

ウマたらし…!

 

彼は危険人物です!

簡単にウマ娘を乱す者です!!

 

チョロインにも程がある私自身にも問題ありますが…でもやはりズルいです!

 

断れる訳がない!

 

それこそ『王道』なんて言葉を使われたらそこに希うウマ娘の私はトレーナーの彼に夢を見てしまう。ゼンノロブロイはロブ・ロイと同じ英雄譚を望んでしまう!

 

なんとでもなるはずだと身を投じてしまう…!

本当にズルい!

もう!もう…!もう…!!彼は意地悪です!

 

 

 

「英雄は旗を掲げて皆を先導する。カッコいいじゃないか。是非魅せてほしい」

 

「!」

 

 

意地悪なところのあるトレーナー。

 

でも嘘はつかない。

 

全て本心からウマ娘のターフを願う。

 

それは何度も見てきました。

 

出走レース場のターフで観客席にいるトレーナーさんを見ればその表情はいつもウマ娘が走るところを楽しみにしている。

 

まるでウマ娘ってそのモノに対して特別な視線を持っていると言うか、この世にない別の角度からと言うか、ともかく彼が眺めているターフは特別なんです。そこに全身全霊で応えたくもなる。だからこの人は危険です。

 

でもそれができるくらいにこの方は…

 

 

 

「英雄なんですね…」

 

 

もう一年前のこと。

 

まだ私達が初々しく走っていた頃、とある模擬レースでトレーナーさんはネオユニヴァースを救いました。

 

ベテラントレーナーに囲まれても臆せずことなくネオユニヴァースさんの手を引いて望まれない現実から連れ出した。

 

その姿は正に英雄でした。

 

ただその件があって周りから危険人物として扱われてしまい、しかもそれが引き金となったのか私達のトレーナーに対して嫌がらせが目立つようになりました。でも大体はトレーナーさんが返り討ちにします。どうやら邪気に対して素早く反応出来るみたいです。だからあまり被害は無い。私たちも守ってくれます。

 

 

しかし、その中で一番目立って酷かった出来事は日本ダービーの時でした。

 

トレーナーさんのレース関係者名義が何故か消されており、レース場に入ることができないアクシデントに見舞われました。

 

その時に届いた一通のダイレクトメッセージ。

 

 

『少しだけ遅れる』

 

 

不安になりました。嫌がらせもここまでくるのかと私は怖くなりました。これは流石にトレーナーでもどうにもならないかと思われました。

 

するとネオユニヴァースさんはダイレクトメッセージを送り返しました。彼女も不安そうに少しだけ体が震えてしましたが彼が来ることを信じて返事をする。

 

 

 

__必ず、届けに来て。

 

 

 

そんな短いメッセージ。

 

 

 

『必ず向かう任せろ。大人(こども)に付き合っていられるか』

 

 

 

彼は登録者名義が無かろうとそんなの関係ないとばかりに会場の奥に進み、ウマ娘の警備の捕縛すら回避して私達の元に辿り着きました。

 

英雄は障害を乗り越えて私達のいる控室までやってきました。尻尾をパタパタとさせるネオユニヴァースさんは大型犬のようでした。もちろん私も彼が約束通りに現れて嬉しかった。届かせてくれました。

 

それからも模擬レースで見せてくれた無条件な威圧感を放ってこの控室にその他を寄り付かせませんでした。彼を知らない者からすれば恐ろしいことこの上ない。しかし私たちはそれが安心になる。まるで大きな鉄の怪物が私たち守っているみたいだからなにも怖く無い。

 

 

そしていつものようにネオユニヴァースさんと言葉を交わし、ひとつまみの意地悪を込めて私を揶揄い、レースを見送ってくれる。変わりない時間を約束してくれる。

 

しかしその際に…

 

 

「いやもうマジすごい腹立つからさ?今回レースは後続を10バ身くらい突き放した上でネオユニヴァース、あとゼンノロブロイ、この二人で1着と2着を獲ってほしい」

 

「わかった……ネオユニヴァースは『了解です』を押すね……ランデブーのウマ娘達には『ごめんなさい』するけど……このコネクトを"BAN"したトレーナー達に『助かりました』をするよ……」

 

「ユニさん!?」

 

「えらいえらい」

 

 

珍しく耳を絞ったネオユニヴァースさん。

 

むすー!と怒りを露わにしてました。

 

それから始まった日本ダービー。

 

私達のトレーナーさんが拘束もされず最前列にいることに何人かトレーナーが驚いていました。

 

それを見た私も、やっと怒りが生まれます。

 

このレース負けたくない。

 

この私の英雄譚を共に見てくれるトレーナーさんを奪おうとしたから。

 

 

 

そして結果はご覧の通り。

 

 

流石に10バ身は無理でした。

出来たのは6バ身です。

 

それでもネオユニヴァースさんが1着を勝ち取り、私が2着でした。

 

この結果により相当ダメージを与えたみたいでトレーナーさんは満足気に頷き、しかも私が用意した英雄譚(ゼンノロブロイ)のノートにスラスラと今回の物語を勝手に刻んでいました。こういうところは少しだけ子供っぽいですね。

 

それから妨害を企てたトレーナーや関係者を捕らえて粛清したみたいです。恐ろしいですね。

 

 

ともかく!それほどにネオユニヴァースさんのスカウトを面白がらない人が学園にいて、それがトレーナーさんの敵になった。そういうことが起きていました。

 

でも次の菊花賞…… あ、ネオユニヴァースさんはその前に宝塚記念ですね。次のレースからは安心してトレーナーさんは私たちの走りを見てくれるようになります。それがとても嬉しいです。

 

ただそのかわり…

 

 

 

「"POWE"……ネオユニヴァースはトレーナーさんに”NDND”を要求するよ……」

 

「練習頑張ったらな」

 

「む、むぅ……なら"ACES”……この『エクストリーム』を完成させるために必要だよ……ランデブーが欲しい……」

 

「やれやれ」

 

「んっ」

 

 

 

どっからどう見てもトレーナーさんの愛バとして扱われるネオユニヴァース。

 

周りからしたらここまでの関係は羨ましい対象です。

 

いかんせん距離が近過ぎる気がしますが、結果を出し続けているこの二人を誰も止めれません。

 

止める気は無いですが。

 

でも今やっているナデナデの要求。

 

実は意味があってやっています。

 

それは…

 

 

 

「状況は去年の宝塚記念。君は内枠。周りにはその当時出走したウマ娘達。その内どれかがシンボリクリスエスだ。用意は良いね?」

 

「『コネクト』……究極のごっこ遊び……ターフを愛した独りよがりの延長戦……ネオユニヴァースは準備を完了するね……」

 

「じゃあ頼んだぞ」

 

「うん」

 

 

理解が追いつかない練習方法。

 

これを説明すると少し難しい。

 

でも簡単に述べるなら『見ているターフが本物のレースとして映し出される』となる。

 

とんでもなくオカルト。

 

それは触れた者のみ理解し得ない領域。

 

しかしそこに身を投じれば鮮明に映し出され、やりたい独りよがりが成立する。

 

そして、それは私ゼンノロブロイにも出来た。

 

英雄を夢見るこの『独りよがり』が条件として許されたから。これが出来るから私たちは本番のレースに強くなり、ポテンシャルの最大を常に引き出すことができる。震えとなる緊張感を奮えに変えて走り描くことができる。私はそうやって強くなれた。

 

描くことができるこの英雄譚(ごっこ遊び)の中で!

 

 

 

 

「メケメケメケメケメメケメケメケメケメメケメケメケメケメメケメケメケメケメメケメケメケメケメメケメケメケメケメメケメケメケメケメケメメケメケメケメケメケメケメケメケメメケメケメケメケメメケメケメケメケメ」

 

 

 

ただし、今日はどうやら安定感が無い。

 

たまにこうなる。

 

 

 

「やっぱり過去形だからか安定しないな。こういうことならならカボチャ頭でも用意しようかな…」

 

「ええええ、なんですかアレ!!?」

 

「いや、なんかな?この世界のお隣さんからエイプリルフール2日目という暴挙を感受したらしく、それでかつあの内容で何故か一部だけ理解しちまったが故に記憶として収納するに564テラバイト分の田舎に帰省を要求されてしまった結果まごころを植えたキャパシティーが割り箸畑だけは足りなくなりそれを確保する分のメルヘンチック遊園地が獲れたけどそれは有マ記念のAブロック基地となっていたからな」

 

「トレーナーさんもおかしくなってますから落ち着いてください!」

 

 

 

非常にリアリティの高いイメージトレーニングは強力ですが、トレーナーさん曰く「あの頃よりも独りよがれてないから仕方ないな」と失っている安定感にやれやれのご様子。正直こんなことが少しでも出来る時点でかなり凄いことですが、この口ぶりからすると安定性が備わっていたように聞こえます…… 新人トレーナーさんですよね?

 

そりゃ…この方はいつも手慣れたように誰よりも早く業務もこなし、日本ダービーのときを引き金に中央で悪行を働いている関係者を全員捕まえて粛清を行い、それに伴って中央をもっと良くするための改革を理事長に促すとそのまま気に入られ、凍結していたグランドライブ計画を進めるコトでレースに出れないウマ娘の夢を繋げる活動を行い、また二ヶ月前の学園祭では黒いジャージとカボチャ頭で着飾って質量のある残像で踊り賑わせるなど、新人とは思えないほどの働きをしています。

 

数年前に存在した無敗の7冠ウマ娘のようなプレッシャーを放つ時点で新人以上の何かと思いますが…… で、でも!良いんです!そんな不思議な方でも!ウマ娘のために夢を叶えさせてくれる!そんな英雄なら!私は無条件です!

 

いまはちょっと変ですが!!

 

 

 

「よろしくてよ」

 

「ダメです!」

 

 

 

 

絶対にメジロになんてさせませんから!

 

 

 

 

「『終了』したよ……"COOL"の必要は無いね……ネオユニヴァースは伝えるよ」

 

「でもぬるめの水は飲んでおけ」

 

「あと"SWIT"のオフが必要……ネオユニヴァースはトレーナーに『接触』を開始する………ピトっ…」

 

「こら、先に水を飲まないか」

 

「とても、とても、スフィーラ…」

 

「やれやれ…」

 

 

ネオユニヴァースさんはトレーナーの手のひらを勝手に掴むと頭の上に持っていき、そのまま頭上に充てがった。

 

そんなトレーナーさんは仕方ないとばかりにネオユニヴァースさんの頭を優しく撫でながら練習データを詰め込んだタブレットを操作する。

 

その間もネオユニヴァースさんは手のひらで摩られる度に耳をピコピコと喜ばせ、満足気に「スフィーラ、スフィーラ」と溢していた。

 

こうなると見た目は甘えん坊の大型犬。

 

例えるならサモエドのようです。

 

ちなみに私はシベリアンハスキーが好きです。

 

 

 

「でもロブロイ自身は土佐犬だな」

 

「ええええ!!?」

 

「知らないのか?土佐犬って寛容で大らかなんだぞ?でもいざ戦うと攻撃性が高い犬に早変わり。まるで君のようだな」

 

「わ、私、そんな攻撃性が高いですか!?」

 

「そりゃそうだろ。先行という名のステータスの暴力で戦うんだからさ。今目指すロブロイが正にそれ」

 

「と、と、と、土佐…犬……わたし…土佐犬」

 

「いやー、しかし、宝塚の出走相手にタップダンスシチーとシンボリクリスエスがいるのか。あのトレーナー二人のウマ娘だろ?これはまた厳しくなりそうだな……やはりネオには追い込みで…」

 

「ほ、放置プレイ禁止です…!」

 

「おら、早く坂路してこい土佐ロブロイ。それともフリスビーが必要か?」

 

「私は犬じゃないです!ウマ娘です!」

 

 

 

どこからか「サクラワンコオーだワン!」と幻聴を拾いながら私は坂路に向かう。

 

相変わらずトレーナーさんは私に対して扱いが雑な時があります。

 

それがほんの少しだけ困り物です。

 

しかし夢見るだけだった私をネオユニヴァースさんの時のように引っ張り出してくれる頼もしい私達のトレーナーさん。

 

だからとても信頼しています。

 

その眼でしっかり見ていてください。

 

いずれこの物語を『追憶』として誰かに語られるその日まで私はこのターフに独りよがる。

 

彼と共に作るこの英雄譚がゼンノロブロイでいっぱいになるその時まで…

 

 

 

 

「なんとでもなるはず、です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後に、このウマ娘は謳われる。

 

三冠ウマ娘となった隣人と唯一競い合える英雄として……世間にたらしめる。

 

 

英雄___ゼンノロブロイ。

 

 

それはマフティーだった者が拾い上げた新たなる『追憶』として刻まれることになる。

 

それはまだ誰も知らない未来の英雄譚だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トレーナー……『メイサ』の宇宙……とても綺麗だよ……」

 

「それだけに限らずどこも綺麗だと思う。下も見てみな。釜臥山展望台から見下ろせる光のアゲハチョウも人類が作り上げた証だ。まあこんな日まで働く日本人に俺は脱帽しているよ。そろそろ年が明けると言うのに」

 

「ネガティブ……誰かがいる……だからネオユニヴァースはコレが見れる……感謝なんだよ…」

 

「そうだな。この展望台だって年明けても解放してくれてる状態だ。感謝しかない」

 

「うん」

 

 

 

中央トレセン学園からかなり離れたここは青森県のむつ市。キャンピングカーを使ってネオユニヴァースと釜臥山展望台まで光のアゲハ蝶を見にやって来た。

 

因みに不参加のゼンノロブロイは秋シニア三冠バとしてご両親に良い報告ができると嬉しそうにしながら「ごゆっくり!」と俺たちを見送り今年は実家に帰った。なので俺とネオユニヴァースの二人だけで出かけている。また3人集まって何処か出かける時は年が明けた後だろう。

 

それならまた奥多摩にでも行きたいな。

 

空気が綺麗だし。

 

 

 

「"TRY"……アレが冬の風物詩……」

 

「冬の大三角だな。子犬座のプロキオン、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のペテルギウ」

 

「順番に……ゼンノロブロイ……ネオユニヴァース……トレーナー……かな?」

 

「俺はオリオン座なの?」

 

「貴方は女神に愛された"SOUL"……射てる側……あとは消去法でロブロイは小さな犬だね……」

 

「大型犬がなにか言ってらぁ」

 

「……ワン、ワン?」

 

「お座り」

 

「……ん」

 

「…ネオ、膝の上に座ったら星空が見えない」

 

「くーん」

 

 

 

無表情に犬の真似をするネオユニヴァース。随分とまあ保護欲駆り立てくれるけど良くある展開なので慣れてしまっている。ただ適切な距離を保てないのは俺がウマ娘に甘いのと、相手がウマ娘パワーで強引に擦り寄ってくるからどうにもならない。

 

しかし前世の事を考えるとパリピ太陽神が平気でIFを突破してはマフティーに優しくするギャルをデフォルトで行ってたのでネオユニヴァースはまだ優しい方だ。横腹から突撃されないだけ体は安全。マジで痛いんだぞアレ。

 

 

 

「"SAFE"……この世界の体は丈夫……ヒトにもウマ娘の遺伝子がファクターとして刻まれているんだよ……」

 

「まあ樫本家もウマ娘が先祖にいるから身体はそれなりに強いだろうけど。それでも俺は優しくされたい… てか激務と隣り合わせにしているトレーナーは毎秒優しくされたいと思うぞ」

 

「"EXTR"……極限の練習……それはターフのごっこ遊び……"MILD"は非効率だから違うを推奨……つまり"CREK"が最適解……トレーナーに優しくするは『でちゅねあそび』……?」

 

「アレは特殊すぎるんだよなぁ……」

 

「"SUPR"……母は強し……」

 

「多分それスーパークリークが強いだけだと思うぞ。最強格のステイヤーは伊達じゃない」

 

「むっ……それはネガティブ……"WINR"……私も菊花賞で『証明』したよ……」

 

「知ってるよクラシック三冠バ。その時のネオユニヴァースは間違いなく一番強かった。その後の春シニア三冠もな………あー、それでネオ」

 

「?」

 

「『僕』の方だったネオユニヴァースは宝塚を走らなかったんだよな?」

 

「"RUST"……叶わなかった夢……『僕』に想いを乗せれなかったその先の無念……そして現れる特異点と大魔王……ロブロイを一人にした……ううん、ロブロイだけじゃない……ネオユニヴァースは沢山を一人にしてしまった……」

 

「…」

 

「でも貴方がそれを全て変えた。本当の『僕』は三冠ウマ娘にならない。夢見た『僕』は春シニア三冠にもならない……行先は"FREE"……全てがご都合主義のように与えられる……でも確信……これは無条件……私はトレーナーに見せてもらった……応える者のみ許される"WORD"……『概念』に想いを乗せる『魂』の正当化……貴方だからこそ……この場にいるネオユニヴァースは変えられた……」

 

「それがもしそうなら、俺がそうだった頃にやってきた出来事も、変わったモノばかりだったのかな?」

 

「私は『僕』だけしか見えない……だからわからない……でも貴方のそうだった頃にしてきた追憶は……マフティーだからこそ促されたんだよ……」

 

「そっか。まあ… そうだよな。抱えてきた概念の名前は【マフティー・ナビーユ・エリン】であり、それはその世界に於いて『正統なる予言の王』として促した。それがこの魂に当て嵌められた…役割…存在意義…独りよがり…正当化の化け物…だから歪な魂… けれどウマ娘という終着点があるからトレーナーとして『正しく狂う』ことになった。それがマフTとしての完成…」

 

「"WORR"……危険人物だね……でも…だからこそ貴方は変えた……触れてきた全てを……マフティーの『追憶』にするために……」

 

「……」

 

 

 

マフティー……

 

それはこの世界『ウマ娘プリティーダービー』に持ち込んだ概念。

 

そうするに便利だったから被り続けてきた。

 

しかしそれはウマ娘の世界に於いて全てを揺るがすほどに危険な概念と化し、被っていたカボチャ頭はその体現者として凡ゆる人達の目印になっていた。

 

そしてマフティーをする俺に用意されたストーリーテラーは史実を辿ってきたその【名前】達も変革の一部にした。恐らく全てが違っているんだろう。

 

特に【GUNDAM】として集われたウマ娘達はある意味マフティーの犠牲者になっている。

 

それが栄光ある意味を得たとしても……

 

 

 

「それはネガティブ」

 

「?」

 

「私達は【貴方】だからココにいる」

 

「!」

 

 

 

ネオユニヴァースは膝の上から降りると俺の前に立って手を伸ばす。

 

無意識に縋りからか、俺はその手を取った。

 

そして……

 

……宇宙が変わる。

 

 

 

「!」

 

 

 

釜臥山展望台から一変、無重力な宇宙に招かれた。

 

ここは別空間。

 

応える者のみ許される場所。

 

ガンダム風に言えばニュータイプ空間。

 

誤解なく伝わることを望まれて用意された都合の良い世界。

 

 

「"ANOI"……ネオユニヴァースはトレーナーを肯定する……それがこの世界に用意されたご都合主義でも……私は構わない…」

 

「!」

 

「今日この日に用意された展望台も……()()()に用意された展望台も……マフTだから一等星のウマ娘は巡り合えた。カボチャ頭の『パルサー』……それはご都合主義に望まれて……そして『求め』られて……そして『応え』て欲しくて……そこに描かれる貴方は間違いなくマフティー・ナビーユ・エリン……ウマ娘が走るところが好きな……ただの青年…」

 

「ッッ!!!」

 

「スフィーラ……貴方はとても優しい人……」

 

 

 

そう言ってネオユニヴァースは微笑む。

 

それは俺を肯定する。

 

歪な魂として降り立った存在だろうと「今いる貴方だから」と喜んでくれる。

 

そうしてきた俺でも、これからどうなるか分からない俺でも、また繰り返すかもしれない俺でも、ネオユニヴァースはこの存在に『声』が届いた事を喜ぶ。

 

 

なんだ、結局…

 

思い返すだけ無駄じゃないか。

 

そうだ、そうとも…

 

俺は『正しい』ことをした。

 

ウマ娘のためにマフティーたらしめた。

 

そこに正解も不正解もない。

 

ただ俺はマフティーとして役割を尽くした。

 

それが世界に望まれた在り方。

 

ウマ娘の幸せを望む三女神が欲した形。

 

前任者が望み描いた強き者の姿。

 

そして…

 

マフティーを知った俺だからできた促し。

 

それが『マフT』だった存在。

 

あの世界でコレは完成していたんだ。

 

 

 

「ッッ…!! ああっ、そうだよ…!俺は結局ウマ娘が走るところを見るのが好きなトレーナー…!それがカボチャ頭越しだろうと俺は常にウマ娘を見ていた!間違いない!俺はお前らという存在が大好きだ!スフィーラだ!その通りだネオユニヴァース!」

 

「うんっ……うん…!」

 

「ならトレーナーとしてまだ『正しく狂う』くらいなんてとでもないはずだ…! やってきたことも…!これからやることにことも…!全てひっくるめて()()()()()者として誇りながらこのファクターはエリンに返された命を正当化する!今の俺は樫本!ウマ娘が好きなトレーナーだ!」

 

「アファーマティブ……それが()()()()だね……って、ネオユニヴァースは伝えるね」

 

 

 

 

なんとも情けない大人だ。

 

届いた声にマフTとして応えようと、届けた声としてトレーナーとして助けようと、俺は未来を変えたがるネオユニヴァースの元にやって来たというのに、過去の正当化に振り返ってしまう俺に対してネオユニヴァースが答え合わせをしてくれた。

 

っ、そうだった俺はあまりにも情けない。

 

それとも今は()()だから『マフティー』に対して恐れを抱いているのか?

 

だとしたらそれは裏切りだ。

 

それをそうしてきた『マフT』に対する否定だ。

 

 

 

「ネオ」

 

「?」

 

「俺の手を取れ」

 

「ん…」

 

 

 

躊躇いもなくネオユニヴァースは俺の伸ばした手を取る。

 

そして俺は彼女を引っ張った。

 

 

 

___抱きしめる。

 

 

 

 

 

「!!!?」

 

俺はこのウマ娘に想いを乗せる。彼女が言う『僕』だったネオユニヴァースに想いを乗せた『貴方』のようにその先を望めるなら…! 俺はこのネオユニヴァースに走って欲しくて想いを乗せる!彼女は俺がたらしめる!俺がネオユニヴァースを正当化する!何故ならこの俺はマフティー・ナビーユ・エリン!!それはウマ娘に『正しく狂う』ことを選んだ概念!それが今の俺…ッッ!!

 

 

 

強く抱きしめる。

 

このネオユニヴァースを確かとするために。

 

無重力の中で彼女を抱きしめながら回る。

 

この無力感が体を回したとしても。

 

 

 

俺はこのウマ娘を大好きだ!だから与えてくれ!それがご都合主義でも構わない!彼女のために!まだこの先も走れるように!いっぱい走れるように!もっとネオユニヴァースがあるように!どうか…どうか…! どうか頼むッッ!マフティー!俺がそうしたこの世界の概念!どうかマフティー!こんなファクターに!届いた程度の魂に!マフティーの目印に…!

 

 

 

 

 

 

 

そうか。

 

コレが…この光が。

 

マフティーを求めて、マフティーに応えて欲しかった、ウマ娘の世界の者達の気持ち。

 

 

ハサウェイ……アンタがそれを望んだ理由。

 

それが少しだけ、わかった気がする。

 

だからこの名前、まだ借りるぞ。

 

この世界に…

 

そして俺に必要だ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガコン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

願いは、一つ叶えられる。

 

そこは、必要とされる世界。

 

とある____クローゼットの隅っこ。

 

そこに【カボチャ頭】が中に収まった。

 

誰かがマフティーに願ったから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"HEAT"……いつもは冷たい体のネオユニヴァース……いまは体がトレーナーで熱い……コレは珍しい熱源体……」

 

「わ、悪い……ちょっと……俺も色々と大変だった…」

 

「ネガティブ……トレーナーはすごく頑張ってここにいる……泪のムコウは必要……」

 

「え、俺、泣いてた?」

 

「"MOLT"……急な情動にネオユニヴァースは思考が追いついてない……それはわからない……でもトレーナーは心のまま望んだ……それは恐らく泪以上の揺らぎ……やはり貴方は優しいね……ふふっ…」

 

「……もう見せることはないからな?」

 

「それは……ネガティブ…」

 

「俺はネオのトレーナーだ。それからゼンノロブロイのトレーナー。二人の残したい追憶のために俺は中央の指導者としていつまで健在でありたい。だから今回だけだ」

 

「アファーマティブ……それがトレーナーの普通と言うなら……ネオユニヴァースはトレーナーの『パルサー』に寄り添う……だからもっとネオユニヴァースを走らせて……『僕』ができなかったことを追憶として語れるくらいに……それはこの世界なら赦されるから……」

 

「約束しよう。あの一等星に賭けてでもな」

 

「ん、わかった」

 

 

 

釜臥山展望台を後にする。

 

階段を降りて……ひとつ気づいてしまう。

 

時計を見た。

 

00:12と刻んである。

 

 

 

「年…明けていたんだな」

 

「気づかなかったね」

 

「そうだな…」

 

「うん」

 

 

 

キャンピングカーまで歩みを進める。

 

この後は宝くじで手に入れた温泉旅行券を使ってチェックインした温泉旅館に向かう。

 

温泉に入るか、そのまま寝るかは、まあこの後は運転中に決めるとして…

 

 

 

「あけましておめでとう、ネオ」

 

「スフィーラ、あけましておめでとう」

 

 

 

彼女と年明けの挨拶を交わす。

 

 

すると携帯電話からメッセージが届いた。

 

ゼンノロブロイから年明けの挨拶。

 

丁寧な長文だ。

 

しっかりしている娘だな。

 

 

 

「俺たちも送るか。写真付きで」

 

「アファーマティブ……なら、この角度」

 

「良いね、綺麗に星空が映る」

 

「ツーショットだね」

 

「案外初めてだったりするか?」

 

「"INTI"……いつもはロブロイも一緒の3人だよ……2人だけは何気に初めて……」

 

「そっか。なら縁起が良い。ツーショットが年明けかつ冬の大三角。特に撮影場所が釜臥山展望台で双子座が写っているところがポイント高いな」

 

「……特別?」

 

「ここはな。世界は違うけど」

 

「ネガティブ……今は…」

 

「ネオがいるだろ?わかってる。あまりこんなこと言わないけど…今はキミが俺の愛バだよ」

 

「!!……"EMGY"……これは確かに危険……うまたらし…」

 

「?」

 

 

 

俺は携帯電話を手に持ち、いつぞやの太陽神の手解きを活かしながら星空が良く見えるように角度を調整して、二人肩を並べて画面を見る。

 

 

 

「トレーナー」

 

「?」

 

「貴方はマフTまたはマフティーだった。それは貴方の追憶。だから貴方はファクターとしてこの場に届いて。ネオユニヴァースは貴方に出会えたんだよ」

 

「そうだな。俺もそう思う」

 

 

 

マフティーだったから声は届いた。

 

マフTだったからファクターとして繋がった。

 

ネオユニヴァース風に言えば『コネクト』だ。

 

俺はそうだったを正当化してきてここにいる。

 

そしてその追憶が今の俺を完成させようとする。

 

またウマ娘に正しく狂うために。

 

 

 

「けれどネガティブもある……ネオユニヴァースは少しだけファクターを否定するよ…」

 

「否定…?」

 

「私は願った……知らない概念……それはマフティーの形……だからファクターの貴方がネオユニヴァースを促しに来た……正当化した未来は変わって()()は今もいるね……それはこの世界のオンリーワン……」

 

「…」

 

 

シャッターボタンに指を添える。

 

あとは上手く映るだけだ。

 

ただ横からまた気になることを言われる。

 

それはネオユニヴァースだから俺はその言葉を聞いて、理解してあげたい。

 

何かを俺に伝えたいから。

 

だから優先順位をネオユニヴァース変えようと考え、シャッターボタンから指を離そうとして……

 

 

 

 

「私はココにいる貴方が【本物】だから」

 

「!!??」

 

 

 

彼女の手が優しく添えられる。

 

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は 貴方と過ごしたかった だけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カシャリと音が響く。

 

 

 

 

頬に柔らかく…

 

その『コネクト』を彼女から感じて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この作品において正式に語られる【続編】かも怪しい物語であることは、恐らく承知の上だろう。

 

タイトルに刻まれた【IF】…

 

故に『∀』の名に違えない黒歴史としての延長戦は恐らく、認識上としてそれは蛇足であることに限りなく間違いない。

 

結局は「そうであって欲しい」と【誰か】が願った歪なファクターを用いてジャック・オー・ランタンの真似事を行なっていた。

 

つまりこの【ハーメルン】で彷徨い果てただけに過ぎない俗物の産物であろうコレは痛みを知った赤子のような三流以下の物語だ。

 

否定はしない。

 

 

 

 

けれど…

 

されど…

 

しかし…

 

 

 

これは【無条件】である。

 

これは【マフティー・ナビーユ・エリン】という魂で綴れば、どれも正しく映し出されることになる。

 

何故ならコレは正当化に正当化を重ね、独りよがった正統なる予言の王で促し続ける非常に奇妙な作品だからだ。

 

カボチャに穴を開ければ……ほら、誰だってその日を特別以上なハロウィンに仕上げれる。

 

 

見ているモノを促し、魅せるモノを促す。

 

これは【無条件】である。

 

 

 

だからマフティーの概念に。

 

されどマフティーの理念に。

 

しかしマフティーの存在に。

 

この歪な『追憶』に疑問を持つことは…

 

それって…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『 愚かだって……マフティーは言うよ 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IF STORY

 

ネ オ ・ ユ ニ ヴ ァ ー ス

新 し い も う 一 つ の 世 界

 

お わ り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
そのトレーナーはジャズが聞こえてくる雰囲気らしい

*2
そのトレーナーはスナイパーのような雰囲気らしい






ウマ娘にとって約束された勝利の概念。
それがこの世界に出来上がったマフティー性。
コレが『答え』であり、宇宙の『応え』です。


これにて!異常で以上である!!

ココまで一週間ほど、お付き合い頂き!!
本当にありがとうございましたッッ!!!

ネオユニヴァースは引けました?

  • 単発で引いた(イグニッションのコツ)
  • 10連で引けた(差しコーナーのコツ)
  • 20連以上で引けた。
  • 100連以上で引けた…
  • 爆死ッン!バクシーン!!
  • 親の顔よりも見た天井
  • 今回は見送り(自制心のコツ)
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