やってみせろよダービー!なんとでもなるはずだ! 作:つヴぁるnet
それだけマフティーが集っているらしい!
カボチャの被りで顔を隠すトレーナー。
トレセン学園の危険分子と言われる異端児。
その名は マフT …
呼び方は『マフトレーナー』では無く、彼は自身を『マフティー』と呼ぶ。 マフティー、それは己に対しての罰でもあり、そして救いを求める哀れな存在だと自負していた。 はっきり言って訳のわからないトレーナーであり、この学園のトレーナーと言い難い有様だ。 たしかにトレセン学園にも変わったトレーナーは少数ながらも所属するが、マフTはそんな奴らよりも遥かに異端だった。
最初の数日はマフTの存在に慣れず、またマフTを名乗る前の彼自身の形跡は褒められたものではない。 ウマ娘との距離を間違えてしまい、ウマ娘から殴られてしまう、指導者としてあるまじき姿。 まだ若き新人トレーナーとして失敗は多く、それは私も同じだった。 気持ちはわからないではない。
だがいつしか彼からは気味の悪い雰囲気を漂わせ、ウマ娘達を怖がらせてしまうようになっていた。 ウマ娘は敏感に雰囲気を察する生き物である。 彼から焦りが生まれた結果だろうか、ウマ娘を怯えさせてしまう。 それが引き金となり、ウマ娘から一撃危害を加えられた彼はカウンセリングを受けて、そして一時的にこの学園から去った。
一定数だがそれを聞いた他のトレーナーは喜んだ。 なにせ彼の存在はこの学園にそぐわないと思う者はある程度居たようで、鬱陶しく思っていたみたいだ。 指導者であろうと弱ければ淘汰される。 中央の厳しさを改めて感じつつ時間は流れる。 頼れる味方も居らず、孤独に戦い、そして彼は負けた。 それだけの話なんだ。
しかし、彼はマフティーとなって帰ってきた。
彼を知る者はその変わりように驚いた。 全てが堂々としており、カボチャをかぶる。 奇行もここまで来るのかと少し恐れすら抱く。 正気じゃないがマフティーを名乗る彼は正気だった。 トレーナーからの野次も、視線も、牽制も、対話も、気にしないとばかりにマフTの名で活動する彼は変わらず責務を果たす。
その後ろ姿は異質だ。 彼を良く思わないトレーナーは遠目からでも視線で牽制する。 中には幼稚な行動だが消しゴムを投げてカボチャに当てる。 だが、その時、カボチャを軽く傾けて直撃を凌ごうとする。 生憎そのかぶり物は大きく、投げられた消しゴムは当たってしまう…が、でも後ろから何されるのかわかっているからこそ避けると言う行為を彼はした。
_後ろにも目が付いているのかよ!?
とあるトレーナーは戦慄する。
しかし彼は振り向く事なく、そんな幼稚に付き合ってられまいと責務を果たす。
だが…
_今3人が見ている。
_4人が睨んでいるな。
_また1人増えたか。
_良く飽きもしないで…
マフTは後ろを向いてるだけだ。
しかし何故だかわからない。
だが訴えるように彼から聞こえてしまう。
_本当に、後ろにも目が付いているのか……?
殆どのトレーナーは思った。
しかしタネも仕掛けもない。
本当に後方が見えている?
バカな、あり得ない。
エスパーでもあるまいし
彼を牽制してたトレーナーは戦慄する。
しかし驚くことはもう一つあった。
それは彼の集中力の高さだ。これには驚かされてしまった。 経験の浅いトレーナーにはわからないだろうが、修羅場を超えてきた本当のベテラントレーナーにはソレが何なのかを理解した。
幻覚と思えるだろうソレは、指導者にも稀に見られるナニカであり、またウマ娘にも起こりうるオカルト的な現象…
選ばれた存在のみに備わると言われた"オーラ"と言われるものだ。
これはトレーナーの中では都市伝説だと言われ、オカルトだと切り捨てられていた。
あり得ないと…
しかし中央と言う激戦区を乗り越えてきたウマ娘らはそれが見えるらしい。 しかしそれは目の肥えたベテラントレーナーのみ知ることが出来る領域である。 数多のウマ娘とレースを見てきたトレーナーだけが視認できる、まさに特別な出来事。
しかしそれはウマ娘のみ発せられる力だと言われている。
理由は簡単だ。
『精神で肉体を凌駕』したその時に、備わった力がオーラとなって見える。 また"プレッシャー"が形となるとも言われている。 どのウマ娘よりも鍛え抜かれたウマ娘だけが辿り着くと言われていたが、しかし同じように鍛えたとしてもそれは何千と言う中で有るか無いかと言われている。
有名なのはシンザンと言われる神バとも称えられた伝説級のウマ娘だろうか?
しかし当時もオカルトだと言われてそれは否定されていた。 だが今となってはそのオーラを纏うウマ娘がまた現れたらしく、視認したトレーナーの証言も多く、オーラは存在すると証明された。 当然私もその1人だ。
そのためウマ娘なら、精神で肉体を凌駕した時に備わる力だと立証された。
だが、トレーナーは違う。
トレーナーは基本的に人間である。
ウマ娘ではない。
そのため人間がそこに行き着くなどあり得ないし、あってはならないと思われている。
人間はウマ娘に勝てないことは常識。
トレーナーもある程度の対ウマ娘としての護身術は学ぶが、精神で肉体を凌駕する必要は当然ない。 そもそもトレーナーとして必要なのは管理能力である。 言わば必要なのは脳なのだ。 ウマ娘が動き、トレーナーが動かす。 指導者と生徒の関係となんら変わりない。
もちろんウマ娘と共に肉体を鍛えるトレーナーは存在する。 切磋琢磨共に築き合うとトレーナーはウマ娘にとって最高のパートナーだろう。
しかしウマ娘のようになるイレギュラーな人間はいない。
故に、肉体を精神で凌駕してオーラを兼ね備えた人外は存在しない。
だが、なんだ…?
彼からは…
ソレが湧き出ているように見えている。
もしやプレッシャーとでも言うのか??
…
…
いや、気のせいだろう。
それっぽい雰囲気が備わるだけで、カボチャの存在がそう錯覚させる。 恐らく気のせいだろうと、今の話に理解のあるトレーナーは憶測をそれぞれ考えを収束させた。 ヒトがウマ娘と同等に築き上げるなど、あり得ないのだから。 だから考えを放棄する様に視線を逸らす。
だがやはり思う。
あのトレーナーは謹慎期間中に何かがあってあの様な姿になったのか? また戻ってきた経緯は分からない。
顔を丸々隠してしまうカボチャ、彼はそれを罰と救いだと応えるのみ。
それをマフティーの単語に集約して、更に己をマフTと言う。
問題児として落ち着いた代わりに異端児になって帰ってきてしまった若きトレーナー。
だが何度も目に入ってしまう。
あの後ろ姿から見えてしまいそうになる不気味さはなんなのだ?
だがそれを探る意味を持たない。
警戒心の解けないトレーナー達は彼を気にし続けるが、彼は構わずタブレットを眺めながら振り分けられた仕事を続ける。 仕事自体はなんら問題ない。 今はまだウマ娘が忙しい時期であり、午前中までに事務作業も終わる閑散期だ。
トレーナーとしての活動はスカウティングがあり大変忙しい時期だろうが、事務作業はそう多くない。 マフTはテキパキと進めながらウマ娘の選抜レースを眺める。
あのカボチャからは何が見えているのか?
目の部分は三角に掘り当てられ、口元は英語の『W』のように横長く掘られただけ。
呼吸は困らないように大きめの穴あきボタンで空気器官は確保されている。 夏は困りそうだがあのカボチャを被るくらいだ、何か対策を遂げているだろう。 ただ顔全体を隠せる大きさであり完全に表情は見えないため、ハイジャックに使えそうなほど不気味を兼ね備えている。
いや、彼が被ることでそう思わせるのだろう。
だが思う。
何かが起きそうな予感。
強張る顔を誤魔化すようにわたしは眼鏡を動かしてウマ娘の資料を眺める。
そろそろベテランと言われる頃の私であるが、あまりウカウカしていると有力なウマ娘が取られてしまうだろう。
まだこの手で育てれるだけウマ娘を集めて強いチームを作りトレセン学園の貢献に繋げる。
そうしてトゥインクルシリーズの鮮度を上げていこう。 あのカボチャに怯んでいる場合じゃないのだから。 わたしも先陣を行く者として何事も冷静沈着に物事を進める。 そうして自身も環境も立ち上げてきたのだ。
マフティーと言われる彼に気を取られてる場合では無いのだから…
…と、そう思っていた。
期待は裏切る。
マフTがあのミスターシービーと契約した。
それを聞いてモーニングコーヒーで口を火傷しそうになり、資料を少しだけコーヒーの液体で染めてしまった。 あとでコピーで新たに出す必要があるか。
「何かが始まるわね、これは…」
私だけでは無い。
他のトレーナー達に衝撃が走る。
実際のところ前日からその噂は聞いていた。
選抜レースが終わった瞬間、沢山のトレーナー達にスカウティングを受けたミスターシービーだ。 中には腕に自信のあるベテラントレーナーも混じり、成績優秀で中央にやってきた新人トレーナー、安定感のある中堅トレーナーと選りすぐりの状況。 不満はないはず。
またウマ娘側も有名なトレーナーならそれなりに顔や名前を知っている筈だ。
ミスターシービーは現在2年目の中等部であり、確実に1年以上をトレセン学園で過ごしているためトレーナーや有名チームは知っている筈だ。
故に選べる筈なのだが、有力候補を断るとミスターシービーはそのままマフTの元に向かったらしい。
借り物である折り畳み傘を返した程度かと思ったが、個人での会話は長く弾まされ、トレーナー達の中で「もしかしたら…」の不安でたくさんだった。
しかしながらマフTにはあの不気味さが原因で基本的に誰も近づかないため、2人の会話を聞いていた者はいない。
だが機嫌良い足取りで選抜レースを後にするミスターシービーの姿は印象的だったと言う。 残念ながら私用があった私は選抜レースに赴かなかったが同僚からはそう話を伺った。
やはり何か起こると予感する。
そしてミスターシービーが選抜レースを走った次の日だ。
モーニングコーヒーで火傷する思いをするほどにそれは衝撃を受けた。
「おはようございます」
一気にざわつくトレーナー用の職員室。
しかしマフTは気にせず今日の事務作業を受け取りながら自分の机に移動して、いつも通りに始めようとすると、ひとりの訪問。
秘書のたづなさんだ。
「あ、マフTさん、コレを受けとってください」
渡されたのはトレーナールームの鍵だ。
そうだ、その通りだ。
彼はウマ娘をスカウトしたのだ。
なら、活動拠点を頂くことになる。
そこでウマ娘の育成プログラムを立てたり、情報収集を行ったり、与えられた事務作業を持ち込んで熟したりと自由である。 自分の環境を整えることができる一時的な勝ち組の状態。 そこから結果を出せるかはさて置きだが、それでもトレーナールームを貰うと言うことはスタートラインに立つ事ができた瞬間だ。
故に、そのラインにすら未だ立てていないトレーナーにとって衝撃を受けるには充分である。
悔しがり、歯軋りを行い、恨めかしく視線を投げるトレーナーの姿を見かける。 その上スカウトしたのはミスターシービーと言われる有力なウマ娘だ。 差をつけられたと思うのにそれは充分な材料だ。
「たづなさん、明日から事務作業はPC入力で大丈夫ですか? PCに落とし込めるならそうしたいのですが」
「え、ええ、可能です。 トレセン学園のファイルから読み込んで、マフTさんのIDを入力して頂きましたら、割り振られた仕事のファイルはPCにダウンロードできます。 ただし終えた分は送信ファイルに入れ忘れることはなく」
「わかりました。 では今日からこの机は使わないので別の方にお譲りください。 自分はこれから先はトレーナールームで活動しますので」
「わかりました。 では今一度マフTさんのトレーナールームまで案内します」
そう言うと、マフTはアナログな仕事は今日で終わりにすると言って机からあまり無い小道具を回収してバックに詰め込み、受け取った鍵をポケットに仕舞いながらたづなの後を追って職員室を出…ようとして、一度職員室に振り返る。
「「「「ッッッッ!?」」」」
静かだったマフTから溢れ出す威圧感。
この部屋にいるトレーナー全員が無意識に身構える。 まるで死神にでも見られたように背筋が冷たくなぞる。 カボチャの中の彼はどんな表情を浮かべているのかわからない。 カボチャの中からどのような視線がトレーナーを突いてるのかわからない。
だがマフTは何も告げずにこの場を去る。 だがトレーナー達は硬直が治るまで時間が掛かった。 ただ牽制したように見渡しただけなのに嫌なプレッシャーが蝕んだ、そんな感じだった。
恐らく、最後に試されたのだろう。
正直、私も未知なる雰囲気にややたじろいでしまう。
ふっ、バカにされたものだ。
しかし、それ相応に見せてもらった。
彼は危険人物である上に、このURAを揺れ動かしてしまう存在だということを。 もしかしたら秩序すら乱し、マフティーと言う名がこの業界に広まることで新たな時代が来るのかもしれない。
罪の中で救いを求める哀れな存在が、この先どうなるのか。
「マフT、見せてもらうぞ。 貴様のもがきとやらを…」
その果ては彼にとっても希望だろうか?
それは…
カボチャの中の彼にしかわからない事だ。
♢
メイクデビューなんて前哨戦。
ミスターシービーの走りはそう思わせる。
8バ身の差をつけての勝利。
しかも…
「先行策か、思い切ったな」
「たまにはね。 楽しかったよ」
「だが走り方が大きく変わる。 シービーはトモが強いから良いが、少しでも疲れに違和感があるならやめておけ。 睡眠不足のまま高速道路で運転するのと変わらん」
「自己管理は出来てるつもりだよ。 さっ、ウイニングライブで次は皆を楽しませないとね。 行ってくる」
ミスターシービーをスカウトして既に6月が終わりそうになる。
つまりもうトレーナーになって1ヶ月が終了した。
時の流れは早いものだ。 彼女の要望でメイクデビューも早めに受けて走り切って、それで圧勝した。 学園に入学してすぐデビューしなかったのは不思議なくらいだ。 そんなに不安な走りでもなかった筈だが。
「ふー、カボチャが熱いな…」
一旦マフティーモード解除。
カボチャ頭をパカっと外す。
口元は結構大きいから呼吸に困らないし、一応暑さ対策として封系のチャックをつけるなり、穴あきボタンで通気性を良くしたりと方法がある。 もう既にいくつか穴あきボタンは着けているが。 冬は布で隠す感じだ。
でも直射日光はしんどい。
今日がまさにそうだった。
夏用に薄めのカボチャ頭が必要だろうな。
うん。
…
…
いや、違うだろ!?
普通に外させてくれよ!?
てかなんだよ、夏用のカボチャ頭って!!
呪いは100歩譲っても、夏もこれを被らなければならないのは死ねってことだろう三女神??
それとも別のを被れと言うのか??
やれやれ、ひどい呪いだ。
熱中症で直接殺す気か?
夏場にこれは普通に自殺行為だぞ。
そうなるとお面にするかなぁ…?
視線さえ遮れたら良いわけだし、そもそも何故か家にあったコレを被っている訳だからな。
ちなみに何故コレがあるのかは全くの不明。
この体の持ち主の趣味か何かだろう。
流石に黒いタイツは無かったけど。
ちなみにネット販売で黒タイツは使命感で購入した。
うん、圧倒的に……いらないな!
「しかしミスターシービー、あんなに強いのか。 …自由奔放だけど」
それでもある程度は提案したトレーニングに付き合ってくれる。 走るレース場やその距離に合わせたトレーニングに関しては彼女も前向きである。
坂路やプール、有力ウマ娘の対策、レース観賞、基本的なことは彼女もしっかりと付き合う。
しかし、あまりガッチリとしたトレーニングは無い。
だがその代わりだが、特別な事をしている。
言葉にすれば"イメージトレーニング"だが…
これがある意味ゲーム的なものだ。
例えば…俺が条件を出した上で、彼女にそう描かせて走らせる。
言葉にしてなんのことやら?
そう思うのは間違いじゃない。
俺ならそう思う。
そう、例えばだ…
_逃げが1人で先行が4人と差しが2人。
_距離は2000で芝は荒れている。
_観客は……今日は中山で3分の2くらい。
_だが差しの2人は末脚がシービーの6割ある。
_逃げのウマ娘は非常に弱い。 設定は以上だ。
_ふーん、今日は難易度4くらいかな?
_でも差しがある程度やるんだね? 6割か…
_ま、とりあえずやってみるね。
_あー、でも…観客はそこそこなんだ?
_じゃあ、ある程度のパフォーマンスかな。
そう言ってシービーは走る。
ご覧の通り。
馬鹿げたような妄想ゲームだろう。
だが、シービーは違う。
まさに俺が出したような条件からレースをイメージして、シービーは走ることが出来てしまう。
本当に追い込みをかけるように走り、本当に差しと牽制する様に走り、本当にウマ娘を躱すよう左右に動き、本当に公式のレースを走ってるような臨場感の中で、シービーは走る。
_まず、おつかれ。
_ほれ、ぬるめの水だ。
_それで、個人的に何着だ?
_うん、ありがと。 ぷはー! ぬるい〜。
_で、ええと、2着と2バ身差かな?
_うーん、ちょっとだけ手強かった感じかな。
_手強かった…か。
_2バ身でも充分な気がするがな。
_ちなみに今日はどうして2バ身差だ?
_んー、前の録画見て思った。
_ホープフルステークスだったら少し手強い。
_でも逃げが甘いなら差しとタメ張れるね。
_なるほど逃げが弱かったか。
_じゃあ趣旨を変えて次は先行7で行く。
_ただ1人は1800でG3のウマ娘が内枠出走だ。
_距離はさっきと同じかな?
_オッケー、じゃあ気分で大外枠にするね。
_あ、ゴールの瞬間写真は頂戴。
_あとで【描く】から。
こんな感じのイメージトレーニング(物理)
周りからしたら馬鹿げたような練習に見えてしまう。
理解し難い筈だ。
だがミスターシービーは恰もそのレースがその場に存在してるように描き、視界にそう染めて、そしてそれらと勝負することができるウマ娘。
俺も疑いそうになったし、そもそもミスターシービー自身も信じられなかった特技だとか。 けれど親睦を深めつつ、彼女の性質を理解すると一つ面白いことに気づいた。 彼女は理想の描き方が非常に現実的である事。 その描いた理想に自身を落とし込んで、どのようなビジョンで楽しみを膨らませ、どう描くのか? 聞けば聞くほど具体的だったし、むしろ情報量の多さに思考を投げ出しそうになるが、俺は彼女と共にそれを浮かべることができた。
_あー、つまりだな…
_シービーはこのように走っているのか?
チェスの駒を持ってくる。
紙に線を描き、それで駒を動かしてみる。
_ああ、そうそう! その内枠3番の先行。
_坂路で右を取るんだよ!それで差し切る!
猫目でキラキラしたような目で興奮しながら尻尾をブンブン振るう彼女は大変可愛らしかったが、彼女の浮かべたビジョンは聞いていた俺の脳内とマッチしていた。
それで試しに適当なレースを見せてからコースに向かい、ミスターシービーには内枠か外枠、さらに細かく観客の数や風向き、重賞経験のあるウマ娘の人数など、まるでシミュレーションゲームのように設定を立て、それで本格的に走ってもらう。
_うおおお!? これ案外手強いよマフT!
_うわ! 追い込みが遅れそう!ええ!?
_ちょちょちょ!? て、展開早い!!
_あっははははは!いやいや!!
_流石にこれは難易度高すぎてワロタ!
_ちょ、ちょ、これ、むーりー! あははは!
これがもう、めちゃくちゃの、くちゃくちゃの、どちゃくその、くっちゃくちゃを込めて楽しそうに走りやがるんだよ、ミスターシービーってウマ娘は。
条件とレース状況を出して見ている俺自身も本当にそのレースで走ってるように見えて仕方ない。
だが身も蓋もないことを言ってしまえば俺たちがやってるのは妄想ごっこの延長戦。 見えてるそれは幻覚なんだろうけど、だが俺もミスターシービーもそう言ったイメージやビジョンを浮かべやすく、実際にそこにあるように思い描き、更に臨場感をも味わっている。
余計な雑念すらむしろリアリティにしてくれる。
俺はこれを究極のイメージトレーニングだと思っている。
そして気づいた。
ミスターシービーは楽しむ才能が高い。
それをリアリティに『
それがレースになった話。
イメージ力の高さがミスターシービーの強みであり、そこに自己投影できる豊かな想像力は誰よりも優っている訳だ。
更に言ってしまえば俺とミスターシービーは波長がとことん合う。
もしくはミスターシービーのイメージ力が高いため、俺の要望に応えれる力があるのかもしれない。 だが俺もミスターシービーの考えを頭に想像しやすく、彼女を理解してあげれる。
いやぁ…
これ、結構すごい事なんだと思う。
彼女はある意味、常識破りなウマ娘だ。
日々のトレーニングで思う。
そう思って仕方ない。
彼女は、とんでもなくすごいウマ娘だ。
「さて、そろそろライブ始まるか」
冷却スプレーをカボチャの中に注いでマフティー性をチャージした後、荷物にしまって控室を出る。
扉から出てくるカボチャにギョッとするスタッフとすれ違いながら奥へ歩き、始まっていたウイニングライブを遠目から眺める。
「今日も楽しかった! 皆ありがとね!」
メイクデビューとは言え、それでもジュニア級をスタートするウマ娘のデビューはまた重賞レースとは違って見ていた観客も湧き上がる。
それを発火剤にライブは盛り上がる。
夕日の中、センターを踊るミスターシービー。
彼女は今日も楽しそうだ。
つづく
なんかニュータイプしてないかコイツ…??(オーラ)
あと思ったよりわんぱくなミスターシービーかわいい。
まだ中等部なので落ち着き無いんだと思うと萌える。
ちなみにアニメ版もアプリ版も関係なくオリジナル。
ウマ娘の学年別はアプリ版を参考にやってます。
作者的にマルゼンスキーとメジロアルダンが最年長。
ちなみに史実は大体無視する。 これ、ウマ娘だし。
そんでもって感想にも多かったがCBでソレスタルビーイングはやはり芝2400でした。 これは確かに武力加入が捗りますね。
つまりマフティーだな!(ガバガバ理論)
あと作者は高卒故に国語力適正がFの弱々なので文章や単語に違和感あっても色々許して。 国語力を置いていつも一人歩きしてる。
ではまた
原作:閃光のハサウェイを読んだ事あるニュータイプの方はいますか?
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読んだ事ある。
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読んだ事ない。
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ゲームや映画や動画並みの知識。