やってみせろよダービー!なんとでもなるはずだ!   作:つヴぁるnet

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今回少し短め。冷却期間。


If story _ Gray 7

 

 

 

『オグリキャップ1着!!』

 

『札幌記念を制するは笠松からの新星!!』

 

『これで破竹の勢い重賞3勝目!!』

 

『この無敗のまま次はG1レースか!!?』

 

 

 

やはり中央となると歓声の量は違う。

 

地方の東海ダービーも多かったが、中央のG2レースはそれを更にいく。

 

やはりそれほどに、この世界は中央というコンテンツが熱狂的に根付いてる証拠だろう。

 

そのことを再認識しながら勝利を得た芦毛の怪物を控室で待ち合わせる。

 

 

「オグリちゃん!おめでとう!」

 

「ありがとう、ベルノ」

 

 

戻ってきたオグリキャップはチームメイトのベルノライトとハイタッチで喜びを分かち合う。

 

微笑ましい二人を眺めながら、俺は再び着飾る事になった中央のバッジを光に反射させつつ頭の中では次のレースを考える。

 

次は最もG1レースに近いと扱われている毎日王冠でも走ってみるか?

 

オグリキャップは丈夫な体を持ち前としているおかげで長い距離も走れるウマ娘だが、実のところマイラーとしての適正の方がとても高い。

 

正直1600ならオグリ一択と言えるほど。

 

今の目標は2400だが。

 

 

「カシモト!カシモト!ウイニングライブを終えたら札幌で美味しいものを食べるぞ!今日はそのためにも来たんだからな!」

 

「あ、それ本当だったんだ」

 

「まあそりゃ、ご当地グルメは食してやらんと旅先の者としては失礼だからな、ベルノ」

 

「でもだからと言って『札幌とかで塩ラーメン食べたくない?』って感じにレース開催地の札幌を選んだ札幌記念に行くはどうなんですか…?」

 

「レースも百パー、グルメも百パー!両方やらなくちゃぁならないってのがアスリートの大変なところだなオグリ!」

 

「ああ!その通りだ!走るも食べるも本気だ!」

 

「あ、この二人なんら話聞いてない…」

 

 

まあG1レースに出るためも、ある程度の実績を叩き出しておく必要があるからな。

 

東海ダービーはとても良いレースだけど、しかしこの世界ではそれだけでは充分な箔付けにならない。

 

時代を感じる。

 

やはり中央なら中央での積み重ねを必要としている。

 

つまり実力主義って奴だ。

 

 

 

 

 

ただ、その代わり…

 

 

 

 

「樫本トレーナー!オグリキャップの足は大丈夫なんですか!?連続での疲労は!?」

「この3ヶ月間で空きなく連続の出走ですよ!!やはり担当に無茶させてるのではないのですか!?」

「地方から中央の移籍から目まぐるし環境下の筈ですがこんなに走らせて平気なのですか!?」

「プレオープンを含めて今回の重賞レースで5連続出走ですよ!?しかも20日ペースでの!!」

 

 

 

と、取材陣の言う通り「5連続出走」である。

 

月に1〜2のハイペースだ。

 

そりゃあメディアも黙ってないような。

 

しかしその反応は当然。

 

 

 

 

さて___俺たちは笠松の東海ダービーを終えると日もあまり開けず、すぐさま中央に移籍した。

 

申請自体は東海ダービーが始まる前から行なっていたので中央移籍にはすんなりと終えた。

 

最後はオグリキャップの母方に深々と頭を下げられて笠松さら見送られたのを思い出す。

 

 

 

「もう、アレから約3ヶ月か…」

 

 

 

中央に移籍後、記憶の中では約一年半ぶりの世界だろうか、俺が知っているよりもやや時代の古さを感じさせる中央トレセン学園。

 

その門を潜り抜ければ段々と冴え渡る頭。

そうして駆け巡るあの日までの追憶。

 

その懐かしさを思い出せば、無意識に吊り上がっていた口元はベルノライトに指摘されるまで気づかなかった。あとオグリキャップもハロウィンで使われるカボチャ頭のように口元が歪んでいたと幻視していた。

 

 

ああ___やはりココに来るとマフTだった頃を思い出して、ウマ娘に狂い始めてしまうらしい。

 

なんともポーカーフェイスが苦手な表舞台の王だろうか。この門を潜れば正当なる予言の王も休暇を忘れてしまうというのに。

 

まあ200年も眠っていたガンダムバエルに比べたら小休止に過ぎないが。まぁいい。

 

 

吊り上がってきた頬を戻すと俺は手慣れたようにチームの申請やら、挨拶やらを済ませて早速オグリキャップとベルノライトを呼び、今後のスケジュールを話し合った。

 

 

 

そして…

 

 

いきなりだが、オグリキャップが中央トレセン学園に移籍したその4日後に出走枠が空いていた一つのプレオープンを出走した。

 

まずこれが一回目のレース。

 

あとベルノライトも一緒に出走させた。しかも何気にオグリキャップと一緒のレースに初めて出走した事になる。

 

実は地方で一回も同じレースで走らせたことがない。

 

なのでレース本番オグリキャップの後ろ姿はもうそれは怪物の二文字に相応しいほどだと興奮していた。

 

レース結果としてはオグリキャップが1着でベルノライトは7着と双方は健闘。二人とも中央という環境変化も感じさせず充分以上に実力を発揮してくれたので移籍後早期に乗り出した中央レースも収穫ありだ。なんの問題なし。

 

 

 

で、そんな成果を得ながらその20日後だ。

 

その同じ6月後半ではいきなりG3のエプソムカップにオグリキャップを出走させた。そこでも順位は安定の1着。これがレース二回目。

 

 

ここまでは普通に世間的にもオグリキャップの注目が多いに集まる。

 

地方ファンは笠松時代の同室だったノルンエースってウマ娘を筆頭に古参顔をしている頃だろう。なんとも微笑ましいことか。

 

 

 

そんで、その14日後のことである。

 

7月に入ったその月の前半には、G2の高松宮杯にもオグリキャップを出走させるとそこでも1着の勝利。この成果によって重賞はなんら問題ないと判断。あとこれが三回目レース。

 

地方上がりから中央での破竹の勢いは事実であるが、しかしこの時点で世間の間では「オグリキャップのレースのスパンが短いのでは?」と悪い意味で段々と注目を浴び始めた。

 

___そのようにレースをプランニングしている樫本トレーナーが原因だろう。

 

そんな風潮が漂う。

 

 

 

まあそれはともかく、初のG2レースから14日後の7月後半に開催される中京記念にもオグリキャップは出走した。

 

もう見慣れた安定の1着に観客達はオグリキャップの1着を疑っていない。

 

期待の星である。

 

あとこれでレース四回目。

 

 

まあしかしこの四回目のレースを切っ掛けに樫本トレーナーによるオグリキャップの連続出走のプランニングに対して世間やら、マスコミやら、メディアやらが本格的に騒ぎ始めた。

 

流石に間のない出走は見逃せない、と。

 

当然、騒がしさもありトレセン学園内でも俺に対する非難の声も聞こえてきた。

 

_ウマ娘を大事にしろ。

_ここは地方じゃない。

_今は大丈夫でも何処かで後悔するぞ。

 

そんな非難に等しい声は何かと届いた。

 

ベルノライトに心配された。

 

 

でも流石にレースからレースのスパンが短すぎるのはその通りだ。そう考えてしばらくの間は大人しくすることにした。

 

ただオグリキャップはめちゃくちゃ(遠征先でグルメを食べたくて)モチベーション高くレースを走りたさそうにしていたけど。

 

仕方ないのでベルノライトをオグリキャップにぶん投げて緩和しておいた。

 

中央でもベルノライトはふかふかだって。

ちなみに初旬のモチモチはもう無かった。

流石に絞った。ちゃんとアスリートだな。

 

 

さて、中京記念の出走から14日どころか21日経ってもオグリキャップはレースに出走しなかったため、周りは世間的圧力に樫本トレーナーも自重したか。そんな雰囲気が漂う。

 

まあそれでも世間ではしばらく地方からやって来たオグリキャップのレース結果に、笠松から現れた期待の星として湧き上がる。

 

だが同時に樫本トレーナーに対する非難に近しい内容もテレビ内で露出されてきた。

 

これだけの話題なのでテレビ局はしばらくネタに困らないものとしてホクホク顔だろう。

 

ただそんなホクホク顔なテレビ放送を通して樫本トレーナーに対する牽制も兼ねながら25日目が経過する辺りで樫本トレーナーに関する話題が薄れてきた。ネタも擦れば薄まる。

 

 

しかし奴も流石に自重を覚えただろう。

 

地方上がりの指導者が中央を理解しただろう。

 

 

こんな感じに樫本トレーナーを総評する着陸地点を定め、この話題も終了も感じたこの頃。

 

 

 

 

 

 

 

__出走()っちゃうんだよなコレがぁ!!

 

 

 

 

 

 

なんと1ヶ月も経たない、その28日後の8月後半に開催された札幌記念にオグリキャップは出走すると、もう見慣れた1着を飾る。

 

これでレース五回目だ。

 

そしてG2は2勝。

 

この成果ならG1出走も可能だろう。

 

まず最初に目標としていた秋の天皇賞の出走権も得たも同然。

 

 

それはいい。

 

それは良いんだが___

 

 

オグリキャップの5連続出走によってメディアの間ではコロニー落としでも放たれたように大爆発を起こすと、再び樫本トレーナーに対する注目が集まる。

 

なのでこの札幌記念の出走後のインタビューにて録音マイクという銃口全方向から銃口を向けられていた。

 

 

ああ、なんかこの感じも懐かしいな。

 

カボチャ頭でも被ってくれば良かったか?

 

さて、とりあえず。

 

 

 

「気にするな。オグリに何ら問題はない」

 

「「「大有りだろぉ!!?」」」

 

 

皆同じ気持ちだ。

 

ほら見たかシャア!!

人の心はこうして一つになれるんだぞ!!

 

あ、だめ??……そう。

メビウスの輪も簡単じゃねぇな。

 

 

 

「だが現にオグリキャップは変わらないポテンシャルで1着を獲り続けている。これが何を証拠とするか周りも分かっている筈だ」

 

「し、しかし!それは!」

 

「そもそも地方では間20日ペースの出走などザラだ。笠松時代のオグリキャップもレースに関しては月の1や2で走っていたりと、短なスパンは慣れている。そして移籍後には大凡20日ペースで出走させたが身体的にも何も問題はなかった。これが答えだ」

 

「だがそれは選手生命を脅かす行いだ!!」

「指導者としてそれはどうなんですか!?」

 

 

と、周りは納得しない模様。

 

気持ちはわかる。

 

たしかーに、選手生命を脅やかす一番の原因となる連続レース出走だ。

 

それはトレーナーじゃなくとも周知の認識。

 

でも…

 

 

 

「オグリキャップ。体に何か異常あるか?」

 

「いや特に。それよりお腹が減った…」

 

「ほら、何もない。今日も腹ペコオグリだ」

 

「「「いやいやいや!!??」」」

 

「それよりもお腹が空いた……」

 

 

疲れた様子も無い……訳でも無いか。

 

お腹を空かせているのそろそろ簡単オグリになる頃だろう。こういう時はベルノライトをぶつけて誤魔化すんだが取材中なので無理か。

 

 

でもお腹ぺこぺこオグリの様子を除けば別に連続出走による弊害も無く、むしろ毎日が充実してるのかお肌も気持ちもツヤツヤで、なんなら遠征先で食べれる名物料理に待ちきれない様子だったりと非常に元気な様子。

 

そこに連続出走の疲労などミリとも感じさせない…いやミリは嘘か。

 

でも連続出走による影響はほぼ無いと言えるほどに元気だ。

 

本当に丈夫だなこのウマ娘は。

 

連続出走の事実は無視できずも、長年多くのウマ夢を見てきたメディアの者達もオグリキャップの無尽蔵さを感じている。

 

本当に問題無さそうだ。

 

 

 

「走るほどに削られていく選手生命に関しては理解する。しかしオグリキャップに例外だ。非常に丈夫だからな」

 

「ではこの連続出走はなんのために!?」

 

「無論G1の出走権を得るための実績作り。笠松から遅れて中央に移籍してきたオグリキャップはクラシック登録も無いため。菊花賞が終わるまでは大きなレースに恵まれない状態にある。まあその道を選んだのはコチラ側だが、しかし必要とするべきことはする。この連続出走はそのためだ」

 

「……本当に、トレーナー視点としてオグリキャップにはなんとも無いのですか?」

 

「オグリキャップのトレーナーとして地方から1年以上の付き合いでだ。東海ダービーを勝たせたあの日から、今日この日までそのくらいに根強くオグリキャップを見ている。だからこの場で断言する。この()()()()()()()はオグリキャップにとってなんら問題ないと」

 

「「「!!」」」

 

 

オグリキャップを知っているのはこの樫本トレーナーたる俺だけだ。

 

そう突き放すようにインタビューを終わらせるとオグリキャップは札幌記念のウイニングライブでファンサービスを行い、無事に今日の予定は終了した。

 

 

 

 

でだ、この後の予定は当然。

 

 

 

 

 

「カシモト!大盛りでおかわりしていいか!?」

 

「あと五杯くらいなら金銭的に問題ない」

 

「待てカシモト。賞金は出ているんだよな?」

 

「ある程度は出ているけど即日貰えるわけじゃないからな?てか大盛り20杯も食べておいてまだ食うかコイツ。ベルノライトなんか大盛り二杯で終わったぞ」

 

「あの、あまり女の子に大盛り二杯とか言わないでくれませんか?」

 

「ウマ娘の胃袋で女の子扱いは難しくね?」

 

「カシモトさん!!」

 

「店長!あと餃子も10人前おかわり良いだろうか?あと塩ラーメン大盛りを5つ!」

 

「おうおうまだまだ食うかコイツ。てかこの塩分量取っても問題ないウマ娘って本当に凄いな。ふむ…なるほど。これが毒無効設定となる所以なのか…」

 

「オグリちゃんが特別なだけだと思いますけど…?」

 

 

オグリキャップがモリモリ食べてくれるのでコチラは並盛りで充分お腹いっぱいになる。ベルノライトも似たような気持ちらしく、ここ最近は少食気味だ。中央に来たからには多めに食べて身体の成長力を伸ばして欲しいんだけど。

 

 

「すげー、オグリキャップだ」

「オイオイ、何人前食べてんだ?」

「わー、すげぇ。ドンドン減ってくよ」

「隣のウマ娘は誰なんだろう?」

 

「おいあれ、あの樫本だぞ」

「あの噂の悪徳トレーナーか…」

「ちっ…地方上がりの、気に入らねぇ…」

 

 

数刻前の札幌記念の件で完全に有名税が発生している俺たち。その中でも特にオグリキャップは目立っている。お皿のタワーも含めて。

 

 

 

「トレーナーさん…」

 

「無視しろベルノ。何も知らない分かってない見るだけで測れないのような烏合など、地球の引力となんら変わらない。ベルノもオグリキャップが何ら問題ないの知ってるだろ?」

 

「はい。そのための脚質変更でしたよね?」

 

「ああ。ペース配布を知ってもらうため身体に落とし込ませた。純粋なフィジカルで戦うことになる先行策で100%がどの程度苦しいかを理解してもらい、計画的に走る必要なある後方策ではどのくらいの出力で勝てるかを、体感的に考えてもらった。オグリキャップは天才だから東海ダービーの時点で完了してる。てか今回の札幌記念だって出力60%くらいで勝ったぞ」

 

「え?オグリちゃんそんなに余力を残して…?」

 

「よく食べて、よく走れるこの子はますます丈夫になりながら成長するんだよ。だって初めて担当した時に比べて今の練習密度は実に6倍差だぞ?つまりこの一年でそれだけステータス盛れている状況なんだ。なら出力落としても勝てるくらいにもなるだろう、オグリのステータスならな」

 

 

オグリキャップは世間知らず故に知らないことが多いと思われるウマ娘だが、しかしこの子はレースに於いて普通に天才のタイプだ。

 

ミスターシービーと同じくらい。

 

もうこの時点でニュータイプ認定して良いほどに理解力やら、吸収力やらが高い。

 

それでいてとても素直さんなウマ娘だから脇目も振らず練習に取り組んでくれて、そりゃあもう育成が捗るよね。

 

名門樫本特有の管理主義に100%応えてくれる良い子だよ。

 

 

いやごめん少し嘘。

 

愛嬌たっぷりオグリちゃんが良い子なのは確かなんだけど、食い気オグリちゃんに食事制限は難しいのでここら辺の管理は半分諦めてる。

 

なので代わりに食った分は沢山鍛えてるし、追い込みまくってる。

 

でも食べた分を消化するためにオグリキャップは弱音ひとつ吐かない素直さんなので何処までも練習頑張ってくれる。

 

まあオグリからすればお腹いっぱい食べるために沢山トレーニングしている面もあるが。

 

あと沢山走れていつも幸せだとか。

 

 

永久機関が出来ちまったなァ!

 

 

まとめると常に練習密度も高いのは、そりゃそうだよね!って話。

 

 

 

あと、これは俺頼りなんだけど

前世の技術。名もスポーツマッサージ。

 

この世界ではない前世の国家資格の技術はこの世界のウマ娘の肉体と噛み合っている。

 

時速70キロメートルで走る割には人間(ヒト)の筋肉量と然程変わらないウマ娘の肉体はやはり謎塗れなんだけど、でもその謎塗れに対してこの技術がクリティカルに効果を発揮してくれている。あまりにも都合が良する噛み合いにサイコミュよりも怖くなこの頃、でも使えるモノはなんでも使うのがモビルスーツのエースパイロットだ。シャアも言ってた。

 

 

ちなみこのスポーツマッサージ技術に若干病み付きなのが実はベルノライト。施術はジャージ姿なんだけど、それでも男にベタベタ触られるのすら気にしない程である。去年の夏合宿で足を攣った時にほぐして治してやったけど、あまりにも治りが良くてそれ以来は充てにしてくれてる現状、ゴッドフィンガーと呼んでくれてる。

 

ちなみにゴットフィンガー、ガンダムファイト国際条約に従ってベルノライトの頭部を破壊することにも長けている。

 

もちろんオグリキャップの連携(アシスト)が必須だけど、中央の環境に思い出してからは最近このアシストで振り向きアメキャンもできるようになってきたのでベルノライトとの対面が楽になってきた。やっぱこのテクつえーわ。

 

 

「やっぱカシモトさんって私に何か恨みありますよね??あるんですよね??」

 

「ううん無いよ」

 

「そ、即答ぅ…」

 

「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ」

 

 

レンゲでスープを掬って、味わう。

 

うん、塩の後味スッキリ満足だな。

 

 

 

「ま、技術面でも、それ以外でも、俺だからこその反則的な部分は多々あるけどな」

 

「でも…それはカシモトさんの内側にあるマフティーとちゃんと向き合った上での依代(ファクター)ですよね?ならそれはカシモトさん自身の力ですよ。反則なんて捉え方はとんでもないと私は思います」

 

「!……ふっ、そうだな。確かに…どちらも俺であることに変わりない。よく分かっているじゃないかベルノライト。もう一杯食べていいぞ」

 

「い、いえ、オグリちゃんがモリモリ食べてるのでなんかそれでお腹いっぱいで…」

 

「気持ちは分かる。てか俺たちの空腹すら食べてんじゃないのかこの娘は?オグリジョー」

 

「そんな、なんでも食べ尽くしてしまう怪物みたいな……あ、怪物か」

 

「よく食べるよなー、怪物オグリちゃん」

 

「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」

 

 

ちなみにクルペッコのように「おやつだよー!」って呼んだらエクバのアシスト機のように生えてくるので実質イビルジョーでもある。

 

いやクルペッコの振り向きアメキャンで現れるイビルジョーとか想像したくねーよ。怖っ。

 

 

 

「次の出走、もう決まっているんですか?」

 

「毎日王冠にしようかなって」

 

「あ、流石にそろそろ間を空けるんですね」

 

「無尽蔵とはいえ、流石に6連続は考えてしまうかな…と、言うより本音を言ったら目ぼしいレースが10月までないので練習に力入れることにする。まだオグリには足りないモノがあるし」

 

「足りない…?」

 

「ベルノライトにはあって、オグリキャップにはないモノだよ」

 

「?」

 

「ま、ともかく今日の札幌記念から次のレースまで2ヶ月は空ける。まあその後も比較的連続出走になるかもしれないけどな」

 

「また色々と言われそうですね…」

 

「気にしねーよ。てか俺はインタビューで既に伝えてある。オグリキャップが特別だから出来ることをな。同じウマ娘でもベルノライトには真似は出来ないだろ?」

 

「いやいや無理です。脚が壊れます!」

 

「その通り。でもオグリキャップなら壊れないし、むしろますます走ってしまう。彼女はそれくらい凄いんだよ。これマッサージだけの話じゃないからな?それだけの素質と天才的な成長力を持っているからこその常識破り。地球の重力に魂ごと縛られた世間達は可能性の獣すら知らないだろうね」

 

 

レンゲでスープを掬って一口。

 

札幌ラーメンの裏切らない美味さを口の中で回しながら、お皿を重ねていくオグリキャップを横目にこの後のレースプランを再確認。

 

 

とりあえず毎日王冠を走ったら秋の天皇賞だ。

 

間違いなくタマモクロスが出てくるだろう。

 

しかしあのイナズマとんでもヤバいウマ娘が相手でも、今後の展開次第ではオグリキャップなら勝てる可能性があるってのも、中々おもしろくなってきたな。

 

いいねぇ…!

これだからウマ娘のトレーナーは面白い…!

 

 

 

「食べたら合宿地に帰るぞ。まだ利用期間として3日あるんだ。使わないと勿体無い」

 

「分かった。あ、その前にお土産だな。とりあえず蟹煎餅を200人前くらいは買っていこう」

 

「それ半分自分用だろ。100人前にしろ」

 

「その前に合宿地にお土産とか持っていって良いんですか?」

 

「それは大丈夫。モチベーションの向上のために差し入れはオーケーだ。もしダメならオグリが着く前に全部食べてくれる」

 

「ああ!デザートには良い量だな!」

 

「それオグリちゃんじゃないと成立しない力技だよね…?」

 

「腹ペコオグリを無礼るなよ」

 

 

会計を済ませてラーメン屋の暖簾を潜る。

 

店を出る俺たちに道を開ける烏合達。

 

 

ただその中でも、少し耳障りに喧しかった連中には視線を動かして目をあわせると、一瞬だけ深く眼の奥を覗き殺す。

 

すると奥まで覗き見られた連中は目を見開いて後退り、尻餅して「ひっ」と声を漏らす。

 

 

本来この程度の相手など意味はないが…

 

しかし「あんなのにオグリキャップ程のウマ娘は勿体無い」って言葉で俺を測ったつもりでいる愚か者にマフティーは許さない。

 

俺に反省を促したいのならそれ相応に持ち合わせてくれないとな。

 

 

 

「さ、行くぞ」

 

「あ、うん…!」

 

「…そうだな」

 

 

この体から放たれた一瞬のプレッシャーにベルノライトはウマ耳を立てて驚くが、オグリキャップはチラリと横目に反応しただけで後は特に気にせずお土産を思い出しながら歩き出す。

 

 

すると…

 

 

 

「カシモト」

 

「?」

 

「私はカシモトの担当ウマ娘で良かったぞ」

 

「そうか。俺も担当がオグリで良かったよ」

 

 

と、フォローのつもりだろうか。

 

何かとよく見ているオグリは状況を察して彼女なりの言葉を送ってくれる。

 

本当に良い子だな、この子は。

 

 

 

「っ!わ、私も…!トレーナーさんがカシモトさんで良かったですから!これ本当に…!」

 

「俺もだよ。ベルノライトのような面白ろ素敵なウマ娘がキルケー扱いしてくれたお陰で、俺はマフティーたらしめることができた。この目覚めに感謝してるさ」

 

「お、面白ろって!もう!!でも……トレーナーの素敵なウマ娘、か……うぇえへへへ…」

 

「あ、だらしない隙だらけの顔だ。これはガンダムファイト国際条約的にも頭部を破壊するチャンスか?よしオグリ、アシスト頼んだ」

 

「分かった。食後のマブ戦術だな」

 

「え、ちょ!食べたばかりでぇ!?…うぷっ!」

 

 

 

ホテルに戻り、明日は残りの合宿地に。

 

余すことなく、しかし余裕をもって征く。

 

この身体にはそれが許されるほどにある。

 

なら、この引き金に躊躇うことはない。

 

 

チームGUNDAMよ。

俺は中央に帰ってきた。

 

 

だから___ウマ娘のトレーナーをしよう。

 

この樫本(からだ)に灯された続きを幾度なくとして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そうだわ、オグリ。夏合宿終えたら今年はオグリに夜の特別練習を課すから。よろしく」

 

「おお…!ついに私もか!そうか!ベルノライトもしていたカシモトとの夜の特別練習を私もするんだな!ふふっ、とても楽しみだな…!」

 

「ちょぉぉい!?分かってるけどなんかその響如何わしいからオグリちゃんだめだよ!あまり周りにそれ言っちゃダメだからね!」

 

「なる、ほど?」

 

「ベルノライトも大変だな」

 

「カシモトさんが悪いんだよ…!」

 

 

 

マチュ(ジト)目で怒られながら俺は平謝りしつつ次のステップに進んだ。

 

さあ、マフTだった俺の見せ所だな。

 

 

 

 

つづく






強くてニューゲーム中。
繰り返すってそうだから。


【カシモト】
東海ダービーを終えて完全に目が覚めたのでマフTだった頃を思い出してオグリキャップをめちゃくちゃ強化中。それと同時に5連続出走させたことで世間的にヤベー奴認定されてしまうが樫本もオグリもどこ吹く風。もちろん撤退管理主義によってオグリの体は守られているので怪我とか故障はしない。ミスターシービーの時と同じでこれもまた最強コンビ。

【オグリキャップ】
地方で鍛えられた心臓の強さによって連続出走の疲れを感じさせることなく、むしろ遠征先のグルメに胃袋と心を慣らす毎日。お陰でやる気下がるどころかやる気が上がりまくっている。夏だったので塩系が欲しくなり出走先を札幌記念にしで塩ラーメンを食べることにした。

【ベルノライト】
中央の芝の質に感動しながらこちらもモリモリ成長中。まだ中央で1着は獲れてないがシニア級のとあるレースを目標に頑張っている。何気に先行と追い込みの両刀で鍛えられているので出走時はベルノライトの作戦が読まれずにいる。間違いなく手強いウマ娘になるだろう。


じゃぁな!

閃光のハサウェイ"キルケーの魔女"は観に行きましたか?

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