特急列車「ていてつ」で起こった襲撃事件。
事件現場には、倒れたツインターボ以外には誰もいなかった。

捜査が行き詰ったかに見えた事件だが、何かに気が付いたナイスネイチャがとある場所へと向かう。
事件の謎とは?ターボを襲った人物は?


みたいな感じでラストシーンから始まります。
アニメうまよんのサスペンス回が面白かったのでそれっぽい物を作ってみました。
よろしくお願いしますー。

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特急「ていてつ」襲撃事件 消えた犯人を追え!!極めろ電撃3ハロン

ナイスネイチャがひとつの場所として目星をつけたのは、とある崖。

それは、よろしくないことでも有名な観光地だった。

夕日が眩しいくらいに輝きながら、水平線にもたれかかっている。

早足で目的地に向かう。もうすぐ、日が暮れる。

 

「やはりここにいましたか。――イクノディクタス。」

「…よくここがわかりましたね。ネイチャさん。」

 

綺麗な栗色の髪。細長く三つ編みにした髪の毛が、強い潮風で大きくたなびいている。

イクノディクタスはナイスネイチャがここに来るのを分かっていたかの様に、落ち着いた様子で崖側に佇んでいた。

 

「刑事の勘、ってやつですよ。勘ってやつは、馬鹿にはできないですから。」

「なるほど…確かにそうですね。」

 

イクノディクタスは中指で眼鏡を上に上げながら、ナイスネイチャに同意した。

 

「ところで、こんなところまでなんのご用ですか?」

「ツインターボ襲撃の件について、話してもらおうと思いましてね。」

「あぁ…それについてですか。前にも言いましたが、私が犯行をすることは不可能です。これ以上、言うことはないはずですが。」

イクノディクタスは、落ち着いた様子で淡々と答える。

しかし、ナイスネイチャはそれに戸惑うことなく、こう続けた。

「確かに、あなたの言うことは間違ってはいないかもしれませんね。ですがあの日、あの時間帯だったら話は別ですよ。

――なぜならあの時間、臨時特急【ブルーにんじんエクスプレス】が走ってたんですから。」

 

―――

 

相変わらず、潮風が体に強く当たる。

上に羽織ったトレンチコートは風に揺れ、落ちている葉っぱが空へと舞い上がる。

 

「臨時列車の停車時間から数分の間。短い間ではありますが、ウマ娘の足があれば事件現場の車両に乗り換えることは十分に可能。」

「なるほど。健康なウマ娘であれば可能みたいですね。――ですが忘れていませんか?私の足を。」

 

イクノディクタスは、包帯でぐるぐる巻きにされた足を手で撫でる。

――そう。彼女は、事件の前から怪我をしていたのだ。

 

「そうですね。アンタは今、歩ける状態ではあるけれども、痛みで走ることはできないと言っていましたね。」

「そうです。だからこそ、なぜ私が疑われなければ行けないんですか?」

「イクノにはアリバイがないからですよ。だから探しました。アンタが犯行を可能であると断言できる証拠を。」

「証拠…。」

 

イクノディクタスは押し黙っていた。

夕日の光が強く目に当たる。

 

イクノディクタスの背後に太陽があるため、彼女の顔に影がかかる。まるで、今の彼女の心情を表すかの様に。

ナイスネイチャはこれを見て、確信した様な顔でこう続ける。

 

「必死になって探しましたよ。」

「私の予想だと、貴方方は証拠を探すことができなかった、と思っていますが。」

「舐められたもんですね、私たちも。」

「見つけたんですか?」

「見つからなかったです。」

「は?」

 

「見つかりませんでした。」

「なんでここにいるんですか?」

 

―――

 

静まり返り、波風の音が響く。

 

「いや、まぁ、見つからなかったんですけど、私の相方が探して持ってきてくれるはずだから…」

「そうですか。なら待ちましょうか。」

「だいぶ聞き分けがいいな…」と思いながらも、ネイチャは相方の到着を待った。

 

そこから時を置かずして、片耳に破けた帽子をかぶせたウマ娘が走ってやってきた。

 

「探してきたよー!!」

「お、きましたか…待ってたよ、タンホイザ。」

「えへへ、探すのに時間かかっちゃって…」

「でも、いい情報持ってきたみたいだね」

 

ナイスネイチャの仲間の一人であるマチカネタンホイザが彼女の元にやってきた。

声が上機嫌であったため、イクノディクタスを追い詰めるための証拠を集めることができたのだろう、とネイチャは思った。

 

「じゃ、教えてもらいましょうか。怪我をしているはずのイクノディクタスが犯行におよべた理由を。」

「むふふふ…了解だよー!」

 

マチカネタンホイザは言葉を続ける。

 

「えーとね。私が調べた情報によると、イクノディクタスが初めて大きな怪我をしたのは数年前。デビューする前ってことだったよ。

だけど、以降は特にこれといった怪我もなく、今までに多くのレースに参加してるんだって。

そのレースの出走頻度から、一部では『鉄のウマ娘』、なんてことも言われる様になってきているみたい。」

 

「そうですね。その辺りは間違っていません。」イクノディクタスは返す。

「ほうほう。なるほどね。つまり、そもそもからしてイクノは怪我をしにくいウマ娘である、と言えるのかもね。」と、ネイチャは言う。

 

「確かに、私は怪我をしないように注意をしていますが、だからといって今回犯行に及べたと言う理由にはなっていないのでは?」

「そこなんだよねー。難しいところですよ。で、タンホイザ、続きは?」

 

「後はもうないよ。」

「え?」

「証拠は見つからなかったよ!」

 

「――……。」

 

「……。」

 

「アタシ達からは以上です」

「貴方達は何しにきたんですか??」

 

 

イクノディクタスは呆れながらも、この人たちをなんとかするしかないと思い、言葉を続けた。

 

「…最初から考えましょう。私が怪我をしにくいのは、まず第一に最悪のことを考えて対処しているからです。

そのほかにももちろん理由はありますが、それがなんであれ、違和感を感じたら大ごとになる前に対処をする。私はそうしてきました。」

「なるほど?」

「つまり、少しの怪我、走れるくらいの怪我であったとしても念のため大事をとっておく、ということです。」

「ほう。」

「なので今回の件については、どういうことかわかりますか?」

「うーん。どうなんだろう?」

 

「つまりはこういうことですよ。」

イクノディクタスはそう言うと包帯をとり、怪我の部分をナイスネイチャ達に見せた。

 

「私の足の怪我は…もう治ってるんです。少なくとも、あの時はもう走れる状態でした。」

「えっ」

「わかりましたか?」

 

「それって自分から言って大丈夫なやつなんですかね?」

 

「……。」

「――…。」

 

「まさか私のアリバイが完全に崩されるとは思ってもみませんでした」

「無理して流れ変えようとしなくて良いですからね?」

 

――――

 

「まぁ…それはともかくとして。犯行の動機を聞いてもいいですかね?」

「はい。これは、…事故なんです。元々私は、ターボさんが一人で特急列車に乗るのにどうしても不安があって。

後から臨時特急で追いかける形にしたんですが、そしたら、私の不注意で棚の荷物が落ち、ターボさんの後頭部に当たってしまって。

咄嗟に私は逃げてしまったんです。…私らしくない。」

 

「なるほどね…なんにせよ、詳しくは署の方で聞かせてもらいましょうか」

「いいえ、その必要はありません。」

 

崖側にいるイクノディクタスはナイスネイチャと向き合ったまま、体を後ろに傾けた。

その瞬間、ナイスネイチャは時間がゆっくりになる錯覚を覚えた。

 

「待って、はやまらないで…――!!」

 

ナイスネイチャとマチカネタンホイザは落ちる彼女を助けようとするも、もう遅かった。

助けに向かったとしても、ウマ娘の初速は速くない以上間に合うことはない。

ネイチャの耳に、波の音が頭に響く。

 

「これが私の――償いですから。」

イクノディクタスはそういいながら、覚悟を決めた顔をしていた。

 

 

――その刹那、イクノディクタスを引き止める声が波の音をかき消した。

それは、ナイスネイチャでもマチカネタンホイザでもない。別の声。

 

「!?…この声は…」

 

その音の主は、まっすぐ走って追いかけてくる。

 

ふたつにまとめられた長い髪が風で揺れながら。

夕日に照らされて赤みがかかっている青色と共に。

 

「…っ!!!??――ツイン、ターボ…!!??」

 

「ターボさん…っ?」

イクノディクタスの目の前に、仏となってしまったはずのツインターボが映る。

慌ててイクノディクタスは体制を立て直そうとするも、重心が完全に後ろになってしまったため、もう体制を立て直すことはできなかった。

崖から脚が離れ、体が宙に浮く。

 

「諦めない…からぁ!!」

 

一瞬の間に、青い残像がネイチャ達の横を通り抜ける。

 

「イクノ!!――手だして!!」

「ターボさん…!」

 

イクノディクタスは崖から落ちる瞬間、上半身をできる限り崖側に寄せ、精一杯手を伸ばす。

ツインターボの小さな手は、今にも落ちそうなウマ娘の手をしっかりと掴んだ。

 

「ターボさん…どうして…」

「――勝手に殺すなぁぁぁーー!!!!」

「すみません、私としたことが….」

「ターボね、すっごい大変だったんだよ!!起きたら知らない所にいるし!周りには誰もいないし!!」

 

体を地面にピッタリと付け、崖下のイクノディクタスを片手で掴みながらも、空いた手足をバタバタさせて暴れながらターボが話を続ける。

 

「待ってターボ、その話は後にしよう。このままだと危ないからさ」

 

そのまま暴れ続けられると困るので、ナイスネイチャは言葉で止めようとした。

――あのままだと落ちる。

 

「やだやだ!!まだ言いたいことあるもん!!だってさ、この前だって――…あっ」

 

 

 

落ちた。

 

 

 

「うわぁぁぁ!!」とツインターボが叫びながら、イクノディクタスとともに崖から海へと真っ逆さまに持ちてゆく。

――イクノはちょっぴり笑ってたように見えたが、気のせいだと思われる。多分。

 

「イクノ…ターボ…」

 

マチカネタンホイザの目線の先には、イクノディクタスとツインターボの体が波に揺られて動いていた。

――あれどう見てもハリボテだし、岸でイクノとターボがタオルをもらってるのが見えるけど気のせいだろう。おそらく。

 

 

 

ナイスネイチャは、達観した様な表情で夕陽を眺めた。

寄せては返すさざなみの音、夕日が半分隠れて少し薄暗くなった景色、そして夕日に被さる様に飛ぶカモメ達。

 

これで、事件は終わったのだと。

そう思いながら、ナイスネイチャはぽつりとつぶやいた。

 

 

 

「これ――完全に事故じゃん――」

 

 

 

テーレレー

 

      CAST

    ナイスネイチャ

    マチカネタンホイザ

    イクノディクタス

    ツインターボ

 

    その他

 

    いろいろ

 

 

    ――完――

 






「…面白いのかなこれ」
「むん・・・どうなんだろうね…」
「どうであれ、感謝祭の様子を見て判断するしかないかと。」
「ターボ最後活躍したもん!!!」


「はは…活躍してたのかなぁ、あれ…。まぁ、いい…かなぁ……?」


本番は明日。
映像はできてるので、後は観客の様子を確認するだけ。

本人たちに自信はなかったが――まぁ、それはまた別のお話。

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