水着イベ。ネタバレもアレなのでストーリーは言及しませんが、素材が美味しすぎて良い感じ。ひたすら機械のように周回中です。
バーゲストとの物語ももうすぐ終わりに近づいてまいりました。
本当、モルガンが出てこなくてすみません。
改めて、誤字脱字報告、お気に入り登録、評価。ありがとうございます。本当に励みになります。
相変わらずですが、色々ご指摘、ご意見、ご感想。アドバイス等々、お待ちしております。
「V2N! アイツの解析をできるか!? 出来れば元のバーゲストに戻したい!!」
『肉体的構造も、魔術的構造のどちらも解析は可能だけれど、トールの望み通りになるかは限らない』
「頼んだ! 目的は殲滅じゃない! リパルサーなんかの出力は抑えておいとくれ!」
『いいでしょう』
最大の目的をV2Nに説明し、自身でも改めて決意する。
まずは体の構造解析だ。あの獣にコアのようなものがあって、その中にバーゲストがいる。みたいな状況なのが1番楽に助け出せそうだが。
『攻撃が来るわ。備えなさい』
「――っ」
言われた通り、吐き出される熱線を空中で回避する。
遠距離系の攻撃は基本的にはアレしか出来ないようだ。
ひとまずは、構造分析が終わるまでは様子見だ。
⁑
――全く! 人を焦らせて!
様子見途中に現れたのは、半裸の刀を持った男。
こちらが傷を付けないように戦っていたのに、勝手に援護だのなんだの言ってバーゲストに斬りかかったのだ。
一先ずは蹴り飛ばしてやったが、万が一当たっていたらどうなっていた事か。
『構造解析はある程度進んだわ』
憤慨していたら、V2Nから声がかかった。
「どう、元に戻せそうか?」
『現状はかなり困難よ。あの獣への変貌は呪いによるもの。それも並の魔術にものではない。土地そのものに根付くような類の力』
「魔術で呪いって……カマータージのとは違うんだろ?」
『アレとこの世界の魔術は根底から違うもの。あの呪い。別物ではあるけれど、似たようなものに覚えはあるわ。全くもって忌々しい』
「似たような物って、俺は知らないぞ!?」
『それはそうでしょう、貴方は全てを思い出したわけでは無いもの』
「どうにかする事は出来ないか……?」
『アレはこの國の妖精を滅ぼそうとする意思、その意思を屈服させる事が出来ればあるいは解呪できる可能性はあるけれど……』
「具体的にはどうすれば良い!?」
『打ち倒すのが現状の方法よ、でも致命傷を与えずに呪いの意思を折るなど不可能と言っていい。そして解呪が出来たとしても彼女が助かるかは分からない』
「バーゲストの意思が残ってるって事はないのか?アイツ自身が呪いに打ち勝つってのは? ほら、日本のコミックとかであるだろ。呪詛返しみたいなヤツとか……」
あの時、アイアンマンとなる直前。獣から涙が流れているのを確かに見た。アレはきっとバーゲストの筈だ。
『現状確認する限りでは難しいだろう。アレはもうこの土地の妖精を喰らおうとする意思そのもの。今は色々な意思がきっかけである貴方に向いてるけれど、既に彼女の意思は感じられない』
「そんな……」
『下手を打ったわねトオル。自身に復讐心でも向けてあの騎士に生きる理由でも与えようと思った? それ程にあの妖精に絆されたのかしら? 正直見捨ててとっとと殺してしまった方が早いわよ。いずれはこうなる運命だったわ。あなたが背負う事でもない』
「でもこんなタイミングじゃなかった。俺がいなければ、もっとどうにかなるタイミングだったかもしれない。最初から用意された爆弾だからって、俺に責任が無いなんて言えるわけがない!」
『……』
「頼むよV2N……協力してくれ」
『……いいでしょう――』
「ああ、ありがとうV2N」
その礼と共に、様々な情報が表示されている視界の端、に機械で出来た木の実のようなものが映りこんだ。
『ベロニカを呼ぶわ。あの質量相手ならばそちらの方が都合が良い』
V2Nの言葉とともに、ベロニカの詳細が頭部モニターに表示される。
本来であれば別の対象を想定したユニットではあるが、確かに今回においては都合が良さそうだ。
「なあ、これって元の世界じゃ人工衛星にくっついてたんだよな!? 今はこの世界のどこにあるんだ!?」
記憶を思い起こしてみれば、貰い物の殆どは
『それは企業秘密というものよ』
⁑
ある程度の威力の加減の調整も完了し、戦場から少し遠くにいる。侍の仲間達との会話を完了させる。
支援の申し出は断った。
攻撃の威力の調整に手間取る上に、彼らの本当の最終目標が殲滅である以上、土壇場で何をするかわかったものではない。
いくら様々な世界を周り、人々との絆を深め、人間関係の構築やって緩和したとは言え、悪性のある人間しかいない無限城にいた彼は、そう簡単に出会ったばかりの人間を信じきる事は出来なかった。
『間も無くベロニカが来ます』
「来たな……」
空中から飛んでくる巨大な影。
『ベロニカ』はアイアンマン専用の支援ポッドだ。
中にはアイアンマンに取り付けられる外装ユニットが搭載されており、足元から頭まで、各パーツが単独飛行し、その場で装着する事が出来る。
全てのユニットを搭載し終われば、アイアンマンを核とした新たなパワードスーツ。『ハルクバスター』の完成となる。
アイアンマンのいる世界にはハルクと呼ばれる超人が存在する。
正体はブルース・バナーという科学者。
普通の人間であり、気弱な科学者であるはずの彼は、とある事情により、怒り等の負の感情が高まると、ハルクという3メートル近い大男に変身してしまう。
怒りがスイッチとなっている為、変身した直後は理性がほぼなく、周囲をひたすらに破壊する怪物になってしまうのだ。
観測した限りでも数十キロ単位の距離をひとっ飛びで移動する跳躍力。
銃は当然ながら、戦車砲やミサイルでも傷一つつかない頑丈さ。戦車などの装甲を紙のように引きちぎる怪力を最低でも持っており、とある事情によって観測した
怒りによってそのパワーは変動する様で、その力には際限がない。
そんなハルクを止める為、トニー・スタークとブルース・バナー本人によって開発されたのが『ハルクバスター』だ。
基礎スペックの向上は勿論だが、1番は拘束用の装備をいくつか搭載しておりハルクと同様に暴走しているバーゲストを抑えるには現状最も最適な装備と言える。
獣と一度距離を離し、ユニットを装着する隙を作る。
次々と飛来する各部位のユニットをその身体に装着し、10秒ほど経った頃には『ハルクバスター』が完成していた。
離れた距離を一気に詰める様に、獣であるバーゲストが向かってくる。獣らしく、戦術も無く、その爪で引き裂こうと飛び掛かってくるその体に、カウンターの拳を叩き込んだ。
――さあ、第2ラウンドだ。
⁑
「バーゲスト! 君は妖精騎士ガウェインなんだろ!? 立派な騎士なんだろ!? そんな風に涎を垂らして、節操なしに襲いかかる様な野蛮な奴じゃなかった筈だ!」
一応の説得を試みるが、返ってきたのは今までに無いほどの大きな咆哮だった。
……説得内容を間違えたかもしれない。
「悪かった! 野蛮ってのは言い過ぎた!!」
その咆哮と共に手脚を唸らせ、再び全速力で向かってくる。目的は更なる解析と可能であれば拘束か気絶させ、呪いそのものを屈服させる事。
呪いという曖昧な存在を屈服させるとはどういう事かと疑問だが、兎に角あの獣に自分には絶対に勝てないと思わせる事が重要らしい。
それがどれほど有効かはわからないがやるしか無い。
空中から飛び上がり、振り下ろしてくるその爪を、右前足を掴むことで受け止める。
続け様に、噛み付いてこようとした。その口を避け、右脇に頭を抱え込むことで無理やり口を閉じさせた。
獣は構わずこちらに体重をかけ、そのまま押し倒そうと力を入れて来た。ジリジリと地面を削りながら、段々と後退させられてしまう。
「くっ……! やっぱり結構力が強いな……!」
『ハルクバスターとは言え、闘い方を間違えれば、敗北しますよトール』
「ああ、そうみたいだ――なっ!」
最期の言葉と同時に、全身のブースターを稼働させ、抱え込んだバーゲストごと、身体を後ろに反らして、そのまま投げ飛ばす。
背中から落ちたバーゲストは怯んだ様な様子を見せるが、それも一瞬だ。ダメージが入っている様には見えない。
体勢を立て直す隙を与えず。ブースターを稼働して一気に接近。今一度頭を抱え込み、拳を脳に当たる部分に向ける。
「これで眠ってくれるか――!?」
そのまま右腕のギミックを起動。ハルクバスターの拳が高速で飛び出し、また引っこむ、高速パンチを連打する機能だ。、夥しい数のパンチを1点に集中して浴びせ掛ける。
通常の生物と同じ構造であれば脳震盪を起こすはずだが
「これもダメか……」
怯みはするものの全くのノーダメージのようだった。
かと言ってリパルサー等の光線兵器を使うわけにはいかない。出力を絞ったところで、効かないのは証明済だし、出力を上げてしまえば、そのまま殺してしまう可能性がある。
お返しとばかりにバーゲストは凄まじい力で頭を振り、ハルクバスターの巨体をも振り回す。
そのままハルクバスターは投げ出され、腹ばいに倒されてしまう。
「ヤバっ――!」
そのまま伸し掛かられ、右腕に噛みつかれてしまった。
多少抵抗は出来たものの、右腕が無理やり引きちぎられた。金属が無理やりひしゃげ、火花が散る。
他パーツもところどころを踏みつけられ、ダメージが蓄積していく。
とどめとばかりに頭がかみ砕かれる前に、足元のスラスターを噴射させ、体を地面にこすりつけたまま、脱出する。
「色々やられた!!」
『既にユニットを射出してある』
「急いでくれ!!」
一時的に脱出はしたものの、追い打ちの方が速い。片腕が無いままでは、みすみすやられる可能性がある。
ひとまず距離を放そうとスラスターを噴射させるが、本調子では無く、すぐに追いつかれてしまった。
巨大を活かしたシンプルな突進を喰らい、そのままかなりの距離を吹き飛ばされてしまう。
死に体の身体を空中でスラスターを活かし体制を整えながらどうにか片膝立ちで着地。
既にバーゲストは目前まで迫っていた。
このまま追撃を喰らうかと覚悟をしたものの――
しかしいつまでもそれが来ることは無かった。
「バーゲスト……?」
止まっていた。獣は目前で息を荒げながら、こちらを睨みつけるだけ。
何故かと思案してみれば、背後には色とりどりの美しい花畑。
そう、これは確か――
「アドニスの為の」
そうだ、バーゲストが、病弱で外に出られないアドニスの為に窓から見えるよう。用意した花畑だ。
二転三転している戦況だが、いつの間にかここに来ていたらしい。
さらに背後を見れば、見覚えのある屋敷。
これまでの戦闘でマンチェスターはボロボロになっているものの、バーゲストの家はまだ無事だった。
もし、このまま獣がこちらに組み付いて、転倒させられていたら、この花畑は押しつぶされ、滅茶苦茶になっていたはずだ。
今のこの状況を見れば、最早確信に至るしかない。
「まだ、バーゲストの意識があるんだな? アドニスとの思い出を、壊したくなかったんだな?」
『グオォォォォォォォォォォォォォォォーーッ』
トオルの問いに応えたのかはわからない。だが、まるでそうだとでも言うかのように。獣が吠えた。
獣の動きが止まっていた事により、追撃前に射出されたパーツが届く。右腕が新たに取り付けられ、細かいスラスターのパーツ等も、調整されていく。
花畑を荒らさぬよう。スラスター等は使わず。その場で跳躍。スーツにはパワーも増強するシステムもある。スラスターを使わずとも、獣の背後に跳躍のみで回るくらいは余裕だ。
そのままスラスター噴射が花畑に影響が及ばない距離まで離れたのを確認し、マンチェスターからなるべく離れるよう空を飛ぶ。
「V2N。絶対だ。絶対にバーゲストは助け出すぞ」
『確かに彼女の意思はあるかもしれないが、現状では、打つ手はないわ』
「それでもだ」
――絶対に諦めない
獣を背後に空中を飛ぶ。見れば、妖精國には珍しい、曇り空が広がっていた。
アドニス:自分が喰われる事を愛ゆえに受け入れた最高のイケメン。だと勝手に思ってます。
V2N:お前のようなAIがいるか
トオル:実は、そこまで覚悟決まってなかったけど、バーゲストのアドニスへの愛に感化され、覚悟決まって来てる。
ハルクバスター:超カッコいい。アベンジャーズ:エイジオブウルトロンより。GGL先生に聞けば動画が出て来るのでぜひ見ていただきたい。
バーゲスト:本編ではモースに侵されまくっていたり色々追い詰められた状態でしたが涙を流す描写はあったので、多少は意思は残ってると解釈。今回は本編よりも余裕はあったので、アドニス愛で少し止まった。
MARVEL作品をどれくらい触れていますか
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MCU含め、他媒体の作品も嗜んでいる
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MCUの映画は全て視聴済み
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MCUの映画を1本以上観た事がある
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一度も触れた事がない