書き終わってから、読んでいてしんどくなったので、止めました。
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こちら、とある作品の同名のBGMを鬼ループしながら書いておりました。
妖精騎士ランスロット。
妖精名はメリュジーヌ。
とはいうものの真に妖精というわけではなく、アルビオンの左腕が変質したものであり、いわば竜そのもの。
妖精騎士ランスロットという英雄の名を捨て、真の力を解放した、メリュジーヌ。
元の少女の肉体を基準に、竜のような手足に黒い翼、頭からは角が生えている。
鮮やかなメタリックブルーの鎧は脱ぎ捨てられており、露出度も上がり。
体のラインを強調するような前掛けがその肢体をより煽情的に見せている。
美しくも恐ろしい少女であり、竜の姿。
その変化は、彼女の内に眠る多大なる力を解放した。
アイアンマン、透の視界から豆粒ほどにしか見えない程に距離が離れたその場所から、メリュジーヌは殆ど一瞬で目の前に迫り来る。
その速度は、音を突破する程のもの。
その速度をそのまま乗せたツインブレードによる斬撃が、透を襲う
その凄まじい速度はツインブレードによる斬撃力にとどまらず、周辺をまとめて破壊する程の衝撃波を及ぼす。
その凄まじい威力の攻撃を、透はナノマシンによって構成された左手の盾で受け流し、右手の手の甲から伸びる剣で受け止める。
アイアンマンのスペックの高さに、更に魔術によって強化されたそのスーツは、力を解放したメリュジーヌに勝るとも劣らない。
鍔迫り合いの後、お互いに距離を放そうとはじき合う。
距離を放した後、メリュジーヌは剣の先からビームを放ち、透もその掌からリパルサー、ビームを放つ。
互いの射線を見極め、放たれたそれは、点でしかない互いの光線をぶつけ、相殺し合うという神業を繰り出した。
その結果。お互いの中間地点で二つのビームがぶつかり合い、大爆発を起こす。
そして、お互いが加速に入る。メリュジーヌは魔力を吹かし、アイアンマンはその足元を巨大なロケットブースターに変形させる。
互いに、0コンマ数秒で、空気の壁を突き破る。一瞬でロンディニウム上空から二人は消え去った。
メリジェーヌが先行する形で、高速戦闘を開始する。それはまさしく異次元の性能を持った戦闘機によるドッグファイト。
その速度は凄まじく、ブリテン上空全体を戦場にするものである。
「なんでロンディニウムを襲撃するなんざつまんねえことしようとしてんだ!?」
言いながらメリュジーヌの後方からリパルサーを放つ。
「それが!! オーロラの望みだからよ!!」
それをバレルロールで回避し、わざと速度を落とし、アイアンマン――透を先行させる。
戦闘機同士の戦闘としてはありえない、超近距離による並行飛行状態となる。
「あなたこそ! 何でロンディニウムの住民を守ったの!? あなたの目的は巡礼の妨害! 鏡の氏族を攫うんじゃなかった!?」
アイアンマンの真後ろから、魔力によって刀身が伸びたツインブレードを振るう。
「つい、動いちまったんだよ!!」
その剣を、透は振り返りながら、ナノマシンシールドで防ぎ、シールドバッシュの要領でメリュジーヌの体ごとはじきだす。
「あなたがそういうヒトだっていうのは知ってたけど! 行動が迂闊すぎる!!」
「うるっせえ!!」
再び距離を放し、一瞬で最高速度へと到達する。
「オーロラは何がしてぇんだ!! 鏡の氏族の事を誰に吹き込まれた!?しかも何でわざわざロンディニウムごと襲う!?こっそり攫った方が効率が良いじゃねえか!!まさか本当に予言の子の威信がどうだとか、くだらねぇ事を理由にしているわけじゃねえだろう!?」
「——っうるさい!!」
「おい、まさか本当にそんな、目立ちたがりみたいな理由なのか!?」
「うるさいって言ってる!!」
メリュジーヌが後方からビームを放つ。
それを、エルルンロールと呼ばれる空中機動で紙一重で回避する。
「オーロラの望みを叶えるのが私の使命なの! お願いだから、邪魔しないで!!」
「殺すとか言ってた癖に、心変わりか!? 素直に従ったらご褒美でもくれるって!?」
「あなたがオーロラを邪魔しないって誓うなら、この妖精國で一生私の所有物として過ごさせてあげる! 私があなたを守ってあげる! だから、私に従って!」
「——っ」
透は、どこか告白ともとれる、その提案に一瞬、ほんの一瞬だけ傾きかけるが――
振り向き、背面飛行をしながらのリパルサーで解答とする。
「なんで――」
「当たり前だろ!! バカ!!」
「誰が馬鹿だ!」
「馬鹿だよ、大馬鹿!! オーロラの為ならなんでもするとか言っときながら、あからさまに嫌そうな顔しやがって!!」
「そんな――っ!」
「本当は嫌々やってんのが、見え見えんなんだよ!!」
「違う!! 嫌がってなんか、いない!」
「説得力なんてないんだよ! この頑固者!!」
互いの武器を駆使しながら、シザースと呼ばれる
それによって、描かれる両者の光の軌跡が、ブリテン中に広がっていく。
それは妖精國は愚か、汎人類史でもお目にかかれない、曲芸飛行である。
「そうやって、自分で自分を誤魔化して、お前こそ卑怯者じゃねぇか!!」
「私は、誤魔化していないし、卑怯なんかじゃない!!」
交差しながらぶつかり合い、そのたびに爆音が響く。
一部のブリテンの住民達が、その爆音に気づき、空を見上げ始めた。
「お前だって、その姿の事を内緒にしてたんじゃねえか!! ヒトの事言えた口か!!」
「うるさいうるさいうるさい!!」
言葉を投げ合うごとに、ビームを打ち合い、あるいは直接斬り合い、殴り合う。
「トオルに卑怯だなんて言われたくない!!」
「何だとぉ!?」
「前の曲芸飛行勝負の時、ミラーにお菓子を渡して、勝ち負けを誘導しようとしてたの知ってるんだから!!」
「あの勝負は、結局お前が駄々をこねて、おじゃんになったじゃねえか!!」
「――っ!? やっぱりお菓子を渡してたんだ!」
「――っ!カマかけやがったな! 卑怯者!」
「どっちが!!」
ツインブレードが魔力によって変質し、ドラゴンの顎のような形になり。透をかみ砕こうと迫る。
それを両手で抑え、動きが止まる。透は牙に捕らわれ、メリュジーヌの方が優勢になったかと思われたが、動けないのはメリュジーヌも同様である。
隙をつくように胸部からユニビームを発射。メリュジーヌは牙を収め、回避行動に移り、そのビームを回避する。
「コーラルのくれたお土産のケーキ!、わたしの分もあったのに、余計に2つも食べた!!」
2本のツインブレードが透を切り刻もうと、メリュジーヌから離れ、自ら縦横無尽に駆け巡る。
それを、透は、一本、柄を手で掴むという神業を魅せながら、もう一つの剣を叩き落とす。
「俺が用意した超高級マカロン! 20個中、13個も食べたのはお前だぞ!!」
脚部から、13本のミサイルが発射される。
「いちいち数えてるなんて、細かいんだから!!」
それを、ひとりでに戻って来たツインブレードで切り落としつつ。変則的な空中機動で、ミサイルを全て振り切っていく。
ミサイルの爆発が妖精國中に響く。
戦闘の規模とは裏腹に、その会話は子供の喧嘩そのものであった。
振り切った機動のままメリュジーヌが一瞬だけ上昇し、高さの利を取る。その後、急降下しながら透に接近する。ハイ・ヨーヨーと呼ばれる
その勢いのまま、剣を上から叩きつける。
「ぐっ――!」
防御はしたものの、衝撃は殺しきれず、地面へと落下していく。
その落下先は、偶然にもニュー・ダーリントンのとある建物の真上。度重なる空中機動により、あっという間に、ロンディニウムから移動していたのだ。
建物の天井を突き破ったところで体勢を維持するが、ランスロットの追撃により地面へと落下し、床を破壊し、地下へとまで墜落する。
衝撃によって巻き起こった。凄まじい土煙の中
そのままメリュジーヌにマウントを取られそうになるのをユニビームによって防ぐ。
透が周りを見渡せば、夥しい数の、人間の形をしたモースに囲まれていた。
どうやら、建物の一階にいた連中らしく、一部が一緒に墜落したらしい。
しかし、メリュジーヌにも、透にも、そのような事態は些末事でしかなかった。
「私がホラー映画見たくないって言ってるのに!! いっつも無理やり見せて!! トオルは本当にイジワルなんだから!!」
「ありゃ、ミラーが見たがってたからだよ!俺だって、ああいうのは得意じゃねーよ!」
「嘘! 私が震えてるのを見てニヤニヤしてたの気付いてるのよ!」
「ニヤニヤはしてないし! 手を握ってやってただろう! 可愛いとは思ったけど、俺だって怖かったんだからな!」
「かわ――っ そんな事言ったって手加減しないんだから!」
相変わらず言い争いをしながら、リパルサーを放ち、魔力の宿ったツインブレードを振るう。
それは全て、お互いに向かって振るわれていたものであり、モース人間に向けて放ったモノはひとつもない、
にも関わらず。数百いたモース人間の全てが、消滅していく。
地下から飛び、一階へと飛ぶ。お互いに壁を突き抜けるほど吹き飛ばしたと思ったら、吹き飛ばされた側が建物内に別の場所から壁を壊しながら侵入し、今度は吹き飛ぶ側となる。
散々建物をモース人間ごと荒らし回ったと思えば、両者は全く意に解さず、何事もなかったかのように、空へと帰っていった。
建物の殆どが崩れ去りっていった建物の中、瓦礫に埋もれた人間が1人。
「ゴホッ、なんだったのよもう……」
どうやら無事だったらしい。瓦礫を払い除けながら立ち上がる。
すると一部無事だった扉から複数人の人間が出て来た。
「ぺぺさん!」
「あら、藤丸ちゃん達。さっきぶりね」
「さっきの音は……建物がボロボロなのですが、爆撃でもあったのでしょうか!」
「いきなり空から人が降って来て、暴れ回ったのよ。片方が妖精騎士ランスロットだったのは確かだけれど、もう片方は……見ない顔だったわね。真っ赤な鎧で派手派手だったわ」
「ランスロット!? 彼女がここにいたんですか!?」
「ええ、鎧姿では無かったから貴方の言う真名を解放した竜の姿だったんだろうけど。とんでもないわね。それに安易対抗できる赤い鎧の子も凄かったけど、SF映画のロボットみたいだったわ」
「メリュジーヌに対抗出来る何かがこの妖精國に……?」
「何者でしょうか……?」
「さてね。まあでも、恋人かなにかでしょうね」
「こ、恋人!?」
「ええ、戦いながら、ずっと痴話喧嘩してたもの」
「痴話喧嘩って……」
「ものすごく初々しくて、可愛かったわよ、彼女」
「そ、そういえばぺぺさん!毒ガスは!? 身体は大丈夫ですか!?」
「あら。そういえばそうね……」
「建物が穴だらけになったおかげで全部外に出ちゃったみたい」
⁑
2人の争いは留まる事を知らず。
あまりにも熱中しすぎて、周りを気にしない程だった。
言い訳をするのならば、周りを気にする事が出来ないほど、互いの力が拮抗していると言う事である。
一瞬でブリテンを横断する2人の争いは、稀に高度が下がる場合もあり、その時、2人の飛行の余波によって、各街の建物やガラス窓に被害が及んでいた。
ノリッジやニューダリントン。そしてグロスター。
ただ通過しただけで全てを破壊していく両者の戦い。
暴風により建物の屋根が剥がれ、ガラス窓が割れる。住人そのものに被害が及んでいないのが今の所幸いしているが、傍迷惑な戦いではあった。
途中、たまたま空を飛んでいた狐耳の女性を吹き飛ばす事があったが、他意はない。
そしてその戦闘領域は、王都キャメロットにまで及んでいくのであった。
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