――何で私、こんな所にいるんだろう
使命を与えられた。
救世主だと祭り上げられた。
その使命は、救うと言われているこの國の者達を滅ぼすための物。
妖精達の悪意が嫌だった。
『別にどうでも良いんだ。お前らが自分たちをどう思っていようが、どんなご高説を垂れようが、俺にとってはこの妖精國で一番醜い存在で、一番の悪党で、救世主ヅラする最低最悪なノア気取りの侵略者だって事には変わりない』
『この後に及んで未だに救世主気取りかァ!!』
当たり前だよね。そもそも滅ぼそうとしてる私に嫌悪感を抱かない方がおかしいし。
何万年も前の罪とか言われても、そんなの知った事じゃないって考えるのが普通。
滅ぼすのに救世って。そんなのあまりにも自分勝手。
それは怒るに決まってる。
そんなの恨まれて当たり前……
正義の味方なんて、救世主なんて言われる方がどうかしてる。
別に彼らみたいに本当に救いたい世界が別にあるわけじゃないし。
そんなの――
……
……何で救世主なんだろう。
誰が救世主なんて言ったんだろう。
誰が正義の味方だなんて言ったんだろう。
一体誰が救済なんて言ったんだろう。
どうして私なんだろう。
どうして1人だけなんだろう。
どうしてあんなルールにしたんだろう。
どうしてここまで頑張らないといけなかったんだろう。
どうしてあの娘が、あの娘たちが犠牲にならないといけなかったんだろう。
どうして、どうして、どうして、どうして。
どうしてなの?
誰がこんな事にしたの?
誰のせいなの?
貴方のせいなの?
貴方に聞けばわかるの?
貴方に頼めばどうにかしてくれたの?
貴方だったらどうにかできたの?
ねえ?
――神様、なんでしょう?
***
アスガルド
北欧神話の舞台と言っても過言ではない、いわゆる神の国。
そこに登場する戦神の中にトールという神が存在する。
無秩序と混沌を呼ぶ数々の巨人を打ち倒し、神々と人間を守護し、最後は世界そのものと言っても良い巨大さを誇る大蛇と相打ちになり命を落としたと言う。
北欧神話に登場する神達の物語の中でも主役と言っても差し支えない存在である。
その神が、正確にはその神としか思えないナニカが、大穴どころかブリテン全土を焼き焦がすのではないかと思える稲妻と共に現れた。
それは、自らを犠牲にして妖精騎士トリスタンを救い、大穴に落下し死亡したと思われた青年の姿をしていた。
その神と思しき青年は、大穴へと落ちる前に着ていたいわゆる汎人類史で言う普通の青年が着用しているような服装から一転、黒を基調とした薄手の鎧姿へと変貌している。
豪華絢爛というわけではないが、質素というわけでもない。
その造形と、肩からのびる赤い外套。見るからに頑丈そうな金属らしき装飾は、その鎧の格の高さを物語っていた。
どういう原理か大穴から空を飛び、そのままムリアンを抱えながら大広間へと膝をつきながら着地した。
その手に、雷神トールが持つとされる物と思われるような戦鎚を携えて。
かの北欧神話を知る者であれば、彼を警戒し、迂闊に攻撃する事も無い。
だが、神を必要としない、神を知らない妖精にとっては話は別である。
魔力もなければ妖精の好む生命力のようなもの無い。
妖精基準で言えば、失敗作の人間にも見える青年を恐れる道理は無い。
一部の妖精にとっては青年は空を飛び、不思議なハンマーをもっているだけの、多少着飾った
「魔女の手先め――!」
複数の妖精が襲い掛かる。
それをノクナレアも止めはしない。
どの道彼はモルガン側に籍を置く存在であることは明白だ。
戦わない理由は無い。
倒せればそれで良し。倒せなくてもその解析不能な力を見る事が出来ればとの目論見ではあった。
そんな妖精達を、青年。トールは一瞥し。
最初に起こした行動は、その手のハンマーを放り投げる事だった。
「――ガペッ!」
1翅の妖精に、投降されたハンマーが衝突する。
その瞬間、何の抵抗もなく、虫ケラの方がマシだとも思える程にあっさりと1翅の妖精が砕け散った。
――
結果的にそれは幻覚で、そのまま頭を殴りつけられ気絶しただけであるのだが。
そのハンマーが役目を終えたかのようにゆっくりと地面に落下する。
「武器を手離したぞ! かかれ!!」
ノクナレアの力を分け与えられた一騎当千クラスの上級妖精が1撃で倒されたという衝撃に臆することなく。
別の妖精が無手となったトールに襲い掛かる。
武器の力は認めよう。
だがそれを手放せば人間以下の無力な男のはず。
それが妖精達の考えだ。
その思考に間違いはない。
妖精國、あるいは汎人類史においても、人間で妖精に勝てる者はまずいない。
妖精とまともに戦えるのはサーヴァントでやっとなのだ。
それも上級妖精であれば尚更である。
振り下ろされる剣。妖精が持ち合わせる神秘を携え、人間どころかサーヴァントさえまともに受ければ余波だけで命を落としかねないその一撃。
それをトールは防御することをしなかった。抱えているムリアンを少しでも守ろうと、その両手で彼女を包み込む。
彼は、妖精の一刀を鎧の金属部分で受ける事も無く、その無防備な身体で受け――
――叩き折れた剣が宙を舞う。
それはいかなる異常事態か。
『この体、コタティ族のメタルファイバーみたい――』
かつて。
信じられないと眼を見開く妖精。
トールは、片腕を解放しその妖精の腕を軽やかに掴む。
掴んだそれを、まるで遊具を扱うような気軽さで放り投げる。
投げられた妖精は、反乱軍の隊列を崩すほどの人数を巻き込み、雪崩のように崩れていく。
一連の攻防。それによってハンマーの威力。トールの身体の頑強さと、怪力ぶりが証明された。
だが、逆に言えばそれだけだった。
今のトールに登場時の派手さは無い。
上級妖精を昏倒させるその力は人間としては大したものかもしれないが、昏倒させただけであるとも言える。
例えば妖精騎士ランスロットのアロンダイドであれば上級妖精と言えどその身体は両断されているだろうし、仮に妖精騎士ガウェインならばそれこそ無手でも妖精の身体は消滅していたはずだ。
ウッドワスどころか牙の氏族の雑兵クラスでも、その爪で引き裂く事は容易い。
故に彼のもたらす結果は、脅威にはなりえていない。
トールを、妖精達が取り囲む。
そんな状況に、トールは両手を上げる。それは降伏を示すポーズ。
「待て、俺は妖精國の大事な住人である君達を殺そうとは思っていない。こっちは呪いに侵されて治ったばかりの子を抱えてるんだ」
初めて口にしたのは、そんな弱々しい発言だった。
それが、むしろ反乱軍の妖精達を増長させる事になる。
悪の女王の手先が何を世迷言をと一笑に付すのみ。
「とりあえず落ち着いてくれ。話せばわか――」
故に
「死ねェェェェ!!」
妖精達が襲い掛かる。それをノクナレアも止めはしない。
今度は油断しないと、確殺の為に数で攻め立てる。
裂帛の気合。
その殺意は戦争においてこれ以上ないほどに必要な要素。
これまで様々な問題が起こって来た。
ムリアンの登場、牙の氏族達の乱入、妖精騎士達の参戦。
あげくの果てには人間だったと判明したスプリガンの暴挙。
特に最期は、人間如きの怒号に臆してしまったという恥じる思いが妖精達にあった。
そして、おそらく最期の最期の転換であろう、トールの登場。
反乱軍の妖精達ももはや我慢の限界。そのストレスをまさに爆発させた気合の乗った攻め。
事実これまで以上に妖精達の士気はあがっている。
王の氏族として、洗練された号令が響く。
一斉にトールにかかる妖精達。
「まあ、そりゃそうだよな」
多勢に無勢。一見すればトールは無事ではすまないこの状況。
その間に、ランスロットもガウェインも動向を見守るカルデア組を警戒して、向かう事はできない。
加勢に入ろうとするのは牙の氏族達。
だが、トールはその加勢を掌を牙の氏族達に向け待て必要無いというジェスチャーで答えた。
牙の氏族。そのNo.3ベイガンが何故かと疑問を孕む視線を向けるが、理由は直後に判明した。
「――ギッ!」
響いたのは断末魔。
トールを囲むように扇型の陣形を取る妖精達。
その後方にいた者達が、まとめて吹き飛ばされていた。
「なんだ!?」
疑問を叫ぶ妖精。
その正体は、先ほどトールが放り投げ、墜落したはずのハンマーである。
――北欧神話に語られる代表的な武器にミョルニルというものがある。
雷神トールの持つハンマーであり、神話では手を離れても再び手元に戻るという逸話が語られているそれは、彼の持つムジョルニアも同様だった。
一人でに浮かび上がったハンマー、ムジョルニアは、間にいる
だが、妖精達が昏倒しただけなのは先ほどと同じ。
当然ながら臆する事も無くトールにかかっていく妖精達。
トールはムリアンを左手に抱え、右手に携えたムジョルニアの柄についている繩を掴む。
それを起点にハンマーを高速で振り回し始めた。
超高速回転するハンマー。それは弧を描き、攻防一体の盾ともなった。
振り下ろすという動作を省略させたそれは、トールの右手を起点に、ただそれを対象に近づけるだけで、妖精達を軒並み吹き飛ばしていく。
囲む妖精達を、容易く吹き飛ばすトール。
着実に近寄る妖精達を昏倒させていき、結果としてトールに向かってきた妖精達は漏れなく意識を失った。
一撃で全てを消滅させる派手さは無い。
血しぶきがまうような凄惨な殺戮が巻き起こったわけでもない。
地味ではある。迫力や絶望感で言えば女王の前に立つ事や妖精騎士、あるいはそれこそ反乱軍による討伐の方が派手に死亡者があふれていただろう。
だが、誰一人殺す事なく殲滅せしめたその技術が、逆に彼の力を物語っていた。
妖精を殺さなかったのは単なる実力不足では無く、圧倒的な力を絶妙にコントロールし、手加減した結果。
これだけの妖精達を相手にしてなお、手加減をしたまま切り抜けたと言う事実。
無力なはずの彼は、何一つ傷つく事も息を切らす事も無く、反乱軍を鎮圧した。
理解できない、えも言えぬ未知なる脅威。
妖精でもない。神秘でもない。魔術でもない力。
その異様を、気にもせず短絡的にかかっていく妖精達は意識を閉じてすでにいない。
残るは思慮深い本当の実力者たち。
そんな者達に、圧倒的な力と実力の差という実感を与え、一度戦場に沈黙をもたらした。
「……話せて良かった」
静寂の戦場に皮肉を散らせ、トールは戸惑う妖精達を他所に、反乱軍達などさして気にする存在でもないとばかりに、身体の方向を変える。
歓喜、絶望、戸惑い。戦場での反応は様々。
だが、反乱軍に撤退という選択肢はありえない。
すぐさま補充された反乱軍が再び動くが、今度はトールの視線を受けたベイガン達が迎え撃つ。
その様子を確認し、抱えているムリアンに気を使い、急ぐことも無くトールは、大事な二人の傍へと向かう。
「トール……なのか?」
ウッドワス。牙の氏族長。
彼は。彼なりの気遣いで女王モルガンとバーヴァン・シーを並べて横に寝かせ、戦いの喧騒の中から彼女達を守ろうと側に支えていた。
そこに近寄るトールに警戒を解くことはない。
ウッドワスの知る彼と、今の彼の纏う覇気は別人とでも言うかのように違う。
そんなウッドワスの警戒を知ってか知らずか、トールは無遠慮に近づいて行く。
「ま、待て!」
静止の声を上げるウッドワスに、一度止まり、彼の戸惑いを察したのかトールは無機質な表情を崩す。
「大丈夫だよ。そう警戒しないでくれ」
途端に、先程までの異様な雰囲気は和らぎ、いつもの、自分の知る彼だと判断したウッドワスは警戒を解いた。
トールは、守るように支えていたウッドワスの横を通り、眠っている2人の側へ膝をつく。
「まったく、一瞬何者かに体を乗っ取られたのではないかと思ったぞたわけめ……!」
「悪い。何というかこの鎧を着た時は、その……恰好つけたくなるんだよ」
「ほんとうに……たわけだ貴様は……!」
「そこまで言わなくても……」
「黙れ……! たわけめ……っ!」
「……ごめん、ウッドワス」
それは驚かせた事への謝罪では無く。
これまでの全てにおいての行動に対する謝罪。
「まずは二人の治療だ。ウッドワスも」
トールは右手に携えた戦鎚を掲げ。
どう見ても、破壊する事しかできそうにない武器を何故二人に構えるのかと、ウッドワスは訝し気な表情を作る。
途端。
鎚鎚から稲妻が発生し、その稲妻を起点に淡い光が発生する。
その光がウッドワスと横になっている親子を包み込む。
「これは――?」
ウッドワスの戸惑いをよそにみるみる内にモルガンの傷やバーヴァン・シーの四肢が元通りになって行き、ウッドワスの傷も同様に治っていく。
「お、おお!」
感嘆の声を上げるウッドワス。それに笑顔を返し。
トールは、鎧についた赤いマントを引きちぎり、眠る2人にかけた。
「武器としか思えんそれにそんな力があるとは、ソレはお前の国の、アフォガードの物なのか?」
「ん?まあ、正確には――」
「――本当に?」
ウッドワスの疑問の声に口を挟んだのは小柄な少女の姿をした妖精。
「その、本当にアフォガードという名前なの? 君の国は」
妖精騎士ランスロット。
彼女は再び混戦の始まった戦場の隙を付き、トールの傍へと来ていた。
「ああ、久しぶりだな。ランスロット」
「――」
トールの一先ずの挨拶に、どう言った意味があるのかをランスロットは重視する。
「――僕のこと、覚えてる?」
そう、問うた。
その緊張を孕んだ態度の本当の理由を知るのは、この場にいるもう1人の妖精騎士ガウェインのみ。
そのガウェインはランスロットの一歩後ろに控えていた。
「
手を差し出すトール。脇でアスガルドという名に疑問の表情をするウッドワスを他所に、ランスロットは一瞬、本当に一瞬だけ、悲しげな表情を浮かべながらもそれを戻し、握手に応える。
「アスガルド……北欧神話の神の国。君の正体は雷の神だったと言うこと?」
「ホクロの神話は知らないが、雷は操るしオーディンの息子でもあるさ。義理だけどな」
「義理……」
「まあ、複雑なようでそうでもない事情があるんだ」
言って、トールはランスロットの背後に控えるガウェインへと一歩足をすすめた。
「
「――」
トールのその挨拶に、ランスロット同様の反応を見せつつもそれに応え、握手に応じる。
だがガウェインの態度にはランスロット以上に煮え切らない戸惑いがあった。それは決して記憶の類が理由では無い。
「私は……」
トールの命をかけて彼女達を護ろうとしていたその姿を見て、追い詰めた原因の一端でもあるガウェインは、自責の念に駆られ、素直に応対することはできない。
その態度の理由を察したトールは、彼女の肩を2回ほど軽く叩いた。
「今はこっち側なんだろ? どうすべきかはモルガン次第だけど、情状酌量の余地はあるさ。俺も説得してみるよ。ほら、よろしく」
「――はい。よろしく、お願いします」
交わされる握手。
未だ彼女の中で全てを飲み込めたわけでは無い。
だが、今はそんな細かい話をするわけにもいかない。
そもそもとして、このような逼迫した戦闘中にのこのこと主戦力たち会話を交わしていることじたい、異常であった。
当然、彼らの相手はそんな間抜けを逃すような者達では無い。
「――っ!」
甲高い金属音。
それは、斬撃をランスロットがアロンダイドで迎え撃った音だった。
「……油断しきってたからいけると思ったんだがなぁ」
千子村正。
汎人類史でもなく、異聞帯でもなく、独自に異星の神とされる別の陣営から来た傑物。
言葉とは裏腹に、ランスロットに不意打ちを防がれた彼の表情に見えるのは余裕だった。
「トール。下がって、彼には神殺しの力が備わっている。いくら君でも、いや、君だからこそ分が悪い」
「――派手に登場したわりには、女騎士に任せっきりかよ坊主?」
「……ウッドワスとガウェインはそのままモルガン達を頼む」
村正の挑発を完全に無視し、ウッドワスへと指示を出す。
傷は確かに完治はしたが、体力はそうは行かない。
モルガン達も意識を失ったまま。
誰かしらの護衛は必要である。
そんなやり取りの中、ランスロットと村正の攻防が続く。
異星の神に特殊な力を与えられた村正は、神殺しの特攻能力を得ている。
きっかけや成り立ちは不明であれど、トールは端から見れば北欧神話の雷の神トール。
当然ながら、村正が最も打倒する力があるというのは、カルデアの見解である。
そしてその認識は神の知識を持ち得るランスロットも同じ。
それを守ろうと村正に対峙する。
確かに神であるトールを打倒するには最適な人選ではあるが、結局はモルガンを襲った時の焼き直しである。再び大穴に落とし、再度霊核を貫こうと構え直したところで。
全くの別の個所から、不意打ちが届く。
「――っ!?」
それは影だった。人の形を成す影。
それを操るのはこの場には二人。
「グリム!!」
村正単独で攻め入った時とは違う状況、当然ながらその結果は別のものになるのは必然。
ランスロットは鬱陶し気な声を上げるが、しかし彼女にとってはなんら問題のない雑兵に過ぎない。
一瞬で影を殲滅するがしかし。
その一瞬が、村正に多大な力を生み出した。
「――っ」
笑みを浮かべるのは千子村正。
――世界が、変質する。
「真髄、解明。完成理念、収束。鍛造技法、臨界」
それは燃え盛る剣の荒野。
「トール! 下がって!!」
「すごいな。良くできたイリュージョンだ……」
「そんな事言ってる場合!?」
大地に刺さる、無限とも思えるほどの夥しい剣達。
その全てが霧散し、剣から変質した粒子が村正の手に集う。
「さあ、雷の神サン、冥土の土産ってやつだ――!」
真の力を解放し、力づくでこの結界を吹き飛ばそうと構えたランスロットはしかし、その前に立ったトールに阻まれる。
「ダメだ!! いくら君でもそれは――」
「大丈夫だ。
「御託は抜かせてもらうぜ!! 受け取りやがれ!! 儂の、『都牟刈村正』を――――!!」
時間を、空間を、因果を断ち切る。その一刀。
範囲で言えば、この世界に巻き込まれたモルガン達をも巻き込む、千子村正の生涯を現したその一撃。
防御不能ともされるその一刀。
それが――
「……な、に……?」
トールの、左掌に阻まれた。
刃に当たらないように剣の腹を挟んだわけでもない、魔術の類で防御したわけでもない。
右手に持つ異質なハンマーで受けたわけでもない。
刃に対する防御としても、概念武装に対する防御としても、もっとも愚策な方法で、彼は村正の渾身の一撃を防御した。
荒野の世界は霧散し、情景は城の大広間へと戻る。
「神を殺すだの因果を断ち切るだの、大層な話だ……子供に人気だろう?」
トールは左手て受けた刀の刀身をそのまま握る。
「だが、剣閃が光より速いってわけでもない。その刀に中性子星クラスのパワーが備わっているわけでもない」
もはや村正に攻撃の手段は無く。
微動だにしないその刀を握り、左手を力付くで切りつけようと力を込め続けることしかできない。
「お前の刀にも、お前の剣の腕にも、そんな
金属が軋む音と共に、トールの手によって、刀が曲がっていく。
村正をしてこの一撃が敗れるという理解不能なその現象。
「たかだか100年も修行していない刀鍛冶。そこらの鉄で作った刀。剣士でもない奴の剣閃。何をどうやったら因果が斬れる? 全く
それは最早、ルールそのものを操作する、摂理を超えたナニカである。
「神殺しの力とやらも所詮は思い込みだ。お前達が神だとしている相手も、神を斬るだなんてのも、全部ただの思い込み。妄想だよ。
捻り曲がった刀はやがて、限界に達し砕けちる。
「まあ、鍛治の腕はそれなりだ。もう10世紀程修行すれば、ニダベリアの見習い程度にはなれるかもな……?」
村正を呼ぶ、誰かの叫びが木霊する。
トールを襲う魔術や英霊の影。
その全てが、妖精騎士達によって阻まれる。
村正を救おうと、動き出すカルデアを迎え撃つのは妖精騎士達。
「――はっ御高説痛み入るがな……っ」
トールは、目の前の下手人を殺害する為にハンマーを振り上げる。この世界の大事な住民である妖精とは彼は違う。遠慮はしない。
村正はもう、宝具を使用した反動でしばらくは動けない。彼に今できるのは口を開く事のみ。
「お前さん、もう少し想像力を養った方が良いんじゃないか……?」
そんな村正の皮肉も意に介さず。
ハンマーを振り下ろそうとしたところで。
「――ッ」
トールの頭に痛みが走る。
それによって、振り下ろそうとする手が止まる。
「ク、俺はまだ、邪魔を――!」
その一瞬の隙を。
「やああああああ――!!」
縫うように攻め入った者が一人。
その声に視線を送る。
迫るのは、言うなれば壁だった。
黒と灰。彩色は地味ながらも派手な装飾が施された壁。
本来であればありえない邪魔だった。
妖精騎士は一騎当千の女王騎士よりも強力であり圧倒的と言われる存在。
その攻防をくぐり抜けられるのは、同じ妖精騎士のみ。
そして本来であれば今いる3翅の妖精騎士以外でそれを名乗る者はただの一人。
そして、その存在はトールの見解で言えば敵になろうはずもない存在だった。
その壁は盾であり、
その盾の持ち主は妖精騎士ギャラハッド。
かつてトネリコと共に妖精國調停の旅に同行したマシュ=キリエライト。
今の今まで記憶になかった彼女を認識した事による驚きに、動きが止まる。
それは、受けるのが例え妖精騎士だとしてもたたらを踏まされる程には強力な一撃。
マシュの存在への驚きと、頭痛によりハンマーを振り下ろすことができず、隙だらけなトール。
その無防備な背中に直撃した。
渾身のシールドバッシュ。
響く衝撃音。
しかし、その一撃も先ほどの村正の一刀の焼き直しであるかのように意味を持たなかった。
爆音は響けど効果はなく。
上半身をわずかですら揺らすことはできず。
その不意打ちは失策に終わる。
「……マシュ?」
「――っ ロットさん……!」
ゆっくりと振り返り、視線が合う。
知古の間柄であるかのように名を呼び合う2人。
「ああ、まさか、まさか
呼ばれた事の無い冷たい声に、苦し気に名を呼ぶマシュ。
村正に向けていた殺気は霧散し、感情の読めない無機質な気配。
「お前の事は信じていたんだ……そんなわけないのに。勝手にどこかで期待してたんだ……本当間抜けだよ。そんなわけないのに」
両者は妖精歴。共に旅した間柄。
「仲間を止める事は出来なくても。せめて、お
その事実にカルデアの陣営にあるいはという一瞬の希望が生まれたが。
「……! 私はっ!」
「本当に、グリム共々殺しておけばよかった……!」
その一言の元に希望は切って落とされた。
稲妻が迸る。
それは盾の表面を焼き焦がす。
その衝撃に隙を突こうと動いた村正は盾と同じく、身体を焼き焦がしながら吹き飛ばされた。
異星の神による再生能力が発現するもまとわりついた稲妻は防げない。その持続するダメージはその加護をしても無効化は出来ず。
再生するも、動きを封じられた村正は意識を手放そうとしていた。
「そら、昔のよしみだ。準備ぐらいはさせてやる」
「――ッ」
「令呪だ!!」
「マシュッ!!宝具を――!」
危険性をいち早く察知したグリムが指示を出し、その指示に即座に藤丸立香が応える。
三画の令呪。
サーヴァントに限界以上の力を与えるマスターが持ちうる最高の援護。
それを受けたマシュの宝具が、本来であれば隙になるはずのタイムラグを起こすことなく発動する。
――
アーサー王伝説における、円卓そのもの。
キャメロットを護る絶対無敵の城壁。
人類史を焼き尽くす程の攻撃にさえ、
浮かび上がる城壁。
尊き白亜の城。キャメロット。
そのヴィジョンを目にしたトールは、臆することもなく、体に迸る力を緩めること無い。
「さっきから派手なイリュージョンだ。そのエンタメ性は嫌いじゃ無いが――」
柄を回し、ハンマーを先程よりも早く回転させるトール。遠心力が周囲の空気をかき混ぜる。
吹きすさぶその風は、一部の者達が立ち上がれなくなるほどの強力な物。
その威力に慄くものもいたが、何より恐ろしいのは、それすらも
「くだらない企みで捨てられたたった一人の女を、よってたかって國中で虐めるような陰湿な奴らの城に、一体どれだけの価値がある?」
「――っ!?」
「俺にとってのお前等はそういう奴らだ。世界が、他の奴らがどれだけ正義と栄光の御託を並べようと、どれだけ彼女を蔑み笑おうと、俺の考えは変わらない。変えられることもありえない」
ハンマーに込められる紫電の形をしたエネルギー。
それにどれ程の力が備わっているのか。
この場にいる誰も、トール本人以外には全くわからない。
だが。生物としての警報は、確実に絶望の音を鳴らしていた。
「そんな奴らの
その言葉と共に振るわれたハンマー。
回転の力と、雷撃と、トール自身の怪力。
そしてムジョルニア と言う超兵器の力が乗った一撃。
それに先程のような手加減は無く。されど全力を出したわけでも無く。機械以上の精密さで振るわれたそれは。
「まあ、そもそもこんなチンケな城。いちいち
あっけなく、盾を砕いた。
「……あっ」
あっさりと砕ける盾。マシュ自身で力を込め、抵抗する事すら許されず。
機械のような精密さで、盾のみを砕く。
それはマシュ自身にダメージを与える事は無かった。
それは、あるいは彼の慈悲なのか。
だが、それも慰めにすらならない。
ダメージは無い。だがその衝撃はマシュの体制を崩し、膝を着かせる。
「あの程度の交流で絆された
無手となったマシュは無防備であり、彼女の前に立ちはだかる雷の神に、慈悲を持ち合わせているような表情は無い。
「お前は妖精國の住民でもないただの部外者、ただの侵略者。今ならやれるぞマシュ? スプリガンの叫びにはひどく感銘を受けたよ。敵でしかないお前を、侵略者を生かす理由は欠片も無い」
まるで、自身に言い聞かせるかのような態度のトール。
左手にハンマーを持ち替え、右手に稲妻を纏わせ、その手をマシュに向け、その稲妻はプラズマへと変質する。
プラズマが熱を帯び、マシュの周辺の温度を上げる。
それはプラズマによる高周波。その場にいる人間の血液を沸騰させる。ある種回りくどく、しかし確実な殺害手段。
かつて、本物の雷帝が得意としていた攻撃方法。
彼女を始末するだけであればハンマーで叩き潰したほうが早かったわけだが、何故そんな選択肢を取ったのか、原因に気付くことはできても、それによる影響に違和感を感じることはできない。だが、そんな
「くっ、うっ……!」
「マシュ!!!」
「おい!――ちっ!」
苦しげな声はマシュのもの。
彼女の名を呼ぶ声は藤丸立香のもの。
止めようとしたのはグリム。
妖精騎士と、ダ・ヴィンチやグリムの戦闘の隙間を縫うように駆ける藤丸立香。
本来であれば大層に勇気のいる行動。ただの人間にしては上等な動きと言える。
物理的、魔力的問わず凄まじい衝撃が巻き起こる中のその行動。無傷で抜けた事自体が奇跡だった。
これが、彼の物語であれば彼のもたらす運命力が働き、トール自身に間抜けな動きをさせるか、あるいは隠された力が発現しマシュに勝利をもたらしたのかもしれない。
だがもう、藤丸立香の物語は、藤丸立香の為に用意されたオーロラやスプリガンによる企みは失敗に終わった。
藤丸立香の為に。汎人類史の為に、モルガンが虐殺される未来は既に潰えている。
事実。藤丸立香の行動はトールの意識すら逸らす事も出来なかった。
マシュを包むプラズマの余波、それですら英霊の影ではなす術もなく、これといって彼を狙ったわけでもない雷撃が藤丸に当たり、彼の意識を閉じた。
物語からはじかれた彼に劇的な敗北も無く、ただの部外者として処理される。
「っ! 先輩!?」
本来、人間であれば一瞬で焼け焦げていたはずのその雷撃を気絶だけで過ごせたのはあるいはカルデアの技術の成せる技なのか。
もしくは彼を守る何かが働いたのか。しかしその奇跡もこの状況を覆す奇跡以上にはなり得ない。
周辺の温度が上がり、マシュの身体を蝕み始める。
「――っくぅ!」
既に、プラズマに動きを封じられ、身動きも取れず、成す術も無い。
「……」
もはやトールに言葉は無い。遺言を残させる意思もない。
確殺の為、逃がさない為にマシュの胸倉を掴む。
彼女はただの敵、ただの最低最悪の侵略者。そんな相手にかける慈悲を持ち合わせる
完璧な排除。これで汎人類史は終わり。
どう見繕っても揺るがない妖精國の勝利。
――獲物を痛ぶる事に夢中になりすぎると、後ろから狼に噛み付かれるぜ?
だが、それに一つ邪魔が入る。
背後から襲い掛かるのは、獣の気配、狼の爪。
何もない空間から現れたそれは、姿を消す魔術によるもの。
「アレは――!!」
自分と同じ姿に、驚愕の表情を浮かべるのはウッドワス。
彼は、傷はあれども体力は戻らず動くこともままならない。いまだ眠っている二人の親子から離れるわけにもいかない。
トールの背後から迫るのは、ホンモノであれば持ち合わせない奇策。
ホンモノに敵わない力不足を、その奇策を以て補わせる。
トールを守るように包むプラズマ。通常生物であれば近寄るだけで血液が沸騰し、体が焼けこげ消し炭になるその防壁。
獣はその身体を焼き焦がせながらも爪を届かせる程度には耐えきった。
届く爪。妖精どころか、この場にいる者が無防備に受ければ誰であれ確実に絶命している程の威力。
マシュを掴む腕だけを狙われたそれは。
「——!!?」
トールの身体に傷をつける事は叶わず。
「……っ」
しかし、彼のプラズマを扱う能力を停止する集中力を奪い、マシュを捕らえるその腕を解放させる結果に至った。
「……あなたは……っ!?」
「逃げなくていい……おまえは、オレが守ってやる……」
解放され、再び倒れつつ、窮地を救われたマシュが見たのは黒い獣の後ろ姿。
「ベリル……さん?」
ウッドワスの霊基を奪い、ウッドワスと同一の肉体を得たベリル・ガット。
「てっきりマシュの方狙うと思ってたんだが……なんだ? アプローチを変えたのかグーフィー? 勝てない相手に挑むタイプじゃないだろ?」
「なあに、旦那に散々痺れさせられて殺されかけたから頭がおかしくなったのかもな?」
対峙する神と獣。
「勝てると思ってるのか?」
「いやあ、そうは思ってないさ……旦那」
「ならなんでそこに立ってる?」
「なに、言ったろ? しびれちまって頭がおかしくなったんだって」
腰を落とし、構えを取るベリルに対し、トールは、その右手にハンマーを持ち替える。
「どうせ死ぬなら惚れた女の為にってのも悪くないってな? それに雷の神の稲妻を味わったんだ。次はそのハンマーを味わえたら、地獄で色んな奴らに自慢できると思わないか?」
ベリルは、トールの脅しとも言える言動に不敵に返しながら真正面に立つ。
トールはそんなベリルを冷めた目で見つめながらしかし行動を開始しない。
それはまるでベリルの出方をうかがっているかのようで。
ベリルはそんなトールに意識を集中させながら、背後にいるマシュを一瞥する。
「マシュ……」
「ベリル……さん」
ベリルの口から出たのは慈愛の籠った声だった。
その声色だけでベリルの想いが伝わるよう。
信じられないような表情のままのマシュ。
何せ敵に回ると思っていた男なのだ。彼の、歪んだ愛を、その表現方法を知っているだけに戸惑うのは当然だった。
「――愛している」
「……っ」
突然の告白。
ムードも無い、会話の流れなど全く持って考慮に入っていない。
しかし紡がれるその言葉は間違いなく本物であり、その言葉だけは一世一代とも言える重みが備わっていた。
だが、そんな愛の告白に、苦し気な表情を浮かべるマシュ。
あるいは彼女が器用な性格であれば、彼の告白を嘘でも受け入れ、彼を奮起させて少しでも生き残る可能性を向上させたのかもしれない。
だが、マシュは、ベリルの告白を本物だと感じるからこそ、偽る事は出来なかった。
表情を見るまでも無く、その空気でマシュの本音を感じ取るベリル。
「――愛しているんだ、マシュ」
「……私は」
しかし、その意思を知っても尚、ベリルは言葉を止めようとしない。
彼女の意思等すでにわかりきっているとでも言うかのように戸惑いは無い。
トールの動きを警戒しながらも、背中越しに言葉を続けるベリル。
「――心の底から。おまえを――」
ただ伝えたいと、見返りなど求めないと、ある種本物以上の愛を伝えようと紡がれた言葉は。
「あいしt……っ!!?」
しかし最後まで紡がれることは無かった。
「長い……」
マシュの視界から
黒い背中の向こうに現れたのは片足を気だるげに少し上げたトールの姿。
「ベリルさん!!?」
「お前にムジョルニアは贅沢すぎる」
それは蹴りだった。技術も何もないただの蹴り。
邪魔な小石を蹴り飛ばすぐらいの感覚のそれは、ウッドワスの霊基による鋭敏な感覚を以てしても捕らえられない程のスピードで放たれ、大広間の壁を破壊し、意識を失わせながら部屋の向こうへとベリルを追いやった。
邪魔者は消え去った。
トールは改めて、マシュへと視線を向ける。
今度はそのハンマーを持ち替える事はしなかった。
もう、余計な真似は不要だと、トールはそのまま叩き殺してしまおうとハンマーを掲げ――
その気配に動きが止まる。
汎人類史の滅び。それは、絶対にあってはならないと、正しい物語を成そうとするナニカがまた一つ妖精國を滅ぼすための物語を講じる。
「しつこいな。まだあるのか?」
鬱陶し気に声を上げる。
トールの背後から高速で駆ける不届き者。
それに対し、後ろを振り向くことなく雷撃を背後に放つ。
この場にいる、例え最強のはずのランスロットでさえも推し留め、直撃すれば消滅する程のその雷撃。
しかし、その下手人はそれを超えて見せた。
「――?」
意識するまでもない不埒者から、意識するべき敵であるという認識へ改めさせたその者は。
パーシヴァルの所有する槍を持ち。
「――!!」
賢人グリムの姿をしていた。
「――っ!」
突き出される槍。
音を超えて放たれたそれを、トールは左手で容易く掴みとる。
しかしグリムの表情に焦りは見えず。
「――」
ぼそりと何かを呟いた瞬間浮かび上がるルーン文字。それは槍にまとわりつき、その文字を起点に炎が上がる。
並のサーヴァントであれば一瞬で焼死体に出来るほどの威力のものでトールの腕に絡みつく。
しかしトールは、それに苦しむことすらしない。槍を手放したと思えば手を振り払うだけでその炎を消し飛ばす。
同時に右手のムジョルニアを振るい、グリムを襲う。本来であれば避けることも絶える事もできない攻撃。
しかしグリムは絶妙な体捌きでもって回避してみせた。
一連の攻防を終え、互いに距離を放す。
トールは男を視界に入れる。
その男の見た目は間違いなく賢人グリム。妖精歴よりも成長した姿ではあるが、その変化をトールは驚きはしない。
彼が賢人グリムであることに違和感はない。先ほどまでは。
今の彼は、トールの感情が少し揺れる程度に変化していた。
グリムは妖精騎士2翅が抑えていたはずと、見れば、ランスロットもガウェインも膝をつき謎の文字が刻印された光に阻まれている。
その脇には、カラフルな様相の幼女が意識を失い倒れている。
その一番背後には予言の子がいるが、彼女は最早膝をつき、戦う意思が全く無く、この状況を呆然と見ているだけだった。
あの2翅を落とすその力。
勿論グリムにそれ程の力は無い。
「お前、グリムじゃないな?」
「貴様はなんという……!」
口を開くグリムと思わしき者。
その形相に、その口調に、ある種軽薄とも言えたグリムの態度の名残は無い。
――突然に、世界が震えた。
空気が震え、世界が震える。
世界そのものが、悲鳴を上げる。
それは汎人類史をも巻き込むほどのもの。
その顕現は、命までは取られなくとも、視界に入れただけで意識を失うほど。
妖精たちがその圧力にバタバタと意識を失わせていく。
賢人グリム。
汎人類史を勝利に導くため、存在するその男は。
「我が息子の名を騙るだけでは飽き足らず……! 愚かなこの世界を続けようなどと……!」
その身に、神を宿している。
***
それは、一直線へと向かって行く。
身体への負担はある。
彼女の為に受け持った苦しみが身体を蝕む。
だが、動かないわけにはいかない。
遠目に懐かしいものを見た。
それは、
希望、あるいは恐怖として存在そのものに刻まれている。
何が起きているかもわからない。
どうすれば良いかもわからない。
だが、ここにきて何もせずに待つだけは出来なかった。
何を成し遂げようとしているのか。
彼に会ったところで何をしようというのか。
何もかもがわからないまま。
突き進む。
この世界を正しく導くためのナニカによって追い風が吹き、それはどんどんと速度を増していく。
彼女は、ひたむきに力強く、一直線に向かって行った。
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