原作:色々
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その日もいつも通り,担当のウマ娘のトレーニングをしていたトレセン学園所属神崎有巣通称パンプキンヘッドトレーナー。頭にハロウィン等でよく見るジャックオランタンをかぶっている。ちなみに,偽名である。
現在は担当ウマ娘の一人である,ダイワスカーレットのトレーニングをしながら次の予定を考えていると,校門の方向が俄かに騒がしくなっていた。シンボリルドルフが出てきてもこんなに騒がしくならないので,全く別の事だろう。有栖は最初,暫くすれば落ち着くだろうと,放置してダイワスカーレットのトレーニングに集中することにした。しかし,10分経っても20分経っても静かになることは無く。寧ろ,最初より騒がしさが増しているようにすら思える。
「スカーレット,ちょっと見てくるからここに書いてあるメニューをこなしておいて」
「分かったわ。何しに行くの?」
「いや,なんか騒がしいし。一応教師みたいな扱いだし確認しに行かないとね」
要は野次ウマ根性だ。有栖としても,気になってしょうがない。足早に,大本に向かう。そこには,割と見覚えのある。しかし,確実に居合わせちゃいけない人物が居た。
「ここに
「彼は,私たちの指揮官よ?海軍が傭兵をトップに据えるつもり?」
鉄血もといドイツのKAN-SENビスマルクとグリフィンのWA2000が静かに口論を起こしていた。ビスマルク側にはプリンツ・オイゲンやオールド・レディことウォースパイトが居り。WA2000側には同じドイツ製銃の戦術人形HK416やPPKが居た。人ごみの中からでも分かる地獄絵図具合。野次ウマに紛れていて良かったと有栖はほっと息を吐いた。
しかし,なんで来たのか分からない有栖は暫く様子を見ることにした。両方ともに面識があるがゆえにだ。暫く様子見をしていると誰かに肩を掴まれた。
「ひょえっ⁉」
驚き変な声を上げる有栖。結構な大きさで叫んだせいで,周りからの注目度合いも高い。勿論,例の二つのグループも見事にこちらを見ていた。とりあえず,そのことからは目を逸らしつつ誰が肩に手を置いたのか確認する。
「ご無沙汰してますね。ドクター?」
「おっと…」
振り返った相手はアーミヤだった。笑顔の筈なのに,圧とか色々感じる有栖。冷汗が止まらない。肩に置かれた手は万力の様にガッシリと掴んでいた。
「勝手に消えられると大変困るんです。さっ,ロドスに戻りますよ」
「待って,いや本当に待って。なんでここに居ることがバレた?というか,一応退職届は出したし,引継ぎ用の書類も置いていったよね⁉」
「あぁ,それでしたら不幸なことに燃えてしまったので。無効になりましたよ」
「ズルくない?」
そんな会話をしていると,口論していた二人も此方に気が付いたのか。近づいてきた。周囲の野次ウマは,モーゼが海を割ったかのように左右に分かれたことによっていとも簡単に有栖の元にたどり着いた。
「あら,見ていたなら声をかければいいのに。ほら,私たちの
「だから,指揮官は私たちと一緒に基地に帰るのよ!勝手なことしないでくれる⁉」
WA2000の仮面が剥がれた。さながら,海軍と陸軍の仲の様だ。しかし,背後に一種の財閥じみた製薬会社のCEOが居る。有栖の胃がキリキリと痛み出した。
有栖の胃が良い感じに痛み始めたと同時に各陣営の代表の目線が交錯し,同時に困惑の色を生み出した。なにせ,海軍の司令官,企業の指揮官,製薬会社のドクター,そして現在の肩書であるトレーナー。情報量が多い上に,女の勘として他にも色々な所に伝手がある気がしていた。
「あの~。此処に先輩…じゃなくて,神崎有栖って方居ませんか~?」
「…()」
有栖は思った。神は私に恨みでもあるのかと。そして,同時に思った。恨むだろうなぁ…と。割と神に対して失礼な態度を取っている有栖である。罰の一つや二つ起こってもおかしくは無い。溜息を吐く有栖に何人もの目線が刺さる。仕方なしに,自身の名を呼んだ人物に近づく。
「あー,マシュ。なんで俺の名前が分かった?というか,ここまで探しに来るってどうした?」
「先輩!いえ,少し言いにくいので耳を貸してください」
「?おう」
有栖は躊躇いなくマシュに耳を貸す。外野が騒がしいが。内容が気になっている有栖には関係のないことだ。マシュは身長差がある有栖に少し屈むように言うと,耳元でコソコソと。
「その,未処理の聖杯があったらしく歴史に影響は少なそうですが特異点が生成されてしまいまして…その応援にと…」
「馬鹿野郎,滅茶苦茶一大事じゃねぇか⁉」
有栖渾身の大声だった。前半の内容が分からなくても,有栖の動揺っぷりからかなり危険度の高い内容であることは容易に分かる。なんなら,現状有栖は汗を滝のように流している。そして,おもむろに懐を探ると小さな赤い瓶の蓋を開け中身を勢いよく煽った。
「どうしよう?どうしよう⁉え?俺何一つ知らないんだけど⁉」
「元々,先輩は予備役として呼ばれた方ですし。一応の事態の収拾はついたので。本職の方に任せることになってるんです。ただ,季節感的な特異点の様で…」
「現実を直視できなかったかぁ…。いや,これから俺に起こることを考えると俺も直視したくないかなぁ」
「今飲んでる,それなんですか?」
「飲めば飲むほど,体力が回復する不思議な薬。副作用は知らん」
副作用が不明といった瞬間,背後に居たアーミヤによって瓶は下に叩き落された。それをみて,野次馬の中に居た白衣の少女が飛び出そうとして,黒いコートを着た少女に止められている。誰デスタキオンなのか,マンハッタン誰なのだろう。
「ドクター!貴方まだ常用薬増えましたね!帰ったら,ケルシー先生と共に説教ですからね!」
「それだけは待ってくれ,ケルシーさん珈琲すら規制するから何も飲めなくなる」
有栖はそう言って困ったように眉を下げた。そして,何かを思いついたかのように目を見開き。アーミヤの両肩を掴む。
「そうだ,アーミヤ!頼みたい「こんな人の往来の激しいところで何をしているのかな,エアグルーヴのトレーナー君?」あー,これにはマリアナ海溝より深い事情があるんだよ,生徒会長殿」
間に入ってきたのはトレセン学園が誇る七冠ウマ娘のシンボリルドルフ。こめかみ部分はピクピク動いているが,耳の動きからそんなに不機嫌ではないのが伺える。ルドルフの商況を確認した有栖は,苦笑いしながらそう言った。現状,カオスでは生ぬるい状況になっているのはルドルフの目から見ても明らかだった為,共に来ていたエアグルーヴと共に事態の収拾に努めた。
そして,その隙に逃げ出そうとした有栖はプリンツ・オイゲンとHK416,アーミヤによって取り押さえられ,見事理事長室へ出荷された。
「質問!彼女たちとトレーナーの関係とは!」
「あー,かつての上司と部下の関係?先輩後輩含む」
「否定!!役職含めの関係を教えてほしい!」
雑な説明では納得してもらえなかった。有栖は,肩を落とし背後であすなろ抱き状態になっているプリンツ・オイゲンとその横で凄い形相になっているHK416をチラリとみると,覚悟を決めたのか,話始めた。
「まず,アメリカ海軍中佐に傭兵部隊の指揮官,正式な手続きで退職しましたけど昔はアイドルプロデューサー,後は其処に居るCEOの元でドクターやってましたね」
「驚愕!手広くやっていたのだな!」
「理事長,多分注目点違いますよ…」
理事長秘書のたずなは困ったように嘆息した。想像の何倍も役職が重い。上司と部下と言えど,末端かと思えばまさかの幹部や重要役職に食い込んでいる。トレセン学園でも無視できない程度の成果を出しているが為に,手放すのが惜しい。
有栖の背後に居る二人の形相や雰囲気から他にもあるのではないかと,女の勘が告げていた。
「あのぉ…ちなみに後ろに居られる方とのご関係はぁ…」
「お嫁さん「所有物です」…よ」
意見が割れた。それも,最悪の方向で。片方はお嫁さんと言い,片方は所有物であると言った。見た目が美少女であるが故に後者の『所有物』発言はその場を一瞬で極寒の大地にしたのだ。
「あー。語弊があるというか,あってるけど間違っている。彼女,HK416は戦術人形と言って戦闘用にカスタムされた一種の兵器だ。だから,所有物ってのはあながち間違いではない。ただ,個人所有にするのが指輪を相手に渡し合意を得ることが出来ればだから,一種の恋人?伴侶的存在ではあると思うのだけど…」
有栖はしどろもどろになりながら,弁明(?)を続けていた。理事長は一度咳払いをして,話を元に戻した。要は,『伴侶が居るかいないか』といった部分を明確にしたかっただけである。それが,底が無さそうな沼になるなら,とりあえず避ける。
「分かりました。トレーナーさん方の関係に関しては,関係者同士で話し合いをお願いしますね。それで,えーっと貴女方はどういった理由でトレーナーさんを?」
ようやく本題に入った。此処まで長かった。まず最初に口を開いたのは,ビスマルク。彼女が言うには,また制海権が押され始めたらしい。局所的には厳しい状態であるらしく,自称退役中佐でも遊ばせておくには惜しい。ついでに,各国間での意見の対立も目立ち始めているらしい。次にWA2000。元々有栖が担当していた地区がまた最前線になりつつあるため,この際呼び戻そう。となったらしい。HK416は有栖が所有者なんだから,その側にいるのは当たり前では?とばかりに堂々としていた。全体的に見て控えめに地獄である。
とりあえず,早急に変えるにも色々な手続きが必要であるため当分は有栖の家に滞在するとアーミヤ達は宣言した。有栖も拒否権が無いのは察していたようで,特に文句を言うこともなく了承した。
翌日。自分が指導しているウマ娘達をトレーナー室に呼び出し,前回の騒動の原因を説明することにした有栖。普段の交流はパーフェクトコミュニケーションを叩き出すのになんで肝心なところで地雷を踏みに行くのだろうか。
「で,昨日の騒ぎは俺の昔の職場兼下手すると今後の職場になりそうなところの同僚だったんだわ」
「待て,何処から言えばいいか分からん…!」
頭を抱えながらエアグルーブが呻くように言った。有栖の背後にはオイゲン初めのKAN-SEN達やアーミヤ達ロドスの職員,HK416のグリフィンの戦術人形が立っている。ロドス職員を除き全員女性である。ウマ娘の彼女たちはその関係が気になっていた。
他のウマ娘達では途中で抑えきれなくなるであろうことから,この中で最も自制心がありそうなエアグルーブに白羽の矢が立った結果だ。そこはおいておいて,有栖は気にせずに紹介を始めた。
「まず,俺の嫁さんであるプリンツ・オイゲンとウォースパイト,他に後6人居るけど…後日合流とかする感じ?」
「どうかしら,赤城や愛宕,綾波なら来るかもしれないけど,他は知らないわ。ウォースパイトは?」
「ベルは,シリアスの
有栖がプリンツ・オイゲンに話題を振ると,考えながら赤城と愛宕,綾波は合流する可能性があることを。ウォースパイトに話を繋げると,意外な話題が出てきた。この時点で,ウマ娘達は見事に蚊帳の外になってしまった訳だが,蚊帳の外から状況を見ると有栖の特異性が浮き彫りになり始めた。
「自宅が殆ど自然に還ってて,天井に花と植物が生い茂ってるって聞いたけど?」
「合ってるよ。まぁ,殆ど人為的に自然に還した様なものだけど」
「じゃあ,近くの抉れた山は?」
「ノリで爆破した」
「環境保護団体が憤死しそうなことするのはやめなさい?」
「気が向いたらね」
「ちょ,ちょっと待ちなさいよ!」
有栖とウォースパイトの会話に割り込んだのは,昨日有栖にトレーニングを受けていたダイワスカーレットだった。その表情は困惑と悲しさ,そしてドロドロとした嫉妬が混在していた。
それもそうだろう。多感な時期を家族ではない異性と共にするのだ。惚れた腫れたがあるのは不思議じゃない。トレーナーの中には,ウマ娘の猛アタックによって同性でもカップルになる程だ。それ程,ウマ娘達にとってトレーナーは特別な存在なのだ。そんな存在が実は既婚者で挙句妻が8人居るときた。なんで8人も奥さんが居るのか。なんで結婚していたことを黙っていたのか。ゴルシも目じゃないくらいに結構やらかしてるんだなこのトレーナーとか色々考えた。というか,学生が許容できる情報キャパシティを当の昔に越えていた。
音ゲーとかも色々やっているし,結構ゲームはしてる方なので全部組み合わせると整合性とか宇宙の彼方に行ってしまう。ので,多分一部はにおわせ程度になる可能性が微レ存。
アークナイツ面白いですね。キャラが増えないけど,施設は大きくなるので,頭が痛いです。