桜舞うこの季節、僕は長ったらしいこの道を小走りしていた。
早くこの坂から開放されたいと言う気持ちもあるがこの寒い冬を終えちょうどいい温かさになる風を感じたかった。
始業式はもう既に終わったが進級出来るという快感がまだ僕の中にあったのだ。
別に友達が多いわけでも彼女がいるわけでもないが僕は僕でこの高校生活を楽しみたい! そう思っていた。
思っていた、のに……
「ん?」
携帯のバイブが制服のポッケを少し揺らす。メールだ。僕は嫌な予感がするが、メールを確認する。
そこに書かれていた内容とは……
『エンダァァァ!イヤァァァ!と叫びながら学校までダッシュ、期限、登校を終えるまで』
珍しい類のスパムメールに見えるかもしれないがこれはとてもタチが悪いのだ。
「はぁ………… エンダァァァ!イヤァァァ!」
僕はそこに書かれた通り叫びながらダッシュ、風が気持ちいいが周りからは冷たい目、堪えるなぁ……
このメールの内容のことをせざるを得ないのだから。
ほんとにタチが悪い。
少し自己紹介をしようか
僕は横須賀直利因みに名前は『なおと』と読む。『なおり』や『なおとし』と間違えないで欲しい。後、横須賀には住んでない。
中学までは陰キャラのぼっちだっだが高校に入ってから環境がとても変わった。
いや、ぼっちはぼっちだ。でも、存在は認知されている。さっきのメールのせいで……
少しイライラしていると学校についくと校庭の真ん中に大きくできている人だかりがあった。まあ多方クラス発表だろう。
周りでは『二年連続で一緒だね!』とか『さらばだ友よ!』とか『やった、○○ちゃんと同じだ。ふふふ、ふふふ』とかがクラス発表の際の定型文的なのが聞こえてくるな。いや、最後のは違うと思うが。
あの人だかりに入るのは気が滅入るが流石にクラスがわからんとやっていけん。
俺は人ごみを掻き分け張り紙が見えるとこまで行こうとするがそこで誰かが声を上げた。
『あ! 変態佐だ!』
変態佐、変態と軍の階級の大佐を掛け合わせた僕の通り名、すこぶる不本意だけどね。
その女子の声を聞いて周りが敬礼をする。やめとくれ、僕に敬意を払う必要はないんだよ……
まあ、んな事気にせずに自分の名前を探そう。横須賀、横須賀と……あった、2年11組
まあ、クラスが分かった以上長居はしない。ここから早く脱出しよう。
ため息をつきたがら廊下ゆっくりを歩く。ほんと、あのメールは何なんだ。高校に入学する頃を思い出す。
初めては中学卒業後、お使いに行った時の帰り、友達のいない僕には珍しいメールが来た。自分でこう言うのも悲しいがまあそれはいいだろう。
メールの内容は
『家電製品屋で押せそうなボタンを探し『答えは?』『越○製菓ァ!』と一人芝居を大声でする。期限家に帰るまで』
とかいう変なもの、当然メールを無視して帰った。
家に帰ったあとスパムにしては変だなと思いもう一回メールを見直す。良く見ると下の方に
『尚、期限をすぎると自分たちの身の回りの何かがなくなる』
と、変な後付けが書いてあった。随分と悪い趣味だと思い携帯を置いて少し寝るとうちの母が何やら騒ぎ出したのだ。
母曰く『車が突然消えた』とのこと。
僕はまさかと思い携帯を開くと新しいメールにうちの車の画像が添付され、
『無くなったのはこれですか?』
と打たれていた。
それ以来僕はメールの指示通りに動いている。特に去年の夏休みの
『富士山登頂して頂で『ふーじこちゃーん!』と叫べ』
とメールが来て金と体力をめちゃくちゃ消費したことが一番辛い思い出。
「はぁ…………」
また、ため息が出る。ため息をつくのはよくないと聞くがこればかりは仕方がないと思う。
自分のこれからに心配していると何やら賑やかな声が聞こえてくる。これは、11組か……って僕のクラスじゃん。
元気がいいなぁ、何かいいことでもあったのかい?
一度行ってみたかったセリフだったりする。
僕は何故か緊張して教室のドアを開けた。
それはどう言ったらいいのだろうか? ああ、この言葉がふさわしい。
『カオス』
一言で表すならこれだ。これ以外にありえない。
目の前に白衣を着た少女、教卓の上に変なポーズ(おそらくジョ○ョ立ち)をとっているこれまた少女、軍服を着た少女、デッキブラシを持った少女、その他いろいろありすぎて困る。
てか少女率高いな……男子すくねぇ。
そして俺が入ったことによりまたさっきとは違ったざわめき、嫌な予感がするな……
「へ、変態佐!」
「誰?」
「誰っておま……変態佐だよ! あの夜に学校にダンボールだけで潜入したという……」
あ、それもメールの指令だね。ちなみにそこから教室でみんなが来るまでずっとスタンバってた。結局バレたけど。
「あ、あのプールの授業で女子ゾーンに飛び込んだという伝説の……」
ああ、そんなこともありましたね。この後母に電話をかけられ大変だったな……
「そうだよ、保健の授業で『なんかムラっとしてきたァ!』って叫んで突然半裸になったという……」
あの、半裸って行っても脱いだの上のほうだからね? そこのとこは覚えててね?
「いや、もういいだろ」
そこでやっと俺はツッコミを入れ黒板に書かれた座席表を見て(ジョ○ョ立ちはスルーした)席に着く。
荷物を置いてほっと一息、すると後ろから肩をつつかれる。
「あん?」
「今坂調、よろしく変態佐」
どうやら最初に見た白衣の子らしいって
「おい! 初対面で変態佐は無いだろ!」
「え、でもみんなそう呼んでたから」
「自己紹介くらいさせろ! ったく……いいか、僕の名前は……」
そこでポケットから微妙な振動、額から嫌な汗が流れる。これは、もしや……
『あのモーション付きで『越後○菓ァ!!』期限、今、なお後で本名を口にすると失敗』
また越後○菓かよ! そして書き方がいい加減になってる気がする。
まあ、これごときまだマシな方だ。
俺は右腕を上げ一気にあのモーションで机に叩きつける、そして
「越後○菓ァ!!」
意外としてみると、気持ちが良かった。
二つ目の作品です。
いろいろコメントをいただければ幸いです。