異世界で美少女になった俺、地球に戻れたので裏垢やってみる。   作:貯水庫

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10話 墓場にて

 

 

『うっま。フォローしました』

『かわいくて歌もうまいとかスペック高すぎる』

『声たっか』

『選曲のオタク臭』

『人間卒業』

『こんなん推します』

『なんでマスクつけてんのw』

(ふれいむ)も歌ってください!』

 

『紺碧華』など、いい感じに歌えた数曲を裏垢に投稿したが、どんどん伸びている。

『人間卒業』って、一瞬ビクッとした。まさにその通りだ。吸血鬼のスペックがすごすぎるから調子に乗って高音曲や滑舌曲を歌いまくっちゃったんだよな。

さすがにこんなことで正体がバレてしまったら間抜けだ。俺の正体は秘密のまま墓まで持っていきたい。まあ寿命はないんだけどね。

 

「そういえば、俺の墓ってあるんだろうか?」

「あるよ」

 

いつの間にか帰ってきていた妹に俺のぼやきを聞かれたようで、衝撃の事実を告げられる。今日は部活がないのか。

 

てかまじか。墓あるのか。

確かに死んだら墓くらいは普通出来るんだけど、なんか変な気分だ。生前葬をする人はこんな気持ちなのかな?俺の場合実際骨が埋まってるから違うか?

 

「何なら行ってみる?すぐそこだよ」

「え」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来た。

 

「こっちだよお兄」

 

なんだこれ。自分の墓参りなんてする奴この世で俺くらいじゃないか?俺はどういう気持ちで行けばいいんだ。

なんて困惑しながら妹についていくと。

 

「ほら、ちょうどあの人がいる辺り......

ってあれ服部(はっとり)くんじゃない?」

 

なん......だと......

 

辺りが薄暗いのでよくは見えないが、地味な服を着て向こうに立っているのは......間違いない、俺の唯一の親友、服部だ。

 

中学で出会い、ゲーム繋がりで仲良くなって、同じ高校の同じ部活に入って、毎日一緒に帰って......俺が死んだのも、あいつとゲームの話をしながら帰っていた時だった。

 

あいつ、俺の墓参りに来ていたのか?

 

「お兄もしかして、まだ服部くんと連絡とってなかったの?」

「うっ。いやその、ちょっと心の準備をしていたというか......」

 

そう、あいつに会うのには心の準備が必要だったのだ。

もちろん、転生してからずっとあいつのことは心残りだったし、地球に戻ってこれたからにはちゃんと生きてるって伝えるつもりだった。

 

でも、今の俺は白髪の美少女になっているわけで。あいつの目に俺がどう映るか分かっているから、少し、覚悟が必要だったのだ。親友のままではいられなくなってしまわないか、今でも不安なのだ。

 

「心の準備って、1か月も?私はここで待ってるから、早く会いに行きな」

「............わかった」

 

そうだな......妹も気を使ってくれているし、腹を括るか。

服部の方へ歩いていく。

どうしよう。いきなりだからなんて話しかけるか何も考えてない。

 

「――乱闘に、あの――――が追加され――......――にやりたかったな」

 

服部は何か話しているようだ。俺に話しかけてるのか?

 

「......ごめんな、高橋。俺がもっと、早く気付いていれば......」

「っ......!」

 

こ、こいつ、俺を助けられなかったのを後悔していたのか。あれは暴走したトラックが悪いのであって、服部が悪いわけじゃないのに。

そういえば、俺ってこいつの目の前でそこそこグロいことになってたと思うし、結構なトラウマになってたりするのかもな。

もう俺が死んで1年半も経つというのに、健気なことだ。俺は生きてる。だからもう、そんな後悔は必要ない。

 

「おい、なんて顔してんだよ、服部」

「......?」

 

服部がこちらに気付く。

こいつ、でかくなってないか?元々大柄だったが、前はこんなに見上げてなかったような。あ、俺が小さくなっただけか?

 

「スノウちゃん......?」

「へ?」

 

服部が俺のことを呼んだ。

でも、それは、裏垢の名前だろう?

 

 

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