異世界で美少女になった俺、地球に戻れたので裏垢やってみる。   作:貯水庫

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19話 帰り道

 

 

映画館の帰り道。

日は黄昏色に輝いていても俺にダメージを与えてくるので、俺は再び完全防備態勢になっていた。

 

なんとみーさんは降りる駅が一緒で、しかも道も途中まで一緒っぽいので、映画の話をしながら帰っているが......

 

「付けられてるね」

「え?本当?」

 

映画館から俺たちに一定の間隔をあけながらついて来ている魔力が1つある。俺たちが信号で止まっても近づいてこなかったので間違いない。

人通りはまだあるし、普通の人じゃ気づけないだろう。

 

まあ美少女が2人歩いていればこういうこともあるんだろうけど......煩わしいな。どうしたものか。

 

「みーさんこっち」

 

東ヨーロッパの人名っぽいことを言いながらみーさんの手を引き、とりあえず路地裏に退避する。

すると道の端にいい感じのでかい箱を見つけたので、みーさんはこの裏に隠れていてもらう。

そしたら俺はみーさんから見えないところまで行き、ぴょんぴょんと壁伝いに建物を登った。

 

屋上に着地。

下を覗くと、箱の裏に隠れているみーさんと路地裏に入ってきたストーカーさんが見えた。

20代後半くらいの男だった。

 

早くなんとかしないとみーさんが見つかっちゃうね。

俺は魔法で水を発生させ、ストーカーさんの頭の上に落とした。

 

「うわっ!?冷たっ!なんだ!?」

 

思わずほくそ笑む。

男は上を見ようとしたので、俺の姿が見えないように次々と水を降らせる。

 

「うわ、だ、誰だ!?」

 

早く帰ってくれないかな、と、次は小石をいくつも発生させてパラパラと降らせていく。

 

「あた!いて!な、なんだよ!?あた!」

 

みーさんに不埒な真似をする変態はこれでいいのだ。

しばらく続けていると、観念したようでストーカーさんは去っていった。

 

俺は速やかに建物から飛び降り、みーさんのところへ向かった。

 

「行ったみたいだよ。帰ろ」

「あ、スノウちゃん。何してたの?」

「ちょっとストーカー退治を」

「そ、そっか」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

それからもなんと同じ道を歩いていき、人通りの少ない道に出たころには辺りは薄暗くなっていたので、完全防備態勢を解除する。

 

「今日は楽しかった〜、スノウちゃんはイメージ通りだったな。物静かで、上品な感じとか」

「え?上品?」

「ほら、笑うとき口に手を添えてるでしょ?もしかしてスノウちゃんってお嬢様だったりする?」

 

ああ、それは牙が見えないようにしてるだけだ。物静かなのも、ボロが出ないように慎重になってるだけだね。

俺に言わせればこんな嘘だらけ女よりみーさんの方が明るくてかわいらしいと思う。

 

でも確かに、今日は楽しかった。映画を見ただけとは言え、女の子とお出かけだなんて生前では考えられないことだ。

 

「帰ったら超乱闘しようね」

「うん」

 

これからもっとこの子と仲良くなりたいな。

出来れば、いつか血を吸ってみた――

 

 

ふいに、風の音が止んだ。

 

「!スノウちゃんあぶな――」

 

視界が陰り、同時に体にものすごい衝撃。

バン!という大きな音と、体が浮遊する感覚。

 

俺の体は飛ばされ、地面に何度も打ち付けられる。

そして、1回、2回、と重いものが体にのし上がり、転がって通過した。

 

しばらくして、遠くの方でドシャーンと大きな衝撃音。

 

 

 

 

 

 

 

「......う、嘘......スノウちゃん......?」

 

 

 

 

「いったーーーい!」

「............へ?」

 

いたたた......

もう、何いきなり?体中打っちゃったよ。

 

音のした方で大きくひしゃげているのは......トラックだ。

え?轢かれた?また?

俺は今ちゃんと路側帯を歩いていたよな?

 

「あの......スノウちゃん?」

 

あ。

そういえば、今みーさんと帰っていたところだった。

 

見られた?うん、見られたよね。バッチリ。

危ないって言ってたもんね。

 

うーん。普通、トラックに轢かれたら無事じゃ済まないよね。

やばい。どうしよう。

 

「あー、えーっと、これはね、ちょっと私の体が丈夫だったっていうか、その」

「ちょっと体が丈夫......」

「そう、体が丈夫で!そ、そうだ、そんなことより、運転手が!」

「今のトラックは無人だったよ」

「え?む、無人?」

 

なんだよ!無人って!

サイドブレーキを忘れたか?

迷惑な話だ。

俺の日傘がぐしゃぐしゃだ。

あ、そういやスマホは......お!奇跡的に無事みたいだ。

 

にしても俺が車道側を歩いていて本当によかった。逆だったら取り返しがつかなかったな。

 

「あの......スノウちゃん、大丈夫なの?」

「うん、体が丈夫だからね」

「で、でも、頭から血が......」

 

え?ああ、本当だ。

俺の体に傷をつけるとは、トラックめ、やるな。

でもこの程度の傷なら既に塞がっているだろう。

 

「本当に平気だよ」

「で、でも、私の見間違いじゃなければ、スノウちゃん、すごい速度でトラックに轢かれて吹っ飛んで、そのままタイヤに乗り上げられてたよね?」

 

そ、そんなことあったっけなー。

きっと悪い見間違いだ!

 

「大丈夫なわけなくない......?」

 

うん、さすがに誤魔化せないかー!

 

「スノウちゃん、立てる?私の家、この近くなの。手当てするから、来て?」

 

俺に手を差し伸べるみーさん。

ああああ。これはガチで心配してくれてる顔だ......

さすがに無下にもできない、か。

 

みーさんの手をとって、立ち上がる。

 

 

幸い、とは言えないが、さっきの様子はみーさん以外には見られていなかったようだ。

トラックの辺りには野次馬が集まっているようだが。

 

みーさんの家に着くまでどう説明するか考えなきゃ、と思ったが、みーさんと手つなぎデートをしていると気づいた時からは何も考えられなかった。

 

 

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