異世界で美少女になった俺、地球に戻れたので裏垢やってみる。   作:貯水庫

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27話 行くか、異世界

 

 

それからは何事もなく家についたが......

 

「ストーカーが多すぎるな」

 

そろそろうんざりである。

何かストーカー対策にいい感じの魔法はないのだろうか?

認識阻害とか、透明化とか、幻影魔法とか。

 

まあ、魔法について1人で悩んでてもしょうがないな。

 

「行くか、異世界」

 

自称ちょっと魔術が好きなだけのただの冒険者であるユーリアちゃんなら何かいい魔法を知っているかもしれない。

 

そうと決まればさっそく行ってみよう。

帰ってくる時のために家の座標を調べたら、異世界のローブに着替えて、転移魔法を発動する。

座標は、ユーリアに教えてもらった時に設定されていたものだ。

 

「あ、そういやこれどこに飛ぶんだろ?」

 

視界が切り替わった。

 

 

肌にヒリヒリする痛み。

 

「あ、あっつ!いて!あっつあっつ、いて!」

 

吸血鬼の宿敵日光が現れた!

どうする?

→逃げる

 逃げる

 逃げる

 

俺は日陰を見つけ、避難した。

異世界が昼だなんて聞いてない!!

 

「ここは......」

 

咄嗟に入った建物の中だ。石造りで吹き抜けの天井。まばらに散らばるテーブルと椅子。

女性のいるカウンターに、いかつい男たちの喧騒。

 

「ああ、冒険者ギルドか」

 

確かにユーリアは冒険者だと言っていたし、ギルドの近くに転移先を設定しているなんてこともあるだろう。

さて、ユーリアを捜すか。

近くにいた大剣を持ったおじさんに聞いてみる。

 

「あの、すみません」

「あ?」

 

異世界語を話すのも久々だな。

 

「ユーリアって女の子を知ってますか?」

「ああ、そりゃあ知ってるぞ。この街一番の腕利きだからな。ユーリアちゃんがどうかしたか?」

 

よかった。とりあえずここはユーリアが住んでいる街のようだ。

 

「用がありまして。ユーリアがどこに住んでるか分かりますか?」

「あー、そういや知らねえな。ただ、ユーリアちゃんならさっき依頼を受けてたから、ここで待ってりゃ......お、噂をすりゃ来たみてえだな」

「?」

 

そう言われて外を見ると、金髪ロリ巨乳ユーリアちゃんが巨大なミノタウロスの死体を片手で引きずっていて......ミノタウロスの角がギルド入口に引っかかった。

 

......どこからツッコめばいいのだろうか。

 

俺はとりあえずミノタウロスのところまで行き、角を縦にしてうまくギルドに入れた。

 

「あ、ありがとうございま......げ」

 

げってなんだよ。

またげって言われたよ。

 

「久しぶりね、ユーリア」

 

無意識に出る女の子口調も久しぶりだ。

 

「なんだあの子!?ミノタウロスを軽々と!?」

「あ、ありえねえ」

「ミノタウロスを狩るユーリアちゃんもとんでもないが、あの子も相当だな」

「知り合いなのか?」

「どっちもかわいい」

「おしっこかけられたい」

 

ギルドのこの感じも久々だな。

 

「それで、どうしてここに?」

「ああ、そう、ちょっと困り事があって」

 

それからユーリアは受付で依頼の処理とミノタウロスの死体の売却をしてから、俺の話を聞いてくれた。

 

「まさかストーカーにストーカーの相談をされるとは思いませんでした」

「ご、ごめんって......で、何かいい感じに対策できる魔法はない?認識阻害とか、透明化とか、幻影魔法とか」

「全部できますよ」

 

えっ!?まじ!?

 

「ほんと!?教えてくれない!?」

「いいですけど、ストーカー対策なら認識阻害はちょっと使い勝手が悪いですね。人に会うたびにかけなきゃいけないので面倒ですし、魔力消費も多いです」

「なら、透明化は?」

「透明化は、自分に当たる光を消して反対側から出せばいいだけなので光魔法陣1つでできます。魔法陣はこんな感じです」

 

そう言ってユーリアが展開した魔法陣を真似して、魔力を流し込む。

視界が真っ暗になった。

 

「って、何も見えないじゃない!!」

「そりゃあ目に入る光も消しますからね。マナ感知で動いてください。駄目なら瞳孔の部分だけ光を通せばいいですが、あなたの場合、光の当たり加減では瞳孔が赤く見えるので前からうっすら見えてしまうと思いますよ」

 

うーん、透明化も欠点ありか。

俺のマナ感知そんなに正確じゃないんだよね。

 

とりあえず、見えるバージョンも教えてもらう。

 

「あー、やっぱりうっすら見えちゃってますね。まあ、この程度ならだいたい気付かれないと思いますが」

「そう。じゃあ、幻影魔法は?」

「具体的にどんな幻影を見せるんです?」

「そうね、私が黒髪茶目になったりしない?」

「それなら簡単です。こっちも光魔法でできますよ」

 

そう言ってユーリアが展開した魔法陣を模写して発動すると......おお、髪が黒になった!目もちゃんと茶色になったかな?

 

「できてる?」

「ええ、問題ないですよ。でも、そんなのでいいんですか?」

「私の国の人はほとんどこの色なのよ」

 

これで俺が『スノウ』に見える人はほぼいないだろう。ストーカーも減るんじゃないかな?

 

そこで俺はふと思い立つ。

 

「幻影魔法って、男の姿になれたりする?」

「え?うーん、やったことはないですが、多分できますよ」

 

まじか!生前の姿になれる!?

 

「ただ、幻影ですので声は変わりません。声を変えるなら別の魔法陣が必要です」

 

声も変えられるの!?

 

「それやる!」

 

せっかく美少女になれたんだから元の体に戻りたいとは全く思わないけど、一応生前の自分の姿に愛着はあったし、元の姿で家族や服部と過ごしてみたい気持ちはあるのだ。

 

「じゃあ、どんな姿になります?」

「私の記憶から辿れない?」

「それは難しいです」

「なら、動画を見せるから、そこからできないかしら?」

「ドウガ?なんですそれ?」

 

あー、そういえばこの世界には動画どころか写真もなかったね。

 

「見てもらえば分かるわ!一緒に日本に来て!」

「えっ?」

「こう、転移魔法陣の転移先の設定に"地球"って描いて、座標は――」

 

ユーリアの指導の下、転移魔法陣に俺の家の座標を設定する。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!私人間なんですけど、ニホンって人間が生きられる環境なんです?」

「大丈夫なんじゃない?人間いるし」

「異世界の人間が私たちと同じとは限らな――」

「じゃあ、行くわよ」

「あっちょっと!」

 

そう言って、転移魔法陣に魔力を込め......

 

「......あ、魔力足りないや」

「......」

 

そういえば、転移魔法を使うと血の魔力変換効率がかなり落ちるんだった。

 

「血吸わせてくれない?」

「............はあ」

 

吸わせてくれた。

 

 

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