異世界で美少女になった俺、地球に戻れたので裏垢やってみる。   作:貯水庫

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妹の麻衣視点です。


番外編4話 兄妹百合

 

 

「麻衣、そろそろリア怖やるわよ。雪那を呼んできて」

「分かった!」

 

待ってました!やっぱり夏のホラー特番と言ったらリア怖だよね!

スマホを閉じて、お兄を呼びに2階に行く。

 

お兄の部屋をノックして、呼びかける。

 

「お兄〜?」

 

反応がない。寝てるのかな?

いいや、入っちゃえ。

 

「お邪魔しまーす」

 

部屋が暗かったので、電気を点ける。

 

年中引き篭ってぐーたらしてるお兄だが、血以外口にしない、着替えない、ゲームしかしないの三拍子で物が増えないから意外にも部屋は綺麗だ。

 

パッと見、お兄の姿はない。

多分、棺桶の中だろう。

 

吸血鬼であるお兄は狭くて暗いところが落ち着くようで、一日の半分くらいは服部君に作ってもらった棺桶の中で寝ている。狭いところが好きってなんか猫みたいでちょっとあざとかわいいよね。

 

「失礼しま〜す......」

 

床にポツンと置かれた黒塗りの棺桶を開ける。

 

ムワッと、熱気と共に女の子のいい匂いが漂う。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「......すー」

 

寝ている。ぐっすりだ。

それほどここが安心するんだろうな。

 

やっぱり、美少女だなー。今やこの可愛さは20万人を超える全世界のOwatterユーザーの財産だ。あ、そういえばOwatterは名称が‪‪✕‬(Cross)‬に変わったんだったな。なんだバツって。おのれウーロン。

 

「お兄、リア怖始まるよー」

 

肩を揺すって起こす。

暑いのにこんな密閉したところで寝るから、少し湿っぽい。

 

うっ、ちょっとムラっときた。

おっぱい揉んじゃえ。

 

「......」

 

お〜、Eカップ。お兄のくせに私より大きくて羨ましい。

 

「......んー」

 

あ、目を開けた。しょぼしょぼと眩しそうにしてる。

 

目を擦りながら起き上がった。まだ寝ぼけてそうだ。パイ揉みを継続する。

 

「んぅ」

 

あれ、まだ気付かれてない?お兄どんだけ寝起き悪いんだ。

 

「お兄、リア怖始まるよ」

「......うん」

 

眠そうに返事した。起きてきてるし、そろそろやめとくか。

でもほっといたらまた寝そうなので、腕を引っ張って立たせる。

 

「ほら、行くよ」

 

手を引くと、されるがままに歩きだした。

 

「......」

「......」

「......なあ、さっき俺の胸揉んでなかった?」

「そんな訳ないでしょ。いくら兄妹だからって、寝てるところ胸を揉むなんて下劣の極みだよ」

「む、そうだよな」

 

チョロすぎて草。

 

「お兄昨日何時に寝たの?」

「んー、何回も寝てたから昨日って聞かれると答えに困るな」

「うわあ。生活リズムとかないの?」

「眠いときに寝れる幸せを満喫してる」

 

ヒキニートの鑑みたいなこと言うな。これじゃお兄ちゃんは(人間として)おしまいだ。

 

まあお兄は戸籍がない上に白髪とか日光とかいろいろ面倒なのは分かるけど、お兄もゲームばかりじゃなくて、たまには外で思いっきり遊んだりした方が人生楽しいんじゃないのかな?吸血鬼の身体能力では思いっきりまではいかないかもしれないけど、外で遊べばリフレッシュになるはずだ。多少強引にでも外に連れ出そうかな?

 

「決めた!」

「うわっ。びっくりした」

「お兄、一緒に海行こう!あと温泉!」

「え、海?誰と?」

「2人で!」

 

前々から2人で出掛けたいと思っていたのだ。お兄ときたらフォロワーに求められるがままにあんなにえっちな格好して。私達は兄妹なんだからたまには私がお兄を独占したい!

 

「2人で!?い、行く」

「やった、じゃあ決まりねっ!」

 

どこに行こうかなー。近場なら熱海なんだけど、以前よく行ってたし、せっかくお兄と出かけるならもうちょっと遠くに行ってみたいな。

 

「うーん、お兄の転移魔法で私も飛べたらいいんだけどなー」

「転移魔法?一緒に飛べるよ」

「え?」

「この前ユーリアが来たときに聞いたんだけど、ユーリア作の転移魔法は使用者が浮かび上がったときに一緒に付いてくる物が転移対象らしい。姿勢が崩れないようにしっかりくっ付いていれば一緒に転移できるよ」

 

ってことは、お兄と一緒ならどこにでもすぐ行けるってこと!?

 

「なんでそれを早く言ってくれなかったの!」

「ご、ごめん」

 

世界中好きな場所を旅行できる!

熱海以外でビーチのある温泉地なら、別府、白浜......あとハワイも火山島だし温泉がありそう!でも2人でいきなり海外はハードルが高いかな?

 

「うーん......よし!それなら白浜に行こう!」

「和歌山か。どうせ行くならパンダも見に行きたいね」

「おおー!」

 

アドベンチャープラネットか!確かに!なら一日中遊べるし、朝早くに出ないとだ。

 

夏休み中は混んでいそうだが、休日よりは平日の方がマシなはずだ。どこか予定を空けて、一日思い切り楽しもう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来たるお出掛け当日。いつもより早起きしてお兄を叩き起こし、身支度をする。

 

「じゃあ、行くよ」

「うん!」

 

家にあったビーチグッズ等を全部一人で持って大変なことになってるお兄が「よいしょ」と私を持ち上げる。

 

わあ。お姫様抱っこだ。初めてされちゃった。

 

「しっかり掴まってろよ。崩れやすい姿勢だと足を残して転移することもあるらしいから」

「え?」

 

初めて出てきた恐ろしい情報に衝撃を受けている間に、視界が切り替わっていた。

 

ぎゃーーーー!!!!足は!?あ、ある......よかった。

 

「ちょっとお兄、びっくりさせないでよ!」

「ははは、まあ俺がしっかり持ってるから大丈夫だよ」

 

この、私の情緒を弄んだな!!

絶対仕返ししてやる、覚えとけ!

 

ところで、無事に和歌山に着いたのかな?

 

お兄に下ろしてもらって、某マップで位置情報を確認すると、ちゃんとアドベンチャープラネット傍の森の中に現在地が表示されていた。

 

航空写真から探した人目に付かなそうな転移先だ。写真を頼りに緯度経度を取得して、お兄の転移魔法に設定したという手順だ。

 

すごいよねこのマップ。右クリックで取得できる緯度経度の精度が少数点以下14〜15ケタって、やたらと高精度じゃない?規模が大きくて頭じゃうまく測れないけど。

 

「どうやら周りに人はいないみたいだな」

 

お兄が魔力感知で周囲の気配を探ってくれたようだ。まあ、仮に人に見られても記憶消せるらしいけど。

 

「じゃあ、麻衣......」

 

ああ、血が吸いたいんだな。

血を魔力に変えて魔法を使う吸血鬼だが、転移すると何故か血の減りが速くなるらしく蓄え直す必要があるのだ。地球では私かみーさんから吸っているそうだが、異世界に行ったときは毎回ユーリアちゃんが犠牲になっているらしい。南無。

 

「うん、いいよ」

 

首を傾けて首元を晒すとお兄が飛びついてきた。そんなに吸いたかったんだな。

 

一瞬の痛みの後、いきなり全身が痺れたような、ってあーもう何も考えられない!

 

「〜〜〜〜っ」

 

............

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさま」

 

思考能力を取り戻してきた。私は腰を抜かしたまま放心していて、スカートの中は濡れ......てない!よっしゃ!耐えきった!

この展開は予測できたので事前にトイレは済ませてたんだけど、それでも普段はちびってるので少しも濡れてないとちょっと嬉しくなる。

 

血を吸われてるだけでなんでここまでなるのかは謎だけど、お兄にめちゃめちゃにされるのは嫌じゃない。お兄も美味しそうに飲んでくれるしね。安い旅費だ。

 

震える足に言うことを聞かせ、立ち上がる。

早くしないと、回る時間が少なくなってしまう。

 

土を払っていると、急にお兄の髪と瞳が黒くなった。目立たないための魔法だ。白髪は周囲から浮くし、裏垢女子のスノウちゃんだって分かりやすいからなー。

 

でも、なんかやだ。

 

「お兄、今日は白髪にしてくれない?」

「え、なんで?」

「デートの時は素のお兄のままがいい!」

「む、まあ、お前がそう言うなら......」

 

そう言って、白髪に戻してくれた。やっぱこっちの方がお兄って感じがする!今日は私がお兄を独占するのだ。

 

「耳と牙は魔法で隠すからな」

「うん、それは大丈夫!」

 

そっちは見られちゃまずいからね。耳と牙を偽装する魔法と日光対策魔法はずっと使いっぱなしになっちゃうかな。面倒だろうけど、今日は我慢してね。

 

準備ができたので、森を出て、アドベンチャープラネットに入場し、ロッカーに荷物を預ける。開園直後だが事前にネットでチケットを購入していたのでそんなに並ばずに入れた。

 

「お兄こっち!」

「グッズショップ?まだ来たばっかじゃん」

「女の子ならまずはこっちでしょ!いいから来て!」

 

さすがお兄!死ぬまで彼女がいなかっただけあるね。

 

「おぉ〜!これ似合いそう!」

 

グッズショップで見つけたパンダ耳のカチューシャをお兄の前にかざす。

 

「え、俺がつけるの?」

「うん。お兄は髪が白いから絶対似合うよ!」

「ふむ」

 

このカチューシャを買うことを決定し、自分がつけるグッズも探す。私は髪が白くないから、このちっちゃいパンダが付いてるカチューシャにしよう。

 

さっそく購入し、2人で頭に装着する。

 

「おー!かわいい〜!」

「お前もかわいいよ」

 

パンダ耳お兄があまりにかわいかったので、写真を何枚か撮る。

てかお兄、普段から裏垢でいろんな格好してるからか何の抵抗もなくつけたな。ブラジャーを恥ずかしがってたお兄が懐かしいよ......

 

「え!?スノ」

「何だ?スノって」

「まあ、次行こうぜ!」

「は?」

 

近くを通った大学生らしきグループの男がお兄を見て何か叫んだと思ったら、去っていった。何これ?

 

「お兄、何かした?」

「思考誘導魔法。対象は一時的に俺への興味を失う」

「えっ、怖!魔法ってそんなこともできるの!?私には絶対使わないでね」

「使うわけないだろ」

 

これもユーリアちゃんに教わったのかな?でも確かに、さっきから結構注目を浴びているけど話しかけられたりはしてないな。お兄がガードしてくれてたんだ。これなら、より楽しめそうだ。

 

「じゃあお兄、パンダ見に行こ!」

「おう」

 

お兄の手を引っ張って、パンダのところに向かう。

アドベンチャープラネットでは計4頭のパンダが暮らしていて、エントランス近くのパンダゾーンでは2頭のパンダに会うことができるらしい。

私はパンダを見た事がなかったので、この時をとても楽しみにしていたのだ!

 

到着したパンダゾーンでは、折も良く2頭のパンダが元気に活動していて、食事していたり、遊具で遊んでいたりしていた。

 

「か、かわいい〜〜!」

「かわいいな。でもお前もかわいいよ」

「急に口説いてくるの何?てかそれを言うならお兄の方がかわいいでしょ!」

「お前の方がかわいいし!」

 

何の張り合い?パンダ関係ないじゃん。

 

「見て!竹を食べてるよ。顎が強いんだね」

「俺の方が強いし!」

 

だから何の張り合い?パンダに対抗心でもあるのかなこの人?

 

しかし、癒されるな〜。本質は熊であるはずなのに、色が違うだけでこんなにのほほんとして見えるのは不思議だ。

 

お兄と並んで、しばらくパンダの動きを追う。

このままいつまでも見ていられそうだが、ふとお兄が「パンダの血っておいしいのかな」とか言い出したのでパンダもそこそこにして引き上げる。

 

その後はパーク内の施設を回っていろいろなことをした。イルカのショーを見たり、カピバラに餌をあげたり、ジェットコースターに乗ったり(タマヒュンしたらしい)、転んで泣いていた女の子にお兄がこっそり治癒魔法をかけたり......

 

もっとゆっくりしていたくはあったが、のんびりしすぎると海で遊ぶ時間が無くなってしまうので、いいとこで切り上げてお土産を買い、アドベンチャープラネットを後にした。

 

次は海水浴だ!朝より多くなった荷物を持ち、バスでビーチに向かう。

海沿いの道路を走ること20分くらいで、今日訪れるビーチが見えた。さすが白浜、全国的に人気なだけあって、結構人がいるようだ。

 

ビーチに下りたら適当な場所にビーチセットを展開し、更衣室に向かう。

 

「むむむ......」

 

何やら更衣室の前で佇むお兄。

 

「ほら、お兄はこっちだよ」

「あっ」

 

手を引っ張って女子更衣室に連れ込む。

 

小さい更衣室のため、混み合わないようにさっさと着替えて外に出る。お兄は少し遅れて出てきて、恥ずかしそうにピンクのフリフリ水着を隠している。あざとっ。フォロワーに貰った水着かな?

 

「お兄か〜わいい〜。そんなピンクいの着ちゃって」

「う、うるさい!これ以外はドエロいのしか貰ってないんだよ」

「てかなんで恥ずかしそうなの?いつも10万人以上の前でもっとヤバい格好してるじゃん」

「ネットと実際に大勢に見られるのとでは訳が違うんだよ」

 

そういうもん?私はネットの方が断然恥ずかしいと思うけどなあ。

 

「まあ、遊んでたら気にならないでしょ!お兄日焼け止め塗るの手伝って!」

「ああ。え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日焼け止めを塗ったら、浅瀬でビーチボールを楽しむ。私は下手くそだけど、お兄が全部取りやすい位置に返してくれるのでそこそこラリーが続いている。風も結構あるのに器用だな。

てかお兄が膨らませたビーチボールって何万円かで売れないかな。売らないけど。

 

しばらく続けると、だんだん力加減が分かってきた。試しに高めに返してお兄をジャンプさせてみると、私には無い何かが揺れた。くっ、お兄のくせに生意気な。ムカついてきたので、憎しみを込めて全力でボールを叩き返す。

 

「うわっ!?急に強くなった!?」

「日頃の恨み!」

「ええっ!?俺何かした!?」

 

お兄は学校とかだと無自覚に女子の恨みを買うタイプだ。早めに分からせておいた方がいい。

 

連続で全力スパイクをお見舞いする。この変態、普通に返してきやがって。さすがは吸血鬼ということか。でも、お腹から下が海水に浸かっている状態から軽々しく1メートルもジャンプするのはやめようね。大丈夫かなこれ?

 

どうやら私のスパイクは通用しないらしいし、だんだん手が痛くなってきたので、趣向を変えて、レシーブ後に水を飛ばして攻撃する。

 

「くらえ水の呼吸!」

「わっ!つめたっ!」

 

ヒット!お兄は少し動揺したようだが、ボールはきっちり返してきた。

 

「この......くらえ水魔法!」

「え?」

 

水......魔法?待ってそれは反則!ってこんなところで!?

身構えていると、水の中で足に何か変な感触が。

 

「きゃっ、ちょっ、なに!?」

 

くすぐったい!!水鉄砲みたいに、足に水を当て続けられている。

いつの間にか、ボールは落としていた。

 

「ハハハ、俺の勝ちだな」

 

両手を腰に勝ち誇っているお兄。お、大人気がなさすぎる......

 

「うぅ......この、変態バカお兄!」

「ええっ!?」

 

どうやら、ビーチボールではどう頑張ってもお兄に敵わないようだ。他に何か、一泡吹かせられる方法は......はっ、そうだ!

 

 

 

 

 

水遊びした後は、私達は砂浜で砂遊びをしていた。お兄は「砂浜といったら縦に埋まるやつだろ!」と張り切っていたので、2人で砂浜に穴を掘っている。

 

「あんまり掘ると怒られるんじゃない?」

「そうだな。このくらいにしとくか」

 

お兄はそう言って穴の中に入った。穴に土を入れて隙間を埋めていく。

砂を平らげて綺麗にすると、砂浜からお兄の胸から上が生えている謎状況が生まれた。

 

「なかなか気持ちいいなこれ」

 

気持ちいいの?まあ、棺桶で喜ぶ吸血鬼ならそうなのかもしれない。

 

「お腹から下が埋まってると感覚遮断落とし穴みたいだね」

「おいどこで覚えたそんな言葉」

「助けまだかなーって言ってみて」

「言わないわ!」

 

せっかく頑張って穴を掘ったので、スマホでお兄の様子を録画する。結局お兄は「助けまだかなー」って言ってくれた。いいね、この動画は絶対各所に需要があるよ。

 

砂に埋まってるお兄をツンツンして遊んでいると、向こうから金髪サングラスのチャラ男がこちらに向かってくるのが見えた。

 

来た。今こそ、朝からコケにされた分を仕返す時だ!

 

今にもお兄がチャラ男に思考誘導魔法をかけるだろう。私はそのタイミングを狙って、お兄の目の前に飛び出る。

 

私の頭には異常はない。ただ、チャラ男は不思議そうな顔をして去っていった。思考誘導を使ったな。ここで私は、思考誘導にかかったフリをする!

 

「あれ?......あ、お兄。そういえば、今日はお兄と来てたんだった。ごめん、なんか忘れちゃってて。おかしいなあ」

「え......?」

 

決まった......!お兄は今、思考をいじるとかいうヤバい魔法を私にかけたと思って焦っているはずだ。さっきは私には使わないって言ってたのに、巻き込んじゃったね。あ〜あ。

 

「ご、ごめん!思考誘導魔法に巻き込んだ!大丈夫か!?俺のことが分かるか!?何かおかしなところはないか!?」

「......ぷふっ、あはははは!冗談だよ、冗談。私は何ともないよ」

「冗談......」

「そ。朝の、あとさっきのやつの仕返し!どう?びっくりした?」

「あ、焦った......」

 

力を無くし項垂れるお兄。おぉ、まさかここまで効くとは。

わっ、涙目になっちゃった!ごめんごめん!よしよーし、いい子いい子。

 

 

お兄が気を取り戻したら、穴から救出して、砂を払う。どうやら水着の中が土だらけになったらしい。どうやって取るのかと思えば、洗浄魔法一発で綺麗になった。ちくしょう、海の中で水着をめくって恥ずかしそうに洗うお兄を期待したのに。魔法って万能。

 

その後も、ビーチでの遊びを楽しんだ。砂でお城を作るのは定番だけどなかなか熱中できたし、そこら辺を散策しているだけでも楽しかった。綺麗な貝殻を見つけたので持ち帰って宝物にしよう。

 

満足いくまで遊んだら、日が暮れる前に今日の最後の目的地である温泉に向かう。今日はいっぱい遊んだので、ゆっくり湯に浸かって疲れを癒そう。

 

身体能力お化けであるお兄は疲れてないかもしれないけど、お兄ってば、洗浄魔法があるからって普段お風呂に入らないからね。たまにはこういうところでくつろいでほしい。

 

「むむむ......」

 

何やら暖簾(のれん)の前で佇むお兄。

 

「ほら、お兄はこっちだよ」

「あっ」

 

手を引っ張って女湯に連れ込む。

 

「変態バカお兄、こっち見ないでよ」

「俺はどうすれば......」

 

お兄が学校に誰も味方がいないいじめられっ子みたいになってる。普通に堂々としてればいいんだよ。

一緒に入るのは私もちょっと恥ずかしいけど、お兄が女の子である以上は仕方がない。まあ、こっち見たら殺すけど。

 

お兄は深刻な顔で思案に暮れていたが、しばらくすると観念したようで服を脱ぎ始めた。

 

準備ができたら、タオルを持って脱衣所を出る。外には海と夕日の絶景が広がっていて、雄大な自然に心地いい気分になる。海の見える露天風呂として人気なところに来たが、本当にすぐそこが海だ。

 

「すごいねー」

「ああ、綺麗だな」

 

見惚れるのもそこそこにして、お湯に浸かるために掛け湯で体を洗う。2人とも洗浄魔法で綺麗になっているとは思うから、まあフリだ。洗い場がないタイプの温泉なので、手間が少なくてよかった。

 

フリを済ませたら、お兄のタオルを没収して髪をまとめてあげる。私はヘアバンドを持ってきたけど、お兄は初めてだから知らなかったんだね。恥ずかしそうに体を腕で隠しちゃって、どう見ても女の子でかわいいね。

 

準備が整ったので、2人で温泉に入って沈みゆく夕日を楽しむ。気持ちいいし、綺麗で癒されるな〜。

 

「お兄、今日はどうだった?久しぶりに外で遊んだんじゃない?」

「ああ、楽しかった。一人じゃ絶対旅行なんてしなかったから、今日はお前が誘ってくれてよかったよ」

 

それなら、よかった。

たまには外で遊んだ方がいいだろうと思ってお兄を連れ出した訳だが、お兄はナンパやら日光やらに常に気を使っていたし、ちゃんと楽しめているかは不安だった。

 

この様子なら、また今度どこかに誘ってみてもいいかな。今度は遊園地とか、ライブとか行きたいな。何せ、お兄とならどこでも一瞬で行けちゃうからね。でもあまり頻繁に行くと私の血が枯れちゃうから、こういう旅行はたまに、だね。

 

 

日が完全に沈むのを見届けたら、ちょうどいいくらいにポカポカしていたのでお湯から出る。名残惜しいけど、泊まりの準備はしていないので今日はこれで帰宅だ。

 

帰る準備をしたら、誰も見ていない場所でお兄にお姫様抱っこしてもらい、お兄の部屋に転移する。本当に、一瞬で帰ってきてしまった。

 

「じゃあ麻衣、いいか?」

「うん、いいよ。でも、今日は1回吸われてるから、少なめにね。何か、もっと血を長持ちさせる方法があればいいのにねー」

「転移するとどうしても変換効率が落ちるからな。転移魔法を使わないのなら、変換効率を上げる方法がなくはないんだが......」

「え、そんなのあるの!?それやろうよ!どんなの?」

 

魔力変換効率を上げられるなら、少し吸われただけでも十分に持たせることができるので血の節約になるだろう。

 

「いや、その......血の美味しさや変換効率は、血を吸う瞬間に2人がどれくらいお互いを想いあってるかで決まるから......」

「うんうん」

「その......えっちしてる最中に血を吸ったりしたら、めちゃくちゃ効率が上がるよ」

「............」

 

 

 

 

 

 

............

 

 

 

 

 

 

 

「............この、変態バカお兄!!!!」

「ええっ!?」

 

 

 




この番外編を書いたのは1年半前なんですが、まさか投稿するまでの間にアドベンチャーワールドからパンダがいなくなるとは。。

挿絵は梓ましろ神です!(Xリンク)

【挿絵表示】

かわいすぎる。
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