私は、ふと気が付き、目を覚ました。
周りは、暗闇に包まれた部屋におり、私は気が付くと、白い木製のような椅子に座っていた。
「ここは...」
と、言葉を漏らす。視線を前に向けるとそこには、一人の女性がいた。
その女性は、一般的な人とは異なるほどの美しい美貌を持っており、白い長髪で濃い藍色の修道服を身にまとっていた。
「突然ですが、〇〇 〇〇さん。あなたは死んでしまいました。」
彼女は、いきなり変なことを言い出した。
「はぁ。宗教の勧誘なら勘弁してください。それよりここはどうやったら出れるんですか?わたし、家に帰って今日買ってきた本が読みたいんですけど。」
と、聞き返した。
彼女は、そのように私に言い返されるのを想定していなかったのか、驚いた顔をした。
「亡くなった記憶を出させるのも酷だと思いますが、このままでは話が進まないので仕方がありません。あなたは、一人暮らしをしていましたよね。それも多くの本に囲まれて。」
「はいそうですけど。何で知っているんですか?」
「それはあとで答えます。しかし、部屋は本で埋め尽くされており本棚は満杯で、床もろくに歩く場所がないほどだったはずです。その中であなたは本を読んでいた。でも、その時に地震が起きました。あなたはちょうど読んでいた物語のクライマックスの時点だったのでしょう。地震なんか気にせず本を読み続けてしまった……。」
ここまで言われて、私は思い出した。あの本は確か、『ノーゲーム・ノーライフ』だったか。普段はライトノベルなんて読まなかったが、本屋で奇抜な絵柄が気になり手に取っていたのだったか。
「それで、もともと不安定だった本棚が倒れ私はその下敷きになって死んでしまったと。」
「そうです。宗教の勧誘ではないことはわかりましたか?」
「わかりました。それで死んだはずの私に何のようなんですか?神様?」
と、私は聞く。
「神様ではなくエリスでいいです。」
「エリス様?」
「はい、話を続けます。普段ならば、輪廻転生の輪に戻ってもらうのですが今回は特例で三つの選択肢があります。一つ目は、このまま前回同様に、輪廻転生の輪に戻り記憶がない状態から赤ちゃんからやり直すこと。二つ目は、天国へ行くことです。」
私は、考える。もし、本をひたすら読み続ける生活をするのであれば、下手に輪廻転生の輪に戻り赤ん坊にまで戻るよりは天国へ行き自堕落に本を読んでいるほうがよいのではないのか。
「では、私は天国でお願いします。」
「本当に良いのですか?天国は、ただ日向ぼっこができる草原がただただ広がっているだけで、あなたが好きな本なんてものはありませんが...」
「すみません。今のはなかったことにしてください。」
と、即答した。じゃあ、輪廻転生の輪に戻るしかないのかと考えていると、
「そこで、今回特別に、三つ目の選択肢があります。それは、今の記憶を持った状態で、別の世界へと転生するというものです。」
「別世界?」
「はい、正確に言うと私たちが管理している世界ということになりますが...私たちの世界は、魔王がおりそれによって多くの魔物が生息しているのですが、それによって天寿を全うできずになくなってしまう人が多々いるんですよね。その方々は私たちが管理している世界での輪廻を望んでおらずにそのまま天国へ行かれる方が多々存在しているんですよ。そのせいで人間の人口は減る一方で、できればこちら側の世界に来てほしいのですが...」
「それは、人口調節のため?それとも魔王を滅ぼしてほしいため?」
と、問いかける。エリス様は驚いた顔をして、
「さすが頭の回転が速いですね。その通りです。一つ目は転生させた時点で人口が増えますし、二つ目はできれば達成してほしいことですかね。一応ほかにもあなたと同じ世界から転生された方がかなりいますのでできればでいいです。」
「なるほど。じゃあ三番でお願いします。」
「わかりました。では、こちらから、一つ特典を選んでください。」
と、本を受け取った。
中を流し読みしてみると、『魔剣グラム』や、『最果ての槍 ロンゴミアンド』などなど強そうな武器の名前や、魔力値上昇、知力上昇などをまとめたアークウィザードセットなどなどが書かれていた。
「特典って...魔王を処断するためのものですか。」
「その通りです。あなたたちの世界ではチートとか言うようですが」
と、エリス様は頬をぽりぽりとかく。
なるほど、この状況はいわゆる『なろう系小説』に状況が似ていると感じる。
さらに読み進めていくと最後のページに『そのほか要望があれば直接女神に伺ってください。』と書かれていた。
「決まりました。」
「早いですね。何を望みますか?」
「じゃあ、私を『ノーゲーム・ノーライフ』の天翼種であるジブリールの能力と持ち物をください。」
「少し待ってくださいね。少し調べます。」
と、エリス様は近くにある本を軽く開いた。
「ジブリールは...この世界の天使とほぼ同格のものになりますね。すみません。この世界では天界の者は人類に干渉にしてはいけないというルールがあるんですよ。ですからダメですね。」
「そうですか。残念です。」
と、言いがっかりする。天翼種になれば、寝る必要や食事をとる必要がなくなり、寿命という枷もなくなる。そのうえで多く時間を本を読むことにさけるから、よいと思ったのだが。
「では、寝る必要や食事をとる必要がなくなり、寿命というものがない種族って何かいますか?」
「そうですね。天界に住む我々神や、天使たち、ほかには...上級悪魔やリッチーでしょうか。」
「では、上級悪魔かリッチーで転生させてください。」
と、いうと、エリス様ののほほんとした雰囲気から剣呑な雰囲気へガラッと変わった。
「魔王を倒すために転生者を送るのになぜ自ら、魔王軍の一員となろうとしているのですか。」
と、言われた。私は地雷を踏んだと感じ慌てて取り繕うとするが時はすでに遅かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
二時間後
エリス様から散々叱られて、正座をしていると唐突に、
「なかなか仕事が進んでおらぬと思ったらなるほどそういうことであったのか。」
と、言う声が天から聞こえてきた。
エリス様はハッっと気が付き元の雰囲気へと戻り軽く服を直してからその声にこたえた。
「申し訳ありません。トート様。」
「よいよい、それでどうした。」
「もともとこの方は、ジブリールというキャラつまり、この世界でいう天使としての、転生を望まれましたが、天界規定によって魔王に干渉できなくなるので却下したところ、リッチーや上位悪魔としての転生を望まれたのでそのことを説教をしていたところでした。」
「ああ、なるほど。それで人間よ。なぜそのような望みにした?」
と、私に問いかけられた。
「私は多くの本が読みたいからです。睡眠や食事、などに邪魔されずにできる限り多くの本を読み多くのことを知りたいからです。」
「なるほど。だからか...」
と、天上から軽くページのめくる音が聞こえた。
「トート様どういたしましょうか?」
「あい分かった。今回、特例で認めよう。」
「本当ですか?」
「大丈夫でしょうか?」
「まあ、天界規定をごまかせばいけるであろう。しかしだな。特例に当てはまることだからな。今回はエリスの部下として地上へと送る。それでも良いか?」
「部下ですか...どれほど働くことになりますか?」
「エリスの差配によるが週に二日ぐらいであろう。」
エリスの部下ということは、神様の下で天使として働くということだろうか。週二日程度神のもとで働けばそれによって多くの物のが手に入るのであればよいと思った。
「では、お願いします。」
「あい分かった。しかし、天使を地上に送ることとなるのでいくつか縛りをもうけさせてもらう。一つ、神である、エリスの言うことを守ること。二つ、魔王軍や、魔王を自身が危害を加えられない限り、決して処断しないこと。これは天界規定によるものだ。三つ、今回転生させるキャラクターの最強魔法、『天撃』を封じさせてもらう。安易に地形などなど変えられては困るからな。しかし
と、トート様は聞いてきた
一つ目は、見るからに親切そうで、思慮深そうな神様の部下になるのだ。そこまで無茶ぶりはされないでしょう。二つ目、三つ目は、私のそもそもの目的は本を読むことであるから正直どうでもよい。そのうえで、特に質問はない。という旨を伝えると、私の近くに魔法陣のようなものが現れた。
「これに乗れば、別世界へと転移できるであろう。それではな。」
私が魔法陣に乗ると体が天へと昇っていき途中で意識が途絶えた。
「本当に良かったのでしょうか...」
と、エリスは独り言ちた。
「先ほどの件であろう。無論だ。もともと天使の数は足りておらん。それにおぬしの地上での活動の手助けになるであろう。」
「トート様まだいらしたんですね。」
「そうだ。天界規定に関することはこちらで処理しておく。おぬしはあの天使をうまいこと使ってやれ。ではな。」
と、言うとトート様は消えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
目を覚ますと、周りは、数多の本棚があった。
「ここは...『エルキア大図書館』でしたね。」
窓を見ると、外には空しかみえず、近寄ってみるとこの図書館自体が宙に浮いているようだった。
図書館内部の周りを見渡すと、小説通りの光景が広がっていた。
本棚が宙に浮いており、読み切れないほどの量の本が詰まっている。さらには天球儀なども宙に浮いていた。
中央には具象化しりとりで使われたテーブルがあり、多くの本がその近くを舞っていた。
そこには現代の世界でも見たことがない本が多く詰まっており、私は一目散にその本へと食いついた。
「あの...聞こえますか。もしも~し。」
私は、近くで寝っ転がって一心不乱に本を読んでいる先ほど転生させた天使に声をかけていた。
しかし、近くにいることにすら気が付いていないのか声をかけても全く反応がない。
仕方がないので軽く頭をたたいてやると、ようやく気が付いたのか耳を釣り上げてこちらを振り返った。
「あっ、エリス様でしたか。失礼しました。」
「いえ、大丈夫です。」
「それで何の御用でしょうか?」
「はい、大まかな命令を持ってきました。大きく言うと地上にいるクリスという盗賊の子の手伝いをしてください。」
「手伝いといいますと?」
「その子は、地上での転生者たちが残した神器の回収を担当してくれてるんです。そのお手伝いです。これに連絡が入ると思うので持っておいてください。」
と、小さな携帯のようなものを手渡された。
「了解しました。ほかには何か命令はございますか。」
「それ以外は特にありませんね。あとは、この図書館を神器の一時的な保管所として使いたいといったぐらいですかね。」
その後いくらか打ち合わせをした後、エリス様は帰られた。
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トート様
今回しか出ない神様。古代エジプト神話の知識の神様。
エリス様よりも神さまとしての位が高く知識欲旺盛な主人公を知識の神様としてそこそこ気に入っている。