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「むにゅ...っもう朝ですか...」
エリスは、軽く寝ぼけながら、周りを見渡す。
窓からはまぶしい朝の陽ざしが入ってきており、とてもまぶしい。
隣を見てみるとそこには、ジブリールが一糸まとわぬ姿で寝ている。
普段であるならば、ジブリールが先に起きて、いるはずなのだが...かなり新鮮だ。
自身の体を見ても一糸まとってすらいなかった。
「ジブリール、朝ですよ。」
と、肩をゆする。
「エリス様えすか...はっ...失礼いたしました。」
「大丈夫ですよ、ジブリール。それよりも今日はどうしますか?」
「確か...アクシズ教会に向かった後、温泉の予定でしたが...」
「わかりました。行きましょうか。」
一体と一柱は軽く身支度を終え朝食を食べ終わった後、外へと向かっていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ここが、アクシズ教団の本部の教会なんだね。初めてきたよ。」
教会は、白く屋根は青く作られており、かなり周りになじんでいる。
近くには源泉が流れており、かなり美しい風景が広がっている。
目の前には大きな木製の扉がそびえたっているのが目に入る。
「意外だにゃ。クリスなら、何回か来たことがあると思うだにゃ。」
「仕事でこの街に依頼が来たことはなかったからね。」
「そうかにゃ。どうするにゃ?中に入るかにゃ?」
「そうですね。入ってみましょうか。」
私たちは教会へと入っていった。
中には、大きなアクア像があり、向こうにはステンドグラスが陽光によって輝いている。
「すごく広い場所ですね。」
さらには、広い礼拝堂が広がっており、祭壇に向かって多くの椅子が並んでいた。
すると、アクシズ教徒のプリーストが寄ってきて、
「どうなさいました?洗礼ですか?入信ですか?」
「クリス、どうするかにゃ?」
「礼拝でお願いします。」
「アクシズ教徒の方で巡礼の方でしたか。ここでは、見ない顔だと思いまして、失礼いたしました。では、こちらに。」
と、アクシズ教徒のプリーストに案内された。
「こちらになりますね。」
と、案内されると、個室に分かれた部屋に案内された。
「お帰りの際は、外にいる神官に一言かけてくださいね。では、失礼します。」
と、去っていった。
部屋はとても小さく、その中は、アクア像が置かれていた。
そして、床には礼拝用に座るための小さなじゅうたんが置かれていた。
「結構しっかりしているんですね。教会のほうは。」
「まあ、総本山でもありますからね。」
「そうですね。」
と、絨毯に座り祈りをささげているエリス様の姿を見つつ、私はエリス様より託された命である、英雄カズマの英雄譚について考えていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私は、クリスの手を引っ張って、予約していた温泉へと向かった。
「クリス。こっちだにゃ。」
「待ってください。アズ。」
「ここだにゃ。」
と、指をさす。そこには宿と同様に木製で日本風の建築をしているものがあった。
「宿と同じで木で作られていますね...」
「そうなんだにゃ。早く行くにゃ。」
私は、手を引っ張った。
「エリス様。最近はどのようなことをされているんですか?」
私たちは、温泉につかった後、温泉の休憩室にてジブリールに膝枕をされながら一休みしていた。
アクシズ教徒が多いこの街では、温泉を上がった後、衣類の上に宗教の勧誘の書類と、大量の石鹸が乗せられているという話をジブリールから聞いたことがありましたが、信者と思われているのか、そのようなことは一切なかった。
「そうですね...最近では、アクア先輩の手伝いがなくなったので、そこまではないですね...」
「そうですか...」
と、返される。
上を見上げると、私よりも大きい胸で顔は見えないが、かなり心配そうにしているのは雰囲気から分かる。
「大丈夫ですか? 忙しいのであればいつでも呼んでくださいね。」
「はい。頼りにさせてもらいますね。」
と、にこりと笑う。
その顔を見て安心したのか、頭をなでられた。
「一回、お休みになられますか。」
「そうですね...」
休憩所の開けた縁側より外を見る。
外は、ちょうど、正午を超えたころなのか、陽がサンサンと、輝いている。
縁側から涼しい風が流れ込んでおり、眠るにはちょうどいいかもしれない。
「では、お願いします。」
と、目を閉じる。
「わかりました。では、寝物語を一つ。」
ジブリールは優しい口調で語り始める。
これは、私と一緒にジブリールが寝る際によく語ってくれる。聞き終える前に毎度毎度寝てしまうのですが...
「今日は、どんなお話をしてくれるんですか?」
「はい、今日は、かなり有名なお話です。では、始めますね...」
軽く頭を撫でられる。
くすぐったくて私は目を閉じる。
「では...バクダッドの町に、ヒンドバッドという、貧乏な荷かつぎがいました。荷かつぎというのは、鉄道の赤帽のように、お金をもらって人の荷物を運ぶ人です。
ある暑い日のお昼から、ずいぶん重い荷物をかついで歩いていましたが、しずかな通りへさしかかった時、大そうりっぱな家が立っているのが、目に入りました。ヒンドバッドは、その門のそばで、少し休むことにしました。...」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「どうだったかにゃ。アルカンレティアは?」
「そうだね。休暇を取るにはかなり良かったよ。」
「それはよかったにゃ。ん?」
「どうかしましたか?アズ?」
そこには、何やら疲れ果てた二人と、一人楽しそうにエリス教のペンダントを首から下げている一人がいた。
「大丈夫かにゃ?」
「あ、ああ。アズリースか。」
確か...カズマであったか。
と、紅魔族の少女と、ダクネスが、噴水に腰を掛けていた。
紅魔族の少女は何やらブツブツつぶやいているが全く何を言っているか聞こえない。
「ヤッホー。ダクネス。」
「おお、クリスか。この街はいいぞ。定住してもいいくらいだ。」
「や、やめてください。も、もう勧誘おなかいっぱいです。」
と、何やら隣ではクリスと、ごちゃごちゃやっている。
「どうしたのかにゃ?」
「あ、ああ。この街に来たらわかると思うが...勧誘が激しくてな...」
と、指をさす。
その指の先では、アクシズ教の人間が、飽きずにこの街に初めて来た観光客に、勧誘を続けている。
「まあ、仕方がないんだにゃ。そういう街なんだしにゃ。」
「はぁ。」
相当勧誘でやられたのであろう。少年は大きなため息をついている。
「そういえば、自称女神さまはどこに行かれたのかにゃ?いつも一緒にいるイメージがいるんにゃけど。」
「あ、ああ。アクアのことか。あいつなら教会の方で悩みを聞いているよ。」
「そうなんだにゃ...」
あの駄女神。
たとえ地上に堕ちたとしても相も変わらずらしい。
「そうなんだにゃ。」
「それよりも、アズリールと、クリスはなんで、こんな場所にいるんだ?最近、アクセルで見かけないと思ったんだが...」
「そんなことかにゃ。休暇で旅行中だにゃ。せっかくのお休みなんだしにゃ。」
「そうなんだよ。いろいろと疲れちゃってね。」
クリスは肩をすくめる。
「休まるか? 俺は、勧誘でおなかいっぱいだ。」
「いや、この街はレベルが高いぞ。先ほどだって、これを見せたら、子供たちに石を投げられたしな。」
と、ダクネスは、エリス教のペンダントを見せる。
なるほど...確かにあのエリス教のペンダントさえ持っていれば、アクシズ教総本山があるこの街では迫害される。
まさに、この街はダクネスの性癖にぴったり当てはまるのだろう。
「ほら、ダクネス。それ、外して。」
「いやだ。これで、もっともっと...く…!っ゛っ。」
と、クリスに指摘されるも、一人悶えている。
「少年もお疲れだにゃ。」
「本当にな...」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ひとまず、私とクリスは、カズマたちが泊まっている宿へと来ていた。
そこには、ウィズがいた。
「ウィズさんまでいるんだにゃ。」
「アズリールさんですか。いつもご贔屓にしていただきありがとうございます。」
と、頭を下げられる。
「ウィズの魔道具店にも、固定客っているんだな...」
「そうですね...意外です。」
「そりゃあ、いますよ。特に、アズリールさんが来ると、バニルさんがとても喜ぶんですよ。」
「なぜ?」
「そりゃあ、いろんなものを買ってくれるからですよ。在庫処分に持ってこいって...」
と、言われる。
さらに少年カズマよりぶしつけな視線が送られる。
「アズ、今までどんなものを買ってきたんですか...」
「いや...単純に頭を使って使っているだけだにゃ。例えば、そうですね...防御力が一時間とてつもなく高くなる代わりに、一日動けなくなるポーションを仕入れたことがあったよにゃ。」
「はい。バニルさんにこっぴどく叱られてしまいましたが...」
「そのポーションの有効利用法として、近くにいるモンスターにこのポーションと飲ませてやって、そのうえで、モンスターたちが注目するヘイトの魔法をかけてやれば、一発で便利な盾の完成っていうわけだにゃ。」
ポーションのおかげで、モンスターは動くことがなくなり手で持ち運んでも反撃することはなくなるし、
やばい時には、遠くに投げればヘイトタンクとして一定時間、持ってくれるからとても便利だ。
「バニルさんがアズリールさんがまとめて買っていったといっていましたが...そんな風に使っていたんですか...」
「使い方がえぐいな...」
「そうですね...」
「な、なんだその使い方は...アズリール。親友の頼みだ。私をそのモンスターのように扱ってくれ。はぁ……゛いったい、どのような扱いを受けるのか...」
状況はカオスを極めていた。
「そういえば、帰り道、アズリールと、クリスは一切勧誘を受けてていなかったけどなんかあるのか?」
「そうですね...そういえば不思議でした。」
紅魔族の少女が聞いてくる。
「ああ、そのことね。これだよこれ。」
クリスは首からぶら下げているペンダントを指さした。
それは、先日私が渡した、木製のアクシズ教のペンダントだ。
「なるほどですね...」
「どういうことだ?」
紅魔族の少女は理解したようだが、少年カズマは理解できていないのか頭をかしげる。
「まあ、これは、アズリールの策なんだけどね、アクシズ教のペンダントをつけていれば、アクシズ教徒だと思われて勧誘されないってわけ。」
「そういうわけなんだにゃ。」
「なるほど...確かに賢いな。」
少年カズマは納得したようにうなずく。
「そういえば、君たちはいつごろまで滞在するのかな?」
「ああ、後二日ほどいるつもりだ。」
「そうなんだね。私たちは明日帰っちゃうからこのペンダント貸そっか?」
と、クリスは首につけているペンダントを外す。
「いいのか?」
「問題ないよ。どうせ、私たちは街の中ではアクシズ教徒とみられているみたいだしね。それに明日帰っちゃうし。」
「クリスがいいならいいにゃ。」
私もペンダントを外した。
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