この素晴らしい天使に祝福を!   作:meigetu

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あけましておめでとうございます。
投稿遅れてすみません。

言い訳としては、正月が死ぬほど忙しかったです。
お気に入り登録715↑ありがとうございます。


一二話 エルキア大図書館

「何があったのだ?」

 

と、天上より問われる。

 

「は、空中図書館が攻撃を受けました。」

「空中図書館がか?」

「そうです。」

「なるほど...魔法は、はじかれなかったのか? 元々、あそこにはそれなりの防御を固めていたのだが、」

「はい」

 

と、私とエリス様は頭を下げた状態で話す。

 

「被害はどの程度だったのでしょうか?」

 

と、声が変わり聖母のような声が聞こえる。

 

「はい、魔導障壁を抜けきり一発の爆裂魔法が神器保管所に直撃しました。」

「爆裂魔法ですか?我々も殺しうるという。」

「はい。普段であるならば障壁の外で爆発が起こり、被害があったとしても外壁だけというはずでしたが、なぜか、術式が内部まで侵入し神器保管所の壁で爆発が起こりました。その結果、神器保管所に穴が開きました。」

「そうですか...」

 

と、天上の神々が憂う声が聞こえる。

 

「はい、そこで私たちは発射した位置を割り出したところそこに、魔王軍幹部がおり図書館にある神器もしくは、重要な本を持ち出すために攻撃を受けたのだと思いカウンターをかけた次第でございます。」

 

と、頭を深く下げる。

同時にぺらぺらと何かをめくる音がする。

 

「なるほど...確かに天界に魔王軍のシルビアと、ハンスと、ベルディアが来ておる。しかし魔王軍三体はやりすぎではないか?」

「失礼ながら発言をよろしいでしょうか?」

 

と、発言の許可を求め、エリス様は手を挙げる。

 

「どうした神エリスよ。」

「はい、もともと魔王軍ハンスと、ベルディアは、人間の冒険者により討伐されておりました。しかし、その魂は天界や地獄に堕ちずにシルビアの中に寄生していたようです。」

「それは誠か?」

「はい」

「嘘ではないようね。」

 

と、言うような声が聞こえる。

 

「そうであるか...あい分かった。今回、天界規定に反したことは不問としよう。それと、悪魔の関与はあったか?」

「戦っている間は一切見かけませんでした。気配すら。」

「そうですね。図書館の方にも一切来ていませんでした。」

 

「ならば問題ない。下がれ。」

 

と、言う言葉が投げかけられた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「最近はいかがでしょうか? エリス様?」

「問題ないです。結構調子がいいんですよ。温泉のおかげで肩こりも取れましたし。」

「それはよかったです。」

 

と、天界の道を二人で歩く。

天界は大理石のようなもので舗装されており、天上には燦々と輝く太陽と、月が見て取れる。

 

「できれば、今日、仕事を手伝ってくれませんか?」

 

と、聞かれる。

ぜひ、手伝いところだが今日はどうしても用事がある。

 

「申し訳ありません。今日は、別件で用事がありまして...」

「そうですか...」

「サトウカズマでしたっけ。そのお方を今日招く予定でしたので。明日であるのであればお手伝いいたしますよ。」

「英雄譚の製本ですか。」

「はい。気が向けばいらしてください。お待ちしていますね。では失礼します。」

 

と、軽く一礼をした後、私は立ち去った。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

時は巻き戻り。カズマ邸

 

「つまり、お呼ばれしたってことか。」

 

と、サトウカズマは手紙を広げて読んでいた。

俺は紅魔族であったごたごた騒ぎは収まり家でのんびりしていると、白い修道服を纏った女性が届けに来たものだ。

そこには、

 

『サトウカズマ様へ

 

初めまして。突然のお手紙失礼いたします。私はジブリールと、申す者でございます。魔王軍幹部討伐のお話が伺いたいです。ぜひいらしてください。

 

 

P.S 必ず一人でいらしてください。

神エリスEllis 大天使ジブリールJibril

 

 

と、短く()()()で書かれていた。

と、同時に魔道具が入っており掌の上に収まるサイズの物だった。

 

「ひとまず、魔道具を見てもらうためにもウィズ魔道店に行くか。」

 

と、俺は腰を上げた。

 

 

 

 

 

「よく来たな小僧。」

 

ウィズ魔道具店に入るとそこには、いつものように棚を整理しているバニルがいた。

 

「しかし、珍しいな、小僧一人で来るなんて。」

「いや、紅魔族の時にいろいろとあってな。今日は一人でのんびりしていたってわけ。」

「そうか...」

「それよりもウィズはどこにいるんだ?」

「ああ、確かお得意さんにポーションを届けるといっていたな。」

「この店にお得意さんなんていたんだな。」

「そうだな。我も初めて聞いたときは驚いたものだ。もう少しで帰ってくると思うぞ。」

 

と、肩をすくめる。

 

「わかった。店の中で待っていてもいいか。」

「問題ない。」

 

と、話していると外から

 

「バニルさん。帰りましたよ。あ、カズマさんいらしていたのですね。」

 

と、言う声が聞こえた。

 

 

 

「ウィズ。この魔道具の効果は分かるか。」

 

と、手紙についてきた魔道具を二人に見せる。

 

「これですね。失礼します。」

「少し待て、多分これは天界の物であろう。」

 

と、棚を整理していたバニルが横から魔道具を取り上げる。

 

「おい小僧、これをどこで手に入れた。」

「いや、手紙についてきただけで。」

 

と、ポケットから手紙を取り出す。

バニルはそれを軽く読むと、

 

「なるほど...とうとう小僧もジブリール殿に呼ばれるようになったか。」

「どういうことだ?」

「いや何、恒例行事というものだ。誇り給え、ジブリール殿に呼び出されるということは英雄譚が作られるということと同義なのであるからな。」

「はぁぁ?英雄譚?」

 

と、声を上げた。

 

「そうだ。英雄譚だとも。この世界で、貴殿も一度は読んだことはあるであろう。」

「いや、一度も。」

「そうであるか...貧乏店主、何かそのような本は持っていなかったか?」

「英雄譚ですか...そうですね...」

 

と、ウィズは軽く頭をかしげる。

 

「エリス教会から出されたものが二、三冊持っていたはずですがそれでいいですか?」

「無論だ。」

「少し待ってくださいね。」

 

と、ウィズは近くの棚の中から本を取り出す。

そこにはきれいに製本された本が出てきた。

 

「これですね。こっちが勇者キンジのものでこちらは勇者ミヤシタの物ですね。」

 

と、机の上に並べられる。

その本は、こちらの世界では見たことがないほど紙が白く見るからに高級感が漂っている。

 

「す、すごいな。」

「無論であろう。エリス教の総本山から出ているからな」

「ウィズ的にはどちらのほうが面白かった?」

「そうですね...私は正直なところ勇者キンジのほうが面白かったですね。どちらとも、読み始めてたら止まらないほど面白いのですが。」

「確かにな。吾輩もかなり楽しませてもらった。」

 

と普段、人を小馬鹿にするバニルは珍しくほめる。

そのことに驚きつつ、

 

「そこまでなのか?」

「はい、とても面白かったですよ、参考のためにも軽く読んでみては?」

 

と、一冊本を差し出される。

正直、バニルが絶賛するというだけでも読んでみる価値はあるかもしれない。

 

「じゃあ、失礼して...」

 

と、本を読み始めた。

 

 

 

 

 

カズマさん。カズマさんカズマさん

 

と、言う声が聞こえる。

そちらの方に目をやるとそこにはウィズがいた。

かなり集中していたのか、かなりの時間が過ぎていた。

 

「ああ、すまない。この本何か魔法がかかっているのか?」

 

と、想像以上に読み込んでしまった

 

「特に、かかってはいないぞ。」

「そうですね。エリス教会より直接仕入れたものですので特には。」

「すごいな...」

 

と、瞬時に30分近く過ぎてしまった現状に驚きつつ、本を見る。

 

「これに、俺が書かれるのか...」

 

正直、このように書かれると考えるとかなりこっぱづかしいように感じる。

しかし、どのように書かれるのか読んでみたいとも思う。

 

「ウィズ。何をしたらこんな英雄譚を書かれるんだ?」

「は、はい。確か...魔王軍幹部を一体でも倒すと書かれます。」

「なるほど...」

「要は、エリス教の一種の広報活動のようなものだな。」

 

と、バニルは悪魔らしい答えをする。

 

「そういえば、バニル。」

「どうした、小僧。」

 

くるりと一回転をし、こちらを見る。

 

「バニルって、悪魔公爵なんだろ。」

「正確には地獄の公爵であるがな。どちらでも大して変わらん。」

「一つ疑問に思ったのだが、どうして悪魔と真反対の存在の天使のジブリールを、そこまで旧知の仲のように語るのかと思ってな。」

「ああ、そのことであるか...」

 

と、バニルは困ったように頭に手をやる。

 

「そうです。私も気になっていました。どうしてバニルさんは、悪魔なのに天使のジブリールさんが管理している空中図書館に入れるのか疑問でして。」

 

と、ウィズは追い打ちをかける。

バニルは、軽く考えた後、

 

「まあ、貴様らが生まれる数百年前にジブリール殿とはいろいろあってな。いわゆる腐れ縁というやつだ。」

「なんだそれ。」

「そういうことにしてくれ。話すとなると数日かかる。」

 

と、肩をすくめる。

 

「まあ、いいか。それで、この魔道具は結局どのようなものだったんだ?」

 

と、いつの間にか机の上に置かれていた魔道具を指さす。

 

「これは、エルキア大図書館に、サトウカズマさんだけが一度だけエルキア大図書館テレポートできるものですね。」

「エルキア大図書館? 確か、ジブリールが住処にしている場所だったか。」

「そうですね。それでですね、この魔道具がすごい点としては、魔力を使用者が使わなくても内蔵された魔力で飛ぶことができる点ですね。特に、テレポートは、消費魔力が大きいですから。それでですね。それに、一度使えば術式が破棄されるという点もいいですね。」

 

と、魔道具のすごい点語りをウィズは語り始める。

 

「まあ、それはいいとして感謝する。」

 

と、多分ウィズの話が終わらなさそうなので途中で切る。

 

「ちょっと、ちょっと待ってください。まだお話は...」

「まあいい。それよりも小僧。せっかくだエルキア大図書館に行くのであればこの本を返してくれないか。」

 

と、2,3冊本を渡される。

 

「と、いうか、一つ気になるんだが、ジブリールって紅魔の里であった奴だろ。悪魔に聞くのもあれだけど大丈夫なのか?」

 

魔王軍のシルビアと激しい戦闘をしていたはずだ。

 

「ジブリール殿は、普段はかなり温厚だぞ。あの戦闘を見た後ではそうとは言えないかもしれないがな。ハハハ。」

「逆に心配なんだが...」

 

と、シルビアを攻撃している際の一瞬見えた獰猛な笑みを思い出す。

 

「そうですね。普段はとてもやさしい人ですよ。まさか一発、攻撃が掠るで瀕死状態になるとは思いもしませんでしたけど...」

「だから、やめておけといったのだ。せめて吾輩の目的が達するまでは。」

「そうか...」

 

天界からアクアをいじっている姿と、本気の戦闘の時しか見ていないから何とも言えない。

 

「まあ、人間でもあるだろう。温厚なものほど怒ると怖いっていうやつだな。じゃあ、任せたぞ」

 

と、バニルは店の裏へ行ってしまった。

 

「カズマさんの英雄譚、楽しみにしていますからね。」

「じゃあ、行ってくる」

 

と、魔道具を発動させた。

 

 




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