今回の話は、時間が飛びますが転生してから3〜400年ほどたっています。
私は、いつも通り図書館で本を読んでいると、携帯が鳴っていることに気が付いた。
「はい、もしもし」
「もしもし。アズリールかしら?」
という男の子っぽい声が聞こえてきた。
「エリス様でしたか。どうされましたか?」
「クリスの時はその呼び方はやめてくださいって何度言ったらわかるんですか!!」
「わかりましたよ。クリスちゃん。ところで、何の御用でしょうか?」
「明日アクセルから王都のほうに向かいたいのでその際のテレポートと神器の回収のお手伝いをお願いします。」
「了解です。では朝八時にアクセルの入り口でお待ちしていますね。それともこの時間ですから図書館のほうで夕食と朝食を食べていきますか?」
と、図書館の17時を回っている時計を見つつ言う。
「街の宿に比べて快適ですし、図書館のほうに行きます。」
「了解しました。では18時ごろに向かいに上がりますね。」
といい、携帯を切った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
人々でにぎわうアクセルの街に近づくといつも通り、街から少し離れた森の場所にエリス様はいた。
「はいは~い。お向かいに上がりましたよ。クリスちゃん。」
と、近寄る。エリス様は、地上で回収したであろう多くの神器を抱えており、とても重そうだ。
「ジブリールですか。助かりました。できれば神器を少し持ってください。」
「おっけーですよ。」
といい、エリス様が持ってきた多くの神器を片手で抱えた。
「それにしてもこんなにあるんですね...」
「それだけ転生者を送り込んで、それ以上に犠牲になっているんですから仕方ありませんよ。」
「じゃあ飛びますからね。腰の紐につかまってください。」
と、言うとエリス様は慣れた手つきで腰の紐をつかんだ。
そのことを確認し、私は翼を広げ、空へと飛び立った。
「テレポートとそのまま飛んでいくことができますがどうされますか?」
「うーん、少し夕焼けを見たいから飛んで行って。でも、図書館までどれくらいかかるの?」
「今、王都上空にあるはずですから...大体20分ほどですかね。」
「じゃあお願いできる?」
「了解しました。」
といい、翼を大きく広げ私は空中に浮かぶ図書館へ向かい飛ぶ。
空は茜色に染まっており、鳥の群れの影が夕焼けの中を飛んでいる絵がとても様になっていた。
「それで今日の夕ご飯は何ですか?」
「今日はカエル肉を使ったステーキですね。2,3年前ぐらいに、別世界のお酒を熟成している酒樽を見られたと思いますが、それが完成しましてそれの試飲ついでにという感じですかね。」
「そうですか。それは楽しみです。」
と、いいエリス様はにこりと笑われた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はーい。つきましたよ。」
「相変わらずですね、ここは。」
と、宙に舞った読み終えて片付けていない本や本棚を見てそうおっしゃった。
「そうですねついつい片付け忘れてしまうんですよね。」
「ところで、最近は来訪者の方はいらっしゃらないのですか?」
「来訪者...ああ、最近はいらっしゃいませんね。5,60年前はねじが飛んだ紅魔族のイマ..人間がいらっしゃいましたけどね。」
と、大変だったと苦笑いをする。
「あ。そういえば最近では一人いました。確かバニルと名乗っていましたね。先ほどの紅魔族とは違って静かに本を読んでいましたから気にしませんでしたが、ここに来られる時点で相当な魔法の技量を持っていられると思いますよ。」
「バニルですか...」
「確か、アクセルの街のほうで魔道具店...ウィズ魔道具店でしたっけのアルバイトをしていらっしゃるようで、気が向いたら来てくれ、だそうです。このほかにはいませんね。」
「そうですか。確かあそこは...結構色物系の魔道具を取り扱っていたはずですが...」
エリス様にしては珍しい悪口を言ったことに驚きつつ聞いてみる。
「色物ですか...どのような商品ですか?」
「例えば、売れてる商品の中では願いが叶うチョーカーとかですかね。」
「どこが色物なんですか。立派な商品じゃないですか。たぶん、予想ですが幸運の値が上がったりするんですよね?」
と、エリス様にいう。
「私も初めはそう思ったのですが、実際は異なるようで、願いが叶うまで絶対に外れないチョーカーで、徐々にしまっていくというおまけつきだそうです。」
「なるほど、人間、死ぬ気になれば何でもかなうということですか。確かに色物ですけど面白いですね。」
と、二人で雑談をしていると、時計は18時半を回っていた。
「私はこの後、夕食の準備などなどするので、エリス様は本でも読んでゆっくりしていてください。」
「おすすめの面白い本とかありますか?」
「エリス様は、本の中では物語系がお好きでしたよね。では、私が読んだ記憶から書き移したものとなりますが、
「どのような物語なの?」
「それは内緒です。その方が物語を楽しめますから。確か、中央9番目の列の左から3番目の本棚の、上から2番目の棚の左から4,5,6,7番目の本です。ぜひ読んでくださいね。」
と、言い私はキッチンへと向かった。
料理を手に持ち、図書館中央へと戻ると熱心に本を読まれているエリス様がいらした。
「エリス様、料理が出来上がりましたよ。」
「早いですね。」
「結構時間がかかったはずなんですけどね。」
と、19時半を回った時計を指さす。
「うわ、こんなに時間がたっていたんですか。」
「本を読んでいるとよくございますよね。」
と机に料理を並べる。
「こちらが、ジャイアントトードのステーキになりますね。そして、この樽が、外の世界のお酒のウィスキーというものです。」
私は魔法で氷を作り出し、コップへ注いでいく。
「ウィスキーですか?」
「そうですね。外の世界で読んだ書籍に大まかな製法が書かれていたので試してみました。取り敢えず飲んでみましょうか。」
といいコップを持ち上げる。
「「乾杯」」
とふたりでいい、二人でコップを傾けた。
私は初めて作ったにしてはおいしくできたなと感じつつ、エリス様のほうに視線を向けるとせき込んでいた。
「大丈夫ですか?」
と駆け寄り、背中をたたく。
ある程度落ちついた後、エリス様は、
「結構きつくないですかこのお酒...」
コップを見ると、シュワシュワと同程度のものだと思ったのかほとんど残っていなかった。
「あー。言い忘れていましたね。このお酒、シュワシュワに比べて十数倍程度のアルコールが入ってますよ。」
「いうのがおそい。」
と、恨みがましそうな目線を送られた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
早朝、私は、おなかが軽くたたかれてる感覚で目を覚ました。
そちらの方に目線を向けると、胸の間にエリス様の顔が挟まっていた。
「おはようございます...エリス様...」
「
ああ、そういえば、昨日調子に乗ってのんで酔いつぶれたエリス様を抱き枕みたいにして寝たんだっけ。
「エリス様どうされましたか?」
「
なるほど。わからん。まあいいや。
「そうですか。もっと抱き着いてほしいんですね。」
「
「大丈夫ですからね。」
と、寝ぼけからか額にキスをし、ぎゅっと抱きしめ私は再び夢の世界に旅立った。
しばらくおなかをたたかれる感覚があったがそのうちその感覚もなくなっていった。
「おはようございます。エリス様遅かったですね。」
私は、朝食を一通り用意し待っていると、珍しく9時を回ったころにエリス様が寝巻のままで出てきた。
かなり不機嫌そうだ。
「どうされましたか?」
「軽く窒息したんですよ。」
「なるほど...」
なるほど、早朝モゴモゴ言ってたのは出してくださいという意味だったのか...
「すみません。」
「もう一緒に寝ませんからね」
「そんな殺生な。」
エリス様を抱き枕にすればちょうどホッカイロのように暖かくてよく寝れるから寝ているのであって一緒に寝ないならば、寝る意味がなくなるではないか。
「そもそもあなた寝る必要がないじゃないですか。」
「だって、一緒に寝れるとってもいい抱きま...女神様がいるなら一緒に寝たいじゃないですか。」
「今一瞬抱き枕って言いましたよね。」
と服の首あたりをつかまれゆすぶられる。
「正直に言いますと、本当に寝やすくなるからですよ。エリス様。あったかくて、それでもっていいにおいがする。そしてかわいい。最高じゃないですか。普段ならば本を読むのに時間を割きますが、エリス様と一緒に寝ると本を読む以上に幸福を感じられるんですよね。だからからですね。」
「そうですか。」
エリス様は軽く頬を染め、困ったように頬を掻かれた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「到着は遅くなってしまいましたが、つきましたよ。」
と、10時を回ったころ私は、王都の入口の近くへ降り立った。
「じゃあこれからはクリスでお願いね。あなたはアズリールで。」
「了解しました。」
と、言われ私は獣人の姿へ変わる。特徴的な羽や虹色に輝く長髪がなくなり、人間と緑髪で短髪の少女へと姿を変えた。
「わかったにゃ。クリス。これで大丈夫かにゃ?」
「その語尾を変えるのもどうかと思うけど...まあいいか。今回は貴族邸の襲撃ね。その貴族は今まで天界から送った勇者たちを権力で無理やりに処刑したりして多くの神器を集めコレクションとして飾っている貴族だよ。」
「それで今回どこまでやればいいのかにゃ?」
と私はクリスにきいた。
「普段は絶対にダメだけど今回は天界からの通達で特例で処断してもよいことになっているわ。」
「なるほど残られても面倒だからからかにゃ?」
「その通り。持っている権力がかなり強いから、王国から処刑されることはなく、そのうえこのまま野放しにしていては送った矢先から処刑されてで我々の業務が増えるからでもあるよね。」
「なるほど。はた迷惑な、
「
「わかったにゃ。クリス。それよりも貴族邸で盗んだ本は持ち帰っていのかにゃ?」
と、私はクリスに顔を近づけいう。
クリスは勢いに押されたのか、少し引きつつ
「もちろんです。神器系はダメですけどね...」
「わかったにゃ。それでは行くにゃ。」
といい、人間に擬態した緑色の短髪をなびかせその屋敷へ向かう。
「ちょっと待ってよ。場所もわからないのにどこに向かうつもりなんですか。ちょっと待ってくださーい。」
と、クリスちゃんは私の後を追ってきた。
夜になり、私たち二人は目的の貴族邸に忍び込んだ。貴族邸は広大な敷地を有しており庭の大きさからも強大な権力を持っていると察せられた。
私は、真っ先に蔵書室へ向かった。
蔵書室は、権力がある貴族ゆえか、かなり大きなものを有していた。
これは私の図書館の蔵書を増やせるかもしれないと思いそこで、エリス様から誕生日プレゼントとしてもらった魔法がかけられた眼鏡をかける。
この魔法は単純で、私が今までに読んだことがある本とない本を見分けるものである。
「ほとんどが、読んだ本ばかりだにゃ...」
新しい本との出会いがあると期待していたがほとんどなく、あったとしても、この貴族の歴史などというくだらない一種の伝記のようなものであった。
「所詮は、天界に迷惑をかける
本のバリエーションの少なさにがっかりしていると、ふと違和感を感じる本棚があった。
近寄ってみると、その本棚の一部の本が一つだけなぜかずれているところがあった。
「これは...仕掛けか何かかにゃ?」
と、本を本棚に無理やり押し込む。
すると、ガチャリと奥の扉の鍵が開く音がした。
「とてつもなく単純な仕組みだったにゃ。」
そこに駆けより部屋をのぞくと、2冊の本が大切そうに保管されていた。
「これは...ルルイエと、ネクロノミコンかにゃ...読んだことがにゃいから、どうしても読みたいですが読むとやばそうな予感するにゃ。ひとまず持ち帰えるにゃ。」
といい、いくつかの本を抱えて当主の部屋へと向かった。
当主の部屋の部屋の前に立つと何やらくぐもった喘ぎ声が聞こえた。
スキル『隠密』を使いつつ、音を立てずに中に入ると、天蓋つきベッドの上で太っている当主がちょうど娼婦と伽を共にしているようであった。
当主は娼婦との行為に夢中で私が部屋に入ったことに気が付いておらず、相変わらず
念のために、クリスからもらった写真と、行為中の男性の顔を見比べ間違いないことを確認する。
間違いないことを確認したうえで、スキル『隠密』を使い隠れながら魔力で編み出した私の身長ほどの長さがある黒い靄のようなものを纏うデスサイズを当主の首めがけて構える。
しばらく待ち、
私は、久しぶりに知的な生命体を殺せた快感に、私は軽く身もだえていると、娼婦であろう女性のほうが大きな悲鳴を上げた。とてつもなく興ざめだ。私はその怒りからか、
「五月蠅いにゃ。殺されたくないなら、黙ってくれないかにゃ。」
と、デスサイズを構え、にらみつける。
女性は生物的な格の違いからか殺されると思ったのか一瞬で黙り、ベッドの片隅でぶるぶる震えていた。
「聞き分けのいい
と、飛ばした首をつま先でリフティングをするようにひろう。
顔をのぞいてみると、絶頂からか目は白目をむいており、口からは泡を吹いていた。
胴体のほうをみると、死んだカエルのようにぴくぴくと痙攣しており30秒たった今でも種の存続という生物的な本能からなのか、快感からか、汚いものを出し続けていた。
「汚いものを見せないでほしい物にゃ。最悪の気分だにゃ。」
と、胴体だけとなった体を蹴る。
「おっと、いけないにゃ。死体の扱い方をエリス様に知られたら、また怒られてしまうにゃ。おい、
と、
「ここでおこった記憶を消しておいてやるから、あとは任せたにゃ。容疑がかけられた際はおとなしく死んでくれると嬉しいにゃ。」
と、言い、魔法で女性の記憶を飛ばした。女は白目をむいて、死体の上にぱたりと倒れた。
「はぁぁ。これでよかったかにゃ。前回、今回同様に処断した際も死体を足蹴にしたことでエリス様からこっぴどく叱られたにゃ。たぶんこれで叱られることがなくなったにゃ。」
と、首を袋の中に入れ、意気揚々と合流地点へと向かった。
「クリス。遅いにゃ。」
と、約束の合流場所、貴族邸から遠く離れたホテルの一室にようやくクリスがやってきた。
「すみません。思っていた以上に神器が多くて手間取ってしまいました。」
「そうだったんだにゃ。何個ぐらい見つかったのにゃ?」
「二十個ですね。正直見つけられてよかったです。アズは何か見つけましたか?」
「この本かにゃ?」
と、回収してきた襲撃した貴族家の伝記なるものと魔導書らしき二冊を渡す。
「これは、お土産に持って帰っていいですよアズ。」
と、伝記は渡された。
「問題の二冊ですが、ルルイエと、ネクロノミコン...」
「何かわかったかにゃ?」
「一つは、神器で間違いありません。確か...すべての魔術が使いたいと言っていた転生者に渡したはずで間違いありません。」
と、クリスはルルイエを指さす。
「しかし、これに関しては見たことがありません。この本は、悪魔か何かが持ってきたやも知れません。」
「どうするにゃ?」
「一応、帰った際に図書館の最重要禁書庫のほうに保管しておいてください。後で取りに来ます」
「わかったにゃ。」
「ところで、腰のあたりからぶら下げている、袋は何ですか。」
と、指をさされる。
「これかにゃ。これだにゃ。」
と、袋を開ける。
中には、氷漬けにされた当主の首が入っていた。
「ヒェッ」
「そこまで怖がらなくてもいいと思うにゃ。一応証明のために持ってきたのだけど必要なかったかにゃ?」
「まあ、天界に行けば一応確認できるので問題ないですが、一応確認のために、ステータスプレートを見せてもらえますか?」
「はいにゃ。」
と、手渡す。
「討伐数は、っと...ありました。よかったです。」
と、私のステータスプレートを見ると物の見事に『討伐数 人間:1』と書かれていた。
「これは、消せるのかにゃ?このままでは犯罪者としてろくに街に入れなくなるにゃ...」
「普段なら無理ですが、今回は神々から処断しろとの命令だったので天界から元に戻しますよ。その代わり、ステータスプレートの修正まで一週間かかるのでその間は街の出入りができなくなりますが...」
「わかったにゃ。じゃあこの後どうするにゃ?」
「せっかく部屋をとったんですから、泊っていきましょうか。」
「分かったにゃ。私もクリスが寝るならねるにゃ。」
と、クリスに後ろから抱き着いた。
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