この素晴らしい天使に祝福を!   作:meigetu

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ここに書くことではないですが、次回には原作スタートです。


二話 親友紹介

「なるほど...ここが新しくなっていますね...」

 

中央の机に山積となった本の傍らに、今年から新しく発行された紅魔族の教科書をめくっている天使が一人いた。

 

「さすがは、紅魔族ということでしょうか...どの王国に比べても最新鋭の術式を扱っていますね。」

 

頭の可笑しささえ直せば完ぺきなのにと、思いつつ教科書を読んでいると、携帯が鳴った。

 

「はいもしもし」

「ジブリール?」

「そうですよ。エリス様」

「クリスと呼んでくださいと、何度言えばわかるんですか。」

「わかりましたよ。クリスちゃん。」

「何百回このくだりを、やるんですか...」

 

と、エリス様はあきれたように言う。

 

「まあいいじゃないですか。それで、今回はどんな御用でしょうか?」

「資金のためにクエストやりたいから手伝って。」

 

資金のためのクエストね。エリス様の個人的な頼みは、たまにねだると、天界の本をくれるので頼んでみる。

 

「わかりました。できれば、天界にある本を数冊お願いします。」

「本ね。あとで天界の天使に伝えておくわ。」

「ありがとうございます。それで今回のクエストはどのような内容ですか?」

「一撃熊2体討伐。というやつですね。」

「わかりました。何時頃向かえばいいですか?」

 

と、深夜一時を回った時計を見て言う。

 

「今日の八時でお願い。ちなみにアズリールのほうで来てね。」

「?わかりました。では。」

 

と、携帯を切り、私は本を読む作業へ戻った。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「おーい。クリス。どこにいるんだにゃ。」

 

と、現在私は冒険者ギルドに来ていた。

 

「こっちですよ、アズリール。」

「やっとあえたにゃ。」

 

と、クリスのほうに向かった。

 

「ところでこの金髪の女の子は誰かにゃ?」

 

と、クリスの近くにいる、長髪の金髪をした、とても強そうな鎧をした女の子を指さす。

 

「っわわわわ、私はダクネスといいます。」

「そうだよ。この子はダクネス。私の友達なんだ。」

「ダクネスですかにゃ。よろしくお願いしますにゃ。私はアズリール。主にクリスとパーティーを組んでいるアサシンだにゃ。」

「私は主にクルセイダーを生業としている。よろしく頼む。」

 

と、握手をする。

クリスは、私とダクネスの間にするっと入ってきて、

 

「二人とも自己紹介は済んだかな。じゃあ、行こう。」

 

といい、クエストを受注した。

 

 

 

「ダクネスはどこかの御貴族様の家出身なのかにゃ?」

「どうしてそう思ったのだ?」

「だって、冒険者らしくないんだにゃ。」

 

と、指摘する。

ダクネスは驚いた顔をして言う

 

「そうか?」

「そうだにゃ。しゃべり方もところどころ教養があるようにしゃべるし、この鎧だって、鉄だけじゃないでしょ。たぶん少量のアダマンタイトが入っていると見たにゃ。こんな高級品、普通の冒険者は買えないにゃ。プラスして、首から提げているエリス教信者のペンダントだにゃ。たぶん色の具合からマナタイトだと思うけど、それの金属がつけられるのは伯爵以上の貴族のみだったはずだにゃ。」

「本当か?」

「公表はされていないから、周りの皆は知らないと思うけど形式的に階級ごとに銅、鉄、銀、金、マナタイトだったはずだにゃ。」

 

と、軽くダクネスの鎧を指ではじきながら言う。

 

「クリスからアズリールは賢いと聞いていたがここまでとはな...アズリールの言ったとおりだ。私の本名はダスティネス・フォード・ララティーナという。しかし、今まで通りダクネスと呼んでくれると嬉しい。」

「わかったよ。ダクネス。それにしてもダクティネス家ね、確か公爵家だったかにゃ...思っていた以上に大きな家出身で正直驚いているにゃー。」

 

そういわれ。ダクネスは苦笑いをした。

 

「二人とも仲良くなれてよかったよ。」

 

と、軽く笑いながら先頭を歩いていたクリスが言う。

 

「ところで、今回どうやって一撃熊を討伐するんだ?」

「特には考えていなかったけど...アズリールなんかよい方法ある?」

「そうだにゃ...ダクネスのクルセイダーとしての能力をひとまず見ないと作戦の立てようがないにゃ...」

「じゃあ、どうするのだ。」

 

と、すこし興奮気味にダクネスが言う。

そのことに違和感を感じつつ、周りを見渡す。

 

近くには、一匹のコボルトが獲物を探してうろついてる姿が見えた。

 

「あそこにコボルトがいるの見えるかにゃ?あのコボルトの攻撃をうk...」

「行ってくるゅ。」

 

と、言い興奮した様子で一目散にコボルトに向かってかけていった。

 

「クリス...あの子大丈夫かにゃ?いろんな意味で」

 

クリスは頬を掻きつつ苦笑いを返していた。

 

 

 

ダクネスのほうに寄っていくと、コボルトの攻撃を剣で受け流すこともせずに鎧で受けていた。

それどころか、攻撃を受けるたびに何やら嬌声のようなものが聞こえる。挙句の果てには、剣を構えることなく

 

「うぅぅん………ん!コボルトもっともっとかかってこい。」

 

などと、息を荒らげながら、意味不明なことをわめいている。

 

「クリス...熱心なエリス教徒の友達が加わったという話からまともで従順な人物だと思っていたけど思っているのと全く違ったにゃ。」

「あっはは...」

 

と、困ったようにクリスは頬を掻く。

 

「こんな感じでどうだ。もともと私は防御力や体力には自信があるぞ。」

 

そのことを抜きにしても、鎧や、体に傷を負うなどということはなく本当に防御力が高いのだと感じさせた。

検証のためにも、ひとまずコボルトを捕らえ、口の中にポーションを流し込む。

 

「アズ、このポーションは何ですか?」

「これは、ウィズ魔道具店で買ったポーションの一つだにゃ。間違っても飲んじゃダメな奴だにゃ。」

「どんな効果なのだ?」

「飲ませた量によって攻撃力が倍々で上がっていくとても強いポーションだにゃ。」

 

2人は驚いた顔をして

 

「「そんなポーションがあったんですか。」」

「まあその代わり副作用なものもあって飲ませた量によって寿命が縮まるというものだにゃ。店主の説明だと、2倍で10分。4倍で5分。8倍で2.5分。みたいに寿命が反比例で減っていくみたいだにゃ。」

「本当に使えませんね...ちなみにいくらしたんですか?」

「もともと一本一万エリスで売る予定だったみたいですけど、あまりにも売れないので一本二千エリスになっていたにゃ。安いうえに面白そうだったので箱買いしちゃったにゃ。」

 

と、買ったとき、アルバイトのバニルさんが本当にうれしそうな顔をしていたのを思い出す。

 

「なぜ捕まえたコボルトに飲ませているの?」

「一応、ダクネスの耐久力を調べるためだにゃ。ダクネス今から攻撃力が2倍になったコボルトを送るからやばいと思ったら回避してにゃ。」

「了解した!さあ早くかかってこい。」

 

と、回避するそぶりすらなく、剣を捨てて、頬を染めて、両手を広げて、コボルトの攻撃を受けていた。

 

「クリス...友達に悪口を言うのもあれだけど...この子はいわゆる、マゾということでいいのかにゃ?」

「間違っては...いないと思うよ。」

 

と、目の前で2倍になったはずの攻撃を受けてもよろめくことなく、逆に発情しながら受けるというシュールな絵を目の前にして私はため息をついた。

クリスもダクネスのことであろうか、大きなため息を一つついた。

 

 

 

コボルトにポーションでドーピングしつつダクネスに攻撃を受けさせるという行為を繰り返していると16倍に差し掛かった瞬間コボルトは泡を吹いて倒れてしまった。

 

「あーあ、死んじゃったにゃ。」

「そんな。せっかく攻撃の痛みが体に響いてきたのに。」

 

と、絶望をした顔をするダクネスと、せっかくのおもちゃ(コボルト)が壊れてがっかりするアズリールの顔を見て、どこで道を間違えてしまったんだろうとクリスは心底後悔していた。

 

「確か、文献では一撃熊の一撃の重さは、コボルトの約7倍であるから多分ダクネスなら一撃熊の一撃を耐えられると思うにゃ。」

「うん、頑張るゅ。」

 

と、いともたやすくえげつないことを言う仲間と、それを当たり前のように承諾する友人を見てクリスは頭痛が痛くなっていた。

 

 

 

「いたにゃ。さっきも話したと思うけど、大まかに説明をし直すにゃ。」

「オッケー」

「作戦としては、ダクネスが、クルセイダーとして敵を引き付けている間に、クリスと私が急所の首をはねるというものにゃ。そこまで難しいことではないと思うにゃ。最悪切り切れなかった場合は、一体ならば全員で戦って、二体残ったなら、一度皆で隠密で隠れるにゃ。わかったかにゃ。」

「はぁぁはぁ。わかった早く行こう。」

 

森の入口あたりに視線を向けると、大きな図体をした一撃熊が二体、入り口をふさぐように立っていた。

 

「クリス、この二体の討伐でよかったかにゃ。」

「そうだよ。」

「じゃあ、ダクネス頼n...」

「行ってくりゅ。」

 

といい、一目散に、一撃熊の前に走っていった。

 

「クリス。やばいにゃ。ダクネスがタコ殴りにされる前に早く作戦に向かうにゃ。」

 

と、二人でスキル『隠密』を発動させ、一撃熊の後ろへ回り込んだ。

熊の間をのぞき込むと、ダクネスは一撃熊の間に挟まれていて何やら「はあ…゛っ」という興奮した声を出しながら二匹に殴られそうになっている。

 

私とクリスは、殴ろうとしている一撃熊の背後から急いで首の急所めがけて切り込む。

 

私のデスサイズは一撃熊の首と胴体を一刀両断することができたが、急に切ることになったからか、クリスのほうは食い込むだけで切断することができなかったらしい。

ダクネスはもう一匹のほうの一撃熊に殴られ体を近くの木にぶつけさせた。

 

「ダクネス、大丈夫かにゃ?」

 

と、声をかける。

 

「ふぅうぅ…う。大丈夫だ。」

 

と、何やら色っぽい声で、返してきた。

どうやら体のほうは大丈夫らしいが、おつむのほうはいかれているらしい。

 

「クリス。私が攻撃を受けるから、攻撃のほうは任せたにゃ。」

「わかった。」

 

と、言い、私とクリス、二人で襲い掛かる。

 

一撃熊は一匹の首を落とした私を警戒してか私のことを狙ってきた。私めがけて腕を振り下ろす。

それをデスサイズの柄で受け止め、カウンターとしてデスサイズを回転させ切り上げる。

 

キィーン

 

という音が火花とともに鳴った。

どうやら警戒して一撃熊が腕を下げた結果デスサイズの刃と爪がぶつかったらしい。

 

「ちっ。」

 

と、同時にクリスが切りかかったが、体に浅く傷がつくだけで致命傷には至らなかった。

 

ダクネスが立ち上がり戦線復帰をし、一撃熊と、三人でもう一度襲い掛かる。

 

ダクネスが右足、私が右腕、クリスは左足だ。

一撃熊は一撃を損耗なく耐えたダクネスと私を警戒して変な方向へ右半身を捩るようによける。

 

するとそれを読んでいたのか、それとももともとあてる気がなかったのか、ダクネスの埒外な方向を切っていた剣がちょうど熊のすねの部分に当たる。

さらにはクリスのナイフが腰あたりにきれいな一閃を入れた。

 

うううううぅっぅ

 

と、一撃熊は、痛みからか立ち上がれず大きなうなり声をあげる。

私たちはこれをチャンスだととらえ、三人で急所にとどめを刺す。私は首を。ダクネスとクリスは心臓めがけ攻撃を加えた。

 

首は、もともとクリスが切っていたおかげかきれいに落とすことができ、クリスは心臓を、ダクネスは全く埒外な木に向かって剣を刺していた。

 

「やったにゃ。」

「やりましたね。」

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「はい、こちらクエスト報酬と熊の肝の売却金額の合計の支払いの90万エリスになります。」

「ありがとうにゃ」

「はいこれが、今回の報酬だにゃ。」

 

と、札束を見せる。

 

「今回三等分だから一人30万エリスね」

「先ほどから気になっていたのだが、腰からぶら下げている袋にはなにが入っているのだ?」

「まあそんなことよりシュワシュワを飲みましょう。」

「この袋かにゃ?この中には一撃熊のくb」

 

話している途中でクリスに開けようとしていた一撃熊の首が入った袋と、口を手で封じられてしまった。

するとクリスが

 

「前も袋を開けて周りの冒険者に警戒されたでしょ。」

 

と、小声で言われた。

せっかくの戦果で見せびらかすことは悪くないことだと思うのだけど、クリスがあのように言うのであればダメなのであろう。

 

「どうしたクリス?」

「うんうん。なんでもない。ただこの中に一撃熊の肉が入っているだけ。」

「なるほど熊肉か。熊鍋でも作るのか?」

「そうだよ。こう見えてもアズリール結構料理がうまいからね。」

「そうだにゃ。ぜひ食べにきてにゃ。」

 

と、にっこりと笑った。




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