この素晴らしい天使に祝福を!   作:meigetu

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3話から登録者がほぼ二倍になって驚いています。meigetuです。




四話 天界にて

「バニルさん、このお方は?」

 

と、最近よくいらしているバニルさんの隣に、紫の服を着た茶毛の長髪を持つ女性がいた。

 

「こ奴は、ウィズ魔道具店店主のウィズだ。」

「どうもこんにちは。初めまして、ウィズと申します。」

「ウィズさんでしたか。私は、この図書館の司書のジブリールと申します。よろしくお願いいたします。それで、今回はこの図書館に何用ですか?」

 

と、聞く。

 

「こ奴は、普通の冒険者なら使わぬような、特殊な魔道具ばかり購入するのでな、一向に魔道具での売り上げが上がらず店が赤字ばかりなのだ。」

「そうです。それで、バニルさんから魔道具のことを詳しく知れば、商品を見る目が鍛えられるといわれたので、お邪魔してみました。」

 

ああ、どこかで見たことがあると思ったらあそこの店主さんでしたか。

 

「そうなのですか。魔道具店の話は、バニルさんからうかがっていましたがかなり特殊なものを扱っているようで...」

 

あははは...と、ウィズさんは苦笑いをする。

 

「わかりました。では、魔道具関係の本が欲しいのですよね。」

「はい、お願いできますか。」

「大丈夫です。たしか、一層目の内周の1051番本棚~1231番本棚まででしたね。」

「はい?そんなに、魔道具関係の本が...」

「そうですよ。バニルさんからの紹介の上、ウィズさんは初回なんで軽く案内いたしますね。」

 

と、私は読んでいる本にしおりを挟み、立ち上がった。

 

「地面を見てください。ここに大まかな方角と、本棚番号が書かれているのでひとまずそれを参考にしてください。今回は1051番本棚~1231番本棚なのであそこらへんですね。」

 

と、軽く地面を足でたたく。地面には大きな羅針盤の絵が描かれたいた。

 

「今回は羅針盤を見ると大体、南南西あたりだとわかりますね。ウィズさん大丈夫ですか?」

 

と、呆然としているウィズさんに声をかける。

 

「いや...すみません。あまりにも多くて少し思考が止まっていました。こんなにたくさん本棚があるんですね。」

 

と、天井が見えなくなるほどに積み上げられた本棚を見て言う。

 

「改めてみるとそうですね。ちなみに二階の天文台のほうにも多くの本がありますよ。気が向いたら行ってみてください。では、向かいましょうか。」

 

と、飛んで南南西の本棚へ向かった。

 

「ここですね。あれ、ウィズさん?」

 

と、後ろを振り返ると誰もおらず、飛ばずに、歩いてきていた。

 

「ウィズさん。もしかして飛行したりすることってできません?」

「すみません。できませんね。」

「わかりました。ではこの魔道具を持ってください。」

 

と、最近開発した、緑色の球状のものを渡す。

 

「これは...」

「飛行ができる魔道具ですね。たまに紹介で来られる方で、飛行できないお方がいらした際にいちいち脚立を持ってこられるのに不便と感じたので作ってみました。魔力の消費は普通の魔道具に比べ多いですが、ウィズさんは見たところ魔力の量が多そうですから問題なく使用できると思います。」

「すごいですね。これは持ち帰っt」

「だめですよ。」

「ですよね...」

 

と、ウィズは落ち込んでいた。

 

「1051番本棚は、これから、1231番本棚はここまでですね。がすべて、魔道具についての本ですね。言語順に並んでいるので好きなように読んでみてください。」

 

と、いい私は中央の席へと戻った。

 

 

 

「それで...バニルさんは、今日は何をお探しですか?」

 

と、聞くと一冊の本を出してきた。その本は、『罠の技巧、匠の技 中級』であった。

 

「こ奴の続きが欲しいのであるが...」

「最近、トラップについてよく読まれていますね。ダンジョンでもお作りになられるのですか?」

「まあ、そこは、聞かないでくれ。」

「それは失礼しました。では、今回はこの続きの巻ですね。」

「そうだ。もう少し罠の種類が知りたくてな。」

 

と、仮面を軽く右手で押さえつつ言う。

 

「そうですね...それであるならば別の本をお勧めしますが...」

「なぜだ?」

「上級編を読んだところで、この先は魔力を抑える方法や、罠の術式を改変させ、威力を上げるかぐらいしか書かれてないからですよ。」

「そうか...貴様が言うのであれば間違いないのであろう。では、何かおすすめはあるか?」

 

と、聞いてきた。であるならば、

 

「『新田 三郎の日記』のようなものはどうでしょうか?」

「日記であるか?」

「そうですね。一見、何も関係ないかのように思われるかもしれませんが、罠というものに、興味的な意味ではまってしまった男の日記ですね。途中から日記ではなく、罠開発の開発の手がかりのようなものばかり書かれていますから、罠の種類を増やしたいのであればおすすめかと...」

「なるほど...」

 

と、バニルさんは、顎を指で触りながらいう。

 

「ではその日記はどこにあるのか?」

「北出入廊下の上弦方向、1階左から24番目6、7、8、9、10番目の本ですね。」

「あい分かった。感謝する。」

 

というと、バニルさんは北出入口方向へ向かっていった。

 

 

 

 

 

一通りの案内を済ませた後、私は読書へと戻った。

今回読んでいるのは、『ノイズ王国の顛末』というものだ。

 

「これは、また...相変わらずですね。」

 

と、感想を漏らす。

 

「それにしても、低予算故での事故ですか...内乱や戦争によって滅ぶ国は多々ありますが、まさか機動要塞自らが暴走しそれを取り押さえることができずに滅ぶなんて...笑えそうで笑えない話ですね。」

 

と、苦笑いをする。

 

すると、いつものように携帯が鳴った。

 

「はい、どうされました。」

「もしもし、ジブリールですか。」

「はい、何の御用で?」

「明日、一日中女神としての仕事をするので、できれば神器の運び込みのほうをお願いできますか?」

「今は確か冬ではなかったですか。そこまで忙しかったでしたっけ?」

 

今までのエリス様の話を聞いている限り、冬の間は死亡率の高い冒険者はかなり強い敵と戦うことになるので、秋までの貯蓄を切り崩して生活をするのではなかったか。

 

「たしか、冒険者は、冬の間あまり働きませんよね。戦争でも起こっているんですか?」

「そうじゃなくてですね。なんて言ったらいいのかな。ジブと...」

 

と、言う声が聞こえてきた。

 

「?どうされました。」

「ジブと...早く仕事を終わらせて一緒に遊びに行きたいからですよ。言わせないでください。」

「本当にかわいいですね。エリス。お手伝いするので、明日、即向かいますね。」

「よろしくお願いしますね!」

 

と、最後は恥ずかしいのか、勢いよく電話を切られた。

頬を真っ赤に染めたエリス様を想像しつつ私は再び読書へと戻った。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「これでいいですか。エリス様?」

 

と、天界にて図書館の最重要保管所から持ってきた100以上はある神器たちを並べる。

 

「はい、ほかには残っていませんか?」

「特には残っていないと思いますが...最重要禁書庫のほうに保管したルルイエという本はどういたしましょうか?」

「そうですね...一応まだ禁書庫のほうで保管しておいてください。ほかの天使も呼んでくるので神器の選別をお願いします。」

「わかりました。」

 

 

と言い、近くにある神器たちが貯めてきた記録を読み取る、魔道具を使い武器の記憶を読み取る。

 

「これは...聖剣アロンダイトですか。」

 

と、手始めに近くにあった剣を手に取る。軽く魔力を流してやると剣身が青く発光した。

 

「なるほど、この状態で切ると、切った後がたとえかすり傷だとしてもそこから傷が広がり致命傷になると...あいも変わらずに面白いですね。」

 

と、読み進めていく。

 

「これを使っていたのは、『宮下 次郎』さん。転生当時19歳。死亡時75歳。珍しく長生きですね。」

 

大体の転生者の平均寿命が27だと考えると恐ろしく長生きだ。

 

「うーんと、毎回クエストごとに回復ポーションを用意したり、身の丈に合ったクエストを受けていますね...転生者のほうでは珍しく堅実な方です。最後は当時、魔王軍幹部だったものを一対一で討伐し、冒険者家業から足を洗ったと、この時30代...その後は、当時元々仲間だった女性と結婚し、王都に家を建ててギルドで初心者を教えつつ堅実に暮らし、75まで生きたと。記録によると、改めて日本で生まれなおしていますね。」

 

と、エリス様より手渡された書類に目を通しつつ新たな書類を作成する。

なるほど、退屈なほど堅実な生き方をされている。

それゆえか長生きだ。

 

「その後、この聖剣は、亡くなった際に王都の美術館に寄贈。それを、クリスが回収したようですね。これは、再び新たな転生者に渡しても問題ないでしょう。良と。」

 

と、作成した資料をバインダーに挟みつつ、再び次の神器を手に取る。

 

 

 

「次、わっと。」

 

と、丸い形をした目のような...義眼ですねこれ。

軽く魔力を通すと目のあたりからピンク色のような光が見えた。

 

「これは...魅了の義眼ですか...毎回精査するとき魅了系のアイテムは嫌な予感しかしません。」

 

と、魔道具を近づける。

 

「なるほど、これを用いていたのは『山下 菅』さん。転生当時18歳。死亡時20歳。あーあー本当に見たくない。」

 

魅了系のチートアイテムを持ったうえで2年しか生きられないという時点でろくでもない人間であると大体は察せられる。

資料作成のためにも魔道具に目を近づけ覗く。

 

「仕方がありません。これも仕事です。何々、アクセルに飛ばされた後、ギルドの女性職員を魅了させ、抱いたと。その後、街中で美しいと有名な女性冒険者も魅了させ、抱いた。その後は、その女性たちを使いヒモ生活...ものの見事なクズですね。最後は、女性関係の怨恨で背中を刺され死亡と。記録だと、魂が消滅していますね。エリス様の神域で生き返らせろと散々暴れたと。は?」

 

人類種(イマニティ)の癖して思い上がりが激しいですね。

エリス様の領域で暴れられたのはどうしても腹に据えかねます。

 

「その後、この義眼は、この前処断した貴族邸へ行き悪用されていたようですね。この神器は、二度と出さないほうがいいですね。不可と。」

 

と、作成した資料を挟む。

 

「これだから、嫌なんですよ。」

 

と、イラついた頭を激しく掻きつつ次の仕事へ取り掛かる。

 

 

 

 

 

「つぎは、叡智の書ですか。」

 

と、魔道具を近づける

 

「使用者は、『新田 三郎』さん...ん、確かあの方の日記私の図書館にありませんでしたっけ。」

 

と、思い出す。内容としては賢者としていきたいと願った転生者だったか。

 

「転生当時17歳。死亡時37歳。病死のようですね。初めのほうは地頭の良さと、叡智の書を用いて人々に様々な知識を与えていましたね。その結果賢者といわれるようになり目的を達成。その後、やることがなくなり、罠の技巧というものに興味を抱き、病死する直前まで研究をしていたようですね。このお方は、日本ではなくこちら側の世界での転生を望まれていますね。」

 

好きなように生きられてよかったのではないですかね。

 

「その後、この書は王国図書館の最奥の禁書庫にしまわれていたようですね。それを私が回収したと。これは問題なさそうですね。良と。」

 

と、作成した資料をバインダーに挟む。

このように仕事を進めていった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「エリス様、今回の神器のまとめがこちらになりますね。」

「ジブリールですか。早いですね。」

 

と、バインダーに挟まった資料に一通り目を通す。

 

「良53、可94、不可32ですか...何々、『不可のほとんどは転生者自らが、最後のページ(『そのほか要望があれば直接女神に伺ってください。』)を見て選ばれたものがほとんどです。廃止されてはいかがでしょうか?』ですね。ジブリールこれ書きました?」

「はい、わざわざ神に口出しさせてもらうのはいかがとは思いますが、今回の件で転生の際、最後のページをご覧になりそのうえで答えられたものの結果としては可1、不可31でした。」

「圧倒的に地上で問題を起こしてるものばかりだと。」

「その通りです。一応私も、そのような条件で選ばせていただきましたが、毎回毎回圧倒的に問題ばかり起きすぎている。」

「そうですか...」

 

と、エリス様は顎を軽く押さえ考えられている。

 

「一応上層部に伺いは立ててはみますが、ほぼ不可能なことだとは思っておいて下さい。」

「なぜですか?」

「一応、この世界の国教として、私はあがめられてはいますが、上層部には、創世神クラスの方々がいらっしゃるんですよ。そのお方々は人間の可能性というものを信じられているようで...」

「人間の可能性ですか...」

「そうです。もともと、あなた方の世界では神々が地上にいた時代を力の弱い人間のみで生き延びさらには、自らの力で新たな文明を多々作ったという神話が残っていますが、そのことを上層部はかなり信じられているようなので覆すのは難しいかと。特にあなたのような成功例がいるので難しいでしょう。」

「なるほど...差し出がましいような要求、すみませんでした。」

 

と、頭を下げる。

 

「いえいえ、こちらも参考にはなっているので」

 

とエリス様は両手をバタバタとさせる。

もう、本当にかわいいな。と、感情が高ぶりエリス様に抱き着いた。

 

「えっと、えっ。」

 

戸惑っている姿に興奮し、私の頬をエリスの額にこすりつける。

 

「ちょっちょっと、や、やめてくださいよ。ひゃ……。どこ触ってるんですか。」

 

と、頬を真っ赤にしてされるがままにされているエリス様を見てさらに強く抱きしめる。

このようにじゃれついていると、

 

「えっと...なんかすみません。」

 

と、言う声が聞こえてきた。

私はそのことに驚き振り返ってみると、そこにはクソ女神を転生特典とした少年がいた。

見られた少年は少し申し訳なさそうな顔をして

 

「向こう向いてますから、やるんならとっととやってください。」

 

首だけ後ろに向けた。

私はその少年の首が時たまちらりと見ようと動こうとしているのを感じつつ、

 

「所詮、人類種(イマニティ)の一匹二匹に見られたところで変わらないですよ。とっととやっちゃいましょう。」

 

と、天界に来る際に身に着けている野暮ったい外装を脱ぎ、図書館で身に着けているいつもの服装になりエリス様に抱き着く。

エリス様は人類種(イマニティ)の魂が来たせいで仕事モードに入ったのか、それには乗らず思いっきり大きな本で殴られた。

 

「私が嫌です。それに人類種(イマニティ)といってはいけませんと、何度言えばわかるのですか。端で反省していなさい。」

 

と、言われてしまった。

私はしぶしぶ脱ぎ捨てた外装を身に着け、エリス様が転生者の対応をしている様子を後目に、エリス様との休暇の過ごし方を考える。

 

紅魔の里...は、ないな。せっかくのゆっくりすごせるはずの休みが、頭のおかしい紅魔族のせいで休む暇もなくなってしまうだろう。

王都...は、いいかもしれない。せっかくだから王都内で食べ歩きというのも悪くないかもしれない。

アルカンレティア...も、いいかもしれない。クソ女神を信仰する頭のおかしいイマ...人間の集団がいる点は悪いが温泉にゆっくりつかるというのもいいかもしれない。

 

などと考えていると、エリス様の右手に金色の粒子が纏い始めた。

 

「ああ、ようやく終わりましたか。」

 

と、つぶやくと唐突に天井から声が聞こえてきた。

 

『さあ、帰ってきなさい。カズマ。』

 

まごうことなき、クソ女神の声だ。

 

『なぁにあっさり殺されているの。死ぬのはまだ早いわよ。』

 

「な、なんだ。」

「この声、アクア先輩?まさか本物。」

 

『ちょっとカズマ聞こえる?あなたの体に復活魔法をかけたからもうこっちに戻れるわよ。』

 

「おお、マジか?」

「もうあなたは一度生き返っていますから、天界規定でもう蘇生は、できません。」

「そうなの?おい、アクア俺はもう一度生き返っているから天界規定とやらで生き返れないんだってよ。」

 

『はあ、だれよそんなバカのことを言っている女神は。ちょっとあんた名乗りなさいよ。日本担当のエリートな私に、こんな辺境担当の女神がどんな口きいているの?』

 

という声が聞こえた。エリス様の顔を覗くととてつもなく微妙な顔をされている。

 

「おい、クソ女神、エリス様に向かってどんな口の利き方をしてるんだ。」

『え、ちょ、もしかしてジブリールいるの?』

 

と、少し動揺が混じったこえがかえってくる。

微妙な顔をされているエリス様の前に立ち言い放つ。

 

 

「先輩女神が後輩に仕事を任せっきりにするから天界での立場が後輩に先を越され、挙句の果てには堕天する羽目になるんだろクソ女神。」

『うるさいわね。そんなことよりもとっととカズマをこちらに返しなさい。』

「返せるわけがないでしょう。私よりも長生きをされているのであればそろそろ、世界は自分中心に回っていないことを自覚されてはいかがでしょうか、自称エリート女神様。」

 

と、鼻で笑ってやる。

 

『はー。なんですって。たかだか、天使の癖に生意気よ。』

「あの、ちょっと。えーっと。」

「おかわいそうに。神の部下である天使の忠言を生意気という一言で返されるとは...いやいや失礼しました。自称エリートの女神様ならぜひ聞き入れてくださると思ったのに...残念です。」

 

と、笑ってやる。

すると、

 

『うわぁぁあん。そんなことよりもカズマを早く返してよ。』

 

という、想像どうりの声が返ってきた。

 

「どういたしましょうか?エリス様。向こうのダメ女神さまはお泣きになられてしまったようですが。」

「あなたが泣かせたんでしょうが...」

 

と、責めるように見られる。

 

「まあ、いいじゃないですか。お灸をすえるという意味でも。それよりどうされますか?この人間の対応は?」

 

と、クソ女神を転生特典とした人間を指さす。

 

「そうですね。カズマ君の気持ちもそうですしアクア先輩の頼みですからね...仕方がありません」

 

と、指を鳴らす。

すると、人間の周りに青い魔法陣が浮き上がる。これは確か...魂を現世に送るものであったか。

 

「サトウカズマさんでしたっけ。」

「はっはい。」

「この魔法陣で現世に帰れます。こんな事、ふつうはあり得ないんですからね。」

 

というと、魔法を発動させる。

すると少年の体は上がっていき現世へと帰っていった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「行きましたね。」

「そうですね。」

 

と、少年を見送り二人で立っていた。

 

「どうします。書類仕事でデート、できなくなりそうですが...」

 

と、私が言うと、エリス様はいまさらになって気が付いたように言う。

 

「ど、どうしましょう。」

「人間やほかの女神たちにも情けをかけてくださるのがエリス様の美点だとは思いますが...」

「できれば、ジブリール。書類仕事手伝ってくれませんか?」

 

と、身長差から上目使いで、頼み込んでくる。

とてつもなく手伝いたいがエリス様のためにもぐっとこらえ、

 

「い、嫌です。」

「お願いですから。」

 

と、エリス様が座っていた白い椅子に押し倒される。

 

「わ、わかりましたよ。手伝いますよ。でも、一つだけ約束してください。」

「なんでしょうか、」

 

と、私が座らされた状態の膝の上に乗りながら、首をコテンと傾かせて言う。

私は真剣にエリス様の目を合わせつつ言う

 

「エリス。私はあなたのことを幸運の女神であり、ほかの神々にとっても慈悲深い女神だと尊敬しています。ですけど、エリス、自分のことも大切にしてください。今回のアクアがわがままを言いそれに従ってしまいデートの予定がおじゃんになりそうなことや、クリスの時であっても頼み込まれて自分ではあまりやりたくなかったとしても人のためだからといって、自分を無下にして、請け負うことが多々あるじゃないですか。無論、他人の仕事を請け負うことは場合によっては大切です。しかしエリスは、自分のことをかえりみずに、多くのことを請け合いすぎです。ですから他人のことばかりでなく自身のこともちゃんと考えてくだい。」

 

と、言う。

エリス様は驚いた顔をされてから柔らかく笑顔を返される。

 

「わかりました。ジブリール。前も叱られたように自分をまた無下にしてしまいましたね。私のことを心配してくれる、あなたがいてくれて本当に良かった。」

 

と、エリスは私の膝の上に座りついばむようなキスを落としてきた。




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