今回はエヴリン・轟・葉隠VSネメシス。楽しんでいただけたら幸いです。
折れた左腕をカビで覆うことで固定して即席のギブスを形成、水を一口飲んで右腕をマッスルフォームにして突撃するも、軽く避けられた上で触手で両腕を拘束されてしまう。くっそ、不意打ちじゃないと当たらないか!
「エヴリンちゃんを離せキーック!」
「凍れ!」
すると手袋とブーツしか見えない葉隠が背中から飛び蹴りを放って私を解放させ、小さな私を抱えて離れたところに焦凍得意の氷結ぶっぱが炸裂。氷塊に包まれるネメシス。しかし数秒も持たず罅割れ、ロケットランチャーの爆発で粉砕されて脱出、焦凍目掛けて勢いよくロケットランチャーを鈍器にして振り下ろし、焦凍はギリギリ後退して難を逃れる。爆発を至近距離で受けてるのに無事なのはあの鋼鉄製のコートのせいか。
「スタァアアアズッ!」」
「ちい!氷が効かねえ!」
「なんであの爆発でピンピンしてるのー!?」
「二人とも離れて!Louisiana・Smash!」
マッスルフォームの右腕の拳を握り、両足を一瞬だけカビで覆ってクイック・モールデッドの様な形状にして横に跳躍。音速の拳を叩き込むが、ロケットランチャーを握った両手を胸の前に出したネメシスに受け止められてしまう。いやおかしい。なんでこうも私の動きが読まれるんだ。個性なのかな?
「くっそ…!」
【見事なまでに役立たずですまない】
マッスルフォームを形成した右腕を覆ったカビを切り離して後退、掴もうとしてすっぽ抜けたネメシスから離れるとところ構わずロケットランチャーを連射してきた。咄嗟に黒カビの壁で防御するが一撃で粉砕され、焦凍も氷壁で防いでいるがやはり一撃で砕けて行く。駄目だ、防御してもじり貧だ。どうにかしてロケットランチャーを奪うか無力化しないと……
「どりゃああああ!」
すると雄叫びと共にネメシスの手からロケットランチャーが離れてひとりでに宙を舞う。いや違う、葉隠だ。ネメシスが私と焦凍に気を取られていた隙を突いて奪い取ったんだ。
「すたあず!」
「うわー、こっちに来るなー!」
ロケットランチャーを抱えて逃げる葉隠に標的を変えて触手を振り回しながら早歩きで追いかけるネメシス。その隙を突いて水筒の水を一口飲んだ私は右足を振り上げ、勢いよく叩きつけてネメシスの足元を覆うように黒カビのカーペットを展開して両足を拘束。背後まで伸ばした黒カビからファット・モールデッドを形成して組み付かせる。
「ヒーロー志望としてはやりたくないけど、やっちゃえファット・モールデッド!」
【麗日と似た様なもんだし大丈夫でしょ】
酸性の胃液を撒き散らして鋼鉄製のコートを溶かしていくファット・モールデッド。絵面が酷い。するとネメシスもさすがにたまらなかったのか両足の拘束を無理やり引きちぎって振り返りざまに触手で貫かれてファット・モールデッドは爆散。イタチの最後っ屁ともいえる自爆で鋼鉄製コートに穴が開いたが本人はピンピンしている。
「すたぁず!」
すると触手を私と葉隠の間に伸ばしたかと思えば、空中を高速で飛んで私達の背後を取るネメシス。葉隠が咄嗟に盾にしたロケットランチャーごと殴り飛ばされ、私は触手に首を掴まれてびったんびったん何度も何度も土砂に叩きつけられる。私が抵抗しないように痛めつけてから連れて行くつもりなのだろう。痛みで意識が遠のいていく……。そして触手がさらに長く伸びて、ブンッと勢いよく遠心力を持って空中を舞う私の眼前には、雑魚ヴィランが閉じ込められた氷塊が。
「あ、やば」
【死んだこれ】
ぐしゃりと、勢いよく氷塊に頭から叩きつけられ、視界に赤い鮮血が舞った。激痛と共に意識が遠く彼方に消えて行く。今、気絶したら、やばい、て………………
前世の光景がフラッシュバックする。たった三年で老いさらばえた体で、幻覚で姿形を偽って、必死に拒絶したイーサン・ウィンターズに………あの、ジャックに殺されてなお動いて私からミアを取り返そうとした死にぞこないの死体野郎に、E-ネクロトキシン……私に対してだけ効力を発揮する特性の壊死毒を打たれて身体がカビに戻って崩れ落ちて行く。
どんなに人間の姿を保っても、自分は人間じゃないのだと。ミアや、ジャックたちの家族に決してなれないカビの怪物なのだと、否応がなく思い知らされた。
こいつだけは許せない、と。同じ存在になった癖に、不都合なことから目を背けて自分が人間であるつもりで私を殺そうとしてきたイーサンに、憎しみのままカビの怪物として襲いかかり……結局手も足も出ずにとどめを刺されて私は死んだ。
でも今の私は人間だ。血の通った人間として生まれ変わったのだ。こんなところで死ねない。死ねるわけがない。目を開ける。私の頭部に氷塊が叩きつけられるのがスローモーションで感じられる。
「ぷるす、うるとらぁああああ!」
痛みで覚醒した意識を集中、氷塊に触れている傷口からカビを広げ、その中に身体を入れることで触手から抜け出し、すっぽ抜けてふらついたネメシスに、カビから飛び出し様にマッスルフォームの右拳を炸裂。鼻っ面を殴り飛ばして宙を舞わせた。
「エヴリンちゃん、死んだかと思ったよ!?」
「凍らせてダメなら、吹き飛ばす!“穿天氷壁”!」
【クソカッコイイネーミングの技きたー!】
そこに焦凍が瞬時に展開した圧倒的大質量の氷塊が、空中に浮いていたネメシスを勢いよく吹き飛ばして土砂崩れに埋めた。そのまま間髪入れず土砂崩れの表面を凍り付かせる焦凍。容赦ないけどこれぐらいしないと勝てないもんね。血が流れてふらつく頭でそんなことを考えた。とりあえずカビで止血したけど大丈夫かなこれ。
「エヴリン、無事か?名付けるとしたら“永久凍土”か。そう簡単に出られねえぞ」
「やったー!さすが轟君とエヴリンちゃん!」
「はあ、はあ、やった……そうだ、早く広場に戻らないと相澤先生が…ヤバい…?」
荒げた息を吐く焦凍と、ロケットランチャーを抱えて全身を使って喜ぶ葉隠。脳無のことを思い出して二人に知らせようとした瞬間、パキッという音に思わず振り向く。ネメシスを閉じ込めたはずの永久凍土の氷が罅割れていた。
【ぬぬぬ?まじー…ぬ?】
「嘘でしょ…?」
「まだやるってのか…!?」
「えっ、えっ、どうすればいいのさ!」
スタアァァァァァァァァァァァァァァァァァアズッッッ!!!!!!
心臓まで震えあがりそうな咆哮と共に、氷が砕け散ると共に吹き飛ぶ土砂の砂煙から触手が伸びて葉隠の手からロケットランチャーを強奪し、姿を現すネメシス。ロケットランチャーの砲口が向けられ、あまりに絶望的な状況に身がすくむ。そしてロケット弾頭が射出され……私達に当たることなく、炎に巻かれてネメシスの側で爆発した。今のは………振り向くと、そこには覚悟を決めた顔の焦凍が左腕に炎を纏って突き出していた。
「……変なこだわり貫いて友達も守れねえぐれえなら、アイツの炎だって使ってやる!」
「すたぁず!」
ならばと至近距離でロケットランチャーを撃とうとしたのか、焦凍の放つ炎を物ともせず突進してくるネメシスに、私は考える間もなく飛び出していた。咄嗟に炎を抑えてくれる焦凍。ライバルが頑張ったんだ、私も頑張らないで諦めていてどうする!
「吹っ飛べ!」
「すたぁず!?」
即席カビギブスで固定した左手を、ロケットランチャーの砲口に突き出して触れると同時にカビを茂らせる。瞬間、ロケットランチャーが暴発して私も吹き飛ばされ、葉隠に受け止められた。頭から血が流れるのも気にせず見れば、暴発によりネメシスのコートが剥がれて醜悪なれど筋骨隆々な上半身が露出していた。
「コイツでどうだ…!」
間髪入れず焦凍の放った灼熱の炎がネメシスの上半身を焼いて行く。触手を伸ばして私を捕らえようとするネメシスだったが、葉隠がビンタで振り払えるくらいに弱々しくなっており、そのままその巨体が前のめりに崩れ落ちた。
「やったか…?」
【おいやめろ】
焦凍が炎を止めて三人で見下ろし、私が代表して焼き焦げて火傷に覆われたネメシスの背中をカビで覆って異形化させた右手の指で突っつく。うんともすんとも言わない。どうやら勝ったらしい。
「とりあえずカビで拘束しておくね」
水筒で水分補給しながら前のめりに倒れたままのネメシスをカビで首から下を覆って拘束して、ようやく私達は一息ついた。
※ファット・モールデッドのところで麗日を芦戸だと二度も誤字報告来てましたが「ゲロイン」という意味で言ってるので間違ってないです
ここで轟が炎を解放してネメシスを撃破。ネメシスはなんか炎に巻かれないと勝てない印象がある。
次回はヒロアカ二次お馴染み、主人公VS脳無をお送りします。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。