エヴリンのヒーローアカデミア   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回はエヴリンが登場しないヴィラン連合側の話となります。エヴリンの過去が一部明らかに…?

バイオハザードからあの男も登場する今回。楽しんでいただけたら幸いです。


こんな私が狙われた理由

 通報を受けてやってきた警察が、拘束から救助され解放されたというのにオールマイトに抱えられて衰弱したエヴリンの一声で、変に大人しくなった脳無やネメシスも含むヴィランたちを難なく逮捕していたその頃。

 

 

「くそ、くそ……くそくそくそっ!あいつら、絶対許さねえ。ああくそっ、なかなかとれねえ…!」

 

 

 小洒落たバーの様な一室で、死柄木弔が悪態をつく。未だに服のいたるところにへばりついた黒カビを、五指で触れてパラパラと崩壊させる。

 

 

「ネメシスはやられた。脳無はオールマイトに倒されることなく飲み込まれた。あんなに連れて行った手下も役に立たねえ。子供も意外と強かった……平和の象徴も健在だった。だけど、もっと許せねぇのはアイツだ……っ」

 

 

 命からがら逃げだした数刻前の事を思い出しながら、モニターを睨む死柄木弔。正確には、モニター越しにいるとある人物に視線を向けていた。

 

 

「話が違うぞ、先生。オールマイトの子供は簡単に連れてこれるはずだろう?怪力に、防御に、拘束に、瞬間移動にあの黒い津波……一体何の個性だありゃ!?あいつの情報さえ知っていれば、もっと対策を立てられたんだ。ネメシスや脳無をみすみす失うこともなかった!」

 

 

 死柄木弔に先生と呼ばれたモニター越しの人物は、画面の向こうで愉快そうに笑った。

 

 

≪「いや、嘘は言っていない。オールマイトの弱体化は本当さ。ただ、こちらの想定していたよりも弱体化していなかった……やはり、彼女の個性かな?興味深い。彼女の情報が僕の知る顔以外何もなかったのも本当だよ。推察の域を出ない」≫

 

「先生。アンタが妙なこと言うから弱らせるために水に落としたらあの始末だ。とっ捕まえた時点でアンタの所に直接転送すればよかった話だろう?」

 

≪「それは冗談でもやめてくれ。こちらに敵意がある限り連れてくるのは悪手だ。僕が彼女に期待したのは己の心に宿る悪意を自覚し、君の仲間になってくれることだ。彼女の個性が欲しいわけじゃないんだよ」≫

 

 

 妙にエヴリンの事を恐れている様に聞こえる、らしくない「先生」の声に首をかしげる死柄木弔。

 

 

「どうした、らしくないぞ先生。なんであそこまであの餓鬼を警戒する?アンタの力なら…」

 

≪「ふむ、せっかくだし彼女について話しておこう。数年前まで僕はコネクションと言う組織のスポンサーをしていた。コネクションのリーダーだった女とは旧知の仲でね。そんな僕でも情報を知らされないトップシークレットの秘蔵っ子がエヴリンと言う名前だけしかわからなかった彼女さ。僕は興味を持って秘密裏に誘拐して君の様に導こうと画策していたのだが…その前にオールマイトの手でコネクションは壊滅、エヴリンは彼の養子となった」≫

 

「あいつ、養子だったのか…道理でオールマイトに似てない筈だぜ」

 

≪「彼女が起こした事件について小耳を挟んでね。抑えきれない悪意を持つオールマイトの娘だ、今手に入れれば面白いことになる、と元々諦めきれなかった僕は彼女を襲撃、オールマイトと一戦を交えた。激戦の末、ほぼ相討ちで僕はこの今でも治しきれない重傷を負った。だが死を偽装し退却する中で僕は奇跡を見たのさ」≫

 

「奇跡?あの黒い津波か?」

 

≪「いいや違う。僕が負わせたオールマイトの重症が瞬く間に塞がっていったんだ、不完全だったみたいだけどね。そこで前々からあった疑念が確信に変わった。彼女は「他者に個性を与える個性」を持つ…僕の個性に限りなく近い個性を持つのだと」≫

 

「他者に個性を与える個性…!?なんだそりゃ、チートかよ。でもそれなら先生の個性で奪えばいい話じゃないのか?」

 

「いえ、死柄木弔。先程「彼女の個性が欲しいわけじゃない」と明言しています。理由があるのでしょう」

 

 

 バーテンダーの格好で水をコップに入れて差し出してきた黒霧から、中指以外でコップを掴んで喉を潤す死柄木弔。その様子を確認したのか「先生」は続ける。

 

 

≪「黒霧のいう通りさ。正確には欲しいのだけど触れたくない、が正解だ。襲撃前にコネクションが保有していた彼女の個性の実験体にされた者達のレポートをとあるルートから入手していたのだけどね。彼女に個性を使用された者は無個性・個性持ち問わず新たな個性を得たがその代償なのか例外なく彼女を助けようと暴れ出したらしい」≫

 

「わからねえな。個性を得た反動で凶暴化したってことか?」

 

≪「いいや違う。彼女は個性を行使した他者をどういう力なのか味方にしてしまうらしい。一種の「洗脳」だよ。話に聞く、「黒い濁流」に飲まれた者はアウトだろうね、恐らく脳無も駄目だろう。よく生還してくれた」≫

 

「なんだよそれ、怪力に、防御に、拘束に、瞬間移動に黒い津波(マップ兵器)に他人に個性を与えて傷を治し、しまいには洗脳…?チート過ぎだろアイツ…」

 

 

 それを聞いてゾッとする死柄木弔と黒霧。なんとか防ぎきれていたが、もしも飲み込まれていたらと思うと胸を撫で下ろすしかない。

 

 

≪「危険性は理解できたかな。詳細不明、正体不明の恐ろしい個性さ。僕の個性はどうしても触れることが必要だからね、下手したら僕自身が彼女に与しかねない。だからこそ僕は彼女が自主的に弔の味方になってくれることを期待したのさ」≫

 

「確かに俺の腕を容赦なく折ろうとしたり俺も怯むぐらいのヴィラン顔負けの殺気を放っていたけどさ…オールマイトの娘でヒーロー志望なんだろう?俺の仲間になるなんてこと、あるのか?」

 

≪「オールマイトに助けられなければこの世のすべてを憎んでいてもおかしくない生い立ちだ。付け入る隙はあるさ。まぁ、悔やんでも仕方ない!調査不足故の失敗だったが今回の経験は決して無駄ではなかったはずだ。まずは精鋭を集めよう!そのための即戦力は………ウェスカー。君達アンブレラを頼ることになるがよろしいかね?」≫

 

 

 そう言った「先生」の言葉に首を横に向ける死柄木弔。そこには会話には参加せず黒霧から受け取ったマティーニを味わって静観していたサングラスに金髪オールバック、黒コートに黒手袋といういかにもな男がいた。

 

 

「もちろん。我々との合作であるネメシスが敗北したのは手痛い損害だが、無論協力は惜しまない。我々の代表商品“タイラントシリーズ”には貴方の協力が必要不可欠だ」

 

「ちっ。あの餓鬼にあっさり倒された役立たずのネメシスを提供したこいつらに頼らないといけねえわけか。今度はもっとまともな奴をくれるんだろうなあ?」

 

「“タイラントシリーズ”はあくまで兵器だ。使う人間が優秀なら相応な結果を残すだろう」

 

「俺が無能だってのか?上等だこら、喧嘩なら買うぞてめえ」

 

 

 ネメシスを役立たずと言われて癪に障ったのかサングラスをクイッと上げて赤く輝く目で睨んでくるウェスカーに、両手をわなわな震わせて席を立つ死柄木弔。黒霧が咄嗟に高価な酒を守ろうと動き、一触即発の空気に割り込んだのは人を落ち着かせる低い声だった。

 

 

≪「よさないか。君達はビジネスパートナー、せっかくの仲間なんだ大事にしたまえ。いいかい、弔。我々は今、自由に動けない。だから、君のようなシンボルが必要なんだ。次こそ、君という恐怖を世に知らしめろ!」≫

 

 

 誰にも知られない水面下にて、巨悪と巨悪が手を結び、闇が蠢こうとしていた。

 

 

≪「それはそうとウェスカー。君に相談があるんだ」≫

 

「なにかね。言っとくがこれ以上その傷を癒すのはわが社の技術をもってしても…」

 

≪「そうじゃない。君達アンブレラの“タイラントシリーズ”を作った技術を使わせてくれないか?」≫

 

 

 モニターでは陰でろくに見えないが、その場の三人はモニター越しに不気味な笑みを幻視した。




・ウェスカー
ヒロアカ世界のアルバート・ウェスカーその人。サポートアイテムなども開発しているアメリカの主要製薬会社アンブレラの重役でヴィラン連合の協力者。個性は【●●●】。

そんなわけで「先生」にも恐れられているエヴリンでした。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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