今回はネメシスやらの詳細だったり、ついにアイツのメイン回だったり。楽しんでいただけたら幸いです。
その日、雄英高校の会議室にて。雄英高校の職員…即ちプロヒーローたちが塚内警部の報告を聞いていた。
「ヴィラン連合の下っ端の証言により判明したシガラキトムラ…死柄木弔と言う名前、触れた物を粉々にする個性……20代~30代の個性登録を洗ってみましたが該当なしです。ワープゲートの方のクロギリ…黒霧という者も同様です。無戸籍且つ偽名ですね…個性届を提出していないいわゆる裏の人間となります」
その報告の後の会議にて、オールマイトの推察により死柄木弔が「幼児的万能感の抜け切れない子供大人」であり、「無邪気な邪悪」に検挙された72名ものヴィランが賛同したという事実が問題として上がる。
「また、検挙された中には口を利けない者が二名おり…そのどちらも複数個性の持ち主の様でした」
「『脳無』と『
「脳無と呼ばれたヴィランは確認されているだけでも【ショック吸収】と【超再生】の個性に加えてさらに個性ではない肉体改造による超パワーも持ち合わせていました。ネメシスの方は【追跡】【寄生触手】【筋力増強】の三つの個性を持っており…こちらも肉体改造の痕跡が見られましたが、妙なんです」
「個性複数持ちの時点でアレだがまだ何か?」
「どちらもいわゆる改造人間…だがしかし、共通点がそれだけしかないんです」
「というと?」
「うちの協力者によると脳無は「死体を弄繰り回した改造人間」、ネメシスは「正体不明なウイルスを用いた生きている改造人間」…後者に至ってはヴィラン犯罪にたびたび使われ数多くのヒーローを葬ってきた生体兵器…「タイラント」に近しい物、ということなんです。【追跡】や【寄生触手】などの個性が追加されていることから八木エヴリンを捕縛するための特別な個体と推測してます」
そう聞いてプロヒーローたちが経験の元に思い浮かぶは最悪の可能性。同一人物による全く別のアプローチの結果ならまだいい。だがしかし。
「…脳無を作った悪と、ネメシスを作った悪…二つの悪が手を組んだのがヴィラン連合、ということかな」
根津校長の「ハイスペック」による結論に戦慄するヒーローたちと塚内警部。それとは別に、オールマイトの脳裏に浮かぶはさらなる最悪の可能性。
(複数の個性持ちが私やエヴリンを狙う……まさか……奴が、オール・フォー・ワンがまだ生きている…?)
オールマイト、その個性「ワン・フォー・オール」の継承者たちの宿敵とも言っていい巨悪。かつて裏から日本を支配していた悪の帝王がまだ存在している可能性に、オールマイトは拳を固く握りしめるしかなかった。
「待って待って!?
体育祭を開催する、そんな相澤先生の言葉に当然の疑問の声が上がった。当然と言えば当然のその質問に相澤先生は「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示すこと」「警備は例年の五倍に強化すること」「なにより体育祭は最大のチャンス、
「うちの体育祭は日本のビッグイベントの一つ!かつてスポーツの祭典と呼ばれ全国が熱狂していた物の規模も人口も縮小し形骸化したかつてのオリンピックに代わるのが雄英体育祭だ!」
当然、全国のトップヒーローもヒーローの卵のスカウト目的で観る。
【私は別の意味でずっと
本性ちゃんよ、容易に想像つくからやめて。そんなことないもん、焦凍とか緑谷とかとチーム組むもん!
【
やめてくださいヒーロー向けじゃない個性なのはわかってるから目を逸らしてたのに心が折れてしまいます。パパに代わる最高最善のヒーローになるって誓ったのに現実だけでなく本性(?)まで私を落ち込ませてこないでよ…。
「お前たちは理解しているようで何より。当然、体育祭で目立つことで名のあるヒーロー事務所に勧誘されやすくなり、経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ。年に一回…計三回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ!」
そんな相澤先生の言葉が、心に残る。…三回しかないチャンス、でもトップヒーローになりたいなら一年の時に成果を出した方がいい。……前世のこともあって自分の個性をフルに使い続けたらまた異常に加齢してしまうかもって恐怖でそこそこ鍛えるだけに留めてたけど……そうも言ってられない。前世以上に使いこなせるようになろう。というかもっと使えば身長伸びるかもだしね!
【前世で短期間に育ち過ぎたから成長しない説】
やめて。薄々感づいてたけど私から希望を奪わないで本性ちゃん。……でもどう特訓したものかな。
四限目の現代文が終わり、昼休み。なにやら麗日を中心に盛り上がってたみんなのテンションについていけなかったから、パパのことについて質問されるのも怖いのでそそくさと教室を飛び出し食堂に向かっていると。
「おい、チビガキ」
「誰がチビガキじゃい!」
不服な呼び名で呼び止められてキレながら振り向くと、そこには相変わらずの爆発頭だけど真剣な表情をした爆豪がいた。なんだろと思ったけどすぐ思い出した。塚内さんが爆豪が文句たらたらだって言ってたわ。
「…えっと、私に怒ってたらしいけどアレは不可抗力で…」
「アレで不可抗力だってのか?」
「え?」
「…なんでもねえ。今から飯か?」
「そうだけど…?」
いつものブチギレテンションじゃなくて真面目な声で言うもんだから違和感が凄くて強気になれない。いつものテンションなら思いっきり馬鹿にしてたのに。
「話がある。奢ってやるから面貸せや、時間は取らせねえ」
「あ、はい」
なんでか知らんけど、入学当初から絶対相性悪いと思ってる入試一位様と一緒に食べることになった。なんで?
奢るって言ったので遠慮なく普段絶対食べない高めのステーキ定食を言ってみたら「その体型のどこに入るんだよ」とぶつくさ文句を言いながらも奢ってくれた。こいつ、性格アレだけど根は真面目だな?
「えっとそれで…話って何?」
端っこの方の席に対面で座り、泰山の麻婆定食なる真っ赤っ赤にも程があるマグマの様なそれを平気で口に入れて黙々と結構お行儀よく食べる爆豪に耐えきれなくなって問いかける。あ、さすがクックヒーロー・ラッチラッシュの料理。美味しい、ご飯に合う。
「…飯食ってからにしようと思ったが聞いてきたのはテメエだ。単刀直入に聞くぞ」
「あ、はい」
「テメエがオールマイトの娘ってのは本当か?」
「……本当だよ。義理の、がつくけどね」
まあ聞かれるのはそれだろうなと思ってたので正直に答えると、爆豪の食事の手が止まった。爆豪の性格からして、あの場で聞いてた誰かに聞いたんじゃなくて、「オールマイトの娘を攫う」と言ってたクロギリの言葉から推理しての答え合わせだったんだろうな。
「実の子じゃねえのにあの化け物じみた出力を不可抗力で出したってのか」
「お恥ずかしながら半ば気絶してました、はい」
「ちっ。……そんなのに、俺は……」
照れ隠しに食べ進める。多分私のあの大津波を見て強大なパワーを持つパパの実の子だと思ってたようで、信じられないとばかりに放心してる様子の爆豪。しかしもうあまり隠して無いことを教えるだけでこんな美味いものが食べれるとは。得したな、とか思ってた時だった。
「……オールマイトの実の子でもねえやつに、俺は勝てねえと思っちまったってのか……」
「え」
「あん?……ッ!?」
放心状態で無意識に漏れてしまったのだろう言葉に反応した私の声に、そのことに気付いてものすごい顔で硬直する爆豪。その後私達はそれぞれ聞かなかったことにして、黙々と食べ続けることにした。…いやこの空気どうしてくれる。なんか言って本性ちゃん。
【ノーコメント】
エヴリンへの鬱憤を溜めて来たらUSJにて圧倒的過ぎる力の差を見せつけられて、轟や八百万以上に「勝てねえ」と思ってしまって、オールマイトの娘だからと納得しようとしたのにそうじゃないと知って思わず本音が漏れた図。ちょっと爆豪らしくないかなと思ったけど今後の為にも必要な展開なのだ。
地味に「タイラント」が生物兵器として世に出てることと、ウイルスが存在することも判明。結構このヒロアカ世界を引っ掻き回してます。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。