教師視点のエヴリンの評価。楽しんでいただけたら幸いです。
入学試験後。雄英高校ヒーロー科の会議室にて校長を含めた教師陣…ヒーローたちが実技総合成績について話し合っていた。実はロボを倒した
「救助ポイント0点で1位とは今年の一年はやるなあ!」
「後半、他が鈍っていく中で派手な個性で敵を寄せ付け迎撃し続けた。タフネスの賜物だろう」
「対照的に敵ポイント0点で8位」
「アレに立ち向かったのは過去にも居たけど、ブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないね」
「しかし自身の衝撃で甚大な負傷…まるで発現したての幼児だ」
「妙なやつだよ。あそこ以外は典型的な不合格者だったな」
「細けぇことはいんだよ!俺はあいつ気に入ったよ!!思わず、YEAH!って言っちゃったぜ!それと同じことした奴がもう一人いるけどYO!しかもちみっ子!」
それを見た教師陣から感嘆の声が複数上がる。目立つのは救助活動ポイントなしで一位になった爆豪勝己、逆にヴィランポイントなしで上位の緑谷出久、そして名前だけでも
「あれで個性はパワー系じゃないってマジか?イレイザー」
「ああ、ちゃんと読めマイク。…八木エヴリンのプロフィールによると個性は「カビ」。自身から生み出したカビを自在に操る…と書いてある」
「ロボ破壊にも救助にも一役買ってた異形の怪物はその産物か。大した練度だ」
「意思を持たないカビを人型にして操る練度、プロヒーローにも引けを取らないんじゃないか?」
「年齢に似合わない練度……これ、もしかして名前関係ありますかね?」
「あ、それ言っちゃいます?そりゃあ、気になってましたけど…」
「みんな気になるだろうから別に隠すことでもないし言っちゃうよ!」
校長であるネズミ、根津の合図を受け巨大モニターに八木エヴリンのプロフィールが掲載。全員の視線がそちらに移る。
・八木エヴリン
個性:カビ
年齢:15歳
誕生日:1月26日
身長:141cm
血液型:A型
出身校:日烈寺中学校
出身地:アメリカ?
特に問題はなさそうな…厳密にはほとんどの教師が出身地に不信感を感じているが…プロフィール。しかしそうじゃないとばかりに教師の一人、18禁ヒーロー「ミッドナイト」が挙手する。
「いえ、確かに出身地も気になりますけど…この名字!校長、まさかこの子は…」
「なにを隠そう、とは思ってなかったんだが私の義理の娘さ。ミッドナイト」
それに反応したのは新参者故にずっと黙っていたオールマイト……には一見見えない骸骨の様な痩せこけた男。
「彼女は私が昔、コネクションと呼ばれるヴィラン組織から救い出した娘なんだ。生まれは特殊だが、普通の女の子だ。身よりもなく、養護施設に入れられると知った途端発狂して周囲の人間に危害を加えようとした彼女を私は養子として引き取った。自分を卑下し家族に飢えているが、こんな私を継ぐためにヒーローになろうとするいい子なんだ」
そう語るオールマイトの口調は穏やかで。教師陣は静かに聞き入る。
「実際の出身地は不明だが何も書かないのはよくないとクエスチョンマークで書いたのだろう。根が真面目ないい子でね。だが勘違いしないでほしい、私は彼女を鍛えたりはしていない。アレは彼女自身の力さ。だから、私の養子だからと特別に扱わないでほしい」
「と、そういうわけさ!もちろん生徒には他言無用だよ!」
続いた根津校長の言葉に頷く教師陣。安心したのか胸を撫で下ろすオールマイト。しかし個性「ハイスペック」を持つ根津校長はエヴリンの危険性も理解していた。
「オールマイトには悪いけど今の説明通り、個性の暴走を起こして人を殺しかけたことがあるのは事実さ。だからいつでも止められるように相澤君。君のクラスに入れたいんだけどいいかな?」
根津校長が視線を向けたのは、ボサボサ髪で黒づくめのヒーロー、イレイザーヘッドこと相澤消太。個性「抹消」を持ち暴走する個性相手でも止めることができる数少ないヒーローだ。
「半ば強制でしょう校長。俺はオールマイトの娘だからって特別扱いする気はありませんし、別にいいですけど……見込みなしと判断したらすぐ除籍しますよ。いいんですか?」
「君がそう判断するなら仕方ない。だけど、0ポイント
「…そうですね。俺も同感です」
エヴリンが繰り出したあの「Louisiana・Smash」に思うところがあったのか頷くイレイザーヘッド。そして会議は続いて行くのだった。
雄英入試から一週間。筆記は前世の「勉強」もあって問題なかったし、実技も結構稼げたと思うから心配はしてないけどやっぱり不安をぬぐえないまま迎えた今日は休日。パパは最近さらに忙しいのか夜しか会えないけど、どうしたんだろ?
「郵便でーす。八木さーん、いらっしゃいますかー?」
「あ、はーい」
ここはパパが日本に腰を据えるために一年前に購入した一軒家だ。結構引っ越ししまくる日常だけどどうせ本当の友達はできないし気にしてない。…いやまあ、一人いるけど、多分今年会えるかな?
「えっとお嬢ちゃん?家の人とかいないかな?」
「…私、15歳です。ハンコならあります」
「え、あ、申し訳ありませんでした!」
謝りながら荷物を渡して去って行く宅配便のお兄さん。初見の人に小学生と間違えられるのはもう慣れた。前世は三年も経たずにおばあちゃんになっちゃったのに、今世は逆に全然成長しないの本当に何で。運命レベルで前世に年齢を吸われたんじゃなかろうか。そうだ、きっとそれに違いない。ところでこの荷物は何だろうか?差出人は…雄英、ってことは。
≪「私が投影された!」≫
「びっくりした」
雄英からの合否判定の通知書だと思ってたら円盤みたいななにかからパパが立体映像で出てくるんだからびっくりした。マッスルフォームだけど辛くないのだろうか。しかしこの世界、前世より科学技術が進んでるのは何気にいいと思う。あの人のおかげなのかな?
≪「やあエヴリン。私が投影されて驚いている姿が目に浮かぶよ。何故私が出るのかって?実は驚かせたくて内緒にしてたんだけど…私はこの春から雄英高校の教師となったのさ!」≫
「もっとびっくりした!?」
だからパパ、この一年なんか忙しかったのか。納得した。
≪「え、なに?後が押してるから早く?あ、はい。それで早速結果発表だが…文句なしの合格、それも二位ときた!実は
そう言って立体映像は消えた。……最後かっこつけてたけど、今度パパ本人に見せて虐めてやろう。私に大事なこと隠してたんだからそれぐらいいいよね?……………合格かあ。実感がわかない。しかも二位なんて。まあ確かにモールデッドで荒稼ぎしたけど………カエルっぽい女の子を助けたのは打算とかじゃなくて、ヒーローなら…パパなら、オールマイトならああしてたからやっただけなんだよなあ。こんな私がヒーローになってもいいのかな?
【ベイカー家の人々が知ったらどう思うかな?】
………ゾイに知られたら散々罵倒されて否定されそうだけど、パパが認めてくれたんだ。絶対にヒーローになってやる。
プロフィールの小ネタに気付けた人は仲良くなれる。今更ながら出久や爆豪と同じ学校でもよかったかもしれないと若干後悔してます。ただ爆豪とは致命的に相性悪いからなあ。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。