今回は体育祭第一種目。楽しんでいただけたら幸いです。
『ついに始まった雄英体育祭!ヒーローの卵たちが、我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!どうせテメーらアレだろ、こいつらだろ!?ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!ヒーロー科!1年A組だろぉお!?』
「うわぁ!スタジアム満席だよ!」
葉隠が周りを見渡して感嘆の声を上げた。他のクラスメイトたちも観客を意識して緊張したり興奮したりしているようだった。例年ならば一番人気のあるスタジアムは3年生の会場なのだが、プレゼント・マイクが言ったように二週間前にヴィランの襲撃を凌いだ1年A組を一目見ようと、1年の会場に大勢の観客が集まっていた。
「わああああ……ひ、人がすんごい…」
「奇遇だね緑谷…同じ気持ちだよ…」
「落ち着きたまえ緑谷君、八木君。大人数に見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるか…!これもまたヒーローとしての身に付ける一環なんだろう」
「じゃあ私無理ィ」
「さっきまでの威勢はどうした八木君!?」
いやだって眩しすぎて吐きそうなんだもん。委員長にはわからないんだよ日陰者の気持ちなんか。
【そんな気分で大丈夫か?】
「大丈夫じゃない、大問題だ」
「ハッ、エヴリン。それで俺に勝つって言ってんのか?」
「なんだと。こんな状態でも楽勝だもん!」
「やれるもんならやってみろ。…万全でもねえ奴に勝っても意味がねえ。完膚なきまでに叩き潰してやる」
鼻で笑ってくる爆豪にカチンときたが、そんなことを言われて思わず黙ってしまった。…いいね、それ。相手の体調が悪かったとかを理由にされたくないもんね。並んだ私達に続き、同じヒーロー科のB組、普通科のC・D・E組、サポート科のF・G・H組、経営科と続いて出てくるが、みんなA組が目立ってて文句ありそうな顔だ。文句があるなら言ってみろ、テレビカメラの前で。それぐらいの意気は見せて欲しい物だ。
「選手宣誓!選手代表、爆豪勝己!」
どうやら今年の1年主審は18禁ヒーロー、ミッドナイトの様だ。常闇が「18禁なのに高校にいていいものか」とぼやき峰田の馬鹿が「いい」と肯定していた。いや本当になんで高校の先生をやってるんだろうね?そして選手代表である入試一位通過である爆豪が朝礼台?に上がる。
「せんせー。俺が一位になる」
「「「絶対やると思った!!」」」
【知ってた】
だよねー。気付いている人がいるのかは知らないけど自分を追い込むのは爆豪らしいや。そしてさっそく発表された第一種目、通称「振り分け」「予選」「
【どうする?全員洗脳する?】
やだよ。どんなヴィランだ。スタートゲートすぐにトンネルがあって、間違いなくこの数だと混むな。…それにこうも集まっていると焦凍が早速仕掛けてきそう。私は冷気が苦手だから仕掛けられたらそこで脱落しちゃうな。
「よーし」
足元の影に被せる様に黒カビを展開、そこから異形の顔を覗かせる。私の体躯じゃそもそも押し負けるからこれぐらいいいよね。
「スタート!」
瞬間、トンネルに殺到する生徒たち。やっぱりトンネルが狭すぎてつっかえた。その上を、私は壁伝いに天井を走っていち早く前に出る、クイック・モールデッドの背にしがみついて。ちなみに実況はプレゼントマイク先生で、解説は相澤先生らしい。
「あ、八木ずりぃぞ!」
「そう言ってる暇ないと思うよ」
峰田がぶーぶー文句言ってくるけど瞬間足場が凍り付いて大半が動きを停止される。焦凍の凍結だ。これで大半は足止めか。
「そう上手くいかせねえよ半分野郎!」
爆豪を筆頭に、こうなることを読めていたであろう爆豪を筆頭にA組が飛び出してくる。B組の何人かとあの普通科の根暗君も無事だ。さすがだ、だけど!焦凍の前に出れた!
「焦凍、おさき!」
「っぱ、速いなそいつ!」
≪「おーっと!大半の連中を氷漬けにした轟を出しぬいて抜きんでたのは八木エヴリン!個性は諸事情で今は語らないでおくが、実際何の個性なんだあの怪物?」≫
≪「教える訳がないだろう。一つ言えるのは、八木の奴が研鑽して作り上げた成果の一つだ」≫
表向きの個性「カビ」については一応口止めしておいた。だって食事中に観ている人だっているもんね。すると前に立ちはだかってきたのは、見覚えのある
≪「さあいきなり障害物だあ!まずは手始め……第一関門、ロボ・インフェルノ!もう一度確認するぜ、第一種目は障害物競走!この特設スタジアムの外周を一周してゴールだぜ!ルールはコースアウトしさえしなければなんでもありの残虐チキンレースだ!各所に設置されたカメラロボが興奮をお届けするぜ!」≫
「邪魔っだあ!
四つん這いで走るクイック・モールデッドの背に脚を固定して立ち上がり、すれ違いざまに右腕に展開したブレード・モールデッドの刃で切り捨てて行くと、目の前にはあの0P仮想
【邪魔だなあ。また壊そうよ、私】
「いいね、壊そうか」
クイック・モールデッドに大きく跳躍させ、巨大ロボの眼前まで上昇。水筒の水をぐびぐびと飲んで喉を潤すとブレードから変形した異形の右拳を握り、振りかぶると右肩まで覆うように、黒カビでパパの筋肉を再現。幼い容姿のこの身に似合わぬ剛腕を構えて、再び巨大ロボの顔面に叩き込む。
「Louisiana・Smash!」
私にとって因縁の地でもある土地の名前を借りた一撃は、再度巨大ロボの顔面を半壊させ、その巨体の残骸を崩れ落ちさせるとそのままクイック・モールデッドは残骸に着地して再び跳躍。進路上に立ちはだかる巨大ロボにもう一度拳を叩き込んで破壊した。
≪「ああーっと!巨大ロボがまったく意味をなさない!子供にしか見えないその容姿のどこにそんなパワーが秘められているのか、1‐A八木エヴリンッ!!続いて凍結で巨大ロボを凍らせ崩壊させた轟、そもそも意味ねえとばかりに乗り越えた爆豪が続く!こいつぁクレバーでシヴィー!!すげえなA組!アレだな、もうなんか……ズリィな!」≫
≪「別にあいつらの個性が強力じゃない…とはいわない。だがあれは鍛え抜いたうえでの力だ。ずるくはない」≫
≪「おっと、イレイザー。そいつぁ悪かった!」≫
そんな会話を聞きながらクイック・モールデッドに体勢を変えてしがみ付いて進んでいると、なんかすごい所に出た。石柱がいくつも立っていてその間にロープが張られただけの巨大落とし穴だ。
≪「オイオイトップはもう既に第二関門かよ!第一関門チョロイってよ!んじゃ第二はどうさ!落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!ザ・フォーール!!」≫
「うちの子は優秀なんだから関係ないね!」
【クイックは我ながら傑作】
≪「ああっ!またもやこの女!八木エヴリン!!乗っている怪物で普通に乗り継いでいくッ!全く意味ないな困ったぜこりゃ!」≫
ピョンッピョンっと飛び越えて行く。邪魔もないから楽勝だなーとか考えていたら寒気がしてきた。振り向くと、凍結したロープを走ってくる焦凍と、空を飛んでくる爆豪がすぐそこまで迫っていた。
「うえぇえっ!?うちの子すごく速いのに追い付いてきたの!?」
【天才は違うね】
「はっ!体が温まって来たからなあ!ここからだ!」
「負けるわけにはいかねえんだ…エヴリン!」
「じゃあこっちも隠し玉!」
「「!?」」
ザ・フォールを通り過ぎると「よっ」と飛び降りて影…に見せかけた黒カビの中にクイック・モールデッドを回収。走り出しながら足元に展開した黒カビからファット・モールデッドを繰り出すと、そのまま私達の間で自爆させる。
「なあっ!?」
「ぐっ!?」
「爆発は爆豪だけの専売特許じゃないよ!」
言いながら再びクイック・モールデッドを繰り出して背に乗り先を急ぐ。一体ずつしか出せないけど切り替えて行けば何とかなるな。えっと、焦凍が二位で爆豪が三位か。緑谷は……だいぶ後ろだな。気にしなくてもよさそう、かな。
【特大フラグを立てて行くスタイル】
「そんなことはないから…!?」
とか言ってたら足元が爆発して私は宙を舞っていた。フラグ回収速すぎる~~~~!?
カビの個性フル活用で突き進むエヴリン。ただしお茶の間に個性は内緒。しょうがないね。
部位だけブレード・モールデッド化したりと地味に進化。隠し玉のファットで有利に立ちながら地雷を踏み抜くスタイル。
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