今回はVSヴィラン連合。楽しんでいただけたら幸いです。
「一固まりになって動くな!13号、生徒を守れ!あれは
即座にゴーグルを下ろし首元に巻いている捕縛布を構えて臨戦態勢となった相澤先生の警告の声と、黒い靄から現れた数えきれない数の
「ヴィラン!?バカだろ!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」
「何にせよセンサーが反応してねぇのなら、向こうにそういう事が出来る
誰かの叫びに焦凍が冷静に状況を判断して言い放ち、場の緊張度が更に増す。同感だ、焦凍。前世で「悪」だった私の目からは他のヴィランはそんなに脅威に見えなかったが、黒い靄と手野郎を含めた中央の4人がヤバい。
「先日いただいた教師側のカリキュラムでは、オールマイトがここにいるはずなのですが…」
「どこだよ…せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ…オールマイト…平和の象徴が居ないなんて……子供を殺せばくるのかな?」
手野郎は多分弱い、殺気だけは本物だけど。黒い靄野郎はあの大量のヴィランたちを引き入れたであろう個性が厄介だが、不意打ちできれば勝てそうだ。だけど…
「……」
脳みそがむき出しで鳥みたいな顔をした全身黒い筋肉ダルマ。何も感じないのが逆に不気味だ。
「すたあず…」
さっき聞こえた咆哮の主であろう、黒い鋼帯で顔を覆って肩に何かしらの武器を抱えた黒コートの三メートルぐらいの大男。この二人が特にヤバいと、私の本性が警鐘を鳴らす。アレは同類だと。
「13号避難開始!学校に連絡試せ!センサー対策も頭にあるヴィランだ。電波系の個性が妨害している可能性もある。上鳴、お前も個性で連絡試せ」
「っス!」
相澤先生に言われて金髪の上鳴が慌てながらも個性を利用した連絡を試しているが妨害されてるのは確実らしい。
「先生は!1人で戦うんですか!?無茶です!イレイザーヘッドは正面戦闘は苦手だったはず…」
「一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号、生徒を任せたぞ」
緑谷の制止にそう言って飛び出し、捕縛布を巧みに操り雑魚ヴィランを圧倒する相澤先生。ゴーグルで視線を隠して「消去」を活用して誰の個性を消したのか悟らせないようにしてるのか、強すぎる。だけどヤバそうな4人は動いてないな。不穏だ。そう思いながら13号先生の先導で避難しようと出口に向かう私達。
「逃がしませんよ」
「すたぁず」
そんな私達の前に黒い靄と共に、靄野郎と大男が瞬間移動してきて立ちはだかった。確信した。あの職員室での逃走は、靄の身体が個性なんかじゃなくてワープゲートの個性か!咄嗟に構える皆に倣って私も右腕を異形の物に変えて構える。
「初めまして。我々はヴィラン連合。僭越ながらこの度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは平和の象徴、オールマイトに息絶えて頂きたく、この雄英に入学した彼の子供を攫いたい、と思っての事でして」
「オールマイトを殺す、だって!?」
「オールマイトの子供!?」
え、私?咄嗟に焦凍が私を見るのは分かる。なのになんで緑谷まで私を見てるの?他のクラスメイトが気付いてないからいいけどさ。すると13号先生が個性を使おうと構える前に飛び出す二つの影があった、爆豪と切島だ。
「その前に俺たちにやられる事は考えてなかったか!?」
「ダメだ!どきなさい2人とも!」
13号先生の制止虚しく。爆豪と切島の攻撃は靄野郎を擦り抜け、側に待機していた大男が即座に動き切島を拳で殴り飛ばし、爆豪を掴みあげ13号先生目掛けて投げつける。その際、爆破が頭部の黒布を取り払ったが、その下からはおよそ人間とは思えない醜悪な素顔が出てきた。
「危ない危ない。生徒といえど優秀な金の卵、油断はしませんよ。私の役目を果たすその前に、オールマイトの子供を捕らえるとしましょう。これは
「すたあず!」
一声上げたかと思えば、こちらに一直線に突撃してくるネメシスと呼ばれた黒コートのヴィラン。みんなが慌てて横に避ける中で、私も逃げようとしたところをネメシスの右手首から伸びた触手で首を絞められてしまう。ジタバタもがくが小さな手足は当てる事すら叶わない。
「ぐうっ…!?」
「えっ、エヴリンちゃんがオールマイトの子供!?」
「言ってる場合か!エヴリンを離せ!」
皆の驚きを体現した葉隠の疑問の声を一蹴し、冷気を放とうとするが私を盾にされてやめる焦凍。緑谷も無謀に飛びかかろうとしていたが、その背後で奴が動くのが見えてしまう。
「だめ、みんな……後ろ…」
「散らして、嬲り、殺す!」
広がる黒い靄。飲み込まれていくクラスメイトたち。私もネメシスごと靄に飲み込まれ、気付いた時には手野郎の前にいた。ネメシスの肩越しに雑魚ヴィランを蹴散らしながらこちらに驚愕の目を向ける相澤先生の姿が見えた。面目ない…。
「この地味な餓鬼がオールマイトの子供ってマジ?期待してたのに損したぜ。こりゃお前がいないと分からなかった、よくやったネメシス。そのまま捕らえてろ。大事な大事なクラスメイトが惨たらしく死んでいく様を特等席で見てもらおうか」
「…地味で、悪かったね…でも、私のクラスメイトは強いよ…!」
「そうかいお姫様。でも大人しくしていてくれよ?そいつが加減しているのはあくまで、お前にヴィランに目覚めてもらうためなんだからなあ?」
「誰が、ヴィランに、なってたまるかぁああああああ!」
何とか意識を集中して水分を自由な左腕に回してブレード・モールデッドの物に黒カビを形成。感触から鋼鉄製であろうネメシスのコートを貫いて胴体に突き刺す。すると予想外のダメージを受けたためかネメシスはよろめいて私を投げ捨てた。
「腕の一本は覚悟してよね…!」
「ちっ。脳無」
上空に投げられた私はブレードをそのまま手野郎に振り下ろすも、手野郎の言葉にそれまでうんともすんともしなかった脳みそ野郎…脳無とやらが動き出し、ブレードごと私の左腕をへし折って殴りつけてきたので咄嗟に右手で掴んだ水筒を盾に防ぐも、パパの一撃と見紛う衝撃までは防げず土砂崩れの様なエリアまで殴り飛ばされてしまった。
「ちっ、やりすぎだ脳無。死んじまったら先生に怒られるだろ。おいおい、なにやってんだネメシス。お前が追跡者じゃなきゃここで殺していたとこだぜ。五体満足じゃなくてもいいからあの生意気な餓鬼を捕まえてここまで連れてこい。お前の「追跡」からは誰も逃げられねえことを教えてやれ」
「スタァアアアアアアアッズ!!!」
殴り飛ばされる刹那、そんな会話が聞こえて。折れた左腕をブラブラさせながら吹き飛んでいると、なんか寒いなあと感じた途端、誰かに受け止められる。誰なのかと見てみると、誰もいなかった。
「大丈夫!?エヴリンちゃん!」
前言撤回。葉隠だった。そして周りには氷漬けにされてるヴィラン達。もしかして、と思っていると氷の陰から焦凍が出てきた。
「エヴリン!無事か?…それに葉隠、いたのか…」
「えー、ひどいよ、轟君!」
「ダメ、二人とも私を置いて逃げて…」
痛みに悶えながらも二人を逃がそうとするも遅かった。赤い照準光が近くの氷に差して複雑に輝き、気付いた時にはロケット弾頭が飛んできていて。奴は私を捕まえるのではなく殺す気なのだろうか。
「あぶねえ!」
焦凍が瞬時に展開した氷壁が大爆発を受け止め、罅割れて崩れ落ちる。その影響による白い靄を振り払うようにして、ロケットランチャーを手にしたネメシスが現れた。
「ああもう、しつこい!」
「エヴリンちゃんだけに戦わせないよ!」
「これ以上、手出しはさせねえ!」
「スタァアアアアズッ!!」
そして私達は、初めて出くわす明確な悪意に力を合わせて立ち向かうのだった。とりあえずこいつをさっさと倒してあの舐め腐った手野郎を一発ブッ飛ばしてやるんだから!
本当はハンターとかも出したかったけどさすがに自重した。
・
【追跡】補足した相手をサーチする個性。どんなに離れていても位置情報が手に取るようにわかる。一挙手一投足まで見えるので補足された人間の攻撃を回避しやすい。
【寄生触手】クジラに寄生するハダムシの様に己が身に寄生している触手。株分けして他者に植え付けて操ることも可能。
【筋力増強】増強系の個性。オールマイト程ではないが超パワー・スピードを発揮できる。
この世界に置けるネメシス。容姿はRE3基準。とある企業に人体改造されたクローンを用いた生体兵器「タイラント」に何者かが複数の個性を与えて生まれたエヴリンを捕獲するためだけの存在。ヴィラン連合ととある企業の合作ともいえるヴィラン。サポートアイテムである鋼鉄製のコートを身に纏い、ロケットランチャーで獲物を追い詰める。何故か「すたあず」としか喋れないが知能は高い。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。