アサルトリリィ SPRING BOUQUET   作:Rαυs

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みなさんお久しぶりですRαυsです。
今回はこれまで考えてきたオリジナル展開などを短くざっくりとまとめて投稿しようとしていたのに、どうしてこうなった?
予定では6000か4000文字くらいだったのですが、短いどころか文字数最長記録を更新しました。
月1に1話、出来れば2話とかいいつつ2ヶ月に1話のペースになってしまっているの本当に申し訳ないです…。

それでは本編をお楽しみください。





2021/11/20
文章の一部を編集。

2022/1/17
文章の一部を編集。

2022/7/14
後書きの文章の一部を変更。


{第3.5話}サヴァイヴ(S U R V I V E)

──『彼を知り己を知れば百戦危うからず』──

 

 

 

──今の貴女に必要な事だと、私は思う…

 

 

 

 

 

──まずは、『目標』を見つけること

 

 

 

 

 

──ソラちゃんでもいい、梅ちゃんでもいい

  お姉様や先生でもいい、私以外の誰かを…

 

 

 

 

──あとは……『仲間』も、かな?

 

 

 

 

──まぁそれはまだ先の話だね…

 

 

 

 

──もう、そんな顔しないの…私は大丈夫

 

 

 

 

 

──聞いてりんりん、貴女は、まだまだ強くなれる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──だから生きて──

 

 

 

──生きて…生きて…生き残って…

 

 

 

 

───この理不尽な世界で生き残るの、そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──強くなりなさい、神琳──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それがお姉様、定盛姫騎(さだもりひめの)がわたくし、(くぉ)神琳(しぇんりん)に残した最期の言葉でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 定盛姫騎さま。

 

 将来、守護天使の契りを結ぶ事を誓った私にとって唯一無二の存在。

 

 たった一人のお姉様。

 

6月22日生まれ。

血液型 B型。

レギオンは未所属。

好きなものはシフォンケーキ。

 

 そして、少し変ですが妹である定盛姫歌(さだもりひめか)さんと私。

 今思うとそれって、もしかしてそういう……いえ、ないですね。

 

苦手なものは雪、寒いところ。

趣味特技は裁縫、ヘアアレンジ、踊ること。

レアスキルは『この世の理』と『レジスタ』のサブスキルの複合体である『ファンタジスタ』。

サブスキルは『Awakening』で、いわゆるブレーカー持ちです。

使用するCHARMはデュランダルの姉妹機である『オートクレール』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 西暦2048年4月。

学院の広い庭園に咲く一本の大きな桜の木の下でわたくしとお姉様は出逢いました。

その日は私が初等科6年、お姉様は中等部に進級した日で、いつものように気分転換で足を運んだ時です。

お姉様も私と同じように気分転換をしにきてたようです。

 

 最初は何気のない普通の会話だけでした。

それをきっかけにわたくしとお姉様は学内での日常会話から、お昼、訓練と、気がついたら常にお側に居る関係へとなって行き、果てには守護天使にまで…。

まるで夢のような日々でした。

 

 お姉様はあのシェリス・ヤコブセン先生を師に持ち、中等部1年にしてニアSランクという異例の存在で、その活躍ぶりから『百合ヶ丘の舞姫』または『戦姫(せんき)』の二つ名で学院内だけでなく他のガーデンでもその名を轟かせていました。

その為、そんな戦姫と共にいる私は一時期注目の的となっていました。

中には強い嫉妬を抱く方々もいて度々呼び出される事もありました…ですが、そのたびにクラスメイトの子達や、お姉様のご友人である天葉様達に守って頂いていました…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、わたくしはいつも守られてばかりでした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────

{ 第3.5話 }

サヴァイヴ

SURVIVE

Don't take me now

-×-

[ たった一度のイノチは… ]

───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 西暦2049年6月。

中等部ソルジャーランク昇格試験最終日、実技試験。

 

 それが、悪夢(すべて)の始まり。

 

 毎年3回、2日かけて行われる中等部の昇格試験その1学期の部。

初日は筆記試験で最終日は各ガーデンを交えた実技試験といった形で行われ、実技試験の内容はいわゆる勝ち抜き方式と言うものです。

 

 エリアディフェンスを使い、試験用に造られた広大な森林のフィールド『ミュルクヴィズ』に、スモールからギガントまでの様々な模擬ヒュージを投入し、採点をしてくださる監督兼護衛役のリリィを連れ己の限界が来るまで戦い抜くといった内容で、単独、もしくは2人1組で挑むことができます。

 

 勿論、わたくしはお姉様と組みました。

組み合わせはお姉様がAZ(前衛)で私がBZ(後衛)なのですが、私のランクがC+、そしてお姉様のランクがS−と言う事もあって私たちが挑戦する難易度は最初からAランクという状態まで上げられました。

 

 その日は生憎の雨でしたが、日々お姉様に直接鍛えてもらっていた事もあって問題なく勝ち抜いていましたが、正直な話お姉様の単独無双状態でした。

 

 ですがそこにアイツ、特型ギガント級が現れました。

数は7体で、その内の1体がわたくしたちの前に姿を現しました。

その頃の体長はラージ級に近かったですが、その後に発見された個体がギガント級のレベルまで到達していた為、ギガント級と認定されました。

 

 何の前触れもなく唐突に現れた正体不明の不気味な存在に場は騒然とし、それに追い討ちをかけるかのように大量のスモールからミドルまでのヒュージと複数のラージ級が出現しました。

 

 その場にいたリリィ達は救援を呼ぼうとインカムなどで連絡を試みますが原因不明の通信障害により連絡を取る事もできず余計に混乱を招く事態となっていました。

 

 その頃はまだ特型ギガント級の発見情報が全くなかった為その場にいた全員にとって初見の状態でした。

 

 激しくなる雨に加え、鳴り響く雷鳴。

それに加え、まるでSFホラー映画に登場するクリーチャーの様な見た目というだけで戦場のリリィ達の恐怖を駆り立る材料としては十分で、まともな判断が出来ていたのはわたくしやお姉様、5名の監督役のリリィでした。

 

 わたくしやお姉様は2人でギガント級の、監督役のリリィ3人は大量のミドル、スモールとラージ級の足止め。そして残りの2人は混乱状態の試験生を連れ撤退及び救援要請。という形で編成されました。

 

 なんとか善戦していましたが、相手は知能が高いのか標的をお姉様から、わたくしへと変更し、集中的に狙う事で一気に戦術を崩してきました。

 

 そしてアイツは一瞬の隙を突き、その手に持つ凶器で私を───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

守るように覆い被さるお姉様を(・・・・)斬りつけました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同年、7月。

あの悪夢の日から数日が経ちました。

再試験に参加し、わたくしは晴れて第1の目標であるBランクへと昇格しました。

 

 ですが、それを祝ってくれるあの方はもう居ない。

 

 あの日からわたくしに向けられる周りの目は様々な物でした。

嫉妬、憎悪、恐怖、嫌悪、同情…と、どれもいい物ではありません。

 

 原因はあの日、いや『ミュルクヴィズの悲劇』です。

負傷したお姉様はわたくしを逃がし、たった1人でその場に残り立ち向かいました。

それに比べ私はお姉様の言葉に従うように、必死に、無様に、泣き喚きながら逃げ出しました。

 

 そう、逃げたのです、撤退ではなく。

自分という弱点を突かれ、足枷となり、何も出来ず、最愛の人に守られ、傷付けてしまった。

 

 お姉様を除いた試験生は全員無事に帰投。

その1時間後に討伐班と救護班が到着し、直ちにヒュージの討伐を開始しました。

ヒュージは瞬く間に制圧され、残っていたリリィ達も救護されましたが、その中にお姉様の姿はありませんでした。

 

 お姉様は行方不明扱いとされ、捜索活動が開始されましたが発見される事はなく、その2日後にわたくしと別れた地点から遠く離れた場所に激しい戦闘の後が発見され、そこにはギガント級、そしてスモール、ミドル、ラージ級の死骸が複数発見され、その付近に───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボロボロになり、血塗れとなったお姉様のCHARM『アルタキアラ』が発見されました。

 

 

 

 

 

 CHARMはリリィにとって身体の一部。

 

 つまり───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その報告を聞いた後の事はよく覚えていません。

ただ、あの日のようにひたすら泣き喚いていた事だけは覚えています。

 

 その後の数日間は部屋に篭りっぱなしの生活が続いていました。

ルームメイトの子はわたくしの心情を悟ってか、別の部屋に寝泊まりし、あえて私を1人にしてくれました。

クラスメイトの子と一緒に食事などを持って来てくれたりと、あの方々には本当に頭が上がりません…。

 

 葬儀の日は参加すらせず、気を紛らわすようにあの桜の木の元へ行きました。流石に花は完全に散り、木ノ葉だらけになっていますが…。

 

そして目的地付近へ着くとそこには複数の人影があり、私は思わず近くの茂みに身を隠してしまいました。

影の正体は天葉様、梅様、夢結様、依奈様、聖様、茜様、とお姉様とよく一緒にいらっしゃる…いわゆる仲良し組でした。

様子がおかしく、天葉様が梅様に抱きつき、それを慰めるように他の方々が寄り添っていました。

気付かれないように会話が聞き取れるぐらいの距離まで近づくと、(すす)り泣く声と共に、天葉様の口から苦痛の叫びが耳に入ってきました。

 

 その言葉を聞いた瞬間、私はその場から逃げ出してしまいました…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで、わたくしは傷つける事しかできないの…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 西暦2050年1月。

あっと言う間に月日が流れ、年が明けてしまいました。

わたくしはあれから無事に復帰し、元通りとは言えないですが日常を取り戻していました。

 

 あの出来事があってから私は天葉様達を避けるようになってしまい、それ原因なのか一部の生徒、もとい天葉様達を慕う生徒達から余計に不興を買う事になりました。

わたくしと接触を図ろうとする天葉様達に対してそのような対応をすればそうなるのは必然ですよね…。

1人で訓練などをしている時に茜様と鉢合わせしてしまう、と言うこともありました。

 

 他には『竜爪山研究所強化リリィ救出作戦』という大きな作戦がニュースで報道されていました。

細かな所までは説明されていませんでしたが、大量の死亡者、違法CHARMに改造ヒュージと想像しただけでゾッとするような内容が語られていました。

そこで救助されたリリィは施設やガーデンに保護される事となっているらしく、先日その重症患者が1人この百合ヶ丘に運ばれてきたそうです。

流石に名前や年齢などの個人情報は公開されていませんが、その方は強化の後遺症が酷く、しばらくは入院生活を送るのだとか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 6月。

中等部2年となり気がついたら1ヶ月以上もの月日が経っていました。

わたくしは去年に続き学級委員長を務める事となりました。というのも誰もやりたがらないから仕方なく、ですが。

 

 今月は『甲州撤退戦』があり、夢結様のシルトである、川添美鈴(かわぞえみすず)様が亡くなり、夢結様がその犯人に仕立て上げられてしまいました。

それに加え、『死神』なんて異名まで…。

夢結様に癒えない傷跡を残す悲劇の1ヶ月となってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 7月。

夏休みに入る直前。

この百合ヶ丘に2名の転入生がやってきました。

1人はわたくしと同じ中等科2年生の安藤鶴紗さん、もう1人は3年生の村雨燈華さんという方です。

どちらもシェリス先生が連れてきた優秀なリリィ、と当初はもっぱらの噂でしたが…。

 

 安藤鶴紗さんは普通?とは言い難い雰囲気でしたがリリィでした、リリィだったのですが…。

 

 村雨燈華様は女性ではなく…………………殿方でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 7月○日。

 男性のリリィ…いやローゼンが百合ヶ丘女学院に現れた事で学院中がそれはもう大騒動となりました。

第一印象はなんというか、獰猛な獣…番犬のような印象でした。あの目で睨まれるだけで背筋が凍りそうな、そんな威圧があります。

 

 そしてあの『日の出町の惨劇』に突如として乱入し、単独で場を荒らした謎のローゼン、『日の出町の猛獣』の正体も彼だったらしく、その実績で天葉様達と同じAAAランクまで上り詰めたらしいです。

 

 学院内での様子は教室が離れているので詳しくは知りませんが、天葉様や梅様と一緒に居る所をよく見かけます。

ときどき依奈様や聖様も側におりますが、依奈様に関しては聖様の後ろに隠れて怯えてるような、警戒しているような…そんな様子が窺えられます。

 

 最初の彼は鬱陶しい者を見るような目で天葉様達を見て相手にしていましたが、最近は諦めたのか仕方ないと言った様子で天葉様達と接しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 9月。

夏休みが終わり、風が少し涼しく感じる季節となってきました。

休みが終わり、宿題が…と騒いている方や、休みがまだ欲しい…と嘆いている方、と去年と変わらずいつも通りの日常でした。

 

 気になる点と言えば転入生の安藤鶴紗さんでしょうか。

わたくしと同じで窓側の席なのですが、いつも1人で黄昏れています、話しかけづらいのか誰も鶴紗さんに話しかけようとしません。

当初は話しかける方々はいたのですが、鶴紗さんは一言だけ言ってその場を立ち去ってしまうので皆さんどう接していいのか分からなくなってしまいました。

 

 わたくしも黄昏れて外を見ていると、彼が庭園にある小さな木を影に、芝生の上で横になって(くつろ)いでいました。

その隣には2本の尻尾が生えた黒猫もいます。

最近はよくああいう風に寛いでいる場面を見かけます。

転入初日にも思ったのですが、なぜ猫?いつの間にか人気者となっていますが、あの子…えっとパルさん?は色々と謎が多い気がします。

 

 そんな風に考えているといつの間にか猫が5匹程に増えていました。

羨ま…じゃなくて、今は授業中のはず、出席しなくて大丈夫なのでしょうか…。

 

 そう思っていたら授業の終わりを告げるチャイムが鳴っていました。

再び彼の方を見るとそこには高等部1年の出江史房様が彼の目の前に立ち塞がっていました。恐らく授業をサボっている彼を叱りに来たのでしょう。ですが高等部と中等部の校舎は分かれているのにどうしてわざわざ…。

そこからはお約束と言った感じで2人の口論が始まります。

あの方達、仲が悪いのか良いのか本当によく分からないです。

 

 それからも彼はあの芝生で猫達と共に時間を過ごしては史房様と口論になっています。

ある日は三毛猫と過ごし、ある日は虎猫と過ごし、ある日は白猫と過ごし、ある日は鶴紗さんと過ごし…とかなりのんびりとしては毎回史房様と口喧嘩を……………………って、あれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 9月△日。

クラスメイトとお昼を食べに食堂へ向かっていると、彼と史房様が口喧嘩をしている場面に遭遇しました。

相変わらず仲が良いのか悪いのか分かりません。

屋外なのでそれなりに注目されていて周りの方々は見慣れているのか苦笑いをして、側にいる天葉様達は顔に手を当てて呆れています。

 

 するといきなり、2人の会話を遮る様に強い風が吹きました。

皆それぞれ思わずスカートを押さえたり、顔に手を当てたりとしますが…わたくしは見てしまいました。

 

史房様のスカートが捲れ上がっているのを。

 

 運が悪いのか何故か前だけが盛大に広がっていました。

左右は奇跡的にギリギリスカートで、前方は彼が立っているので誰にも見られてはいませんでしたが、位置的に恐らく彼には……。

 

 すると彼は何やら悪巧みをするような表情となり、史房様に何かを吹き込みました。

すると史房様は今にも爆発しそうな程に真っ赤に顔を染めて──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──村雨燈華!私と決闘(デュエル)しなさい!──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──と、果たし合いを所望しました。

その試合は後日、闘技場で行われたのですが、わたくしは委員の仕事があったので観戦する事ができませんでした。

かなり盛り上がっていたらしく、結果は痛み分け。と言うのも、それ以上続けるとどちらかが死ぬまでやりかねないので2年生の山崎明伽様が間に入って試合を中止させたのだとか。

 

 その後、2人とも明伽様こってりと叱られたと聞きましたが、真相は定かではないです。

気のせいかそれ以降2人の距離が少し縮まった気もします。

 

 試合で魅せた彼の戦い方がお姉様、定盛姫騎を彷彿(ほうふつ)とさせる。という理由で彼は『戦姫の再来』と言われる様になりました。

私はそれを聞いて少し…いえ、かなり不快でした。

 

 『戦姫』はお姉様だけの名なのだから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 10月。

海浜幕張の周辺地域でヒュージの出現が頻繁になった上に、新たなヒュージの出現も確認されたらしく、御台場女学校から百合ヶ丘女学院に救援要請が来ました。

ですが、最近はあちこちで謎の人型ヒュージが出現している為、こちらの主力レギオンのほとんどが外征に出向いている状態で応援に行ける程の実力を持つレギオンがいませんでした。

 

 そこで、史房様を筆頭に天葉様、梅様、依奈様、聖様、夢結様、茜様、そして竹腰千華(たけごしちはな)様、長谷部冬佳(はせべとうか)様、と『甲州撤退戦』以降現在活動を休止しているアールヴヘイムメンバーに彼、村雨燈華様を加えた合計10名の特別遠征レギオン『出江小隊』が結成されました。

 

 ポジションは──

AZ(前衛)の夢結様、梅様、村雨様。

TZ(中衛)の依奈様、聖様、茜様。

BZ(後衛)の天葉様、千華様、冬佳様。

そして、史房様が戦況によってポジションを切り替えるといったバランスの取れたチームで出撃しました。

 

 その1週間後、1つの住宅街がなんの前触れもなく出現した新型ヒュージの群れに加え、2体のギガント級に襲撃され壊滅した。という衝撃的なニュースが報道されました。

 

 その場に居合わせたのは、その住宅街を拠点としていた『出江小隊』と御台場女学校から出向いた『船田予備隊』でした。

応援が駆け付けた頃にはもう決着は着いていたらしく、レギオン内では誰一人として欠けていませんでした……が、民間人の生存者はわずか十数名と、現状の過酷さを物語っていました。

 

 本人達は『こんなものは勝利ではない、失ったものが大きすぎる』と発言して自分達を卑下していたらしいです。

 

 ですが、世間では───

 

『ヒュージの規模を見る限り被害は住宅街だけでは留まらず、他の地域にも大きな被害が出ていたであろう状況下でたった2つの部隊だけで被害をここまで抑えられたのは奇跡でしかない』

 

 ───と、逆に彼らを救世主と言わんばかりに賞賛していました。

 

 ニュースで取り上げられたその次の日の朝に、史房様達『出江小隊』は無事帰還しました。

学院中の方々が正門に集まり、わたくしは近くの木陰に隠れるように、彼らを向かい入れました。

ですが、その場にいた方々は史房様達のいつもと違う様子に思わず戸惑ってしまいました。

まるで地獄を見てきたかのような、そんな顔つきでした。

特に彼、村雨燈華様は、雰囲気そのものが変わっていました。

まるで覚悟を決めた武人のような…そんな圧を感じます。

 

 わたくし達は無言で道を開けて、帰還した彼らに声をかける事もなく、ただその背中を見送ることしか出来ませんでした。

 

 後にこの悲劇は謎の部分も多い事から『幕張住宅街襲撃事変』と命名されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ですが、その1ヶ月後、11月。

そんな史房様達を嘲笑うかのように、幕張は陥落しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 西暦2051年 4月。

中等部最高学年、3年生となりました。

と、いっても入学式はまだやっていませんが…。

私はまたあの日のように桜の木の下で黄昏れていました。

 

 わたくしの現状を悟ってか、先月シェリス先生から特別寮へ移動しないかと提案をされました。

遠回しに天葉様達とちゃんと話し合ってみないさいと言われてる気もします。

シェリス先生なりの配慮なのでしょう。

本当にお優しい方です…。

 

 ですが、恐らくわたくしが返事を返すことはないでしょう…。

天葉様達に対してあんな対応をしてきた私に今更…。

 

 そんなわたくしを嘲笑うかのような出来事が起こりました。

天葉様達、高等部1年生が参加する『ノインヴェルト戦技交流会』に見学と言う形ですが特別枠として参加する事になりました。

貴重な経験もでき、断りづらい事もあって参加拒否という選択肢はありませんでした。

 

 もう今だけは全てを忘れましょう。

そう思い再び大きな桜の木を見上げる。

 

 

 

 

 

──お姉様…わたくし、強くなりました──

 

 

 

 

 3学期の試験で、やっとの思いで、ギリギリですがA−ランクとなりました。

お姉様が生徒会へ入り、そして私はお姉様と念願の……っ

 

 あぁ……寂しい、苦しい。

 

 お姉様や天葉様達と楽しく過ごしたあの日々に戻りたい…。

自身で犯し作り上げた罪、自身で選び進み続けた道、後悔なんてない……ないはずだった。

 

 でも、無理でした。

わたくしを見つけてはこちらへ向かってくる天葉様達を気付かないフリをして避けてしまう度に胸の奥が締め付けられる。

同じ学年の立原紗癒さんと比べられる度に言葉にならないナニかが溢れ出してきそうになる。

いつも一緒に居てくれるクラスメイトの子に『本当に大丈夫?無理してない?』と訊かれた時は思わず本音を曝け出してしまいそうでした。

 

 頭では分かってるんです、天葉様がそんなつもりはなかったのは……

でも今更…今更、わたくしはどんな顔をしてっ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──りんりん──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞こえる筈のない声が耳に入り、思わず後ろを振り向いてしまう。

ですがそこに居たのは、お姉様ではなく、肩に不思議な黒猫を乗せた村雨燈華様でした。

彼も驚いたのか、思わず見つめ合う形となってしまいます。

いつも遠目で見ていたからか近くで見て初めて色々な事に気付きました。

 

 頬や首筋などに残った細かい傷痕、紅檜皮色の瞳、がっしりとした身体……と、自分の世界に入っていると彼から『大丈夫か?』と心配そうな表情でこちらへ声をかけられてしまいました。

そして自分が涙を流していた事に今更になって気付き、慌ててそれを拭い『大丈夫です』と何とか誤魔化しますが、見抜かれているのか彼は苦笑いをしています。

羞恥心で顔を赤く染めていると、不意に彼から話しかけられます。

 

 そこからは何の変哲もない世間話をしていました。

どこかで少しずつ心が安らいで行く自分がいました。

こうやって誰かと楽しく会話をしたのはいつ以来でしょう、他の方々はお姉様の事もあってか、私に気を使い過ぎて会話があまり続かない事が多いです。

 

 ですが、この人はそうではありませんでした。

私の過去を知らない。と言う事もあると思いますが、全く壁を感じず、とても会話がし安かったです。

それで心を許してしまったのか、それとも油断していたのか、気がつけばわたくしは彼に自分の過去を話していました。

 

 彼はそれをただ静かに見守るように聞いてくれました。

 

 あの一件があってから彼は見違えるくらい変わりました。

今までは近寄り難い雰囲気で話しかけるどころか、彼を避ける方が多かったですが、そんな雰囲気も嘘の様に柔らかくなり、気軽に接しやすくなったのか、楽しそうにクラスの方々と会話している所をよく見かけます。

ですが頻繁にデュエルを行なっているという話も聞きます。

 

 わたくしは、変われる勇気が、自信がない。

だからわたくしは、そんな貴方が私は羨ましかった。

 

 わたくしの話を終えると、彼はゆっくりと立ち上がり──

 

 

 

 

 

 

 

 

──お前は独りじゃない

   一歩…だだ一歩だけ踏み出してみろ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──と一言だけ告げるとわたくしの頭に手を乗せて『困った時はまた相談してみな』と言ってその場を立ち去りました。

 

 子供扱いされた気分で腑に落ちないですが……少し、ほんの少しだけ勇気を貰えた気がする……そう思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あと関係あるのかは分かりませんが、今まで問題ばかりを起こしていた遠藤亜羅椰さんが、最近なにも起こしていないという前代未聞の現象が起きています。

聞くと何やらデュエルに夢中で暇がないのだとか。

物凄く怪しいですが、こちらとしては仕事が減るのでありがたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 4月□日。

御台場での『ノインヴェルト戦技交流会』中に突如ヒュージの群れが御台場を襲撃しました。

先輩方は急遽5つの混成レギオンを作り、わたくし、そして同じ中等部3年の(こずえ)・ウェストさん、今村(いまむら)(ゆかり)さん、竹久(たけひさ)(なかば)さん、河鍋(かわなべ)(なずな)さんの計5名で民間人を護衛しつつ避難誘導をする予備隊を結成しました。

わたくし、紫さん、梢さんは第5部隊と、央さんと薺さんは第3部隊と共に行動しました。

 

 作戦は順調でしたが第5部隊がヒュージの罠に嵌ってしまい、急いで後退する事となりました。

第5部隊がなんとかヒュージを食い止めてくれたお陰で新木場まで誘導することができましたが、撃ち漏らされた複数のスモール級 (後にグンタイアリと命名される) がこちらへ民間人へ襲い掛かろうとしましたが、そこに初等部の頃に百合ヶ丘女学校に在籍していた速水(はやみ)(かつら)さんが緊急対処用のCHARMでそれを撃破しました。

 

 梢さんと、紫さんは引き続き避難誘導、そして桂さんと私はその場に残り、数十本の緊急用CHARMを地面に突き刺し、迫り来るスモール級を相手に時間稼ぎをしました。

そんな所に天葉様と長谷部冬佳(はせべとうか)様が所属する第2部隊が駆けつけてなんとか避難させ、その後、第2部隊は近藤貞花(こんどうみさか)様と合流すべく、のぞみ橋へ急行しました。

 

 CHARMを使い切った私と桂さんは梢さん、紫さんと合流しました。

第5部隊は辰巳橋までヒュージを誘導してそこで食い止める作戦を実行することにしたらしく、わたくし達は急いで避難をしますが、ヒュージの進軍が予想以上に速く、間に合わず逃げ遅れて巻き込まれる形で参戦しました。

紫さんは恐怖で動けなくなってしまい、私と梢さん、桂さんの3人で守りながらCHARMポッドから取り出した第1世代の射撃機で先輩方の援護をする事となりました。

 

 後方支援と言ってもヒュージとの距離はそれほど遠くはなく一気に間合いを詰められましたが、それをなんとか撃破し、安堵していると、その僅かな隙を突くように死骸に隠れていたスモール級がこちらへ襲いかかりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──おねぇ、さま……申し訳ありません──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ですが、その死神の鎌が振り下ろされることはありませんでした。

何が起きたのかと目を開くと近くにいたヒュージ達は無力化され、そこには彼が立っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──諦めるな!必死に足掻いて生き残れ!

   今ならまだ避難できる、あとは任せろ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼はそれだけ告げると、梅様達に何かを言い、親玉であるギガント級目掛けて単身で進撃を開始しました。

 

 その言葉を告げる彼の表情を見た梅様は、そんな彼を止めようと手を伸ばしますが、それはもう届きませんでした…。

 

 彼は負傷しながらも数々のスモール級を薙ぎ払いラージ級を集中的に狙いつつ一直線にギガント級の元へと駆けて行きます。

恐らくスモール級は梅様達に任せ、自分はリーダー格であるラージ級を落とし、親玉であるギガント級を首を取るという作戦でしょう。

単純ですがほぼ不可能に等しい作戦です。

 

 どこから取り出したのか、いつの間にか彼のCHARMは先程使用していた大型のブレードライフル型のCHARMではなく、鋸歯状の刃をもった血のように紅く、禍々しいCHARMでした。

気のせいか彼の瞳の色も血のように紅く染まっているように見えます…。

 

 獰猛な獣が狩りをするような戦闘劇とは裏腹に、その単独無双と言わんばかりのその姿はまさに──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──あれが『戦姫の再来』──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その姿は確かにお姉様を彷彿とさせました。

負傷を負いながらも突き進む彼を見て、梅様や、その場にいた方々はまるで彼にその役目を任せてしまった事に対し悔やむような表情をします。

ですが、それは彼と同じように覚悟を決めた表情へと変わり、CHARMを握り直し、迫り来る絶望(ヒュージ)に抗います。

 

 あの表情は…そう、あの時のお姉様のような戦死を覚悟した時の…。

 

 そんな覚悟を魅せる先輩方の姿を前に避難(逃げる)の二文字はありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──わたくしも、彼の…燈華様のように!──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わたくしを見て桂さんと梢さんは察したのか、ゆっくりと頷きます。

 

 2人も、同じ気持ちなのでしょう…。

 

 すると、さきほどまで恐怖で身を固めていた紫さんも立ち上がります。

その瞳は震えていますが、その奥にはわたくし達と同じ物が宿っていました。

 

 わたくしは自分が持っていたCHARMを紫さんに託し、桂さんと一緒に近接型のCHARMに切り替え、後方支援ではなく、本格的に前へと出ることにしました。

梢さんと紫さんも先輩方と並び、前衛を務める方々の援護をしました。

 

 そこからはいつ死んでもおかしくはない攻防戦が続きましたが、依奈様が率いる第3部隊が救援に駆けつけてくれた事で戦場は有利に進みましたが、擬似ネストからの増援圧力が強く、時間との戦いとなっていました。

 

 その後は第2部隊が目的である『巣なしのアルトラ』を討伐、そしてネストを破壊した後、救援に駆けつけてくれたお陰で誰1人として犠牲にならず勝利することができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めると目の前にはシェリス先生が居ました。

状況が飲み込めず、回りを見渡すとテントのような場所で寝かされていました。

先生が言うには、安心したのか身体の限界がきたのか、わたくしはその場で気絶してしまったみたいで……情けない話ですね。

そこでふと、シェリス先生に提案されていた特別寮への移動の話を思い出します。

 

 わたくしも、あの人の様に強く…

 

 

 

 

 

 

 

──一歩…ただ一歩だけ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先日、あの人に言われた言葉を脳裏に浮かべます。

 

 そして───

 

 

「───!」

 

 

 

 わたくしは誰かを守れるくらい強く、そして自分自身を変える為の第一歩を踏み出しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西暦2051年 5月。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「荷物はこれで全部ですね」

 

 新しい部屋に上がり、念のために届いた荷物の確認をします。

本当にここの引っ越し業者の方々は仕事が速くて驚きを隠せません。

 

「ふぅ…少し、緊張しますね…」

 

 先生の口から同居人の話を聞かされた時は聞き返してしまうほど動揺してしまいました。

相手は殿方、しかも目標にすると決めた人。

ですが、相手をよく知る為の絶好のチャンスです、みすみす逃す訳にはいきません…。

 

「今更ですが…これから共に寝泊まりする、という事ですよね…」

 

 その場の勢いで『問題ありません!』と言ってしまいましたが、少し不安ではあります。

先生は『燈華は大丈夫だよ、まぁもし何かあったら○んでもらうから問題なし!』と仰られていましたが…。

 

 すると背後からドアが開く音がしました。

そして足音が近付いてきます、私はそれに釣られる様に後ろを振り向きます。

 

 わたくしの姿を見て固まってしまいました。

もしかして先生と会わなかったのでしょうか…。

 

「ごきげんよう村雨燈華様、そして進学おめでとうございます」

「あ、あぁ…ありがとう」

 

 我に帰り、ぎこちない仕草で私に礼を返す彼。

こう言うのは失礼ですが、少し可愛かったです。

 

「君は…」

 

「…?あっ、申し遅れました。

 わたくし、郭神琳と申します。どうぞ、お見知り置きを」

 

 今思えば1度も自己紹介をしていませんでした、我ながらお恥ずかしい限りです。

一連の流れを終えた私は再び向き直ります。

 

「……どうした?」

 

 わたくしの様子がおかしい事に気づいたのか、彼の方から声をかけてきます。

 

「いきなりで申し訳ないのですが、私のお願いを1つ聞き入れては貰えないでしょうか」

 

「…俺にできる事なら」

 

 戸惑った様子を見せましたが、聞き入れてくれそうだったので思わず喜びの感情が表に出てしまいそうになります。

 

『彼を知り己を知れば百戦危うからず』

私はまだ彼のことをよく知りません。

実力も耳に挟む程度で実際にその姿を見たのは迎撃戦の時のみ。

現状はともかく、実力は全くと言っていいほど把握できていません。

ならば──

 

「はい、では私と決闘(デュエル)をしていただけませんか?」

 

 完璧です!

彼の事を知らないのならその身を持って知ればいい。

1対1で戦えば全部とまではいきませんが大体は把握出来る筈です、そこから学んでいければ……。

 

「うーん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 断る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………あれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To Be Continued




パルちゃんの『黒猫大百科』はじまるよ〜

























 これからは新コーナー黒猫大百科をやっていくよ。
 ……まぁ、気が向いたらだけど。

 解説者は題名の通りこのボク、シェパルことパルちゃんが務めるよ〜

 さて、この回で説明することは、そうだねぇ…この作品の『オリジナル設定』かな?
簡単に述べるとキャラクター、CHARM、HUGE、あとはそれに関する単語とか…かな?

 まぁ細かいことは気にしなくていいさ。

 じゃあさっそく始めるね
今回のテーマはこちら。





















──ソルジャーランク──






















『ソルジャーランク』だよ。
今回、そして2話に出てきた単語だね。
なにそれ?って思った人も多いんじゃない?

 さてさて、ソルジャーランクとは何か?
簡単に言うと……レギオンランクがいわゆる『チームランク』だとしたら、こっちは『個人ランク』ってとこかな。

 注意しないといけないのが、レギオンランクと違ってこちらは戦闘能力も少し関係しているけど、あくまでこれは『リリィとしてどれほどの任務をこなせるか』を示すランクだと言うこと。
つまり、デュエルとかになるとあまり関係なくなるんだよね。
デュエル世代の子達だと話は変わるけど。

 まぁだから「この子私よりランク下だから勝てる!」なんて余裕ぶっこいで挑んだら痛い目に遭っちゃうかもよ?

 さて『どうやってランクを上げるのか』だけど、本編でも言った通りかなり単純な内容だね。
実技試験に関しては内容がサバイバル形式だから一回の試験で1ランクどころか2ランク上がる事も十分にありえるよ。
例外として、燈華みたいに任務などの実績で上がる事もあるから「あれ?なんで上がってるの!?」という事がたまにあるね……だけど、上がる(・・・)という事は、下がる(・・・)こともあり得るという点は頭に入れていた方がいいかもねぇ?

 さて、気になるランク表とその基準だけど、ランクはそれぞれD〜SSS、そして最高ランクのAS。
その前後に(ニア)(オーバー)があるよ。
まぁ簡単に言うと、Sが1だとするとSーは0.5、+は1.5ってイメージかな?
まぁそこら辺は君たちの想像にお任せするよ。

 そして『ランカー』という総称があってね
C〜Aを『ノーマルランカー』
AA〜Sを『ハイランカー』
SS〜SSSを『トップランカー』
そして最後にASを『アサルトランカー』
って呼ばれてるんだ。

 ASに関しては最高ランクというのもあってかそこまで上り詰めると『アサルトリリィ』の称号が貰えるみたいだね
そこまで至ったリリィはごく少数で10人もいないらしいよ。

 さてここからはランクの、まぁ強さの基準かな?

 まずは最低ランクのDランク。
リリィになりたての子につけられるランクで…簡単に言えば仮免許の様な物かな。

 Cランク。
一般のリリィが持つランクで、支援が基本だけどヒュージ討伐の任務に出向くことが可能になるよ。
初心者マークってやつかな。

 Bランク。
中等部生の多くが最初にぶつかる壁として知られているランクで、ほとんど高校入試と同じ扱いになってるよ。

 Aランク。
高等部に上がってすぐにぶつかる第2の壁。
任務慣れしたほとんどのリリィが持つランクで、このランクまで達するとレギオンを作ることが可能になるよ。
神琳が今このランクだね。

 AAランク。
上位ランクで、単独でラージ級と互角に戦えるほどのレベル。
互角、といっても状況によるけどね。

 AAAランク。
単独でラージ級を討伐できるレベル。

 Sランク。
最上位ランクで、2〜3人でギガント級を辛うじて相手にできる程のレベル。
燈華のほかに梅、依奈、聖がこのランクだね。
そして天葉、史房がオーバーランクかな。

 SSランク。
単独でギガント級を辛うじて相手にできるレベル。
明伽やロザリンデが今ニアでこのランクだね。
燈華に関しては、あのCHARMのブーストがあってここまで上がったって感じかなぁ…。
そう考えるとやっぱり謎が多すぎて逆に怖いね。

 SSSランク。
単独でギガント級と互角かそれ以上で戦えるレベル。
9〜10人いて辛うじてアルトラ級と渡り合える。

 アサルトランク(AS)
2〜3人でアルトラ級と互角で戦えるほどのレベル。
5〜6人揃うと討伐が可能。





















 はい、と言うわけで今日はここまで。
ざっくり説明したけどどうだったかな?
テーマはリクエスト可能だよ、メッセージなり感想なりTwitterなりいつでも受け付けるよ。

 今回はボクの登場はあまりなかったけど…というか、影薄くない?
まぁこれから活躍していくと思うよ、多分、きっと。

 じゃあ次回もお楽しみに、じゃあね。



































ご愛読ありがとうございました。

そして、『沼りぴょい』さん、『s107』さん。
評価ありがとうございます!励みになります。

沼りぴょいさんは『アサルトリリィーPARASITEー』という作品を描いておりますのでそちらもご愛読していただければ幸いです。

評価、感想、お待ちしております。

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