続・最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。 作:マスターチュロス
※ここは地獄です。男の情けない言霊を浴びたくない方は逃げてください。
【刑務所タルタロス】
刑務所界最強と名高い「タルタロス」、ここには個性による犯罪事件の中でも特に凶悪な犯罪者が収監される。
中には人間社会を根底から覆す存在も収監されているが、心配は無用。タルタロスは日本最高峰の警備システムにより、過去十数年間誰1人として脱走を許さず、今もなお国民の安全を保証し続けている。
そんなタルタロスの中に凶悪な犯罪者が一人、面会室で泣き崩れていた。
「話がッ! 進まない……ッ!!」
彼の名前はマスターチュロス。やたら新しい小説を3話だけ書いてはすぐ撃沈するという、色々と残念な男である。
「あのさぁ? 前投稿しタ話いつだったか覚えてますかぁ?????」
そして強めの口調で捲し立てる彼女の名は異形魔理沙。異変の元凶である。
「……いつだったっけ」
「2022年2月13日だよ。もう半年は過ぎるンだが?」
「もうそんなに経ったのか、早いなぁ……」
「お前がやれポ○モンレジェンズだの、ティーダのチ○ポだの、モ○ハンサンブレイクだの、ロ○ンスの神様だの、スプラトゥーン3だのにハマってるウチにこんだけ時間が経過したぞ。どう責任取るつもり?」
「……あの、ね? 少しだけ言い訳させて貰ってもいい?」
男は気まずそうに、両手の指を1つずつ合わせたり離したりしながら、モジモジと伺った。
「何?」
「一応ね、前置きでこの小話はクオリティが低いですよってね、予防線張ってはいるんだけどね、前作から毎話ごとにクオリティを上げようと努力してはいるのね」
「うん、で?」
「でもね、頑張って背景描写とか戦闘描写を鮮明にしようとするとね、必然と文章量増えちゃうの」
「うん、で??」
「つまりね、昔より労力が凄いの。1話書き切るのに十何時間もかかっちゃうの」
「休みン時にやらんの?」
「課題をこなす時間+ゲームやる時間+家事をこなす時間で一日が終わる」
「でも手前課題はちょくちょくサボるし家事は適当だしほぼゲームばっかやってるよなぁ???」
「少し……黙ろうか」
男は机に肘を付け、手の上に顎を乗せ、異形魔理沙に対して精一杯の圧をかけながら、目を細めて言った。
しかしそんな雀の涙ほどの圧力に屈することも無く、異形魔理沙は鼻で笑う。
「ハッ! くだんねェ! これだからクソザコナメクジメンタルニートは役に立たねェ!」
ボロくそに言われながらも男は話を続けた。
「後ね、これから書く予定の話数が尋常じゃないくらいに多いのもキツい」
「お前が始めた物語だろ?」
「そう……だけど、そう、……だけどさぁ、ねぇ? だって○○編が5パートくらいあるんだぜ? 1パートだいたい5話くらいにしてもそれだけで25話あるし、しかもまだ第一章だから75話くらい続くんよ。最後までやったら多分前作の話数超えてくるんよ」
「しかも前作はまだ発展途上で文章量少なかったけど、今だいたい全話5000文字以上なんよ。終わらんのよ」
「じゃあ昔みたいに1話にかける文章量減らせばええんちゃうん?」
「無理。一度バージョンアップしてしまった自分のスタイルを元に戻すのムズい。あの勢いだけで書いてたあの雰囲気はもう作れん」
「融通きかねぇのな」
「すまんかったな」
一瞬、2人の間に静寂が訪れたが、それは直ぐに壊された。
「で、結局何が言いたいの?」
「ワンチャンこの小説は未完で終わるかもしれない」
「バックれるのか?」
「正直前作で割と自分の能力に限界を感じてたし、風呂敷を上手く纏めるのが中々難しいというか何と言うか……」
「バックれるのか?」
「バックれはしない……かもしれないしするかもしれない」
「本当に言い訳だけだな」
「否定はしない」
再び、二人の間に静寂が訪れる。このままでは話に決着が着かず、面会終了時刻になるという最悪の事態が起きかねない。だがしかし、その心配は必要ない。なぜなら異形魔理沙が時間操作で面会時間を永久に引き伸ばしているため、何一つ問題は無かった。
そうこうしている内に、男がポツリと呟いた。
「本当はね、前作で終了するつもりだったの。アンケートとか取ったりしたけど、1年間活動休止したら多分みんな忘れるんじゃねぇかと思ってたし、実力も限界きてたし、あの時はこのまま雲隠れしようかとも思っていた」
「けどね、久しぶりにサイト開いたらコメントが付いていてね。続き書いてくれって言われたんよ」
「待ってる人いたのかと、あの時思ったよ。そんでちょっと嬉しくなっちゃって続き書くって言ったけど、結局また離れてしまって、このサイトごと忘れようとしている」
「けど今こうしてまた書き始めたのは、またコメントが付いていたから。『待ってる』って、言われたから」
「こんなまだまだ中途半端な作品に、期待している人がいるから」
「また頑張ろうかなって、少し思い始めている」
男は穏やかや表情をしたまま、そっと頬を手で覆う。
「この流れだとまたいつか失踪しかねないけど、まぁ、今日からちょっと頑張ってみる」
そう呟く男に対し、異形魔理沙は真剣な表情で問いかける。
「…………お前は、小説書くの好きか?」
「…………嫌いじゃない。書きたいシチュエーションいっぱいあるし、熱烈な展開を書きたいとずっと思っている」
「けどね、やっぱ長いんよ。そのための土台を作るの。俺が下手くそなだけなんだけど、ムズいの」
「……お前が始めた物g」
「OK。少しお黙り?」
とりあえず制止させ、ターンを渡さないよう立ち回る。
「はい以上、現状報告でした」
「コイツまた纏めンの失敗して逃げたぞ、○せ」
異形魔理沙の言葉に応じて、ゾロゾロと現れる化け物たち。
「あ」
男は真っ二つに裂けた。