そう考えられるまでに、色々なものを失って、色々なものを得ました。
この独白は、その一部分を得るために経験したものを殴り書きしたものになります。
所詮は私の自己満足。
怪異っているじゃないですか。ほら、オバケとか幽霊とか妖怪とか、あんな感じのやつ。
あれが見えるとか言ってる人のこと、4.5年前は全く信じてなくて。
どうせかまってちゃんなんだろとか思って、結構冷めた目で見てたんですよ。
まあなんでこんな話を唐突にしたのかというと、見えてた時期があったからなんですけどね。
見えてたと言っても、そんな街中いたるところにいるとか、「あなた、憑りつかれてるわよ」とか、そんな感じじゃなくてですね?
所詮見えるものといったら、自分の部屋に巣くっているだけの、自分の姿をした何か。ただそれだけでしかなかったんですけれど。
それでも、自分の姿をした、悪魔のようにも思える何かが、毎晩毎晩部屋の隅とか机の上から語り掛けてくると思うと怖くありません?
私?そりゃあ最初は怖かったですよ。まともに受け答えしたら心が折れる、なんてことを割とまじめに考えていましたからね。
ただ、あくまで最初だけなんですよ。悪魔だけにってね。……はい。
実際心が折れるだとか、身体の主導権が奪われるとか、そんな漫画みたいなことは一切なくて。
むしろしばらくするとそいつが部屋にいるのが普通になりまして、いつの間にか1人で(2人で?)話をするほどになりました。
なにせ、そいつが私にすることといえば、話しかけてくるだけでしたから。
大抵そいつ(ずっとそいつと言うのもなんだか面倒なので、以降僕と呼びますね)は基本的に自分のことを否定するようなことを言ってきて、私が反応するまで話しかけ続けるのですけれど、面白いことに、僕の言葉に反応してやると、会話ができるようになるんですよ。
例えば、僕が「なんでお前リスカしてんの?意味なくね?」って語り掛けてきて、私が「なんでだろうね。ちょっとだけ楽になれるからかな」なんて答えると、「ふーん。誰かに触発されてとかじゃなくて?」
みたいに、問いかけとか、いかにもな友達との会話?らしいことをしてくれるんです。
慣れというか、諦めみたいなものもあったんだと思います。適応したとか受け入れたとか、そんな言い方だとまだ良く聞こえてくるものですが、そんな大したものではありませんでしたね。
ただ、当時の私は私以外の人間全てが敵、みたいな目をしている、友達もいないただの少年でしたから、人の温もり(人ではなく、ただの悪魔?幻覚?でしたが)に飢えていたこともあって、段々この何でもないやり取りが小学生の夏休み初日の夕暮れみたいな、かけがえのないもののように思えてきて、毎日毎日部屋に籠っては話し続けたんですね。
やれ死ねだの、何もしてないことに罪悪感ないのだの、散々言われましたけど。
それでも、こうした何でもないやり取りは私にとって、高級レストランで料理が来るのを今か今かと待ちわびるような、そんな高揚感を与えてくれるものだったのです。
まあ、両親にこの会話(聞こえるのは私の声だけ)を聞かれたことが原因で心療内科だか精神病院だかにつれていかれて、やれ統合失調症だの解離性障害の疑いがあるだのと言われたんですけれども。
ただ正直、僕がいなかったら、今、私はまともに生きてはいないんですよ。
多分3回目の自殺をして今度こそ死んでるんですよね。
1回目と2回目で失敗している以上、3回目も失敗するなんて嫌ですし。
そういえば、薬とカウンセリングの治療をしていても、飽きもせずずっと語りかけてきましたね。
なんだかんだ否定するようなこと言って、僕は私が3回目の自殺をするのを止めたかったんだと思います。
僕は私に生きてほしかったんですかね。それとも、私が生きたいと思っていて、その思いが僕という形で現れたのか。
今となってはもう私のそばに僕はいないので、確かめる術はないのですけれど。
幸か不幸か、今私は生きています。なんとか普通の大学生らしい生活ができています。
地雷ではありましたが彼女もいましたし、友人にも恵まれています。
ありがたいことです。