筆が乗ったので第2話をドゴーン!
※筆者の知識はウイニングポスト由来なので、この小説の情報は真に受けないで下さい。
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──前略
どうも、サードステージです。正確に言えばサードステージに憑依した一般人です。
さて、季節は2016年の12月。半年強の間に様々なことがあった。まず、自分の騎手を務められる方なのですが、これがイケオジなナイスミドルときたものだ。……うん、多分あの人だ。これからは少しボカして"リュージ"さんとお呼びすることにする。……ボカしてないというツッコミは無しで。
さて、自分の競走成績だが、新馬戦・札幌2歳S・東スポ杯2歳S とここまで3戦3勝と好調だ。そう、ここまで負け無しだ。世代の中心候補という前評判が嘘ではなかったことに自分自身も安堵している。
そして、周りからの評価の急上昇っぷりも肌で感じる。オーナーなんか、既にクラシック三冠でも取ったのかというくらいにハジけてた。まあ、現実の競馬は1勝出来るのですら全体の3割で、重賞を取れたら家族一同でお祝いするほどとのことなので、喜びようも分からなくもないが。
さて、2歳の12月、牡馬クラシック路線といえばホープフルSだ。中山の芝2000mという皐月賞と同じ舞台の同じ距離を駆ける翌年から始まる牡馬クラシックの前哨戦と言ってもいいだろう。
「さあ、阪神芝1600m。未来の優駿たちがそれぞれの想いを乗せて走ります。朝日杯フューチュリティステークス、この舞台を制して同世代のライバルたちより一歩踊り出るのはどの馬でしょうか?」
………はい、朝日杯FSだ。サードステージの距離適正は1800~3200だったはずだ。下限より低いのは地力でどうとでもなるとはいえ、マイラーの強豪がいると不安は拭えない。そして自分はこの世代の短距離路線は正直よく分からん。記憶にないということは逆に強豪が居ないと楽観的な見方も出来なくはないが……。
「1番人気は4枠8番、サードステージ。父トウカイテイオー、騎手は
まあ、そんな感じらしい。さて、ここで1つ分かったことがある。この世界がウイニングポストの世界である可能性が低くなったということだ。ウイニングポストの世界ではホープフルSはG1だ。もし、G1の舞台に慣らしたいのが主目標なら素直にホープフルSに向かえばいい。逆に言えばこの世界ではホープフルSはG1ではない、つまりifの現実世界の可能性が高まったということだ。少しはホッと出来る話だ。もしウイポの世界なら下手すれば皐月賞→松国ローテ→夏に米国芝三冠→オグリローテみたいな馬殺しローテーションをさせられかねんからなあ。
ちなみにだが、この出走予定は寝耳に水ではなく、事前から聞かされてた件だ。オーナーが、"あいつは頭が良いから方針を話しておいた方が気持ちの整理もつくだろう。"との考えだそうだ。まあ、向こうからしてれば験担ぎというかおまじないレベルの話なんだろうが、こちらとしては非常にありがたい。
その一環で今回の作戦も既に聞かされている。とはいっても大したものでもない。ミスエルテという2番人気の馬に注意しながら先頭の方で張り付き、4つ目の赤いポールの手前、つまりは残り400m強の辺りから二の足で正面に踊り出るというものだ。コーナーが大回りで最後の直線が長いから差しきられないようにするために最後まで加速するのが良いらしい。
まあ、後は成るようにしかならないだろう。幸いなことにこのレースは今まで以上に闘志が漲る感じがしてきてる。サードステージが持つ特性の大舞台*1が作用しているのだろうか? 何にせよ都合が良いのには変わりない。思い切り行かせてもらおう……!
「さあ、大外枠18番トラスト。ゲートに入り各馬体勢が整いました。」
………
《ガシャンッ!》
──今だっ!
「スタートしました! 各馬大きな出遅れはありません。8番サードステージ、好スタートを切りました。」
よしよし。さて、自分は今のところ3番手辺りか。なら、キープでいいな。
「さあ、ここまで平均的なペースで各馬、大回りのコーナーに差し掛かります。」
そろそろ前に少し上がるか……。
「ここで先頭は1000mを通過。勝負を仕掛けるのはいつになるでしょうか?」
まだだ、後もう少し…………よし、リュージさんの指示も来た! ここだ!!
「おーっと! ここでサードステージ、前に大きく躍り出ながら残り400mを通過! ここから一気に勝負を仕掛けるようです!」
ここからは突き放す! 鼻差圧勝出来ればいいが、それでミスったら話にならない。ここから先頭は譲らせないつもりでいく!
「サードステージ先頭! サードステージ先頭! 後続は差しきれるか!」
後ろは……来てるが振り切れる! これで決まりだ!
「サードステージ粘る粘る! 後続は………! ゴーーール!! やりました、サードステージ! サードステージ1着! 亡き父に捧げるG1勝利! そして、鞍上のリュージ騎手も嘗ての世紀末覇王の天皇賞春以来、実に15年ぶりの中央G1勝利です!」
ふう………。先ずはG1初制覇っと。さて、ここからは本命としてマーキングもされるようになるだろうが………いや、弱音は吐いてられない。勝負はまだまだ序の口だ。ここまで来たなら腹を括ろう。いざ、目指すは無敗の三冠馬だ!
《2017年1月下旬》
トレセンの一室、そこに集まったのはサードステージの馬主であるオーナー、調教師の松下、そして主戦騎手のリュージの3人だった。
「改めまして、お二人の尽力もあってサードステージは昨年、最優秀2歳牡馬に選定されました。本当にありがとうございます……。」
オーナーは2人に向かって深々と頭を下げた。
「頭を上げてください、オーナー。頭を下げるのは自分の方です。サードステージのお陰で自分もG1タイトルをまた1つ取ることが出来たんです。それも自分を騎手に指名してくださったオーナーのお心遣いのお陰です。」
「私からもお礼を言わせてください。あれだけの素質馬の調教を委ねて下さったオーナーには本当に感謝しています。これからも万全の状態でレースに出走出来るよう尽力させていただきます。」
2人の言葉を受けて、オーナーは頭を上げた。
「………ではオーナー、これからの方針についてですが、クラシック路線を踏襲するという考えに関してはお変わりはありませんね?」
「ええ、構いません。三冠を目指すローテーションを組みましょう。」
「では皐月賞を目指すのは確定として、前哨戦である弥生賞を使うかどうかを決めましょう。直行しようとしてたのはホープフルSを使うことで中山2000mに慣らすつもりでいたためなので、そこの前提が崩れた今、改めて検討した方が良いかと。」
「ふむ………。リュージさんはどうお考えですか? 走っているサードステージに一番近いあなたの意見をお聞かせ願えませんか?」
「うーん………そうですね、自分は、使った方がいいかと思います。乗ってて実感したんですけど、サードステージは相当に頭が良い馬です。直行させても勝てる力はあると思いますが、前哨戦で知識を蓄えさせて万全を期して臨むのに越したことは無いかと思います。」
「リュージさんは使うべきとお考えなのですね……。松下さん、確認なのですが、サードステージの脚は大丈夫なのでしょうか? トウカイテイオーも脚の故障に悩まされていたのでそこが気になるのですが。」
「そちらに関しては問題ないかと思います。私どもも脚部不安に関しては注視していますが、問題もなく健康そのものです。前哨戦を挟む程度でしたら問題ないかと思います。」
「分かりました。では、弥生賞を挟んで皐月賞、日本ダービーを目指しましょう。秋以降は今は置いといて、この二冠に注力しましょう。」
「分かりました。私どももサードステージが100%以上の力が出せるよう、全力でケアをして参ります。」
「自分もサードステージの騎手に恥じぬよう、全力で騎乗して参りますので、これからもよろしくお願いいたします。」
その後、僅かな世間話の後に話し合いは解散となった。
次なる戦いの舞台は春。世代の中心となったサードステージに立ちはだかるは2歳戦を戦ったライバルたちに加え、冬のシーズンで勝ち上がり、クラシック戦線に名乗りを上げる素質馬たち。我こそは、と強者たちが参戦する中で彼らは三冠という目標に向かって突き進む。
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レース中の実況は一部例外を除き、サードステージ視点のものを抽出しているとお考えください。正直、一部の有力馬以外情報が追いきれないので………
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