予想以上に高評価を頂いて驚きを隠せない今日この頃です。
ウイポ×ウマ娘普及委員会の一員として大変光栄です。
※どうでもいい裏設定
サードステージのオーナーはトウカイテイオーの直仔に【──トーカイ】という冠名を名前の後ろに付けていたが、サードステージの際にはトウカイテイオーだけではなく、シンボリルドルフの力にもあやかりたいという一心で、三代目を意味するこの名前を付けた
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──前略
サードステージです。無敗の三冠馬という一先ずの目標はクリアできました。
さて、季節は2017年12月末。ドタバタしたこの1年ももうすぐ終わりを迎えようとしている。人間はそろそろ仕事納めで帰省とかしている頃だろうか。もっとも、東京大賞典とかに関わる皆様はそうも言ってられないだろうが。
「さあ、今年もこの季節がやって参りました! 日本競馬の総決算! 2017年有馬記念! 注目は何といってもこの2頭! 無敗の三冠馬サードステージと悲願の有馬記念制覇を狙うG16勝キタサンブラック!! 新時代の巨星が新たな舞台の幕開けを告げるのか、それとも最強の古馬が三度目の挑戦にして悲願を成し遂げるのか! ここ中山競馬場のボルテージも最高潮に高まっています!!」
まあ、自分も人のことを言ってる場合ではない。夢のグランプリこと有馬記念だ。遂に想定していた名馬キタサンブラックとの一騎討ちだ。………うん? 他の馬はいいのかって? 今回に限ってはそれでいい。自分は競馬の知識はショボいのは前にも言ったが、キタサンブラックが生涯でG17勝したのは知っている。で、さっきG16勝と言っていた。つまり、史実ならここでG17勝目を挙げることになるわけだ。………いや、これで引退だったよな? 折角だし翌年ドバイ行って引退とかじゃなかったよな? ……そうだ、負けてたらドバイとか行かせないよな。……行かせないよね? いかん、不安になってきた。
ま、まあ、気を取り直そう。一旦、キタサンブラックからは離れてまずは中山芝2500mについてのおさらいだ。中山の直線は短いだの高低差2.2mの坂だの特徴的なコースであることで知られているが、コーナーの数も6つもコーナリングの器用さも求められるステージらしい。逆に直線の短さもあって先行馬が有利なんだとか。もっとも、仮想敵であるキタサンブラックは逃げ馬らしいので気休めになるような話でもないが。
「一番人気は5枠10番、サードステージ。父トウカイテイオー、騎手は
さて、作戦についてだが完全にキタサンブラック一点狙いという戦い方だ。先頭を逃げるキタサンブラックにマークして最終コーナー近くから前に出始めて最後の直線で差しきるというなんともシンプルなやり方だ。とはいえ、言うは易しというやつだ。相手はあのキタサンブラックで鞍上はユタカさんだ。正直言って三冠レースのどれよりも厳しい戦いになりそうな気がする。まあ、そんなわけで最終コーナーまではキタサンブラックに追走するのをとにかく意識したいと思う。あのユタカさんのことだ。こちらのマークに揺さぶられてペースをミスって仲良く撃沈とはならないだろう。
さあ、1年の集大成だ! ここも勝って1年を締めくくろうじゃないか!
「大外枠8枠16番、サウンズオブアース。ゲートに入って体勢が整いました。」
……………
《ガシャンッ!!》
おりゃあ!
「スタートしました! キタサンブラック、サードステージ共に好スタート・好ダッシュ。前に行く展開です。」
よしよし、予想通りの展開だ。一先ずはキタサンブラックにぴったり張り付こう。
「先頭変わらず1番キタサンブラック。10番サードステージ、ぴったりと付けて2番手。その後ろには──」
しかし、ユタカさんの走りは安定してるな。何も考えずに付いてく立場としては有難いが。どうやら向こう側は下手に策を講じない構えと見ていいのか?
「さあ、先頭は残り1000mを通過。間もなく第3コーナーに差し掛かろうというところです。」
まだだ……………
「さあ、先頭変わらずキタサンブラックのまま第4コーナーへ。サードステージ、いつ仕掛けるか!」
………! 了解! 行くぞ!
「さあ最後の直線!! キタサンブラック・サードステージ並走!」
チッ……!! 簡単には交わさせてはくれないか!
「残り100m!! 2頭追い比べ変わらず! 後続はどうだ!?」
こんちくしょおおおおお!!
「キタサンブラック! サードステージ! キタサンブラック! サードステージ! 今ゴーーーール!! 僅かにサードステージ体勢有利か!? これは際どい勝負になりました!」
はあ、はあ、はあ………。リュージさん無視してもう少し早めにスパート駆けても………いや、止めておこう。食い違っておかしなことになったらアレだ。しかし、ハナ差圧勝って度胸が無きゃ出来ないってつくづく感じるよ。
「さあ、ゴールの瞬間、VTRでの確認です。……………サードステージ! サードステージです!! やりました! 一着10番サードステージ!! キタサンブラックを破りG15勝目! そして年間無敗! 2000年テイエムオペラオー以来、実に17年以来の中央競馬年間無敗!! 更に史上初! あのシンボリルドルフやディープインパクトですらなし得なかった年間無敗の三冠馬の誕生です!!!
よーし、勝てたか………。しかし、まさかここまで勝てるとはねぇ。ここはウイポの世界では無さそうだけど、この馬はウイポのサードステージと同じくらいの力を持ってるとみていいだろう。まあ、とりあえず休みだ休み。春までは気楽にのんびりと参りましょうか。
《2018年1月中頃》
「ではお二人とも、改めまして明けましておめでとうございます。」
「「おめでとうございます。」」
牧場の建屋の一室、オーナーと松本調教師、リュージ騎手の3人が集まっていた。
「いやはや………本当に夢のようですよ。G1どころかダービー取って三冠制覇して年間無敗とは。そして年度代表馬及び最優秀3歳牡馬に認定。それもこれもお二人のご尽力無くしては叶わないことでした。本当に……ありがとうございます。」
「いえ、私どもの調教による成果などたかが知れてます。あの馬の持つ凄まじい力あってのことです。今後ともサードステージが持つ本来の力を活かせるように最善を尽くして参ります。」
「私もサードステージのお陰で無敗三冠という栄誉を賜ることができました。これも私を信じて主戦を任せて下さったオーナーのお心遣いあってのことです。これからも厚遇の程よろしくお願いいたします。」
「そう言って頂けると本当に有難いです。今年もよろしくお願いいたします。」
「はい、よろしくお願いします。………ではオーナー、今年の出走方針ですが、大阪杯より始動するので宜しいですね?」
「はい。当面は去年成立した春古馬三冠を目指そうかと考えています。それと………」
「オーナー、どうされました?」
急に口を閉ざすオーナーにリュージが問いかける。
「………松下さん、リュージさん。私はサードステージに望みを懸けてみたいと思っています。」
「オーナー………まさか凱旋門賞を狙うつもりですか。」
「松下さん、その通りです。あの馬なら、それが叶うのではないでしょうか?」
「ええ、その可能性は充分に有るかと思います。リュージさんはどう思われますか?」
「そうですね……。自分も可能性は高いと思います。あの菊花賞でも感じたんですが、サードステージのパワーは相当なものです。欧州の洋芝にも対応が叶うんじゃないでしょうか。」
「有り難うございます。そうなりますと前哨戦にフォワ賞を使っての凱旋門賞になりますね。宝塚記念が6月下旬頃なので……」
「いえ、松下さん。流石にフォワ賞まで使うのは可愛そうです。直行させてください。」
「オーナー? 何を言っているんですか? 海外遠征ですよ? 確かに宝塚記念を経て凱旋門賞に直行させた例ではディープインパクトがいます。ですが、環境の大幅な変化もあるのに直行させるのはいくらサードステージでも荷が重いですよ?」
「オーナー。何を考えてるんですか。……まさか。」
「リュ、リュージさん。何か思い当たる節があるんですか?」
「オーナー、あなたは秋古馬三冠、いや、古馬王道路線完全制覇を考えている。そうですね?」
「………はい、その通りです。」
「何を考えてるんですか、あなたは!!」
リュージの問いかけに答えたオーナーの言葉に松下は思わず大声を挙げた。
「春古馬走ってヨーロッパ行って凱旋門でそのまま秋古馬とか冗談じゃないですよ! 特に凱旋門賞と天皇賞秋の間隔なんて約三週間ですよ!? それを全部1位を取りにいかせるつもりなんですよね!? いくらなんでも期待を込めすぎですよ!」
「ええ、分かっております。普通の馬なら、いや並み大抵の名馬でも厳しいでしょう。ですが、あのサードステージはそれらを超える稀代の名馬です。松下さんも普段から素質が違うことをおっしゃっている以上、それは承知ではありませんか?」
「それは……そうですが………。」
──あの馬は何かが違う。サードステージに密接に関わる人たちの間では共通見解として広まっていた。それは単なる強さという範囲ではない。上手く言い表せる者は居なかったが、その違いという観点を否定する者は居なかった。
「松下さん、リュージさん。この挑戦にはサードステージと深く通じあっているお二人無しには不可能です。もし、お二人のどちらかが反対なさるのでしたら、私としても無理強いは致しません。ですが、私は是非ともあの馬にこの偉業を懸けてみたいのです! どうか………どうかよろしくお願いします!!」
オーナーは立ち上がって机に両手を置き、深々と頭を下げた。
「……オーナー、頭を上げてください。」
リュージが静かにオーナーに話しかける。
「俺としても、普通なら反対すべきなのだと思います。でも、オーナーのサードステージに懸ける期待を俺も否定することは出来ません。俺もサードステージの主戦騎手を務めていますが、分かるんです。あいつは自分がどういう存在で、何をすべきかというのを理解してます。あいつ自身もその偉業の意味を理解してくれると思います。そして、その無理にも応えてくれると思います。だから、自分でも可笑しな言い方になりますが、肯定も否定もしません。あいつが走る、と覚悟を決めているなら俺は何も言わずにあいつを勝たせるために全力を尽くします。逆に、あいつが走ることを否定しているのなら俺はあなたを殴ってでも止めます。それが俺の意見です。」
「リュージさん………。有り難うございます。あなたのお言葉、深く胸に刻みます。では、松下さん。あなたの気持ちをお聞かせください。リュージさんはこうおっしゃってますが、あなたが断られるのでしたら、私も諦めます。あなたが納得されてない状態での調教ではこの偉業は無理ですから。」
「………分かりました。あの馬の素質の底知れなさは私も認めるところです。そして、サードステージが成す偉業を見たいのは私も同じです。ええ、腹を括りましょう。」
「松下さん、あなたの決断に感謝いたします………!」
「……では、気を取り直してスケジュールの確認です。先ほど申し上げましたように宝塚記念から凱旋門賞に直行したのはディープインパクトだけです。また、凱旋門賞から天皇賞秋に向かったケースは無い、というか今後現れないようなローテーションでしょう。そして年間G17戦するとなれば、いくらサードステージでも消耗が過ぎます。なので、今年のレースは国内含めて全てのレースで直行させるつもりでいきます。」
ですが、と松下は一呼吸置く。
「サードステージが洋芝に合わないことを想定してフォワ賞を使えるような遠征計画にはします。仮に前哨戦を使うことになった場合、それは洋芝に合わない中で前哨戦まで使うという、サードステージにとって負担がかかりすぎている状態になります。そうなったら天皇賞秋はもちろんJCも諦めて休養を取らせます。調教師の私としてはこれが最大限の譲歩です。もちろん、馬体に異常が見受けられれば出走は断念していただきます。もし、断念して頂けない場合にはオーナーの首根っこを掴んで地面に叩きつけて恫喝します。よろしいですね?」
「ええ、それで充分です。」
「後は凱旋門、というより海外での騎手は如何なさいますか?」
「もちろん、リュージさんに全て一任いたします。」
「自分……で本当によろしいんですか?」
「ええ、はっきり言って私は海外の競馬事情は全く分かりません。それならば、サードステージと深く通じあっているリュージさんに乗って頂くのが1番かと思います。それに、先ほど2人の力が無ければ偉業は達成できないと言ったのは自分です。私はリュージさんを信じます。」
「ありがとうございます……! そのご期待に必ずや報います!!」
こうして彼らは前人未到の偉業へと挑むことになる。
数多の舞台に立ちはだかるは、その競馬場・その距離を極めるスペシャリストたち。並大抵のゼネラリストでは歯が立たぬ苦難の試練。そして、立ちはだかるは世界の壁、その名とは裏腹に名だたる名馬の凱旋を阻んだ地獄の門。日本を駆け抜け、呪いを打ち破り、彼らは未踏の境地を目指す。
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絆を深めた騎手を大事なレース前には切り替えてはならないのが鉄則なのでリュージさんには海外に行ってもらいます。
中小馬主の救世主と呼ばれてるリュージさんを海外に連れ出すとか中々にとんでもないことをしてるような……。
(2021/9/10 追記)
出走ローテーションに関して様々な意見をお寄せ頂き、ありがとうございます。
此方でもご感想などを考慮し、修正するかどうか検討しています。
結果に関しては本回の修正か次回の投稿を以て返させていただきます。
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