木ノ葉のお札屋さん   作:乙欄

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評価、お気に入り、ありがとうございます。

戦闘描写、難しいです……。


13枚目

「てめーら砂が何を企んでいるかは知らねーが……お前はオレが止める!」

 

 転移すると森の中、木の上でした。……会場の様子が気になりますが……もう、手遅れですね。火影様と暗部の方々なら大丈夫だと、信じています。はい。あそこでわたしにできることはやりきったと思いますし、切り替えましょう。

 

 さて、わたしの横にいるサスケ君が下の方に……同じく木の枝の上にいる我愛羅君と対峙しています。状況がさっぱり読めません。なぜサスケ君たちはこんなところにいるのでしょうか?

 

 ちらりとヤタを見ると手短に説明してくれました。

 

 

 この砂隠れの下忍3人が逃げて、サスケ君は審判の人に追えと言われたそうです。……いいんでしょうか、ただの下忍にそんな任務言い渡しても。

 

 それで追っていたら一旦テマリさんと戦うことになり、倒してまた追跡したらカンクロウ君と戦う……のは後から現れた油女シノ君が引き受けてくれ、今はこうしてここで我愛羅君と対峙していると。なるほど。

 

 サスケ君はわたしが来たことに軽く驚いた様子を見せるもそのまま真っすぐ我愛羅君の方を睨んでいました。助っ人が来たことをもう少し喜んでくれてもいいんですよ? なんかこう、頼りにされていないようで悲しいです。

 

「強い……お前……うちはと呼ばれるお前……仲間のいるお前……目的のあるお前……オレに似ているお前……」

 

 我愛羅君が何やらつぶやきはじめました。かなり息が荒く……体中にヒビが入っているようで……色々と大丈夫でしょうか?

 

「お前を殺すことで……その全てを消し去った存在としてオレはこの世に存在する……オレは『生』を実感できる!!」

 

 そう言うと我愛羅君はうずくまり、うなり出します。驚くわたしたちをよそに、我愛羅君の右腕は異形のものと化していきました……どういうことでしょうか。大蛇丸といい、アニマルシリーズでも流行っているんですか? もう少しわたしのヤタみたいに可愛い感じにしてくださいよ……!

 

 右腕だけでなく顔の右側や背中の一部も異形化していて、かなり不気味なフォルムを描いています。特にその右目は、飢えた獣のような……目が合うだけで思わずゾクリとする目でした。

 

 かなりの勢いで我愛羅君がこちらへ襲ってきたのを、わたしたちは必死に避けます。……ただ、あの目は完全にサスケ君しか見ていないようで……わたしは隣に来たから当たりそうになっただけで、はじめからサスケ君狙いでした。もしかしたらわたしが来たことに気づいてすらいない可能性すらあります。

 

 その右腕の一振りで木が抉れ、倒れ、悲惨な惨状となっていて……本当に、恐ろしいパワーです。万が一あれが当たったらと想像するだけで震えてしまいます。

 

 といいますか、本当にどんな原理ですか、これは。さっぱりわかりません。うう、あの砂を近くで見てみたい、と試合中に願ったことが本当になりましたけど……あれでフラグが立ってしまっていたのでしょうか。

 

「どうした……この俺が怖いか?」

 

 怖いですよ、普通に。

 

 我愛羅君の呼びかけにサスケ君は技で応えました。チチチという音に、雷のチャクラ。先ほどの試合で我愛羅君の砂団子を貫いたものと同じ技は、向かってくる我愛羅君の右腕をあっさりと切り裂き────しかし、我愛羅君は痛がるどころかむしろ笑っていました。不気味なほど陽気に。

 

「何故こんなに楽しいのか……今、わかったぞ! オレを傷つける程の奴を倒しそいつのすべてを奪い取ることは……オレにより強い生の実感を与えてくれる!」

 

 そう楽しそうに笑う我愛羅君の右腕は瞬く間に修復され、さらには謎の尻尾まで生えてきました。本当に、一体どういうことなのでしょうか。

 

 あの技でダメージが無さそうなことを考えると、何が効くのやらさっぱりです。ここは、もう引いて勝手に砂隠れなりに逃げてもらった方がいいのではないでしょうか。下忍に手に負えるレベルを完全に超えています。駆けつけておきながら逃げるのはアレですが、つべこべ言ってられません。

 

「待ってください我愛羅君! わたしたちはこれ以上貴方がたを追うことはありません。木ノ葉へ戻ります。だから、退いてください……!」

 

 必死に言うわたしの言葉を我愛羅君はガン無視しました。たぶんあれはもう、何で戦っているのかすらも忘れています。ただただ我欲で動いている感じです。

 

「いくぞォオ!」

 

 そう叫んでまたサスケ君に突っ込もうとする我愛羅君の身体は……ピタリと止まりました。ヤタの金縛りの術です。そのまま重力に従って落ちていく我愛羅君にわたしは投げれる限り起爆札付きのクナイを投げ、サスケ君は火遁 業火球の術を放ち──────その攻撃を、砂はあっさりと受け止めたのです。あの砂、オート防御ですか。強すぎでしょう!?

 

 しかもあっさり金縛りも解けたらしい我愛羅君はサスケ君を殴ってふっ飛ばしていきます。

 

「お前の存在価値はこの程度か? はっきりと言おう……お前は弱い!」

 

 サスケ君をそう貶す我愛羅君に思わずわたしは叫びました。

 

「サスケ君は弱くないですし、存在価値は強さでは決まらないですし……あとさっきから無視をしないでください、我愛羅君! わたしたちは貴方がたをこれ以上は追いませんから、どうぞ行ってください。大蛇丸の企みはそろそろ潰えているころですし……うちの里の上忍が来れば、不利なのはそちら側になります!」

 

「先ほどから……うるさいな……お前から……殺してやろうか?」

 

「っ!!」

 

 恐ろしいほどに濃密な殺気がわたしへぶつけられました。それは、わたし死の予感すら感じさせて────逃げ出したいと、心の底から思うものでした。

 

 でも、サスケ君は試合の後でもう、チャクラも危ないはず。我愛羅君はまったくその様子はないですが……わたしが戦わねば、サスケ君の方がまずいはずです。たぶん。幸いにして、一つだけ多少は効きそうな手段ならあります。ナルト君用に渡されたお札の、最後の1枚。

 

 わたしはそっとお札を握りしめました。

 

「来るなら……来なさいっ!!」

 

 そうわたしが言うと、本当にこっちに突っ込んできて……少し、後悔しましたが。どうにか一矢報いようと、震える腕を抑えてただ手を伸ばします。

 

 そして、我愛羅君の腕が──────

 

 

 わたしに届く、その前に。ドカリ、と蹴られて彼は吹っ飛んでいったのでした。

 

「ナルト君!」

 

 ナルト君が駆けつけて来てくれたのです。ほっと息が漏れました。覚悟していたとはいえ……迫りくる恐怖は確実にわたしを蝕んでいたようです。怖いものは怖いんですもの。

 

 見ると、サクラちゃんとカカシ先生の忍犬も一緒でした。頼もしい援軍がただただありがたいです。

 

「カタナちゃん……」

 

「はい?」

 

 何でしょう……? わたしは助けてくれたナルト君にニッコリとほほえみました。

 

「こいつ……誰だってばよ!?」

 

 ……

 

 ………………ええ、多少は姿は変わってますけど、まあ。そんなに変わらないかと……?

 

「我愛羅君ですよ」

 

 そう言うと、とても驚いた顔をしました。確かに直接変貌を見ないとなぜこうなったか理解し難いかもしれませんね。見ていたわたしにも我愛羅君のこれはさっぱりですけど。

 

「こいつが……サスケ君を……」

 

 木にのめり込んで座っているサスケ君に駆け寄ったサクラちゃんが呆然とつぶやきます。サスケ君のダメージはかなりのもののようですから気が気じゃないのでしょう。わたしとしても、はやくここから離れたいのですが……我愛羅君はとても許してはくれなさそうですね。ずっと睨んできています。

 

「拙者は戦闘タイプじゃねーからあしからず!」

 

 カカシ先生の忍犬がそう言うと対抗するようにヤタが「某も補助タイプでござるニャ」と主張してきました。いえ、知ってますから。と言いますか、サスケ君のピンチに呼んでくれたのはありがたいですが、召喚時間的にそろそろまずいと思うので戻ってください。

 

「……お前は……あの時、殺し損ねた奴」

 

 ボソリと我愛羅君はナルト君に吐き捨てました。何があったんでしょう、中忍選抜試験で……ともかく、今はナルト君に関心が向かったようです。

 

「に……逃げっぞォ! みんなってば!」

 

 そう後ろにいるサスケ君たちへ向いて言ったナルト君に──我愛羅君は突っ込んで来て。

 

 それを予期していたわたしは今度こそ我愛羅君にお札を突きつけ…………

 

「っ!」

 

 衝撃。のち、痛み。

 

「っ──────!!」

 

 軽く殴られただけで吹っ飛びましたよ、ええ。身体のあちこちが痛いです。木に叩きつけられ、特に頭がクラクラします。

 

 ……でも、その甲斐あってお札はきっちりと貼ることができました。

 

「う……う……」

 

 我愛羅君の砂がボロボロと崩れていきます。変になった腕も、尻尾も消えていって。やっと出てきた普通の身体は、だらんと脱力したような感じになっています。

 

 ──これで落ち着いてくれて

 

 ────一件落着になると、いいな。

 

 

 ……

 

 …………

 

 嘘でしょう、普通に復活しましたよあの人!? また砂の異形になっていってます。

 

「この程度……!」

 

 そんな気合で何とかなるものなんですかあのお札。うぅ、ナルト君用でしたからもしかして我愛羅君にはほぼ効き目なしとかですか!?

 

 もう本当に打つ手無しですよわたし……。といいますか、さっきまでより断然異形っぽくなっています。上半身全部が異形と化しています……完全に悪化してしまいました。非常に申し訳ないです。あとでゆっくりと謝りましょう。無事に、帰れましたら。いえ、帰りますとも!

 

「みんな、ごめんなさい……あとナルト君、落ち着いて考えてみてください。たぶん我愛羅君は逃げても追ってくるので無駄です!! 速いですしパワーもありますから……だから、()()()で、頑張りましょう」

 

 口には出さないものの、一つだけ逃げる手段はあります。それは、みんなで一緒にではなくバラバラに逃げる、あるいは誰かが残って囮になること。そうすれば一人以外は助かる可能性があります。でも……7班はそれをしないと信じていますし、わたしもしたくはないです。

 

 つまり、みんなで立ち向かうこと……これが、最適解です。スズ取り演習を思い出しますね。こちらはなぜか命がけですけれども。

 

 4人で、目が合いました。コクリとうなずき合います。どうやら考えたことはみな同じのようです。

 

 徹底抗戦です! 時間を稼いだら上忍の方々が来てくださる……はず! みんなでやれば、怖くない……は、嘘ですね。怖いけれど、頑張れます!

 

「お前らは……何なんだ」

 

「オレは……うずまきナルト! いずれ火影になる男だァ!」

 

 ナルト君が自ら奮い立たせるように言います。格好いいんですけれど……たぶん、そういうのじゃないです。ここで必要な言葉は────

 

「こいつらは……オレの、大切な仲間だ……!」

 

 ────サスケ君がそう、言ってくれました。

 

 すごくジーンときました。あのサスケ君が、ここまで言ってくれるなんて……。いつもスカ、いえ、斜に構えた態度で、今回なんてカカシ先生とずっと失踪していましたけれど…………いや、無言で行方不明になったのはアウトですね。大切な仲間と言ってくれるなら黙って消えないようにとあとで文句を言いましょう。そのために、みんなでカカシ先生の下へ戻らないとですね。

 

 よし、7班の仲間でやっちゃいましょう! 時間稼ぎを……!

 

「違う……自分だけを愛し、自分だけのために戦う……それが一番強い者の定義だ! お前達だってすぐに仲間をあきらめ逃げるだろう……死なぬ程度に……遊んでやる!!」

 

 そう言って我愛羅君は砂の塊を投げてきました。いえ、砂を投げる……と言ってもその威力はえげつないものです。当たると簡単に木を抉っているそれをわたしたちは必死に避けています。

 

 風遁まで交えて来るので完全に防戦一方です。と言いますか、みんな何回かは木に叩きつけられています。ええと、森だから火遁は駄目、水の無い所での水遁は難しく……木の上だから土遁も駄目、風遁は砂隠れ相手な以上は相手の方がたぶん技量も上……雷遁しかないですね。

 

 しかしクナイを当てようにも風遁で軌道が逸れるのを警戒せねばならず……何回も言いますけど、我愛羅君、強すぎませんか? あと上忍はまだですか!?

 

 雷弾札付きクナイを投げますが、当たっても効いている様子がないです。もちろん普通のクナイも。基本的にナルト君、サスケ君が肉弾戦を挑み合間合間にわたしとサクラちゃんでクナイ等々を投げるスタイルですが……さっき我愛羅君が言った通り、完全に遊ばれている感じがします。

 

「口寄せの術!」

 

 なんかいつの間にかナルト君が蛙さんを口寄せしていますし。……ちっちゃいですけど。あ、あ、攻撃が……ふう、ナルト君が守ってあげてました。って、こんな時にチャクラの無駄遣いしないでください! わたしもそろそろチャクラがキツイのです……。

 

「どうした……オレを追ってきたのにこのザマか?」

 

 わたしは追ってませんもん! ……いえ、言っても仕方のないことですけど。ですけど!

 

 そんな我愛羅君の挑発にナルト君はクナイに起爆札を巻き付けながらわたしたちに言いました。

 

「みんな! ちょっとの間、片腕だけ抑えててほしいってばよ!」

 

 何か作戦があるのでしょう。こういう時のナルト君の作戦は目を見張るものがあります。でも我愛羅君、すぐ再生しますし、抑えるって……身体で、ですか。そうですか。……ええい、行きましょう!

 

 サクラちゃんとサスケ君とともに我愛羅君の砂で肥大化した片腕にベタッと張り付きどうにか動きを……すごく痛いですけど……止めると、サスケ君の背を蹴ってナルト君が我愛羅君の方へと飛び込んでいきました。文字通り踏み台にされたサスケ君がぷるぷる震えてお怒りになっています。

 

 そのままナルト君は影分身の術を利用して我愛羅君の攻撃をかいくぐってその背後に回ると──

 

「くらえ! カカシ先生から教わった……木ノ葉隠れ秘伝体術奥義! 千年殺し〜〜っ!!」

 

 お尻に、クナイを刺しました…………はい。これがスズ取りの時にカカシ先生が出したとかいう千年殺しだったんですね。こんな時なのにちょっと脱力です……って、それより爆発を避けませんと!

 

 急いで逃げるわたしの目には、我愛羅君の尻尾でぶっ飛ばされてしまったナルト君が映っていました。

 

 そしてボカンと大きな爆発音の後、見えた我愛羅君の姿は────ここ一番のダメージを受けているようには見えましたが、残念ながらまだまだ元気そうです。

 

 すかさずそこへサスケ君があのチチチと鳴る雷遁の技を出し、我愛羅君は勢いよく地面へと落ちていきました。よし、追撃しましょう。

 

 ここぞとばかりに攻めようとするわたしたちには──

 

 

「ウォオオォオオ!」

 

 我愛羅君がさらに巨大化するという、絶望的な展開が待っていました。何なんですかこれは!? 

 

 本当にどこの怪獣だってくらい大きいですし……すごく禍々しい模様が全身を覆っている、ずんぐりむっくりとしたはじめて見る生物です。この状況をどうしろというのでしょうか。嗚呼、結界を張る訓練を積んでおけばよかったです……! 焼け石に水だったかもしれませんけども……。

 

「うぐゥ……ウウ……ッ」

 

「サスケ君!」

 

 しかもサスケ君の顔や首にアザが出て、とても苦しそうにしています。妙な攻撃をされた様子はなかったのですが……? サクラちゃんには多少の心当たりがあるようで、治療を試みているものの正直なところあまり効き目はなさそうです。だ、大丈夫でしょうか。

 

 もう、サスケ君を抱えてみんなで逃げたいのですけれど……。

 

「あれが木ノ葉で暴れたら、まずいですよね……」

 

 超巨大化した我愛羅君。あんなもの生物兵器です。いえ、もしかしてもともと大蛇丸や砂隠れはこうする予定だったのでしょうか……?

 

 ともかく、もう止められる手段もないです。皆無です。詰みです……。

 

 

 そんなわたしの言葉にナルト君はハッとした表情になりました。まさか……何か、また作戦でもあるのでしょうか。

 

 親指に血を、そして結ばれる印は見覚えがあるもので────

 

「口寄せの術!!」

 

 …………

 

 ………………

 

 

 気づくとわたしたち──7班プラス忍犬さんは、大きい蛙さんの上に立っていました。驚きの連続にもう何がなんだかです。ナルト君の口寄せ動物、強すぎやしませんか。さっきのちっちゃい子との振れ幅が大きいです。

 

「ガマオヤビン……木ノ葉を守るためにオレと一緒に戦ってくれってばよ! 頼むぜオヤビン!!」

 

 オヤビン? 親分ということでしょうか。確かにこの蛙さんが戦ってくれるなら我愛羅君も何とかできそうですが……。

 

「…………嫌じゃ!」

 

 ……ですよね。強い口寄せ動物は強いだけ気位も高いことが多いものです。でも戦っていただかないと本当にまずい状況で────と、思っていたら。

 

 なんとさっきナルト君が口寄せしていたちっちゃい蛙さんはこちらの親分のお子さんだったらしく、あいつにいじめられたから戦ってと言って説得してくれたのでした。とてもありがたいです。

 

 ガマ親分さんはその大きい身体に合った巨大な刀を抜いて勢いよく斬りかかります。すごく揺れて、わたしたちは──特に今は身体も動かせないらしいサスケ君は下にいた方がよかったのではと思ったのですが、森も巻き込まれていてどこも結構やばいです。怪獣大決戦、という感じで……地形とかが変わってもおかしくないと思ってしまうレベルです。

 

 我愛羅君?の右腕はズバッと吹っ飛びましたが、かなり固かったようでガマ親分さんの刀も一緒に飛んでしまっていました。得物を失ったことになりますが、大丈夫なのでしょうか。

 

 そして我愛羅君は砂の怪物の額からニョキッと生えて何やら印を組んでいました。一応別物扱いなんですね、我愛羅君と砂の怪物は。てっきり我愛羅君が変貌した姿だと思っていました……あと、狙ってくださいって感じで我愛羅君を露出させたのは罠なのでしょうか? それとも外に我愛羅君が出ないと印は結べないのか……。

 

「あの霊媒も守鶴に取り憑かれて不眠病の症状が出てんのォ……」

 

 ガマ親分さんによるとあの砂の怪物は化け狸、名前は守鶴でその霊媒の我愛羅君は守鶴のせいで眠れなく、人格が不安定になっているとのこと。化け狸、恐ろしいですね。お札で悪霊退散できたらいいですのに……といいますか、我愛羅君はそれでずっと寝れていないんですか。確かに目にはすごくはっきりとクマがありますけど……だとすればちょっとどころではなく可哀想な身の上です。睡眠は大切ですもの。ただ──

 

「狸寝入りの術!」

 

 守鶴に身を委ねるのはやめましょうよ!? 絶対に悪手ですよそれ。それに、我愛羅君は本戦で砂を操ってたときの方がたぶん強かったですよ……疲れてるのとかもあるでしょうけど、守鶴のせいで弱体化していません?

 

 

「シャハハハハハアァ! やっと出て来れたぜェ!!」

 

 我愛羅君が寝てやっと出てこれたらしい守鶴はふざけた口調とは裏腹に恐ろしい規模の風遁を放ち、ガマ親分さんはそれを水遁で相殺しようとして……しきれずに一発は当たってしまいました。

 

 痛そうですけど、まだ大丈夫だそうです……お、親分さん、頑張ってください! 

 

「とりあえずはのォ! あの霊媒のガキを叩き起こせ! そしたら術は解ける!」

 

 やっと眠れたのに起こすのはちょっと可哀想ですけど……いえ、そういうこと言ってる場合じゃあないですよね。

 

 ナルト君と親分さんの合せ技によって親分さんが真っ赤な狐に変化して、守鶴に噛みつき掴みかかって動きを封じます。

 

 ……狐? ……チャクラ、九尾、封印、…………いえ、考えるのはあとにしましょう、あとに。

 

「よっしゃ! 今じゃでェー!!」

 

 その言葉にサクラちゃんが「サスケ君をお願い!」とわたしに託して、「サスケ君の(かたき)ィ! しゃーんなろー!」とナルト君と一緒に我愛羅君に殴りかかっていっていました……サスケ君、生きてますよー。確かにだいぶつらそうですけど。これはアザと言うよりはよく見ると……呪印、ですかね。ひどく悪意があるような────

 

「危ねーから嬢ちゃんたちはそろそろ降りときな」

 

「はい、ありがとうございます……!」

 

 いけませんね、完全に気が逸れていました。親分さんに従って、サスケ君を抱えつつ急いでその背中、法被(はっぴ)の上を滑り降ります。

 

 忍犬さんと一緒に地面に降り立ち、とりあえずサスケ君を寝かせ……チャクラに余裕があれば茣蓙(ござ)なんかを出して下に敷いてあげられるのですが……今は地面に直です。ごめんなさい。

 

 ナルト君たちの方はと上を見上げるとまだ戦っていて────手だしのできないわたしは彼らの勝利を必死に祈りました。

 

 

 

 やがて────辺りにズズズ、と一層激しい音が響き、守鶴がただの砂に戻っていっています。

 

「……! 勝ったのか!?」

 

 親分さんもボンと音を立てて帰っていったようです。空中には砂の欠片と、人影が舞っています。

 

 一つはこちらの方へ落ちてきて……って、サクラちゃんです。

 

 慌てて走って受け止めると……サクラちゃんは気絶していました。でも、目立った外傷はないです。よかった……。

 

 ナルト君と我愛羅君は……親分さんの刀が刺さってる辺り、木の上で対峙しています。え、まだ戦うんですか……?

 

 ──ええい、とりあえず向かいましょう。

 

 サクラちゃんをサスケ君に預け、ナルト君たちの方へと走ります。

 

 見つけた2人は地面に倒れていました。もうピクリとも動けない、といった様子です。

 

「オレの存在を認めてくれた……大切な皆だから……」

 

「…………愛情………………」

 

 ……なんか……夕日の出ている河原で殴り合ってわかりあったような、そんな雰囲気になっています。男の友情ってやつでしょうか。今来たばかりで状況がさっぱりのわたしにはよくわかりませんが……。

 

 ただ、わたしの想像通りなら……身に異形を宿す者同士。何かわかり会える者があったのやもしれません。彼らほどではないにしろ、自身の孤独、そして他人との違いというものはわたしも悩んだ経験はあります。

 

「お疲れ様でした、ナルト君。サスケ君もサクラちゃんもとりあえずは大丈夫そうですよ」

 

「そっか……」

 

 ナルト君は安心したらしくそのまま笑って気絶してしまいました。おそらくチャクラの使いすぎでしょう。

 

 さてこの我愛羅君はどうしようか、と思った時、木の上からカンクロウ君とテマリさんが現れました。

 

 2対1ですか……チャクラ的にもキツいのですが──

 

「もういい……ヤメだ」

 

 我愛羅君のその一言で、2人は彼を連れて大人しく撤退していきました。追跡すべきか、とも迷いましたが……増援もないですし気絶した仲間もいます。

 

 ──こちらも、木ノ葉に戻りましょうか。

 

 ナルト君を背負って走ります。サクラちゃんの方はサスケ君にお願いしましょうか。何とか動けるようにはなったっぽかったですし……。

 

 

 

 

──そうして帰ったわたしは、無事に。家族との再会が叶ったのでした。

 

 




我愛羅君の呼びかけにサスケ君は技で応えました。チチチという音に、雷のチャクラ。先ほどの試合で我愛羅君の砂団子を貫いたものと同じ技は
→ガイが千鳥を説明するのを聞いていなかったので、カタナは技名を知らない。暗殺用のとっておきの技らしいものの、アニメだとかなり派手な音がする。暗殺とは……?

「待ってください我愛羅君! わたしたちはこれ以上貴方がたを追うことはありません。木ノ葉へ戻ります。だから、退いてください……!」
→実際、サスケが追わなければこの3姉弟はそのまま砂隠れに帰っていたのでは?と思っている。まあそれだと物語がつまらなくなるので仕方ないのだろうが。

ヤタの金縛りの術です。
→金縛りの術は下忍クラスの術らしいし、 猫と金縛りの組合せがしっくり来たため使用。ただ我愛羅にはサラッと解かれた。強すぎる。

カカシ先生から教わった……木ノ葉隠れ秘伝体術奥義! 千年殺し〜〜っ!!
→要するにカンチョー。たぶん流石にカカシも教えてはない、はず。スズ取り演習の際は寅の印に似た指の形を取ったことからサスケとサクラはカカシが火遁を使うと勘違いした。起爆札付きクナイで普通の人間にやったら間違いなく大惨事になると思われる。
なお、同じく寅の印を結んでいるものに「チャクラ宙返り」というものもあり、火遁かどうかは不明なものの寅の印は何かとネタにされやすい模様。

お札で悪霊退散できたらいいですのに……といいますか、我愛羅君はそれでずっと寝れていないんですか。確かに目にはすごくはっきりとクマがありますけど……だとすればちょっとどころではなく可哀想な身の上です。睡眠は大切ですもの
→アニメだとNARUTO世界では幽霊とか悪霊退散のお札とかが出たりしてる。お札にも効力があるらしく剥がすと幽霊が出たり。誰が作ってるんだろう、あのお札……。我愛羅の残虐性には間違いなく睡眠不足による思考能力低下が含まれていると勝手に思っている。

守鶴に身を委ねるのはやめましょうよ!? 絶対に悪手ですよそれ。それに、我愛羅君は本戦で砂を操ってたときの方がたぶん強かったですよ……疲れてるのとかもあるでしょうけど、守鶴のせいで弱体化していません?
→我愛羅も守鶴も互いに互いの力を邪魔しあってる感じを想定。技の規模はともかく、力量自体は正直我愛羅単体の方が強いと思う。

……狐? ……チャクラ、九尾、封印、…………いえ、考えるのはあとにしましょう、あとに。
→四代目が九尾を封印したという話は知っていたため(妖魔を人に封印する、というよりはそれこそ殺生石のように石やら土地とかに封印する発想のがメジャーだと思う)、封印のお札を託されていたこととかもあって九尾までたどり着いた。なお、ネジ戦の際にナルトが点穴を突かれてもチャクラを練れたこともヒントに。

──そうして帰ったわたしは、無事に。家族との再会が叶ったのでした。
→非戦闘員の家族がいるならそちらを真っ先に心配するだろうなと。原作登場人物の大半は家族も忍か、家族はいないというケースですよね……忍の過酷っぷりよ。

倒してまた追跡したらカンクロウ君と戦う……のは後から現れた油女シノ君が引き受けてくれ
あと上忍はまだですか!?
→上忍が来る、と信じてないとやってられなかった。ちなみにこのときシカマルのもとへはアスマが、シノのもとへは父が駆けつけている。なんでナルト達の方まで来てくれなかったんだ……?
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