木ノ葉のお札屋さん 作:乙欄
木ノ葉への侵攻。その被害はかなりのものでしたが、忍びとその関連施設にとどまって、それ以外は大方無事だったのは不幸中の幸いというものでしょう。もともと強固な結界を誇る我が家と家族はもちろんのこと、団子屋さんやラーメン屋さんといったお店の店員の方々もご無事でした。
そんなお店の一つ……一楽を目にしたわたしは、昔に起きたある事件とその顛末を思い出していました。
◆
「あー、はやくラーメンが食べたいってばよ!」
「ナルト君、ずっと言ってましたもんね……」
「おう! ラーメン食べれば疲れも吹っ飛ぶ!」
波の国から帰って来て。ナルト君がまず考えたのはラーメン屋に行くことだったらしく、意気揚々と向かっていました。わたしは家に帰ったのですが────
「大変だ! オッチャンが倒れて……」
ナルト君に呼ばれ、わたしも一楽に行くことになったのでした。
白君に教わった知識で判断するに、一楽の店主さん──テウチさんは幸いご病気で倒れたのではありませんでした。
「疲労ですね。ゆっくり休めば大丈夫だと思います。栄養剤も置いておきますね」
「よかったァ……ありがと、カタナちゃん!」
「いえいえ。ただ腕がかなり腫れているので、しばらくはあまり動かし過ぎないほうがいいですね」
なぜこんな腕を酷使したのでしょうか、と疑問に思っているわたしに。ナルト君は思い出したようにつぶやきました。
「そういえばオッチャン、倒れる前にリョウニンがどうとかアヤメのねーちゃんがどうって言ってた気がすんな」
アヤメさん……店主さんの娘さんで、お店をよく手伝っている方ですね。そちらはわかりますけど……リョウニンって何でしょう?
2人して首をひねっていると、お目覚めになったテウチさんはゆっくりとお話ししてくださいました。
「料忍とは料理忍者のことだ」
「料理忍者?」
テウチさんの説明によると────
忍びが任務を行う際に直面する問題の一つに食事の問題がある。通常は兵糧丸を携帯するがこれは栄養補給がメインで味はない。もし任務中に美味しい料理が食べられたら任務成功率も上昇するのでは。そんな考えに基づき誕生したのが料理忍者である。
2週間前、ハッカクという昔テウチさんと同じラーメン屋で修行していた男──今は料理忍者をやっていると言っていた──が一楽にやって来て幻のレシピを譲ってくれと言ってきた。テウチさんに心当たりはなかったのだが、相手はそれを信じてくれずアヤメさんがさらわれてしまった。曰く、彼らをうならす料理が作れれば幻のレシピはあきらめ娘も無事返すと。
誘拐って……すぐに対処してもらうよう言った方がいいのでは……?
連絡しようとするわたしをテウチさんは慌てて止めました。毎日手紙が届いており、アヤメさんが無事なことは確認できているらしいのです。確かに見せていただいたお手紙は本当にアヤメさんの字のようですし、筆跡に乱れもありませんでした。
「料理人が料理で勝負を挑まれたんだ。やるしかないだろう」
「で。新しいラーメンの開発をしてたってわけか」
「そう。スープは何とか思い通りのものが作れた。だが、スープに合うだけのコシの強い麺がなかなか打てねえ! こんなんじゃアヤメを取り戻すことなんか……いよいよ勝負は明日だってのに。いったいどうすりゃいいんだ」
そう言ってテウチさんは涙をこぼしました。……うーん、アヤメさんの命に別状がないのをテウチさんが確信しているあたりにどうも違和感が……。もしかして、他にも何か隠している事情があったりするのでしょうか。
「よし! オッチャン! オレら2人が手を貸してやるぜ。最高のラーメンを作って料忍からアヤメのねーちゃんを取り戻す!」
ナルト君がそう意気込み……2人? わたしも入ってるのでしょうか。いつの間に……いえ、お手伝いくらいはしますけれども。
おー!という感じで腕を上げるナルト君に、わたしも急いで追従しました。
「お前ら……!!」
こうして、わたしたちはラーメン屋さん見習いになったのです。
「麺打ちの基本から教える。材料を素早く均一に混ぜる。ムラがあると麺の味にバラつきが出る」
小麦粉の山にちょこんと卵が載せられています。これから麺が出来ると思うと……なんだか感慨深いですね。機械とかでやるのかと思っていたのですが、手打ちのようです。
「次にこねる。ここをしっかりやっとかねーと麺にコシが出ねェ……うっ」
やはりテウチさんはあまり強く動かすと腕が痛んでいるようでした。腫れ上がってしまっているのも麺の作りすぎが原因なのでしょう。
「大丈夫ですか?」
「なあに。心配いらねェよ」
そう言ってテウチさんは作業を続けました。
……あまりに痛むようでしたら、こちらからお止めしましょう。
「そして麺を伸ばす! 大切なのは太さが一定になるようにすること。茹で上がりに差が出ないようにな」
魔法のように麺生地が伸び縮みして麺が完成します。おおーとわたしたちはその職人技に拍手喝采しました。
教わった通りに麺作りに励みますが……流石に明日までだと時間が厳しすぎて、うまく作れるとは思えません。うーんと悩むわたしに、ある一つのアイデアが思い浮かびました。
「ナルト君! アレをやりましょう。準備はわたしの方でしますから……」
コショコショと説明するわたしの言葉に、ナルト君はあっさりと賛成してくれました。
「了解! よーし……オレ達がやるからには負ける気はないってばよ!!」
ええ。前は頓挫しましたけど……今のナルト君になら、アレも使いこなせるはずなのです!
そうして、次の日。
指定された場所は山の中腹、ゴツゴツした岩に囲まれたところでした。……どこかの店とかでやって欲しかったです。道中が地味に辛かったのです。
「待たせたな、ハッカク!」
「幻のレシピは?」
「この様子を見てわからねェのか!」
わたしたちの手にはいっぱいの荷物。もちろん、ラーメン対決用です。時空間忍術を駆使して材料は持ってきたのですが、念の為一部は手で運んで来たのです。
「なるほど……愚かな。言っておくが、この前店で食べたものと同じものでは勝てぬぞ」
ハッカクさんは自慢気に言いました。鼻あてをつけていることからして、嗅覚には自信があるのでしょうか……料理忍者も忍者ですし、任務で役立てているのやもしれませんね。
「アヤメは無事なのか?」
そうテウチさんが言うと、岩陰から声が聞こえてきました。
「お父さん! 来ちゃったのね……」
「アヤメ!」
間違いなくアヤメさんの声です。気配もありますし……無事なのは本当なのでしょう。テウチさんは急いで駆け寄ろうとしますが────
「感動の再会は勝負のあとだ」
ハッカクさんがテウチさんの足元に包丁を数本投げてそれを妨げます。料理忍者の武器って包丁なのでしょうか。謎です。
「一つ頼みがある。手伝いをつけさせてくれ」
「そんなガキどもに手伝いが務まるとも思えんが……ま、いいだろう」
ハッカクさんはすっと手を上げて宣言しました。
「では料理勝負を始める!」
すると岩の陰から何人もの料理忍者が出てきました。みなさん、お暇なのでしょうか……?
「我々料理忍者全員を満足させることができるかな? やってみるがいい!」
こうして、わたしたちの戦いは始まったのです。
「グズグズしている時間はない! 始めるぞ」
テウチさんの指示に従い、わたしたちは準備を進めていきます。材料なんかをポンポン出しているのですが……今までで一番、時空間忍術を使っている気がします。任務だとチャクラの心配があるので多用はできないんですよね。
「スープの仕込みは終わってる……麺の方は、頼んだぞ! 俺は具の準備をする」
スープは寸胴鍋ごと封入しました。うう、開封の消費チャクラが大きいです。口寄せの術とは術者のチャクラ量に比例して呼び寄せるものの量や大きさが増えますからね……まだまだ未熟なわたしには結構つらいです、はい。しかしこの忍術を開発した人もまさかラーメン作りに使われるとは思いもしなかったでしょう。わたしも予想だにしませんでした。
「スープはなかなかのものができたようだが……ここまで匂いがただよってくる。実に食欲をそそる香りだ。……問題は麺だ。あんなガキどもに……!?」
ふう。材料を出し切ったのでわたしの仕事は終了です。
さて、ハッカクさんが驚いているのも無理はないでしょう。ナルト君の動きは熟練の麺職人の動きそのもの。そうです、ナルト君はあれから多重影分身を使って徹夜で麺作りに打ち込んだのです。材料や練習場所の手配はわたしがしました。家族にはすっごく不思議そうな顔をされましたけれども。彼と影分身たちの集中力は凄まじく……テウチさんが免許皆伝を授けるほどでした。ナルト君、ラーメン屋になってもやっていけるんじゃあないでしょうか。
「なんと見事な麺……」
ハッカクさん的にも非の打ち所がない麺のようです。よかったですね、ナルト君。
もう応援以外はやることもないわたしはコソコソとハッカクさんに近づきました。ずっと聞きたかったことがあるのです。
「あのう、結局これってなんのために行っているんでしょうか……?」
「それは……我々には幻のレシピが必要なのだ。料理忍者の未来のためにも!」
……
…………うーん。
「忍者なんですし、レシピを盗んだりは……」
「それはならん! 料理人にとってレシピは命も同然! それを穢すなどもってのほかだ」
誘拐は許されるのでしょうか。線引がいまいち不明です。
わからないなあと思っていると、すっと料理忍者の一人がこちらにやって来ました。
「そこからは僕が説明します」
「貴方は……?」
「息子のシキミです。実は僕……アヤメさんと、お付き合いさせていただいていまして」
……衝撃の発言です。
そして、このハッカクさんの息子さんの説明によってすべての事情が
アヤメさんとシキミさんはお付き合いを始めたのでお父さんのテウチさんにご挨拶しようと思うも、なかなか会ってはもらえなかったそうです。そこで今回、一計を案じました。テウチさんの最高の一杯に勝てれば交際を認めてもらえるのではないか、と。ただ、計画を聞いたハッカクさんが幻のレシピを求めて色々と横槍を入れてしまったみたいですが……
「でもシキミさん、何も作っていませんよね?」
「あはは。それはまあ、僕は料理人ではなく料理忍者ですから。任務中に向いているラーメンを開発したんですよ」
そう言ってシキミさんはある容器を取り出しました。ナルト君の家とかでよく見かけるものです。
「それは……」
「はい。カップラーメンです。任務中、手早く食べるにはこれが一番ですからね」
カップラーメン……食べたことがないんですよね、わたし。でもラーメン屋さんのラーメンに果たして勝てるものなのでしょうか……?
「湯を入れて3分。スープは極上、できる限り匂いは消し、麺はまるで生麺……! 僕の最高傑作です」
堂々と話すシキミさんは、自らの勝利をまったく疑っていないようでした。
テウチさんはハッカクさんの名前を聞いてその息子がアヤメさんと付き合っていることに思い至ったのでしょう。それで、アヤメさんの無事は確信していた、と。納得です。テウチさんの「娘はやらん!」という親馬鹿と、ハッカクさんの幻のレシピへの執念が色々と事態をややこしくしていたのですね。アヤメさんはもちろん丁重におもてなしされていたそうで、むしろ恋人と過ごせて喜んでいたとか。
……まあ、木ノ葉が平和で、何よりです。はい。
「あとは茹でるだけってばよ、オッチャン!」
「おう! 任せとけ」
テウチさんとナルト君のラーメンはいよいよ完成に近づいているようでした。ナルト君は多重影分身を駆使してテキパキとラーメンを盛り付けていきます。……影分身とラーメン屋さんの相性、抜群ですね。ナルト君のラーメン愛によるところも大きいんでしょうけれども。
「お待ちどうさまっ」
そうして、審査員席?に座っている料理忍者たちのもとへラーメンが置かれます。見た感じでは文句のつけ所もない、美味しそうなラーメンです。
うまいうまいと料理忍者たちにも高評価を受ける中、ハッカクさんはぐぬぬと唸っていました。みんなが食べている間にシキミさんが抜け目なくカップラーメンの準備を始めます。とは言ってもお湯を注ぐだけですけれども。任務中を再現しているのか、火遁と水遁を使う凝りっぷりです。
「流石ですねお義父さん……では次は、僕のラーメンです!」
「お前にお義父さんと言われる筋合いはないっ」
……そうして、出されたカップラーメン。こちらも美味しいらしくナルト君も嬉しそうに食べています。テウチさんも「くっ……カップラーメンがここまでやるとは……」と言っており、シキミさんの努力を認めているご様子です。気になるのでわたしもあとでお土産にもらって帰りましょうか。と言いますか、みんなよく2杯もラーメンを食べれますね……わたしはもう、見ているだけでお腹いっぱいです。
さて、勝敗は──
「どうする? 味的にはやっぱり一楽か……?」
「でもシキミのも十分に……」
「アヤメさんへの愛情が……」
「ここはやはり……」
すごい協議中です。とはいえ、料理忍者はもともとシキミさん側の人間ですからね。一楽やや不利、と言ったところでしょうか。
徹夜してすごく眠いので、なるだけはやく終わらせていただけるとありがたいのですが……そもそも。
「幻のレシピってつまるところ何なんです? テウチさんには本当に心当たりがないようですけれども」
「それが……僕もそんなのは眉唾ものだと思ってるんですよね……」
わたしたちはちらっとハッカクさんを見ました。幻のレシピなんてただのでまかせなのではないでしょうか。
あちらでも同じように思ったのか、ナルト君に問い詰められたらしいハッカクさんが観念したように話し始めていました。
「実は……我々料理忍者にはもうあとがないのだ」
「それは……どういうことだってばよ!」
「我々は、任務中でも美味しい料理が食べられるよう努力した。どんな場所でも美味しい料理を腹いっぱいと考えてなあ。だが……あまりに味を追求しすぎた! 美味しすぎる料理はついつい食べすぎてしまうものだ。その結果……忍者たちの体重が増え任務にも支障が出るようになってしまた。そして『料理忍者もういらない』という声まで出てきたのだ。我々料理忍者を存続させるには料理界で幻とされているレシピを手に入れるほなかったのだ。そのレシピを使えば忍に負担をかけることなく能力を上げることができるっ」
……
…………色々と言いたいことはありますけど。まず、それって兵糧丸では……? 忍者の御用達の栄養食。様々ありますが、チャクラが増えるのとかもあると聞きますし。
「そんなレシピが?」
「悪のレシピと呼ばれているそうだっ……我々はあちこちから情報を集めた。その結果、テウチの経営する一楽に悪のレシピがあることがわかったのだ」
「ええー?」
本当?という感じでテウチさんに視線が集まります。
悪のレシピって……名前が微妙なんですけれども、料理忍者にとっての悪ということなのでしょうか。
「知らない。そんなもんがうちにあるわけねーだろっ!」
「お前がそう言っていたのを聞いた者がいるんだぞ」
……なんかだいたい、オチが読めたような──
「あ、あるかも」
ポンと何か思い当たったらしいテウチさんは手を打ちました。
「……正確にはアク抜きのレシピだがな。美味しいスープを作るにはいかにうまくアクを取り除くかってことが重要なんだ。それで色々と研究してついに画期的にアク抜きがしやすくなるスープのレシピを編み出した。普段は縮めてアクのレシピと読んでいるんだが。まさか……そんな誤解が生まれるとは」
…………
………………
料理忍者の方々も……忍者なんですから、情報の裏取りくらいきちんとしてくださいっ。そもそもたくさん食べたら修業するなりして運動すればいいと思うのですけれども。料理忍者って……料理忍者って……。
途端にしょぼくれたハッカクさんと一緒に頭を下げつつ、シキミさんはテウチさんに熱く語りました。
「お義父さん……ご迷惑おかけして父ともども申し訳ありませんでした。ただ、アヤメさんとの交際を認めていただきたく……!」
「………………」
テウチさん、完全に沈黙です。周囲の料理忍者たちも息を呑んで見守っています。……貴方がた、来る必要あったのでしょうか? いえ、それを言うとわたしたちもおじゃま虫なきらいはありますけれども。でもラーメン作りを手伝っていたわたしたちに比べ、そちらはラーメン食べて喋ってただけですよね……?
黙りこくってしまったテウチさんに岩陰から涼やかな声がかけられました。
「お父さんっ」
「あやっ…………」
アヤメ……さん?
出てきたのはアヤメさん、だと思われる方なのですが……随分とその、ふくよかになられています。
「アヤメ……なのか?」
「見たらわかるじゃない」
「で、でもアヤメのねーちゃんて……」
「シキミさん達の作ってくれる料理があんまり美味しかったものだからついつい食べ過ぎちゃって。そんなに太ったかな?」
ええ、正直かなり……。
わたしはシキミさんの方をじっと見つめました。もしかしてわざとアヤメさんをカロリー攻めにしたのでしょうか……?
しかしシキミさんは首を傾げていました。
「アヤメさんはいつでも可愛らしいから……どこか、変わりました?」
ぜひとも眼科へ行ってください。
恋は盲目と言いますか、なんと言いますか……。
「まあいいわ。それでお父さん、いい加減シキミさんのこと認めてくれる?」
「え……そ、それは……」
言いよどむテウチさんに、アヤメさんはきっぱりと告げました。
「お父さん。そういうの、ウザい」
「アヤメぇぇぇえぇ」
テウチさんが滝のような涙を流しています。わたしもいずれはこういうやり取りを父とやることになるのでしょうか。アヤメさんとはたいして年も変わりませんしね。
ところで……あのう、ラーメン勝負は何処へ消えたのでしょうか?
カップラーメンを抱えたナルト君とわたしは顔を見合わせました。
「オレ達は……何のために来たんだってばよ……」
本当に……本当に……同感です。
「一楽の新メニュー?」
あれからしばらくの間、一楽はまた臨時休業を続けていました。テウチさんの腕の腫れのこともあってでしょう。そしてその後開店した一楽の新メニューは、木ノ葉のくノ一の間で超話題になったのです。
「はい。あの料理勝負で作ったものでなく……女の子に人気のダイエットラーメンを開発したとかで」
「ダイエットラーメン!?」
ダイエットとラーメン。相反する単語です。
ダイエットするならラーメンを食べなければいいのでは……?と正直思うのですが、まあ色々と女の子には事情があるのでしょう。
事実、一楽にはかなりの数のくノ一が並んでいます。あ、テンテンもいますね……そういえば、ガイ班も一楽にはよく来ると聞きました。
「なっ……スッゲー人気だってばよ」
そんな一楽の行列を見てナルト君はかなり慄いていました。こういう時のくノ一の情報網はそれはもう恐ろしいものがあるのです……!
テウチさんたちの様子を見に来ただけのわたしたちは暖簾をくぐって店内を覗きにいきました。
「あ! いらっしゃいナルトくん!」
「元の体型に戻ったんだ……」
ナルト君の言う通り、アヤメさんは元の細い体型に戻っていらっしゃいます。予想外にはやいですね。
「ダイエットラーメンのおかげよ!」
アヤメさんは自慢気に、明るく言いました。
……ダイエットラーメン、そんなに効果があるんですか。正直、眉唾ものと思っていたのですが。何が……一体何が、入っているのでしょうか……?
「結局シキミさんとのことはどうなったのですか? 差支えなければ……」
「もちろんいいわよ。シキミさんについてはお父さんも折れてくれたの。彼ってば凄いんだから。ダイエットラーメンもそうだし、今は美味しい兵糧丸の作り方の研究をしてるって」
勝負の際のカップラーメンも美味しかったのですが……本当にすごいですね。画期的な発明です。
でも、美味しい兵糧丸ができると料理忍者の存在意義が失われてしまうような……いえ、まあこれからは料理開発する忍者としてその力を活かしていくのやもしれませんね。とても素晴らしいと思います、はい。
「でもちょっと困ったことになっちゃって……」
そう言ってアヤメさんは写真を取り出しました。写っているのは……骨と皮しかないと言ってもいいくらいやせ細った人々。見覚えのある服装で──あ、もしかして料理忍者の方々でしょうか。
「ダイエットラーメンの開発の最中、みんな実験台になってくれたらしくてこうなっちゃったの。おかげで料理忍者は全員休職中ってわけ」
……
…………料理忍者の方々、自身の体調管理に無頓着すぎると思います。そして、太ったりやせ細ったり両極端すぎるのです!
◆
────懐かしいですね。あの時にナルト君が練習で作った麺、後で食べるの大変でした。まだちょっと残ってますし……。
そういえばダイエットラーメンも結局、ナルト君たちが中忍選抜試験で死の森にいる最中にメニューから消されてしまったんですよね。女の子への中毒性が高すぎる、とかで。なので結局わたしは食べれてないのです。あれは一体どんな味がしたんでしょう……?
ともかく────一楽が再開できたら。また、7班でラーメンを食べに来ませんとね。
一楽についてはほぼまったく触れていないな、ということでアニオリのお話。本当はもっとあとのお話だったのでナルトが麺を作る際に螺旋丸を使ったりしていたのですが、できないのでこんな感じに。ちなみにカタナは一楽にはほとんど行ったことはなかったので1話でナルトたちが一楽に行こうとしてるのかな?と考えていたのは単に当てずっぽうが当たっただけ、という感じです。今はよくナルトと一緒に行ったりするので常連の一人ですね。
ハッカクさんはアニオリキャラなものの息子のシキミは自分のオリキャラです。ハッカクの別名がトウシキミ、ということでシキミに。シキミとハッカクはまた別の存在らしいのですが……似てはいるもののシキミは有毒なのだとか。仏壇などに供えるものだそうです。
誘拐と聞くとカタナは絶対ヒルゼンとか暗部とかとコンタクトを取って助けてもらうよう言うよなあ、と考えた結果、シキミを入れて恋愛沙汰にし、テウチがアヤメの無事を確信していることでなんとか回避することに。ギャグをギャグにするために生まれたオリキャラでした……。
アヤメとテウチのやり取り、というかテウチの「娘はやらん!」という親馬鹿な感じはナルトSDの『ロック・リーの青春フルパワー忍伝』のアニメを参考にしてのものです。原作のテウチさんはもっともっと格好いいです……でもアニメでのアヤメのつけ麺騒動など親馬鹿な感じの片鱗はありましたし、性格改変というほどではないと考えたのでこんな感じになりました。ギャグ回だとカタナのツッコミが冴えわたるなあ……。