木ノ葉のお札屋さん   作:乙欄

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カカシ先生、お誕生日おめでとうございます。


15枚目

「ねえ……見たくない?」

 

 すっごく悪そうな顔で言うナルト君に、わたしはまたかという予感がありました。こういう時のナルト君はいたずらっ子と言いますか、たいていよからぬことを企んでいるのです。

 

「いい加減さァ」

 

「何を?」

 

「何をって……決まってんじゃん!」

 

 サスケ君の素っ気ない態度にもめげず……どうやらナルト君はいつも通り、やる気まんまんみたいです。その口振りに、わたしには思い当たることがありました。

 

「カカシ先生のお顔、ですか?」

 

 ナルト君は笑顔で頷きました。大当たりのようです。

 

 ……前もありましたよねこの展開。スケアさんの時の教訓を忘れてしまったのでしょうか。

 

 そう思ってしまったものの、今日のわたしは一味違うのです。

 

「わかりました! わたしも気になりますし、ぜひぜひご協力させていただきます!!」

 

「えっ……カタナ、どうしたの? いつもとだいぶテンション違うけど」

 

「そんなことはありません。みなさん、張り切っていきましょう! えいえいおーです」

 

 いつもと違うわたしの様子に若干訝しんでいるみんなをよそに、わたしは勢いよく腕を上げてこの溢れる熱意を示したのでした。

 

 

 ……わたしは一つ、決意をしたのです。そう、これからはツッコミを封印しようと! 

 

 前の我愛羅君との戦闘時、わたしはほとんど役に立てていませんでした。……今思うと、戦いの最中にツッコミに思考を割いてしまっていたのも一因だったのではないかと思うのです。もっと戦いそれ自体に集中すべきでした。

 

 それに……ナルト君やサスケ君について色々と知ってしまった以上、いつも通りに接しづらいと言いますか……ともかく。もっとわたしもみんなとはしゃぐ立場にいようと決めたのです、はい。決してツッコミ疲れとか、そういうのではないですよ? 

 

 

 

 わたしたちは正攻法に訴えることにしました。すなわち──食べる瞬間を見る。今までは先生が速すぎたり何故か邪魔が入って見れなかったりと色々とありましたが……今回は一味違います。さっそく営業再開した一楽に行ってテウチさんとアヤメさんに言ってくれぐれも他のお客さんを入れないようご協力を取り付けたのです。

 

 そういうわけでわたしたちは意気揚々とカカシ先生を一楽へ誘導したのでした。

 

 

「はい、お待ち」

 

 テウチさんが先生の前にどんぶりを置きます。いつ見ても美味しそうなラーメンですよね。

 

「しかし珍しいな。お前らが4人揃って奢ってくれるなんて……雪でも降るんじゃあないか。それとも……なんか企んでないか?」

 

 先生は出されたラーメンや箸置き場、床や天井などを見て酷く警戒しています。よっぽど信用ないんですね、わたしたち……いえ、実際に素顔を暴こうと企んでいるのですけれども。

 

 ギクリとみんな顔を強ばらせました。うう、すごい疑いの目で見られてます。

 

「そ、そんなことないわよ〜」

 

「そうですよカカシ先生。日頃のお礼です」

 

 みんなニコニコと日頃の感謝を……感謝を…………駄目です、言葉が出てきません。中忍選抜試験の本戦に遅れてくるとかそもそもひと月くらい連絡なしに消えるとか、大蛇丸という危険人物に接近させるとか、あとこれは先生だけが悪いわけじゃないですけどあんなド派手にやった我愛羅君との戦いに上忍の方も誰も助けに来てくれなかったとか! それとサスケ君に教えた技、チチチと音が鳴るから千鳥とか、雷を切ったから雷切とか……結局どっちで呼べばいいんですか? 紛らわしいです! 

 

 うぅ、いけませんいけません。今日からわたしはツッコミは封印するのです。無邪気な笑顔を浮かべましょう。にこにこです、にこにこ。

 

「どうぞ食べて食べて」

 

「そっか。じゃ、遠慮なくいただくとするか」

 

 そう言ってマスクに手をかけるカカシ先生をわたしたちはじーっと注視します。今回こそは食べる瞬間を絶対に見逃しませんとも、ええ。サスケ君なんて写輪眼が出てそうなくらいかぶりつきで見ています。

 

「いただきます────」

 

 そうして、マスクが取られると思ったその時。

 

「あー! サスケくぅん!」

 

 ナルト君たちの同級生。山中いのちゃん、奈良シカマル君、秋道チョウジ君の猪鹿蝶トリオが乱入してきたのでした。

 

 そのあまりのタイミングの悪さに思わずわたしたちは叫び声すら上げてしまいました。ああ、カカシ先生の姿がまったく見えません……。なぜ、なぜ、こんな時に丁度よく知り合いが来てしまうのでしょう。サスケ君ではないですけれど神の力を疑ってしまいますよ。

 

「離れーっ! いのぶた!!」

 

「なによぉ!」

 

 しかもサクラちゃんといのちゃんが言い争いを始めてしまいましたし。あれ、お友達ではなかったのでしょうか……?

 

「つーか、見えねーってばよ!」

 

 そうこうしているうちに、あっさりとカカシ先生のお食事タイムは終わってしまったらしく──

 

「ふー、ごちそうさま。うまかったぁ」

 

「はっや……」

 

 もちろんきちんとマスクをつけて空のどんぶりに手を合わせる先生に、わたしたちはガックリとうなだれるほかなかったのでした。消化に悪いですしもっとゆっくり食べましょうよ……。

 

 余程腹に据えかねたらしくサクラちゃんはいのちゃんと取っ組み合いになっていて、ナルト君とサスケ君はチョウジ君をがっちりと押さえています。そんなみんなをわたしとシカマル君は見守っていたのですが……はっ、わたしもここはシカマル君を取り押さえるべき場面だったのでしょうか? また失敗してしまいました……。

 

「んあ?」

 

 ……??? 

 

 不思議そうな声を上げたナルト君の視線を辿ると、テウチさんとアヤメさんが頬を染めてカカシ先生の方を見ていました。わたしたちはお二人に事情を説明していたわけで、そうなると二人とも先生の顔に注目していたわけで……さらに言えばカウンターからなら邪魔されることなくよく見えたことでしょう。先生のお顔が。

 

「うわっ、すっげー気になる……!」

 

 テウチさんもアヤメさんも見惚れるほど男前であろうカカシ先生の素顔が、ますます気になったわたしたちなのでした。

 

 

「こうなったら……意地でも拝んでやるってばよ!」

 

 使命に燃えるわたしたちはカカシ先生を徹底マークすることを決めました。尾行です。

 

 それを知ってか知らずか先生は普通に買い物に行ったり、そうかと思えばびんく書房なんて名前からして怪しい書店のウィンドウに飛びついたり……何の本が置いてあるんでしょう、あそこに。愛読書の『イチャイチャバイオレンス』映画化の看板を凝視して前売り券を買おうと走ったり……どんな映画なのか、とっても気になるんですけれども。

 

 ともかく。わたしたちは頑張りました。それはもう頑張りました。

 

 しかし現実は無情。流石上忍と言うべきでしょうか。まず、みんなでの尾行は本人に気づかれ逆に話しかけられてしまい失敗。人数が多いのが悪かったとみて個別で挑戦してみるも────

 

 先鋒、ナルト君。残念ながら見失ってしまう。

 

 次鋒、サクラちゃん。カカシを立てて騙され見失ってしまう。

 

 中堅、わたし。2人とほぼ同じ。同上です同上。

 

 大将、サスケ君。何も言いませんでしたけど普通に見失ったのでしょう。

 

 よって……すべての尾行はバレて撒かれてまい、わたしたちはこれは無理だと諦めざるを得なくなってしまったのです。

 

 いえ、明日……明日こそは……頑張ります!! 

 

 

 

「出発ーっ!!」

 

 そして次の日──つまり今日の任務は、牧場のお手伝いです。里の外に出て、しかも泊まりがけということなのでチャンスならたくさんあります! 

 

「なーんだお前達。今日はなんかやけにやる気だな」

 

 意気込むわたしたちに、昨日のこともあってか不信感を覚えたらしい先生でしたが──やはり警戒されているのでしょうか。うーん、いつも通り飄々とされていて内心が読めません。

 

 そうして結局牧場では何も仕掛けることはかなわず、わたしたちはごくごく普通にお馬さんのお世話だったりをこなし──泊まる宿屋さんに着くと他にお客さんもいないらしく、とても熱烈に歓迎していただきました。

 

 そして宿屋さんには温泉があるのです。わたしたちはみんなで入ろうと熱弁しました。当然、入浴の際にはマスクは外すはずですので……ただ男女別ですからね、はい。見れるのはサスケ君とナルト君だけというわけです。

 

「あーあ、私も見たかったなぁ……」

 

 わたしとサクラちゃんの2人は女湯でのんびり入ることになりました。牧場の作業とかで疲れましたし、ゆったりしましょう。

 

「まあ男湯に入るわけには行きませんし、仕方ないかと」

 

「そうよね……でも晩御飯抜きのうえ顔も拝めないと、なんだか損した気分になるわ」

 

 宿屋さんで用意していただいた食事もとても豪勢なものでしたが……わたしたちはもちろんカカシ先生の口元を見たいので手がつけられず、カカシ先生も警戒しているのかダイエット中などと言って箸に触る素振りも見せず。誰も食べ始めない中、ナルト君が先生へおやかんを投げるも……料理のあるテーブルがひっくり返され防御に使われてしまい、揃って夜ご飯抜きになってしまったのでした。ご飯、とっても美味しそうでしたのに……。残念です。

 

「あ! そうだ、カタナの忍猫に協力してもらうとかどう?」

 

 う、うーん。いいですけれども、彼らがいてもそう上手くいきますかね……? いえ、今のわたしはツッコミ禁止なのです。ツッコミ禁止! 

 

「いいですよ! お風呂あがったら出てきてもらうようお願いしてみますね」

 

「ありがとう……それで、やっぱりちょっと男湯覗いてみない? ほら、そこの柵の隙間からこっそり……」

 

「え、ええと、気持ちはわかりますけど……もしかしたらサスケ君とかも見えちゃうかもですよ?」

 

 いいのですか? と聞いてみると顔を赤くしたサクラちゃんは慌てて柵から目を離しました。うんうん、カカシ先生が見える可能性よりもナルト君かサスケ君が見える確率の方が高そうですし。そもそも湯気で見えづらいと思います、はい。

 

 温泉に入っている時くらい話を変えましょう。

 

「あ、あの……我愛羅君との戦いって、最後の方はどんな感じだったのでしょう? そういえば聞いていなかったような……」

 

「いいわよ! 私とナルトが守鶴の上に乗り移ったあとのことよね。……でもあの時、私もアイツを殴れはしたけど直ぐに砂に捕まっちゃって。気絶してたらしくてよくわかんないのよね。気づいたら家だったわ」

 

「そうだったんですか。じゃあ……ナルト君がかなり頑張ってくれたんですね、きっと」

 

 ナルト君ってばこういう時に自分の功績を全然言わないんですよね。あとでもう一回きちんとお礼を言っておきませんと。

 

「そうね……」

 

 一方サクラちゃんは嬉しそうにも悲しそうにも見える、不思議な表情を浮かべていました。もともと大人っぽい子だったのがさらに大人びて見えます。

 

 わたしは思わず浮かんだ疑問を口にしました。

 

「ナルト君のこと、まだ嫌い、なのですか……?」

 

「嫌い……とかじゃなくて。ううん、わかんないや」

 

 サクラちゃんは噛み締めるように言葉を紡ぎました。

 

「ナルトは私のことなんて何一つわかってない……人の恋路の邪魔者がすっかり板についてきて、私が四苦八苦してるのを楽しんでる──そう、思ってたの」

 

 …………

 

 ……さ、3人の関係がわたしが思っている以上に複雑怪奇な感じらしいと言いますか……えっと、何と返すべきなんでしょうか。

 

「でも今は……どうなんだろ」

 

 ………………

 …………

 

「……わたしは、恋愛沙汰に疎いので上手く言えないのですが」

 

 本当に、本当に自信はないのですが。

 

「一度、サクラちゃんが今思っていることをナルト君に伝えてみてはいかがですか? 話してみてからお互いわかることもあると思います」

 

「…………うん! ありがとう、カタナ」

 

 

 

 

 

「いいお湯でしたねー」

 

 温泉を満喫して満足顔のわたしたち女性陣とは裏腹に男子2人はげっそりとしています。カカシ先生の顔は結局どうなったのでしょうか? 

 

「失敗だ」

 

「カカシ先生ってば顔にタオル巻いて入って来たんだってばよ……」

 

 ひどく疲れきった顔で2人は言いました。しかし……そうですか、温泉に入る時まで顔を隠すとは。何がカカシ先生をそこまでさせるのでしょうか。謎です。

 

 となると、また別の作戦を立てねばなりませんね。口寄せの術を使ってもいいのですけれども、とりあえず──

 

「ずっとこちらを(うかが)っている方々を、どうにかしませんか?」

 

「へ?」

 

「里を出た時から視線があって……忍びだとは思うのですが。みんなは心当たりありませんか?」

 

 そう聞くとナルト君が何か思い当たったらしくバッとその手に服を取り出しました……忍装束、ですかね。灰色で、額あてには見慣れないはてなマークです。どこの国でしょうか。

 

「脱衣場にこんなのがあったんだってばよ!」

 

 ナルト君……それは、かっぱらいでは……? いえ、ツッコミませんよ。ツッコミませんからね! 

 

 3着ある、ということは普通に考えれば3人組です。わたしの感じた気配の数と一致しますので、おそらく同一人物でしょうね。

 

「じゃあ、服をお返しするついでにお話してみましょうか」

 

 少し宿屋を探せばその3人組はあっさり過ぎるほどあっさりと見つけられました。どうやらカカシ先生を狙っているらしく、コソコソと接近せんとしていたのです。彼らはモヤ忍と名乗り……わたしたちに思うところはないらしく、服を返してあげるとその思惑をむしろ熱く、暑苦しく語ってくれました。

 

「忘れもしねぇ……あれは3年前の春のことだった──」

 

 まあ、要するに。モヤ忍のアニキさんのプロポーズがこっぴどく断られた際に、カカシ先生がさっそうと現れてその女性のハートごと奪って行っちゃったらしいです。うーん、清々しいくらいの逆恨みの匂いがします、はい。

 

 でもその持つお薬は本当にすごかったです。無味無臭のしゃっくりが止まらなくなる薬に、涙が止まらなくなる薬、笑いが止まらなくなる薬……馬鹿にできない効力です。カカシ先生には飲ませることも当てることもできなかったみたいですけど。もし効いてたらどんな感じになってたんでしょう。ちょっと見てみたかった気もします。協力したら薬を分けてくださるとかで……優しいです。

 

 カカシ先生に痛い目を見せたいモヤ忍3人衆と先生の顔をどうにかして見たいわたしたちの思惑は一致しました。

 

 今、ここに……カカシ先生大包囲網が結成されたのです! 

 

 わたしたちは先生が寝ている間にこっそりと抜け出して話し合いました。決行は──牧場での作業時間中。7班の誰かがモヤ忍さんの人質になって気を引いているうちに、他の全員で襲い掛かる作戦です。人質役はジャンケンで負けたわたしが務めることに。うう、大役です。ちなみに一応カカシ先生の寝込みをみんなで襲ったのですが、無駄でした。まあ、忍びですものね……。

 

 

 

 

 

 

 

「カカシィ……ここで会ったが百年目! 積年の恨み、晴らさせてもらう!!」

 

 3年目ですよね!? アニキさんがご自分でおっしゃっていたような……。

 

 駄目です、ツッコミは駄目なのです……耐えましょう、わたし。

 

 とうとうやってきた作戦決行時間。わたしたちは牧場のお手伝いを一時中断していました。依頼主さんごめんなさい、あとでちゃんとやるので……。

 

「せ、先生っ…………!」

 

 わたしはモヤ忍のアニキさんに絶賛捕らわれの身です。うう、だいぶ声音がわざとらしかったような……何分人質になるのは初めてで慣れないのです。

 

 他のモヤ忍の2人と7班の3人は周りに潜伏中です。さあ、カカシ先生はどう来るでしょうか……? 

 

 わたしは縋るような瞳で先生を見つめました。

 

「ん? なに遊んでんの、カタナ」

 

 一瞬でバレています。一筋の迷いすらありませんでした。信用されているとみるべきか、演技が下手だったと思うべきか、モヤ忍さんの実力が木ノ葉と比べると正直ちょっとばかり低いので怪しまれたか──たぶん全部ですかね、ええ。

 

 諦めずに助けてアピールをするわたしをよそに、モヤ忍さんたちは普通に先生に襲いかからんとしていました。人質役、数秒での終了でした……。ちょっと悲しいです。

 

「ふっふっふ……死ぬがいい! 俺の調合した涙が止まらなくなるこの薬でぇえ?」

 

 なんかモヤ忍さんの口上が長くなりそうだったので先にカカシ先生へと向かったわたしたち7班は、普通に一瞬で全員拘束されました。は、速いです……強いです。

 

「しかし……いつまでコソコソやってんのかと思ったら。やっと出てきたってわけ?」

 

 あ、モヤ忍さんたちのことも初めから気づいていらしたのですね。よく考えればわたしですら気づけていましたし……当然といえば当然ですね。ツッコミを放棄して思考力までも放棄されていた気がします、はい。

 

 ……よし、先にさっさと謝ってしまいましょう。謝るなら早い方がいいです。

 

 わたしたちは先生に謝りました。憧れの先生に勝ちたくて襲いかかったという適当な話をしました。必死に言い訳しました。いつも遅刻してくる腹いせもあったのですよとチクチクと言いました。

 

「うーん、何だかよくわからんけど……ま、いっか」

 

 一応許されたらしいわたしたちは縄抜けの術を使っていそいそと拘束から抜け出します。流石にもう先生に挑戦する気力はありませんけれども。

 

 先生は腕をコキコキ鳴らしながらゆっくりとモヤ忍さんたちの方へ歩いていきました。

 

「ひえ〜〜。どうかお許しをぉ、お許しをぉ!」

 

「問答無用」

 

 完全に萎縮しているモヤ忍さんたちのこともカカシ先生は容赦なく拘束します。そんな悲惨な様子をわたしたちは作業に戻りながら見つめていました。ごめんなさい……わたしたちにはもう何も出来ません……!

 

「ところで。一体お前ら何者?」

 

「「「覚えてもいねーし……!」」」

 

 まあ、3年も前のことですしね……。

 

 そのままモヤ忍さんたちはロープでまとめて吊るされたまま放置されたのでした。合掌────

 

 

 

「で。カカシ先生……そのマスクの下、どうなってんの?」

 

 帰り道。ナルト君は超直球に聞きました。今更な感じですが……そういえば、誰も本人に直接言ったことはなかった気がします。

 

「なあに? このマスクの下が見たかったの?」

 

「うん!」

 

「だったら最初から言えばいいのに……」

 

「え? じゃあ、見せてくれるの?」

 

「別にいいけど」

 

 そう言って普通に了承する先生に、わたしは自分の耳を疑いました。

 

「「「「え!?」」」」

 

「なんだなんだ。それじゃ────」

 

 あの鉄壁のマスクに手がかけられます。ついについに、その下にある素顔を拝むことができるのでしょうか。

 

 わたしたちの期待に満ちた視線が先生のマスク、その一点に集中しました。

 

「このマスクの下は…………

 

 

 

 

 

 

 

 またマスクあったりするんだなあ、これが」

 

 マスクを取っても変わらないマスク姿。どうやら欠片も素顔を見せる気がないご様子です。まさかあの下にもマスクが……なんてことになっていたりするのでしょうか。考えるだけでも蒸し暑そうです。

 

 アハハハハと軽快に笑う底意地のお悪いカカシ先生に、わたしたちは怒りと呆れと疲れがどっときて──ええ、ええ、もう疲れました。はい。今までの努力は一体なんだったのでしょう……? 

 

「なんなんだってばよォそれ!」

 

 元気にツッコミを入れるナルト君を見ながら……やはりわたしはもうツッコミの封印なんてしなくていいや、となんだか投げやりな気分になるのでした。

 

 

 

 

 

 




サスケ君に教えた技、チチチと音が鳴るから千鳥とか、雷を切ったから雷切とか……結局どっちで呼べばいいんですか? 紛らわしいです!
→やっと千鳥という名称を知った。カカシは雷を切ったからカカシの千鳥は雷切とも呼ぶけど、サスケは切ってないからサスケの千鳥は千鳥としか呼べないらしい。ややこしい。

わたしはモヤ忍のアニキさんに絶賛捕らわれの身です。うう、だいぶ声音がわざとらしかったような……何分人質になるのは初めてで慣れないのです。
→たぶんアカデミーでは諜報のために演技指導とかも行っていたものと思われる。でも人質役とかはやってないでしょう、基本的に忍って人質になったら終わりだと思うので……。
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