木ノ葉のお札屋さん 作:乙欄
「今回の任務は火の国の大名から直々の依頼だ。いわば国の
綱手様が火影に就任されて。ようやく火影様から任務を授かれることになりました。
カカシ先生はあのまま退院したもののサスケ君は未だに入院中で……入院経験の差が出たんでしょうか。ともあれ、サスケ君も十分回復はしていっています。
リー君の怪我は成功率50%、失敗すれば死ぬ手術をしなければ治らないと綱手様に診断されてしまったらしく……でも手術を受けると決心したそうで、スッキリした顔でリハビリに励む姿を見ます。綱手様の手術は成功して、リー君なら絶対に忍びに戻れると。そう、わたしもみんなも信じています。祈ることしかできないのが申し訳ないですが……。
さて。今回の任務は猪鹿蝶トリオと一緒のようでした。シカマル君は中忍に昇格したのかな、と思っていたのですが……火影様の承認を得られなかったのかまだ他の案件があって処理していないのか下忍のままらしく、いつも通り面倒くさそうな感じで佇んでいます。
「めんどくさそうだな」
と言いますか、実際に言いました。火影様の前でもこんな態度なんですね、シカマル君。そんな彼にいのちゃんが慣れた調子でツッコミをいれています。
「そんなこと言わない」
「うな肝なら好きだけど」
チョウジ君はのんびりとそう話し……焼肉が好きなイメージがありましたけど、鰻の肝焼きや肝吸いも好きなんでしょうか。大人の味覚です。ちなみに肝に銘じるとは強く意識する、とかいった意味ですね。
「それでオレ達にやらせようっていう任務は何です?」
「まあ、簡単に言えば人攫いだ」
人攫い、ですか。だいぶ人聞きが悪いと言いますか、なんと言いますか。揃って「えー」と非難の声を上げてしまいます。
そんなわたしたちをよそに、ばさりと綱手様が地図を広げ──火の国と風の国の間にある小国、
「
彼の国、ですか……あまり好きな名前じゃあないですね。まあ、任務は選べませんし、仕方ありませんけれども。どんな任務でも選ばれた以上、全力で取り組みましょう、ええ。
「彼の国は此の国と同盟を結んでいるがそれを破棄して新たに火の国と同盟を結ぶつもりだ 。そこで此の国に人質として預けられている若殿をひそかに彼の国へ連れ戻そうというわけだ」
かなり政治的な事情があるようです。うーん、でしたら先ほど綱手様に言われたように、木ノ葉だとはバレないよう慎重に行動せねばなりませんね。同盟の失敗に繋がってしまうのはかなりの痛手になるでしょう。だから火の国の大名から直々の依頼と念押しされたのですね。
「ふーん。ランクで言うとどのくらいなんです?」
「基本はBランクだが城の守りによってはAに跳ね上がるかもな」
……そう不敵に笑う綱手様に、少し違和感を覚えました。任務のランクが確定していないというのは珍しい気がします。何か、此の国に変な動きでもあるのでしょうか。
「そんな任務をわたしたちのみで行うのでしょうか?」
「ああ。なにせ人手も足りないしな。お前らならやれると見込んでのことだ。せいぜい励めよ!」
「「「はっ!」」」
「あれね。此の国のお城って」
わたしたちは崖の上から目下に広がる此の国を眺めました。火の国と比べるとだいぶ小さい国ですね。でも、こじんまりとしていて暮らしやすそうな雰囲気があります。
「若殿の誘拐か……バレないようにってのが問題だね」
「まずはどうやって潜り込むか、ですよね」
「そこについては考えてある。チョウジが御膳試合に出るんだ。普段なら城に余所者なんて入れないが御膳試合なら別ってわけだ」
御前試合、と言いますと。大名の面前で武芸の腕を競い合うということでしょうか。それにしてはチョウジ君、というのはあまり向いていない人選のように思えるのですが。木ノ葉の仕業であることがバレてはいけない以上、忍術は使えませんし……。でもこの中ではチョウジ君が一番体術に長けているのですかね。秋道家の秘伝忍術は倍化の術といって簡単に言えば自身を巨大化させるものです。これにはカロリーも消費するそうで、だから秋道家の方々はみんなぽっちゃりとしているのでしょう。そしてこの術のあとに頭や手足を引っ込めて球体になって転がることで敵へ攻撃を加える肉弾戦車という技などもあって、肉弾戦を得意としています。
うーん、でもやはり忍術を使わないとなるとどうなんでしょうか……ご本人も疑問に思っているようで「なんでボクがそんな役を……」とぼやいています。
「いや、御前試合じゃなくてお膳試合なんだよ」
そう、シカマル君が言いました。オゼン試合、ですか。お膳立てされる試合とかでしょうか。裏取引が成されている、というような。うーん、後ろ暗いです。
「何よお膳試合って」
「喜べチョウジ。簡単に言えば大食い選手権だ」
「本当、シカマル!? 任務で大食い選手権に出られるなんてボクは幸せ者だよ」
大食い選手権……なるほど、普通にご飯という意味でのお膳なんですね。確かにチョウジ君にはぴったりのお仕事です。忍術の都合上普段からたくさんお食べになってますし、何より食べることが大好きですからね。
「では、他の人はサポートに回る、ということでしょうか」
「ああ。カタナにはチョウジとともに城内へ入ってもらいたい。写真で見る限り若殿とカタナはわりかし背格好が似てるからな。変化の術で入れ替わって、本物が脱出する時間稼ぎをして欲しいんだ」
「わかりました。では大会には参加だけして、すぐにギブアップしますね」
「んー、だったらカタナもちゃんと挑戦してみれば? ほら、前のレースの時みたいにやればいいんじゃないの?」
レース、と言いますと……ああ、あの忌まわしき餅の一件ですか。なるほど。こっそりと忍術を使えれば確かに上手くいきそうです、ええ。
「そう、ですね……他に忍びがいなくて、あとは料理次第にはなりますが可能かと」
お城の門の前には第63回と書かれた看板が華々しく飾られています。意外と歴史のある大会なんですね……。優勝賞品はお家、2位だと大きいつづら、3位だと小さいつづらでどれも豪華賞品なんだとか。大きいのと小さいのとを並べられるとつづらの中身がちょっと気になってしまいますね。まあ、大きい方が家電とかだったりで、小さい方は金一封とかでしょうか。
老若男女問わず参加者は多く、次々とみんな門をくぐっていっています。そのせいで警備もゆるくなっているようで、入城者へ対しても危険物を持っていないかを軽くチェックするにとどめられています。
チョウジ君とわたしもいざ入ろうとした時。後ろから懐かしい声が聞こえました。
「……お久しぶりですね、カタナさん」
艶やかな黒髪を持つ美少女……いえ、美少年。そして大きな刀を背負った男。波の国で出会った──
「白君、再不斬……さん!」
「ん? カタナ、この人達と知り合い?」
「あ、はい……ええと、昔の任務で少し。申し訳ありませんが、チョウジ君は先に入っていただけませんか? あとからわたしも行きますので」
チョウジ君は再不斬の怪しさに訝しみつつも先に会場へと行ってくれました。すみません、ありがとうございます。
「お二人ともお元気でしたか?」
「はい。カタナさんもお元気そうで何よりです」
白君はにっこりと上品に微笑んでくれました。うぅ、随分と懐かしい感じがします。
白君と再不斬はあのあとガトーの元配下……といいますか、ガトーのあとを乗っ取った者の一人に雇われているそうです。ガトーより真っ当な悪党ということですが、矛盾する表現ですね。いえ、まあ、伝わりはしますけれども。前の反省を活かして前払い制に移行したとのこと。その方がいいと思います、はい。
そしてそのご子息が此の国に来たがったので護衛として着いてきたと。ショウゾーというらしいその少年は白君とはまた違った、彫刻のように美しい子でした。ただ──
「フハハハハ、実にいい! 素晴らしいね。飽くなき闘志。輝く料理の数々。美しき俺様を掻き立ててくれるとも!!」
……なんか、だいぶ、あの、その。変、いえ、個性的な感じの人のようです。はい。
「貴殿もまあまあの美しさだな。特にその手! 何かを生み出す者の手だ」
まあまあ、まあまあって。褒められているのか貶されているのか。確かにサラサラの金髪、白磁の肌を持つ貴方ような美少年に比べればただ長いだけの茶髪のわたしなんて平々凡々でしょうけれども。うぅ、自分の髪も嫌いではないですけど、サラッサラのブロンドの長髪は羨ましいです。
ま、手を見ただけで職種がわかる、というのはすごいですし、手を褒められたのは素直に嬉しいですね。悪気はないのはわかりますし。
「あ、ありがとうございます? ええと、ショウゾー君たちも大会に参加するのですか?」
こっそり見学だけ、というのもありそうですけれども。シカマル君たちも塀の上からわたしたちを見守ってくれていて、目的は違えどそうですし。
「ああ! どうせなら現場の雰囲気をも味わたいもの故にな」
意気揚々と宣言するショウゾー君に比べ白君と再不斬の顔はわたしにもわかるくらい陰っていました。再不斬なんて顔の下半分を包帯で覆っていますのに。よっぽどお嫌のようです。
「では、護衛をしている2人も参加するのですか?」
そうわたしが聞くと、「もちろんだとも」と胸を張るショウゾー君の後ろで白君は「再不斬さんだけです」とボソリと言っていました。ざ、再不斬が大食い大会に参加を……? カカシ先生と同じく口元を隠している再不斬が、とは。どうしましょう。ちょっと、いえ、かなり見たいです。
ん、あれ、と言いますか。再不斬に何かわたしは言いたいことがあったような……。
わたしは再不斬をじっと見ました。こんな時でも刀を背負っています。そのままだと流石に城へは入れないじゃあないでしょうか。確か首斬り包丁という名前の、半円と円の穴が空いた大きな刀です。……刀。霧隠れ。忍び刀七人衆。あ、ああ、干柿鬼鮫です!
「あのう、再不斬さん再不斬さん」
「何だ」
「干柿鬼鮫、という名前はご存知でしょうか?」
「ああ。それがどうした」
どうした、と言われますと。ええと、この任務中は木ノ葉の名前を出せないんですよね。
「実は仲間がその人と交戦してしまったらしく……何かご存知のことがあれば、と」
仲間、という言葉に7班のメンバーを思い浮かべてくれたのでしょう。白君が心配そうな表情になってくれます。再不斬は別に表情は変えませんでしたが、何かを考えた様子でちょっと間を置くと話し出しました。
「……そうだな。大して年も変わらねェくせに人を小僧呼ばわりしてくるムカつく野郎だ。ただ、強い」
「なるほど……」
わたしは続く言葉を待ちました。しかし再不斬は何も言いません。
え、情報、これだけ? 同じ忍び刀七人衆じゃあなかったのでしょうか。
戸惑うわたしに白君は苦笑しつつ話してくれました。
「鬼鮫さんは桁違いのチャクラ量と大刀・鮫肌でのチャクラ吸収能力が特に厄介な方です。あの刀に触れるのは危険ですから、気をつけて」
「チャクラ吸収……!?」
元々のチャクラ量が多い上に吸収能力を持っているだなんて厄介極まりないといいますか。そこから「尾の無い尾獣」とも呼ばれるそうですが、それってただの獣じゃあないでしょうか。獣っぽい人なんですかね。
しかしチャクラ量って基本的に生まれつきのものですのに……普通、そういう吸収能力を持つのって元々のチャクラ量が少ない人とかでしょうに。ただでさえ多いのが増えるってひどいです。むむ、対策としてはチャクラを奪われないような攻撃、ですかね。体術……やっぱりガイ先生が相性がいいんでしょうか。
ついでに7本全部、長刀・縫い針、鈍刀・兜割、雷刀・牙、爆刀・飛沫、双刀・ヒラメカレイのことも軽くお話してくださいましたが……それって刀なのかと思ってしまうものも多かったですね、はい。そしておそらく今は双刀・ヒラメカレイしか霧隠れにはないんだとか。管理体制は、管理体制は……!
ともかく、特に爆刀・飛沫については気になってしまいました。起爆札の貼り付いた大きな巻物が棒に巻き付いてる感じのものだそうで……本当に、それって刀なのでしょうか。いえ、何も言いますまい。
起爆札を武器に付けながら使うという発想はまったくなかったので、実行し実現した技術力には驚かされるばかりです。普通であれば起爆札の爆発に使用者も巻き込まれると思うのですが、一体どういう仕組みになっているのでしょうか。あとは中の起爆札の補充方法も気になります。いちいち補充しているのか、補充が必要ないほど膨大な量の起爆札が貼られているのか、何らかの仕掛けで使った起爆札が再生するのか、互乗起爆札のように口寄せが使われているのか……いえ、それは流石にないと思いたいですね、ええ。うーん、とりあえず色々ととっても気になってしまいます。
そうこう話しているうちに大会の開始の時刻が迫ってきていたようでした。
「少し、話し込みすぎてしまいましたね」
そう言って離れる白君にお礼を言ってから、わたしはショウゾー君にこっそりと近づきました。
「あのう、ショウゾー君。わたしが言うことではないとは承知しておりますけれども……2人ともお強く、義理堅く、いい忍びなので……その、よろしくお願いします」
「もちろんだとも。案ずるな、俺様は2人とも気に入っている故な。白はいい。容姿も性根も美しい上に、その忍術も美しい。再不斬もまあまあの美しさだ……抜き身の刀のような。手放す気はないさ」
いくら再不斬たちが強いとはいえ、抜け忍という脛に傷を持つ身。またガトーの時みたいに軽んじられたり、ガトー殺害の件で悪く思われたりしていないのかと考えたのですが、杞憂だったようです。少なくとも雇い主の息子さんに気に入られているなら悪いようにはされていないでしょう。安心しました。
にしても、この眉なしの大男とわたしの評価、同じなんでしょうか……? まあまあの美しさって。いえ、別に再不斬が悪いというわけではなのですが。何かこう、釈然としないものがあります、はい。
嫌そうに刀を巻物へ封入した再不斬とショウゾー君と門へ入ると……そこにはズラリとテーブルが並んでいました。
「遅くなってしまってごめんなさい、チョウジ君」
「大丈夫だよ。カタナこそ大丈夫だった?」
「はい! ありがとうございます」
ここからは、再不斬とショウゾー君も敵になりますね。いえ、まあ、別にチョウジ君さえ決勝に進んでくれればいいので、そこまでわたしと争うというわけではないですけれども。
「参加者は前へ!」
「では、行きましょうか」
「うん!」
案内されたテーブルは丁度、再不斬たちとお隣のテーブルでした。ラッキーです。これで再不斬の顔も見れるやもしれませんね。
テーブルの奥には大名たちがいて、わたしたちの様子を眺めていました。警護には……よし、忍びはいないようですね。
「此の国の繁栄、五穀豊穣を願いこれより御膳試合を行う! 優勝者には殿より過分なる栄誉と褒美が賜られる故、みな日頃の実力を発揮し見苦しき行為のないように食せよ」
そう、言われ……うぅ、ごめんなさい、他の参加者の方々。すっごく見苦しいことをしようとしています、わたし。
「予選1回選は……饅頭対決である!」
ガラガラと大量のお饅頭を載せたワゴンがわたしたちの前に運ばれます。真っ白い皮で、おそらく中には餡子の入っているものですね。甘いものは満腹感を得やすかったような気がするのですが……最初から甘味と戦わせようとするとは。
「城下町の名店、アマアマ庵の品である! それでは……心して食せよ!!」
そうして、大会が始まった瞬間。わたしは再不斬の方を見ました。再不斬の包帯はまだ外されてはおらず、いつ外すのかとじっと見ていると……再不斬の前のお饅頭が、いつの間にか消えていました。
口を見せずに食べたんでしょうか?
そう思い、一旦自分の前のお饅頭に視線を戻すと。まだ1つも食べていないのに、ちょっとお饅頭が増えている気がしました。
……うーん、これは。
今度はショウゾー君の方を見てみます。優雅に、それでいてテキパキと食べており──そのお饅頭は食べるスピードのわりに減りが遅いように見えました。
……わかりました。たぶん、再不斬は。自分のお饅頭を猛スピードで他の人の前に置いていっています。姑息な……。ショウゾー君にいっぱいやっているのはさっさと敗退して欲しいからでしょう。しかしショウゾー君はそんなのは意に介さずにぱくぱくと口に運んでおり、もしかしたらチョウジ君よりもはやいペースやもしれません。
ともあれ、包帯を外す気はなさそうですね。残念ですが自分のお饅頭を片しましょう。
わたしはお饅頭を手に握り、口元に運んで……食べる、振りをしました。チョウジ君の方をちらっと見ると、OKサインを出してくれています。ちゃんと食べているように見えたっぽいですね。ひょいひょいとわたしは次々にお饅頭を消していきました。
わたしの仕掛けは単純です。掌にお札を隠し持って、食べる振りをしながら忍術で封入していく。まあ、再不斬のことをとやかく言えない程度には姑息でしょう、ええ。あとで開封の術を使ってチョウジ君が美味しく食べてくれる予定です。
途中で少し手を休めて大名たちがいる方を見てみます。此の国の大名とその娘、そして今回の依頼の目的の人物、彼の国の若殿 シュウ様が座っており、後ろには護衛が控えていました。シュウ様の側にいるのは帯剣した眼光の鋭い男性。確か此の国が警護に雇っている元侍です。厄介そうな相手ですね。
「それまでじゃ! 食べ切れなかった者は────去るのじゃあ!!」
わたしも、チョウジ君も、再不斬も、ショウゾー君も無事に勝ち残り。ただ、やはり物見遊山の人も多かったのでしょう。半分くらいは脱落しました。
「引き続き予選2回戦を行う! 2回戦は──ラーメン対決じゃあ!!」
ごとり、と大きなどんぶりが置かれます。
「城下町の名店ギトギト亭の1品であーる。心して食せよっ!」
背脂ギトギト、具沢山。うぅ、見ているだけでお腹いっぱいになりそうなラーメンです。
流石にこれを封入するのは見つかってしまいそうですね。
「チョウジ君、いけます? わたし、ギブアップしてもよろしいでしょうか?」
「うん! カタナの分も食べたいくらいだよ」
チャーシューを美味しそうに頬張りながらチョウジ君は言いました。すみません、ではあとはお願いしますね。
わたしは普通にラーメンを食べ始めました。意外と油っこくなくて、美味しいです。でも量が……。4分の1くらい食べてから潔く諦めたわたしは、再び大名たちの方を眺めていました。どうやらシュウ様と此の国の人々とは見た感じではありますが悪くはない仲のようです。人質とはいえ、丁重に扱われているのでしょう。
途中でシュウ様と護衛は退席していました。特に不自然な素振りではありませんでしたし、何か用があったんですかね。
再不斬たちの方は、と見ると……流石に押し付けられたお饅頭の多さには堪えたのでしょうか。ショウゾー君のラーメンを食べるペースはとてもゆっくりでした。
再不斬のどんぶりからは具だけが無くなっています。流石に麺を上手く他の人のどんぶりに移すのは難しかったのやもしれません。
「残り30秒!」
みんながラストスパートをかけていきます。ズズ、とスープをすする音が合唱のように響きました。
「あと5秒! 4、3、2、1、0!」
チョウジ君、見事完食。わたしと再不斬たちは脱落ですね。
「それまで! 夕刻より決勝戦を行う。見事完食した者のみ城内に入るのじゃ」
これで、参加者の大半が脱落したようです。ぞろぞろとみな門の方へと帰ろうとして行きます。
「じゃ、行ってくるよ」
「はい、ご健闘をお祈りしますね」
城へと行くチョウジ君を見送ってからわたしは門の方へと歩こうとして──声をかけられました。
「や! 貴殿もよく励んだな」
「わたしのは……いえ、ありがとうございます。ショウゾー君こそすごい食べっぷりでしたね。驚きました」
「まあ、美しい俺様は食べる姿すらも美しくなくてはいけないからな」
理由になっていないような……いえ、まあ、こういう人なのですね。はい。
それからショウゾー君はわたしの耳の方に顔を近づけてきました。
「どうせ初めから城には入らずに終わらせるつもりだったのさ。十分楽しんだ故な。どうも今、この辺はきな臭いらしく……今日中にここを
そうして、再不斬たちは去っていきました。このまま此の国を出るのでしょう。思いがけないところで思いがけない人物に出会えてとても嬉しかったです、ええ。
彼らの姿を見届けてから、わたしは。
「あの、すみません。気持ち悪くなってしまって……
通りがかった女中さんに話しかけました。暗部、というのは気になりますけど。おそらくは綱手様の手の者でしょうし……とりあえず、任務に取り組みましょう!
綱手様が火影に就任されて。ようやく火影様から任務を授かれることになりました。
→でもカタナ的に火影=ヒルゼンの意識が強いので、呼び方は綱手様のまま。
「あ、はい……ええと、昔の任務で少し。申し訳ありませんが、チョウジ君は先に入っていただけませんか? あとからわたしも行きますので」
→話を聞かれたくない、というよりはなぜここにいるのかその目的がわからない白たちのことを一応警戒し、念の為チョウジを逃したという感じ。でもカタナは白たちとそこまで戦ってはおらず、波の国で仲良く過ごしたのでわりと信用してる。
わたしは続く言葉を待ちました。しかし再不斬は何も言いません。
→周囲の警戒中につき、返答が適当。
嫌そうに刀を巻物へ封入した再不斬とショウゾー君と門へ入ると……
→封入・開封の術自体は原作でも巻物から物を取り出したり入れたりする人がそこそこいることからわりとみんな使えるっぽいので再不斬も使えることとした。嫌そうにしているのは得物を身から放すのが嫌だから。おそらく、テンテンのように大量の物だとか大質量の物の封入や開封をするには時空間忍術の才能や修練、センスが必要なのだろう。
桃地再不斬:26歳 誕生日は8月15日
干柿鬼鮫:29歳 誕生日は3月18日
両方とも初登場時の年齢なので、鬼鮫だけ誕生日を迎えている。よって年齢差はおそらく2歳だけ。
鬼鮫「……再不斬の小僧はアナタとやり合ったと聞きましたが……?」
カカシ「ああ…………」
鬼鮫「クク……削りがいのある方だ…………」
2歳下で小僧呼ばわりかいっと思いました。忍刀七人衆では先輩は後輩を小僧と呼ぶのか……?
しかし一回り以上離れた水月には親戚のおじさんのような対応。
水月「忘れたか。鬼灯満月の弟、鬼灯水月だよ」
鬼鮫「おお……見違えましたよ! 大きくなりましたね、水月」
水月は首斬り包丁かっぱらっただけで忍刀七人衆ではないからだろうか……? まあ単に前者はカカシの前であって再不斬本人の前ではなかったからとかかもしれませんが。
しかし再不斬が存命な以上、水月は首斬り包丁を手にできないんだよなあと。許せ、水月……。