木ノ葉のお札屋さん 作:乙欄
──サスケ君が、里抜けした。
そんな、嘘だと思いたいような言葉は。しかしはっきりと綱手様の口から言われました。
怪我を負って、入院して。幸いにも綱手様のおかげで特に怪我が残る、ということはなく……一応しばらく入院することにはなりましたが。変化としては切りそろえられた髪が短くなってしまったことくらいでした。ちょうどサクラちゃんと同じくらいの長さです。
音の四人衆。多由也という名の少女には、髪を切られたことや怪我を負わされたへの恨みはあれども。なんとか逃げ切れたか、という安堵の方が強いものでした。彼らの情報を事前に知っていなければ。偶然、使える薬が手元になければ。わたしは為す術なくやられていたことでしょう。情報収集の大切さが身に染みました。そして、モヤ忍さんへの感謝も。今度お礼の手紙でも送りましょうかね……。
彼女たちに狙われていた穢土転生体については今も無事とのことでした。綱手様の方に管理を明け渡しておいて正解でしたね。火影様方の御身が奪われて悪用されることにならなくて、本当によかったです。
そして。お見舞いに来てくれたサクラちゃんも……サスケ君は里から出ていってしまったと。わたしにそう、告げました。
幸いにしてまだこのことは里にはあまり広がっていないらしいです。今、里ではヒルゼン様の余命があと僅か、というニュースが駆け巡っているそうで……うぅ、なんだか衝撃のダブルパンチを食らってしまった気分になります。
ともかく。わたしが怪我をしたあの夜、あの襲撃のあと。
サスケ君は夜中、里外への道を歩き──サクラちゃんと会い、けれどその言葉は届かずに。サクラちゃんを寝かして、突き進んで行ってしまったそうです。音隠れ……大蛇丸の下へ。
サスケ君を奪還しにシカマル君、ナルト君、チョウジ君、キバ君、ネジ君が行って。さらに手術が成功したリー君までもがあとから追いかけたそうです。無茶しすぎですよ、リー君……。
さらには砂の我愛羅君、カンクロウ君、テマリさんも助けに行ってくれているとのことで──わたしは病室でみなの無事と、サスケ君の帰還を祈っていました。
その日は、病院が騒がしいなとは思っていたのですが。わたしが知らされたのは、手当てや手術が終わったあとのようでした。
サスケ君を連れ戻しに行ったみんなが帰って来たと聞いて、とりあえずナルト君の病室へ向かいます。
ナルト君は包帯ぐるぐる巻きのミイラみたいな状態でした。かなりの重傷を負っているのでしょう。ぐったりと寝ている彼の傍らに椅子を持ってきて、そーっと座ります。
やがて。その目はパチリと開きました。
「カタナちゃん……」
「おはようございます、ナルト君。お加減はいかがですか?」
「こんくらいへっちゃらだってばよ!」
ニカッと笑って身体を起こすナルト君は、確かに怪我のわりには元気そうに見えます。ただ、その手には。傷の入った額あてがあって────
「何だ、起きたのか」
「シカマル!」
いつのまにか扉のところに立っていたシカマル君はそのまま部屋に入ってきてナルト君のベッドに腰掛けると、事の顛末を語ってくれました。
音の四人衆──次郎坊と戦ったチョウジ君、鬼童丸と戦ったネジ君は重体だったものの綱手様と医療班のおかげでなんとか大丈夫だと。左近と戦ったキバ君と赤丸君はカンクロウ君の救援もあり傷は深いですが命に別状はなし。
多由也と戦ったシカマル君はテマリさんが増援に来てくれたこともあって軽傷とのことです。確かに左手の人差し指以外目立った外傷はありません。うぅ、すごいですね……あの多由也相手に。まあでも確かに空気の振動である音は風遁使いとは相性が悪そうですし、遠距離攻撃のできるテマリさんなら尚更でしょう。流石です。
みんな……本当に、頑張って。敵を倒してくれたのですね。
「そっか……みんな無事だったんだな。良かった……」
「……じゃあ、サスケは」
「…………ああ。行っちまった……」
…………
……
額あてを見た時から、予感はしていたのです。
そうですか……サスケ君は、やはり大蛇丸の下へ……。
何を言おうか、と迷っていると。ガラリと音を立てて扉が開き、入って来たのはサクラちゃんと綱手様でした。
「ナルト……」
一気に空気が重くなります。というより、ナルト君の意気消沈っぷりが半端じゃないです。おそらくナルト君たちの出立の際、サクラちゃんとナルト君で交わしたという約束が原因でしょう。サスケ君を連れ戻す、というそれをナルト君は叶えられなかったわけです。
「また無茶して。怪我しないでって言ったのに……まったく、ミイラ男みたいじゃない」
「ごめん……サクラちゃん……」
「……なんでアンタが謝るのよ」
う、うぅ……。え、ええい!
「ナルト君、サクラちゃん。わたしも謝らないといけないことがあります」
わたしは自身の負った怪我の原因について話しました。
サスケ君を連れて行っていたのは、みんなと交戦したのは音の四人衆(なんかあとから1人増えたみたいですけど)。わたしは、そのうち2人と木ノ葉で対峙していたのです。そして……こうして、無様にも負けたわけです。
もし、わたしが彼女たちを多少なりとも消耗させたりできていたら。もし、倒せていたら。展開はかなり異なったものになっていたでしょう。
「だから、ごめんなさい……!」
そう話すわたしに、サクラちゃんも追従します。
「そうね。私も……サスケくんを止められなかった。同罪よ。3人とも悪かった。そうでしょ?」
「サクラちゃん……カタナちゃん……!」
「はい。それと、サスケ君を連れ戻すって約束。わたしも混ぜてください。わたしもお二人に約束したいです」
サスケ君を木ノ葉に帰らせて、あと心配させた罰として一撃入れると。
にこーっと笑うわたしに2人は顔を引きつらせました。起爆札で一撃入れそうな気がする? 失敬な。普通に拳ですよ、拳。
「……うん。ナルトとカタナだけに約束させやしない。私も、サスケくんを……一緒に!」
「オウ!」
3人、笑顔で。誓い合うわたしたちを、綱手様とシカマル君は優しく見守ってくださっていました。か、蚊帳の外にしてしまってすみません……。
キバ君、リー君、砂のテマリさんたちの見舞いやお礼を言ったあと。
チョウジ君、ネジ君は面会謝絶とのことで、わたしはサクラちゃんと自身の病室に戻ってきました。
お菓子などをつまみつつ話していると、サクラちゃんは意を決した表情になりました。
「私……怪我したカタナと、ナルトと、みんなを見て……決めた。綱手様に弟子にしていただいて、医療忍者になる!」
「…………!」
医療忍者、ですか。
少し驚きましたが、考えてみると確かに────
「すっごくいいと思います。サクラちゃんにとっても向いていると思いますよ、医療忍術。頭脳もチャクラコントロールもピカイチですもの。わたしも……もし何かお手伝い出来ることがあれば言ってくださいね」
「ありがとう。今日は綱手様も病院で治療をなさてみたいだから……早速明日、火影邸に行ってお願いしに行ってみる」
そうですか。サクラちゃんは医療忍術を……。
ナルト君はわたしと同じく入院してますけど……治ったらまた、自来也様と修業して、どんどん強くなっていくのでしょう。
2人ともサスケ君のために何か、と考えています。
一方。わたしは何ができるでしょうか。
何が────
「ところであれ、すごいわね。誰から?」
サクラちゃんが示すのは大量の見舞いの品です。病室の中でもかなりのスペースを取っています。どうせなら鰹節がほしかったのですけど、たぶんないですよねぇ……。
まあそのうち整理して封入して持って帰ろう、とは思っているのですけれども。
「……親戚、です。なにかいるものがあればぜひぜひ取っていってください」
「親戚!? 随分といっぱいいるのね……」
「いえ、その、なんと言いますか……あの、わたし。一応本家の一人娘という立場なんですよ」
そうなのです。それは、つまり──
「取り入っといて損はない、だとか。おこぼれに
もちろん、そういう人だけではないのですが……。ともかく、大量の贈り物攻撃とかされても正直困るのですよね。
「変なものとかは入ってないと思うので、よろしければ持ってっていただけるとありがたいです」
「……いや、そんなこと聞いて持っていけるわけないでしょ」
「そうですか?」
残念です。必要な人に渡るのが1番だと思うのですが。
「うん、そう。んーと、じゃあカタナは親戚と仲が悪いの?」
「そうですね……大人とはまちまちですが、同年代の子たちとは今は業務連絡くらいの会話しかしない仲です。幼い頃は仲のよい子もいたりしたのですが……」
はぁ、とため息をはきます。
「ちょっとその子とケンカ、と言いますか……嫌なことがありまして。それで、家を飛び出しちゃったりもしたのですよ」
「家を!? ……大丈夫だったの?」
「あ、はい、全然。ありがとうございます。お外で泣いて、あと通りすがりの人と話したらスッキリしました。どんな人だったかは忘れましたけど……」
「まあ小さい時の記憶なんてそんなもんよね。私も昔迷子になって誰かと家に帰ってもらった記憶はあるけど、どんな人だったかは全然覚えてないわ」
そういうものですよね。わたしも迷子に、迷子に……なったことはない気がします。ほとんど外に出ませんでしたし、出ても1人じゃなかったですからね……。登下校は1人でしたけど、流石にアカデミーの通学路では迷子にはなりませんし。
「まあそれで、その辺りから修業とかもするようになったこともあって……その子とも結局疎遠になっちゃったのです」
お札を書いたりとかアカデミー入学前のお勉強とかですね。忍術をエビス先生に教わるようになったのはアカデミー入学後でしたか。うーん、懐かしいです。
「アカデミーに入ってからはそちらで友達ができましたしね」
なにせアカデミーには8年間くらい在学しましたもの。そこまで昔のことではないのですが、もう随分と古い事のように感じてしまいます。
「……アカデミー、かぁ……私は好きな人追いかけたりしてたな」
暗い顔で話すサクラちゃんに、わたしは失言だったと悟りました。うぅ、心にメモしておきましょう。アカデミーは禁句です、禁句。
サクラちゃんは頑張って笑顔に戻ると気を使って話しかけてくれました。
「カタナは好きな人、いたりしなかったの?」
その言葉に、波の国での会話を思い出します。確かあの時は莫大な財産を持つ余命僅かな方云々と答えて────あ、嗚呼、そうです。あの方がいらっしゃるじゃあないですか! 今のわたしにピッタリの方が。
見つけました! わたしの、できること。
「サクラちゃん! ありがとうございます」
わたしはガバリとサクラちゃんに抱きつきました。
「へ? 私?」
「違いま……いえ、サクラちゃんのことは好きですけど、そうではなく。お話中で申し訳ないですが、今からちょっとアタックしに行こうと思います!」
「え、ちょ、待ってよカタナ! 病室抜け出しちゃ……」
すみません、適当に誤魔化しておいてください!
トントン、とドアをノックすると「入れ」という声があり。わたしは扉の中へと足を踏み入れました。
「失礼します」
「おお、カタナか。どうかしたのか?」
「ヒルゼン様。不躾であることは重々承知の上で。お願いをしに、参りました」
そう話すわたしに、ヒルゼン様は鷹揚に笑いました。
「よいよい。そう肩肘張らずに、話してみい」
そうおっしゃっていただいても緊張とはなかなか解けるものではありません。ゴクリと息を呑みつつも、わたしはきちんと願いを声に出しました。
「穢土転生の術を……教えて、いただきたいのです」
「なぜじゃ?」
ここが正念場でしょう。じっとヒルゼン様の目を見つつお話しします。
「サスケ君に追い忍がかかっていないのはヒルゼン様と綱手様のお力があってのこと。本当に、ありがとうございます」
わたしは深々とお辞儀しました。
「ですが、この先のことを考えると……お二人を頼っているばかりでは万が一があってはいけない、わたし自身も里の中枢へ届く……権力を、持っておくことが必要だと思いました。木ノ葉が最後の最後に切り札として使う穢土転生を使える人物の言葉は、無視できないものになるでしょうから────」
ヒルゼン様はゆっくりと頷きました。
「なるほどのう。それで、お主に教えたとして。いつ使う? 本当に、使えるのか?」
「……それは、その、いずれその時が来たら、としか。できる限り、ギリッギリのギリッギリまで使わない方がいいものですし……具体的にいつ、とは考えられません。でも。使えるようにはします。何度もイメージトレーニングを繰り返します!」
穢土転生を実際に行うわけにはいきません。故に、手順と印を覚える。あとは実際にできるかは、やってみないとわからないというものです。いえ、そうやすやすと行いたい術でも、行える術でもないのですけれども。
「いずれその時が来る、か……」
ヒルゼン様はしばし口を閉じ。わたしはその様子をドキドキしながら見守ります。
断られたらどうしましょう。わたしも、サクラちゃんと一緒に綱手様に弟子入りしましょうか? でも、医療忍術はそう簡単に身につけられるものじゃあないですよね……。それよりは封印や結界術の方が、やはりわたしには向いているでしょうか。
そして。ヒルゼン様はゆっくりとおっしゃいました。
「よかろう。ワシの持つ資料。二代目様のやり方。印だけになるが、大蛇丸のもの。できる限りの全てをお主に教えよう」
「ありがとうございます!」
……でも、大蛇丸の穢土転生の印って。まさかヒルゼン様、木ノ葉崩しの際のあの高速の印を見切っていたのでしょうか。流石としか言いようがありません。
ヒルゼン様が大蛇丸に使った封印術──屍鬼封尽というものだそうです──も元々その知識はあったとはいえ、ミナト様が使っていたのを1回見ただけで覚えたらしく。……ヒルゼン様って、写輪眼をお持ちでしたっけ?
カカシ先生のコピー忍者という異名ってヒルゼン様から受け継いだんですか、というレベルだと思うのですが。そうです、確かにヒルゼン様は木ノ葉に存在する全忍術を解き明かしたとされる方。その程度は当然……ではないですけれども、これが火影、ということなのでしょう。つくづく感服いたします。
「……ところで、鍵は見つけたのかの?」
「はい。凡そは」
「そうか……わかった」
それから、ヒルゼン様はサスケ君とナルト君についての話をしてくださいました。
まず、サスケ君のことです。
大蛇丸がサスケ君を求めているのは自身の不死の術──つまるところ他人の身体を乗っ取る術──のためであること。そしてサスケ君が次の器となるには3年程度の猶予があること。
次に、ナルト君。
ナルト君を狙っているのは『暁』という危険な抜け忍集団。以前は大蛇丸も所属していたものの、今はおらず……他には以前木ノ葉に襲来したイタチ、鬼鮫も所属しているそうです。ただし、この組織が次にナルトを狙って来るのは3、4年先の話ということです。
「ということは……2人とも、あと3年くらいは時間があるんですね!」
「ああ、その通りじゃ」
では……3年後に大蛇丸と、暁と戦う。そのための力をつける。それが、それこそがわたしたちの目標です!
そのためには────
「せめて、ワシに残された時間を使ってお主に術を授けよう」
綱手への引き継ぎや木ノ葉丸と話す時間などは作らせてもらうがな、と笑いながらヒルゼン様は言ってくださいました。正直、願ったり叶ったりなのですが……。
「ありがとうございます。でも、なぜわたしにそこまで……?」
「うむ。そうじゃな……それには少し、昔話をさせてもらおうかの。なあに、そう長い話ではない」
──忘れもしない。あれは、雲隠れのクーデターに巻き込まれた時のことじゃった。
ヒルゼン様はそう、語り始めました。
◆
「囲まれたな……敵は……20」
扉間は静かにそう言った。
「こちらは二代目様を含めて7人……これじゃとても……」
扉間小隊はうたたねコハル、うちはカガミ、猿飛ヒルゼン、志村ダンゾウ、水戸門ホムラ、秋道トリフ、そして千手扉間の7人。みな手練の忍だが、それは相手の金閣部隊とて同じ。人数差が実力差に直結していた。
「敵はまだこちらの位置をハッキリとは把握出来ていない。ここは待ち伏せして不意をつき逃げ道の突破口を……」
コハルの意見をカガミは不可能と断ずる。
「無理だ……この場合、誰か1人が陽動で気を引くしかない……」
「囮役か……まず命はない……誰が……」
トリフの言葉に、みなが……扉間すらもが黙った。それはつまり、誰かが囮になるほかないと扉間も結論したということだ。
沈黙の中、明朗な声が響いた。
「オレがやります!」
「猿飛……」
「ヒルゼン……お前……」
「ヘッ! 心配するな! こう見えてもお前らの中じゃ1番できると自負してる……死にゃあしないよ」
事実、6人の中ではヒルゼンが頭一つ抜けている。だが彼とてそんな楽観視はしていない。死地に飛び込む。その覚悟を決めていた。
「これから皆を頼むぞ、ダンゾウ 。お前なら……」
そう言ってヒルゼンは笑顔でダンゾウの肩に手を置いた。ダンゾウ側からはともかく、ヒルゼンはダンゾウを仲間だと思っている。信頼している。その実力を認めている。それ故の行動だった。
しかし。ダンゾウはその手を跳ね除けた。
「黙れ! オレが手を挙げようと思っていた! 1人でいい格好をするな……囮役はオレがやる!!」
「ダンゾウ……」
震えて、自ら囮役を買って出ることができず……ヒルゼンが立候補してどこかホッとした気持ちがあったダンゾウにとってヒルゼンの言葉は嫌味にすら感じられたのだ。いや、単に妬んだだけかもしれない。ダンゾウにはできないことを軽々とやってのけるヒルゼンを。いつも彼の先を歩くヒルゼンを。
その言葉は仲間のために犠牲になるという覚悟からでたものと言うよりも、ヒルゼンに負けたくはないという一心からのものだった。
「オレの父も祖父も戦場で忍として死んだ! 自己犠牲は忍の本分……!!」
そして。ヒルゼンか、ダンゾウか。他の人々が迷うのをよそに、扉間はキッパリと言い放った。
「囮役はもちろんオレが行く……貴様達はこれからの里を守っていく若き火の意志達だ」
「ダメです……! アナタは火影なんですよ!! 里にアナタ以上の忍は居ない!」
「ダンゾウよ。貴様はサルといつも何かあるごとに張り合ってきたな……だが。この場で必要なのは仲間同士の結束だ。私的な争いを持ち込むな」
その鋭く、どこまでも本質を突く言葉にダンゾウは何も言い返すことができずに黙り込む。
「決断が遅かったのは事実。まずは己を見つめ冷静さを欠く事なく己を知る事だ。今のままでは仲間を危機に陥れる」
これらの会話が、言葉が。扉間の、弟子への最後の餞別なのだろう。
「とにかく……ダンゾウ、サル。その歳で焦る事はない。いずれ来るその時まで、その命……とっておけ」
扉間は静かに立ち上がった。
「サルよ……里を慕い貴様を信じる者達を守れ。そして育てるのだ、次の時代を託す事のできる者を。明日からは貴様が、火影だ……!!」
「ハッ!」
ヒルゼンは深く。深く、こうべを垂れた。
◆
「──────あの時の二代目様のお言葉を、ワシは胸に抱き続けておる。故に、じゃな」
火の意志。連綿と続くそれを、わたしの中にも見出してくださっているということでしょうか。思わず胸が熱くなります。
そして、サスケ君とナルト君を守るための手助けをしてくださるということでもあるのでしょう。わたしたちならばそれができると、信じて。
ヒルゼン様の目はしっかりとわたしの目を見据えていました。
「改めて、師弟としてよろしく頼むぞ」
「はい! よろしくお願いいたします」
頭を下げたわたしに、ヒルゼン様はいつものように。にこにこと笑いかけてくださいました。……頑張ります!
ルンルンと病室に戻って来たわたしを、サクラちゃんは般若のごとき形相で迎えます。……ひえっ。
お叱りを受けてしまいました……年上なのに……ごめんなさい……。
ヒルゼンはこの話の中でダンゾウのことはマイルドに伝えてます。立候補したけど扉間にちぃっと叱られとったで〜みたいな。そもそもたぶんダンゾウの胸中をいまいち理解していませんし。自分のことは謙遜して話し、扉間のことは思い出フィルター補正もあって脚色して伝えてます。カタナ的には扉間様すごい!がよく伝わりました。
でもやっぱ原作通りのが見たいなあ、ということで一部3人称という変則的な書き方になりました。あとヒルゼン視点だと当事者なので単純に書きづらいのです……。
サスケ君を連れて行っていたのは、みんなと交戦したのは音の四人衆(なんかあとから1人増えたみたいですけど)。
→次郎坊、多由也、鬼童丸、左近・右近のもとへ君麻呂が駆けつけた。
あくまでも進言に留めるそうですが……やるならば穢土転生の術を使うべき時と使うべきでない時を正確に見定められるような方が習得されることを祈ります、はい。
→「穢土転生の術を……教えて、いただきたいのです」
言い出しっぺの法則。フラグ回収とも。