木ノ葉のお札屋さん 作:乙欄
カタナの
三代目火影の葬儀では里の警備や任務に当たっている者以外は全員集まったということで、懐かしい顔ぶれが見えた。
その中でもひときわ気になったのは、僕のアカデミーでの同期──卒業のタイミングは同じで、下忍になるのは僕のほうが1年はやかった──の川上カタナさんの姿だった。
川上さんの班員、うちはサスケが里抜けしたこと。そして川上さんが弟子入りした三代目が亡くなったことから、励ましの言葉でもかけようと思ったのだけど……
……すごく、話しかけづらいな。
川上さんの周りにいるのは僕達より2つ年下の子達。とはいえ、その実力は並大抵じゃない。猪鹿蝶の三家に、日向、犬塚、油女一族。川上さんの班員のうずまき君は自来也様の、春野さんは五代目の弟子になったと聞くし。それに中忍選抜試験でも彼らの活躍はすごかった。本来は下忍になってから2年くらいは経ってから受けるのが普通なのに、新米で受験しておきながらきちんと生き残って、本戦まで勝ち進んだ子も大勢いるのだ。うずまき君なんて
そうやって気後れしていると、僕は……同じく彼女に話しかけようかと迷っていた、
川上さんは入学時から目立っていた。理由は簡単で、まさか
川上さんの家の人達は、他の里の店の子達、つまり忍者じゃないけど里に住んでいる子達と一緒で
どうせすぐ転校するだろ、という大半の人の予想に反して、川上さんは優秀だった。優等生だった。家庭教師に習ってたらしく基本忍術は完璧、座学もできて、体術は普通だったけど女子の中では上の方だった。僕より強かったし。
川上さんは、育ちがいいからか誰にでも丁寧に接する。口がさがない人は八方美人なんて言ってたけど、僕からしたら別にそれが演技であれ計算であれ周りの迷惑にならないなら……というかむしろ手助けしてくれてたからありがたいと思う。彼女が猫と戯れる姿を目撃したことのある僕としては、猫好きに悪い人はいないし根っからの善人説を推したい。お涙頂戴系の映画を見てはよく感涙しているような子だしね。ただ、少しばかり彼女との間には壁を感じるのも事実だった。
訓練で見えてきた性格として、彼女は戦闘の前にまず戦わない道はないか、と考えるタイプだ。搦手なんかを検討してからそれでも無理だったら戦う。それも効率的に。
サバイバル演習で組んだ時には敵が設置したトラップの起爆札を上から書き換えて逆に利用する、なんて離れ業を見せていた。起爆札はクナイにつけるやつとかだと「チャクラを込めてから30秒後に爆発する」という感じで、罠に使うのだと「触れると爆発する」といったのが多い。この罠に使うタイプ、触れてから爆発までコンマ数秒はあるらしく、その僅かな間に川上さんは起爆の条件を書き換えることができるのだという。化け物か。「起爆札はいつも書いているので……」とか言ってたけど、だからってそうできるものじゃないと思う。筆を動かすそのスピードはもう尋常ではなかった。
じゃあ学校以外ではどんな感じだったか、というと……実は僕達は彼女が放課後に外で遊んでいる様子を見たことはなかった。お家のこともあって色々と忙しいのだという。彼女の家はお札を売っていて、たまに
あとは……「好きな忍は?」と聞かれると大抵の男子は三代目、女子は今は五代目をしている綱手様と答えていたのだけど、彼女は違った。二代目、と話すのである。別に僕達も二代目は嫌いじゃないけど、三代目の方が身近だし色々と伝説もあって憧れる。そんな僕達へ彼女は二代目の政治的手腕の素晴らしさ等々を滔々と語ってくれた。僕達は学習した。彼女に二代目の話を振るのは悪手だと。お札についても話し出すと長かったから、好きなことについては語りたくなるんだろうな……。
でもよくある「好きな人は?」という話には川上さんは全然興味がなさそうだった。僕達の学年の女子にモテモテだったのは1つ下の日向君と、先生だとミズキ先生だったけど、彼らをむしろ苦手だと言っていたっけな。まあミズキ先生は不祥事を起こしたとかで
とにかく真面目な委員長タイプの川上さんは、教師達からすれば理想の生徒という感じだっただろう。……あの一件が起きるまでは。
彼女は基本的に落ち着いているし大人びているが、天然というか、抜けているところもあるのだ。
もちろん、故意じゃない。なんでも起爆札の連続起動の訓練中──この地点から爆発音が届いたらこの札は起動する、というような条件の術式を書いたらしい──計算が狂っていて、想定より爆発が大きくなってしまったそうだ。
別に怪我人が出るとかもなく、修繕費も家からポンと出したらしいのでそう問題にはならなかったけど……それ以来、川上さんに対するみなの接し方はちょっと変わった。というか仮説が真実味を帯びた、というのが正しいと思う。
──普段ニコニコしてる人を怒らせたらヤバい、という。
川上さんが本気で怒ったところは誰も見たことがない。プンプン、って感じのなら何度かあるけど、可愛らしいものだ。
しかし、半壊した演習場の惨状は……もし自分が喰らったらミンチよりひどくなるに違いない、という確信を僕達に与えた。触らぬ神に祟りなしである。合掌。
ちなみにこの時、僕達の班の試験は情報収集がメインのものだった。準備された屋敷の中で偽の会議が行われ、そこでバレないように潜入して情報を集めて1番重要な情報を手に入れた者の勝ち、という。偽の会議では護衛役もいるから、その目をくぐり抜けなくちゃいけなかった。それでも一応甘めの警備にはしてくれてたらしいけど僕達はあっさり何度も見つかっちゃってた。それで1人1人、なんとか手に入れられた断片的な情報を口にするも不合格。ですよねーって感じだった。
試験に落ちて
1年かけて単位を集め、再びの下忍試験で僕はなんとか受かったけど、川上さんはまた落ちてしまっていた。迷路から脱出という試験で、協力して進んでいたらゴール直前で裏切りに合い他の2人から襲撃を受けたらしい。川上さん、人の引きが悪すぎやしない……? でも不意打ちだったのを相打ちまで持ち込んだのはすごかったと思う。不合格は不合格だけど……。
その後どういうわけか2つ年下の子達とチームを組むよう配置され7班に入ったらしい川上さんは、任務で一緒になるとかいうこともなく疎遠になってしまった。でも時々見かける彼女は、
僕なんかが話しかけても迷惑かもしれないし、何の慰めにもならないかもしれないけど──やっぱり
ゆっくりと深呼吸をする…………大丈夫、川上さんのことだからあっちから拒絶してくることはまずないはずだ。
……よし、行こう!
「川上さん。久しぶり」
その言葉に、川上さんはこちらを振り向く。伸ばしていた髪が短くなっているのに僕は驚いた。いつ切ったのだろう。
「知り合い?」
桜色の綺麗な髪の子……春野さんが川上さんに話しかける。川上さんはいつも通りの、でもちょっと懐かしい笑顔を浮かべて口を開いた。
「はい。彼女はくノ一クラスで一緒だった────」
そんな僕達へ彼女は二代目の政治的手腕の素晴らしさ等々を滔々と語ってくれた。
→術の開発者としてもすごいけど、禁術が多くて語れないんや……という。アカデミーとか木ノ葉警務部隊設立とか以外にも政治的に色々とやっていると思います。木ノ葉崩しの際に子どもとかを逃がしていた避難マニュアルも扉間様作では、とどこかで見た時にはすごく納得しました。
個人的には里の警務部隊を設立したことでうちはを政治から遠ざけただけでなく、戦争に出るうちは一族も多少なりとも減っていたのではと考えています。比べて千手一族が全然いないのは縄樹みたいに戦争で亡くなった人が多いからではないかなと。千手は特に一族の血継限界とか秘伝忍術とかがなさそうなので単に結婚して名字を変えたりすると他の一族に紛れちゃっているだけかもしれませんが。
アカデミー捏造設定てんこ盛りです。こんな感じかなあ、と。原作でサクラ達がアカデミー出戻り組に気づいていなかったのはアカデミーが単位制であり、卒業までの単位を既に取得している出戻り組はそれ以外のもっと応用的な授業を取っているため、出会うことがなかったからと思っています。一期上のネジ達を知らなかったことからしても。
基本的にキャラは原作の口調に沿うようにしてるので(できていなかったら申し訳ないのですが…)私、ボク、オレ等々はそれでそのまま遵守して、アニオリのキャラや自分のオリキャラは僕、俺にすることで差別化を図ったり。ただ、サクラとヒナタってサスケ君ナルト君としたりサスケくんナルトくんとしたりわりと違う時があって……どっちなんだろうと思う日々です。重要な呼びかけの時はくんなのか?と思ってもなんか違うような気がして……謎です。
カタナだけ一人称を「わたし」にすることで一応特徴づけているつもりです、はい。他にも「忍」をカタナだけ「忍び」とするのは、カタナが忍びと呼ぶ機会が多いから一文字にするより読みやすい、わかりやすいかなあというのもありますが他キャラとの差別化を図ってでもあります。
あとは丁寧語が好きなのでだいぶ丁寧語を崩さないキャラに。敬語キャラが敬語を崩す時が好きです。味方だとかっこいいですけど、敵キャラだと小物臭くなる時もありますよね。ウラシキとか。でもそれも好きです。
多少描写が不自然になってもオリキャラの名前をあんまり出さないようにしているのはやっぱりオリ主以外は原作キャラがメインでいこうという気持ちと、NARUTOはアニオリも含めてキャラがいっぱいいるので被らない名前を、と考えると難しいからです……。